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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  The Harimaya Bridge はりまや橋
監督さんの言いたいことはよくわかるんだけど、お話的にこれは稚拙に過ぎる。偏見が人との交流によって少しずつ取り払われてゆくという展開にあってその偏見の部分があまりにわかりやすい。露骨すぎ。心の変化もわかりやすい。偏見の根の深さが描かれることはない。わかりやすいからといって面白いわけでもなく。淡々としたお話が終盤ミステリアスな山を迎えて少し盛り上がるのだが、こここそもうちょっとわかりやすく盛り上がってもいいような・・。清水美沙の役どころが「通訳」を兼ねているということでしょうがない部分もあるんだけど、終始説明っぽいのもいかん。言葉によってお話が進む。高知とサンフランシスコの風景を映せばそれでOKみたいな、そんな作品だった。
[DVD(邦画)] 3点(2011-12-12 15:35:23)
2.  さらば愛しき大地
悲劇は突然訪れる。二人の子供の死。あまりにきついこの事故が一人の男の人生を狂わせてゆく。これさえなければ田畑で覆われた土地に工業地帯が生まれたことでできた時代の波の狭間に落ちてゆくこともなかったかもしれない。辛くならないように、生きられるように、その選択がことごとく奈落の底へと向かわせる。土地に居つく兄は居つくしかなかったから居ついたのか。これまでの全ての些細な不満や欺瞞、日常の怒りや悲しみが覚せい剤によって歪み、膨らんでゆく。兄弟の確執もまた実に丁寧に描かれるのだが、そのそこかしこに堕ちゆく人生の伏線が散りばめられる。「堕ちてゆく」ことの簡単さが生々しくて怖い映画。130分はちょっと長いようにも思うが、その一つ一つのシーンが「堕ちてゆく」ことに繋がっている。
[DVD(邦画)] 7点(2011-10-26 15:15:24)
3.  三匹荒野を行く 《ネタバレ》 
小学生のときにテレビで見て大感動した作品。「『名犬ラッシー』を三匹でする」だけのものなんだけど、三匹というのがミソ。犬猫犬の三匹というのもミソ。三匹が互いに助け合う様が実に健気で感動を煽るのだ。物語はほとんど人間を介さないので「シートン動物記」や「野生の王国」が大好きだった当時の私にとってまさにビンゴだったわけです。猫が川に流されたりゴールデン(レトリバー)がヤマアラシの針に刺されたりけっこう細部を記憶していました。去年か一昨年あたりに再見したときはそのあまりに淡々と進行する淡白な演出に呆れてしまったのですが、今ならもっと音楽が大袈裟に感情を揺さぶり観客を驚かせる仕掛けも満載になるに決まっており実際そういう映画にならされているからこそこれを淡白だと思ったわけで、そう考えるとこの淡白な映画に自分の想像力を駆使して大感動していた私の少年時代は幸せだったのだなと実感。 ちなみに我が家にも犬と猫がいるが残念ながら互いに助け合うとは到底思えない。それ以前に二匹とも誰彼かまわずなつくので旅立つこともない。
[DVD(字幕)] 7点(2011-07-21 14:06:20)(良:1票)
4.  ザ・ファイター 《ネタバレ》 
息子のためにと言いながらまんまと金づるにしちゃうクソババアとしっかりとクソババアの遺伝子を引き継ぎ養ってもらうことしか考えないクソ姉妹たち。と思ったらなんだかんだ言ってもちゃんと息子想いで兄想い。そのあたりの家族ドラマが描かれている、のかと思ったらそうではなくそこはほとんど結果だけ見せてるって感じ。えらくあっさりとした映画だ。そのあっさり具合が気に入った。が、そのくせ家族の物語を語るための一要素でしかない兄の栄光と挫折の件がしつこい。母親をこんなのにしたのはもちろん兄の栄光と挫折だし、母の愛に応えられずに麻薬に逃げ続ける兄の姿は家族の悲惨な現状を見せるのにこれ以上ない挿話ではあるけれど、主人公であるはずの弟を追いやってそこばかりが濃密に語られていることに違和感を感じる。まあ、ここが濃密だからこそ急激な一家団欒ハッピーエンディングにオイオイ!と突っ込みながら、こりゃいいわとなるんだろうけど。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-27 15:03:54)(良:1票)
5.  ザ・タウン 《ネタバレ》 
監督デビュー作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』同様に小さな街の物語。そして今回もまた素晴らしい脚本にやられた。ものすごく繊細。ものすごく丁寧。例えば主人公の設定。麻薬、アルコールを断っている。断ったからこそ真人間としての思考を持つことができ、強盗団のリーダーでありながらごくごく普通の感覚を持つ女性を好きになるという不自然さを解消させている。あるいはホッケー選手の件をオチに繋げるうまさ。どれもこれもが極めてさりげなく語られていることも重要。トラウマになるほどの人質の恐怖は目隠しのまま解放されるシーンの長い沈黙という一つの画のみで表現してみせる。その後のドラマチックな出会いを実に自然な展開へとしているのはここだ。女性の事故死した弟のエピソードを語るシーンの自然な展開よ。そしてそれがラストに再度使われるためにあるのだと分かったときの痛快感。書き出したらキリがないがとにかく丁寧。かといって辻褄合わせに翻弄されない。街に精通したプロらしいカーアクションや豪快な銃撃戦がまた嬉しい。ベン・アフレックはイッパイいい映画見てるなと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-31 14:41:12)(良:3票)
6.  最後の人
「字幕を使わない凄いサイレント映画」であることを知らずに見たのだが「字幕が無い」ということになんの違和感も持たずに見終えたことを覚えている。それほどに画がなにもかもを表現している映画であったわけだが、反面それほど凄い映画だとも思わなかった。要するに字幕なしを凄いと思わせないほどの凄い映画なのであった。脚本が素晴らしいのだろう。そして脚本に沿った演技と演出とカメラワークと照明と編集が素晴らしいのだろう。至って普通の映画だと思う。が何度も言うように言葉を廃してなお「普通」に見せてしまうというのはやっぱり凄いのだ。「普通」の中にあってアパートの住民たちから笑いものにされるシーンの表現主義的な演出はインパクト大。最後の追加シーンは追加であることをこれまた後日知ったのだが知らずに見てもあきらかにとってつけた感ありありでちと困惑してしまったのだが、このあまりの空気の違いというのはムルナウの抗議の印なのかもしれないと思った。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-24 15:31:55)
7.  SOMEWHERE
きらびやかな物語の『マリー・アントワネット」よりも動きがなく地味な物語のこちらのほうがソフィア・コッポラには合っている。退屈になればなるほどソフィアお得意のキレイな画が生きてくるから。いっそのこともっと地味にすりゃいい。最初のフェラーリとか最後のフェラーリとか意味持たせすぎてわざとらしいし、娘の唐突な涙も父親の唐突な嗚咽もやっぱりわざとらしい。もっともっと物語の動きを減らして元々の職業でもあった「写真」に近づけていけばいい。そうすることでもっと映画は豊かになってゆくような気がする。エル・ファニングはかわいいかわいいと思ってたが、ソフィアの手にかかるとさらにかわいい。
[映画館(字幕)] 6点(2011-05-23 13:55:53)
8.  ザ・ウォーカー
公開時期が重なった『ザ・ロード』とあまりに設定が似ているのだが、おそらくは本作『ザ・ウォーカー』も『ザ・ロード』の原作、コーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」を下敷きにしているのだろう。文明崩壊後の世界を舞台とし、人食いが横行しているというのも同じ。行き先は「南」から「西」に変更され、運ばれるものは「火」と表現される抽象的なものから「本」という具体的なものに変わる。どちらの話もキリスト教の影響下にあり、イーライという名の人物が登場する。しかしその舞台設定に目がいっちゃうとあまり面白くないかもしれない。設定に意味を見出そうとしてはいけない。この設定はあくまで背景でしかない。カッコイイを演出する背景でしかない。目にも止まらぬ(ホントに見えない)居合い抜きアクションと西部劇風決闘シーンと過去に何度も目撃した一軒家への集中砲火と久々登場のジェニファー・ビールスで満足しなければならない。そういう映画なのだ。蛇足が少々長いが。
[DVD(字幕)] 6点(2010-11-30 14:26:16)(良:1票)
9.  ザ・ロード(2009) 《ネタバレ》 
植物が育たない灰色の世界がめちゃくちゃにリアルに映し出されて、その生々しくも強烈な終末観に圧倒された。それもそのはずで、この死の世界はCGを一切使っておらず、実際にハリケーンで被災した土地なんかで撮影されたとか。いやはや凄い。途中からこれってホラー映画か?てな展開になって映画館を途中退席するおばさんまで続出。展開はともかくとして映し方がそれまでのだだっ広い死の世界にちっぽけな人間という構図から一転、擬似ドキュメンタリーで流行のアップで揺れる画面という慌しい恐怖演出に変わってしまってがっかり。それでも現在二児の父親という境遇のせいだろうが、ただ生きることが困難な時代になにがなんでも子を守り、おそらくは生まれ持ったものであろう善を育もうとする親としての本能に引きつけられた。ラストはこの世界で描ける精一杯の希望を見せる。人が食べられる世界においてペットですら食べない家族との遭遇という。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-29 13:51:03)(良:2票)
10.  ザ・ロック
ショーン・コネリー登場から面白さが加速し、一度逃げ、再び捕まるまでの追いかけっこが面白さのピーク。怒涛のカーアクションはさすがマイケル・ベイ。惜しむらくはサンフランシスコとカーチェイスで記憶される、かの映画を連想させるシーンでもあれば大満足だったのだが。で、ここからブラッカイマー節全開ということだろうか。アルカトラズが遊園地と化す。それはそれで楽しくもあるのだが、人が大量に殺し殺されるのをこんなに楽しくしちゃって、いや、それもいいんだけど、なんか敵将の葛藤が陳腐に見えてきて、ああブラッカイマー&マイケル・ベイなのね。って感じ。
[DVD(字幕)] 4点(2010-11-17 13:41:01)(良:1票)
11.  真田風雲録 《ネタバレ》 
関が原の合戦跡を徘徊するガキ共が長い横移動で捉えられる。おお!と思ってるとそこに超能力少年佐助が現れる。おいおい。一気に胡散臭くなる。安易な発想とチープな特撮。やばいなこれ。と思ってたら時代は進み、ガキ共は若者に。ミッキー・カーチスがギターを弾きジェリー藤尾はスカーフを巻いている。なんだこれ。紅一点お霧って霧隠才蔵ですかい。なんだかとぼけた真田幸村が出てきたぞ。大阪冬の陣。佐助の妖術が笛とギターで拡散される。負けてられない敵方服部半蔵率いる忍者部隊が華麗なダンスパフォーマンスで迎撃する。なんだこれ。面白すぎる。冒頭で感じた胡散臭さを最大の武器とし、徹底したデタラメさで攻めてくる。特撮のチープさすら作品のデタラメ性向上に一役買っているではないか。天然ギャル千姫の今どき発言や歌謡ショーで十二分に和ませても、ミュージカル・コメディ特有のフワフワ感はなくひたすらデタラメ感が充満する。フワフワ感どころかどこか仁義に尽くす者の悲しき定め的な空気が漂っているのは加藤泰ゆえか。最後にやらなくたっていいけどやらなくちゃならない男の勝負、佐助VS半蔵で締めるあたりもやっぱり加藤泰。
[映画館(邦画)] 7点(2010-07-27 14:50:44)(良:1票)
12.  サンダーボルト(1974)
このニューシネマテイストの映画がチミノの長編デビュー作というのは意外な感じもするのだが、時代に取り残された男たちのどうしようもなさ、そんな切なさ漂う男性映画ってところで納得。顔だけで映画になっちゃうからしゃべる必要が無い苦みばしった顔をしたクリント・イーストウッドと、まるでイーストウッドの取巻きのようにまとわりつく憎めないやんちゃくれのジェフ・ブリッジス。プラスとマイナス。陰と陽。この二人のキャラクターを作り上げた時点で半分成功。演技しないイーストウッドとの名コンビ役をこなしたブリッジスの名演技で残りの半分ゲット。さらにジョージ・ケネディがいい味出してる。銀行強盗をするための資金を稼ぐのにバイトしてるのがなんとも微笑ましく、そのまま地道にバイトしてればいいのに、なんだけどできないジョージ・ケネディが面白い。たしかに見所が散漫な印象もあるんだけど、見所が満載でもあります。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-23 15:56:11)(良:1票)
13.  サムシング・ワイルド
一般的中流家庭の型にはまった男と型破りなファムファタルの出会いから強引な二人旅が始まり、男の食い逃げとはレベルも年季も違う旅すがらの犯罪行為と大人の火遊びが矢継ぎ早に展開される。あまりの急ピッチに男は成すがまま。もうほとんどコメディと言っていいほどの男の巻き込まれっぷりが実に楽しい。先の見えないロードムービーが一息つく、夫役として女の実家に、そして同窓会へと赴くはめになるころにはロマンスコメディ色を出してきて、徐々に大真面目なラブストーリーの様相まで見せてくる。と思ったらそこから急展開でスリラーへと移行する。さすがB級映画の帝王と呼ばれたロジャー・コーマンの弟子。なんでもござれだ。しかもちゃんと繋がってる。冒頭の女のビッチぶりは社会に組み込まれた男を脱出させるための必然だし、女の出所したての元旦那の登場は真に人間性を取り戻すための通過儀礼だし、女の出生地でのあれこれは、女もまたこの村社会的な閉塞感にあえいでいたことを提示してもいるのだ。いやはや、お見事。音楽もまた多種多様なのだが、ラストのがとびきりいい。「ワイルド・シング」のレゲエバージョンなんだけど、その楽曲の軽快さとシスター・キャロルのラップ調の歌い方が最高。本人がウェイトレスで登場して歌い出すってのもしゃれてる。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-14 16:43:13)(笑:1票) (良:1票)
14.  サロゲート 《ネタバレ》 
公開時期が重なったために『アバター』との相似が指摘されているが、『サロゲート』の世界観はどう見たって邦画『HINOKIOヒノキオ』の進化系だ。ここまで進化しちゃってる近未来像も落ち着いて考えたらかなりムリがあるんだけど、この、ほとんどの人間が引きこもってサロゲートを使用しているという極端な大前提を少なくとも映画を見ている間は受け入れさせているんだから侮れない。この「受け入れさせている」力は謎を含んだ大きなストーリーにあるのではなく、主人公が抱える悩みが小出しに炙り出される小さなストーリーにある。そしてその小さなストーリーこそが実はメインストーリーであって、この極端な近未来ワールドはそのメインストーリーのために用意された背景でしかないのだ。モストゥ監督は『ブレーキ・ダウン』(ネタバレしちゃってます)でも同じことをしている。夫婦が離されて、最後には抱き合って終わるというストーリー。夫婦を引き離すためだけに用意された極端な事件。どちらもその事件や背景に大きな穴があるかもしれない。しかし映画にとってそこは全く重要ではない。シンプルな話しをまわりくどく描く。そのまわりくどい部分の中でささやかな、それでいて気の利いたサスペンス、アクションを楽しめればいい。そういう映画なのだ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-24 18:10:42)
15.  サヨナラ COLOR
「ささ菌」という生々しいあだ名に吹いた。憧れのマドンナ宅でトイレを借りるときのマドンナ母とのやりとりのしつこさに笑った。こういうの、もっと欲しいな。高校時代にあれほどのいじめられキャラだった主人公が医者となり患者に感謝され、看護婦のオシリをさわり、後輩にはそれなりにえらそうな口をきき、独身だけれど好いてくれる女がいて、なぜだかかわいい女子高生と援助交際もしている。そんなもんだ。そんなもんだろうけど、女子高生はかわいすぎて違和感があった。この女子高生がらみのエピソードをもっと増やすか本筋に絡ませてくれるとこの違和感がかえって輝いてきたかもしれない。監督のラインで多彩なゲスト出演者が顔をそろえているんだけど、作品の空気を乱すような使い方をしていないのはさすが。原田知世が原田知世らしくて良かった。
[DVD(邦画)] 6点(2010-03-17 17:07:02)
16.  ザ・マジックアワー
三谷幸喜作品の面白さは演劇にこそある。『12人の優しい日本人』が面白いのは会話劇だからだ。言い換えれば会話だけで人を楽しませることができるのが三谷幸喜である。ところがどうも監督は映画をしたいらしい。前作『ザ・有頂天ホテル』は『有頂天時代』と『グランドホテル』を合わせたタイトルから想像するに「映画」と「三谷演劇」の融合を試みようとしたものだったのかもしれない。しかし実際は試みてはいない。自由に視点を変えられるカメラが三谷演劇を切り取ったにすぎない。長回しは映画的空間を作らずにNGの許されない演劇の醍醐味こそを映し出していた。しかしだからこそ面白いのだ。しかししかしこの『ザ・マジックアワー』というこれ以上ないくらい映画を連想させるタイトルを冠した作品は今度こそ「映画」と「三谷演劇」の融合を試みる。演劇的な室内劇から外へ出る。カメラは何度も切り返される。クレーンで上昇もする。「映画内映画」という映画的モチーフが映される。映画に対する露骨な愛を見せてもいる。たしかに前作よりもはるかに映画に近づいた。でもそうなってくるとこれまで三谷映画で気にならなかった粗が気になってくる。融合の弊害。例えば明らかにそれとわかるセットは三谷演劇を見せるために必要な虚構を演出するアイテムなのだろうが演劇ではなく映画っぽく撮ることで不自然さだけが目立ってしまう。窓から見下ろす「外」も「外」には見えなく、「この街から出よう」と言われても街の外も想像できない。融合の途中段階として今後に期待。でも演劇的オーバーアクトのうえにさらなるオーバーアクトをのせて笑いをとるのは「演劇」ならではであって、やはり三谷は「映画」より「演劇」で魅せてほしいとも思う。
[DVD(字幕)] 4点(2009-12-08 12:03:39)
17.  ザ・バンク -堕ちた巨像-
冒頭の雨のベルリンがいい。何かによって成された何がしかが実にシリアス且つ分りやすく描かれる。何かが巨悪であることもこの冒頭シーンだけでじゅうぶん伝わる。全てを監視していたはずの主人公には見えていなかったという所がスリリングでまたその後の展開に活きてくる。もうけして何も見落とさぬとでも言いたげなクライヴ・オーウェンのぎらついた瞳はターゲットをひたすら凝視する。ニューヨークでの尾行シーンに特に顕著なのだが最後のイスタンブールの尾行もまたいい。中身は大真面目に社会派なのだが映し出されるのはアクション。ここは好みの分かれるところだろうけど、個人的にはアクションの部分がきっちりと撮られていたことに大満足。美術館シーンはサービスアクションとでもいいましょうか。お祭りっす。でも単に派手なだけでなく、やっぱりきっちり撮っている。この銃撃戦の目玉である建物構造をきちんとおさえながらアップショットとの繋ぎをアクションを停滞させずに見せきっている。良かったです。面白かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-10 16:10:58)
18.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
デンゼル・ワシントンが犯人でジョン・トラボルタが地下鉄職員なのかと勝手に思ってて勝手に期待に胸膨らませていたのだが、蓋を開けてみるとまるっきり逆であったことにガッカリしてしまったのだが、犯人がどうやらウォール街でビシバシいわせてた金融マンだったという設定ならば致し方ない。地下鉄職員というよりも名探偵のような落ち着きぶりを見せたオリジナルのウォルター・マッソーに比べると脛に傷持つしがないサラリーマンのデンゼル・ワシントンのほうがはるかにリアルで、だからこそ犯人とのやり取りも必然的に緊張が高まってゆく。しかしオリジナルは単調になりがちな展開ゆえにカーアクションが冴えたのに対し、リメイク版のド派手なカーアクションはあまりにもアホっぽい。劇中で市長が何故ヘリを使わないのかと呆れるぐらいだからこのアホっぽさは狙っているのだと思いたいのだが、ただでさえガチャガチャしたトニー・スコットの映像が余計に慌しくなってしまっているような気がする。早々にある男が殺されてしまったことでラストシーンが当然全く違ったものになるのは分かっていたが、これだけは超えることはないだろうオリジナルのストップモーションを軽々と超えたエンディングにはやられた。しかもストップモーション。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-27 15:01:02)
19.  3時10分、決断のとき
オリジナルほどの男同士のせめぎあいに見られる緊張感を持ってはいなくとも観客が喜びそうな派手なガンアクションは見せてくれる。この安易な展開になぜか心躍るのである。「西部劇」を新作で見る。ただそれだけで嬉しいと思わせてくれる。主人公が信念を貫こうとする源泉に「家族」がいる。オリジナルはその中でも「妻」こそにこの男気を見せようとする。リメイク版ではそれが「息子」に変わる。ただ変わるだけでなく息子が帯同することから生まれるドラマが加わる。このあたりはいかにも現代の映画だなと。正直くどい。主人公の無謀な行動を観客に納得させるためのあれこれを匂わせているのだが、元来「西部劇」の衰退は、何故殺すのか、何故奪うのか、何故決闘するのかをいちいち説明しなくちゃならない現代の映画環境のせいというのもあるんじゃないかと思ってるんだけど、いくらその説明をさりげなくやったとしてもそれは「父と息子」のストーリーを面白くさせるだけで映画が面白くなるわけじゃない。一方ラッセル・クロウの描き方がいい。何をするにも説明がほとんどされない。されなくてもなんの問題もない。また悪党として魅力的な顔をしている。何はともあれこれを切欠に絶滅したはずの「西部劇」が復活してくれたら嬉しい。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-26 17:35:54)(良:1票)
20.  ザ・プロフェッショナル
かなり手の込んだコンゲームものなんだけど、よくここまでわかりやすく見せたものだ。しかも2時間以内にまとめ上げた手腕は立派。なんだけど騙しあいは確かにうまく見せているんだけど、その騙しあいに観客が巻き込まれない。ストーリーはよく練られているんだけど、ドキドキがない。クールに決めて爽快に終わるならそれはそれで面白かったかもしれないが、仲間が殺されるシーンはけっこう辛いものがあって爽快感からは程遠い。かと言ってこの重さを活かすほどのシリアス感もない。一番の見せ場のはずの銃撃戦も緊張感がなく盛り上がらない。撮りようによってはもっと面白くなりそうな気がする。と、エラそうなことを書いたがここまでの酷評ぶりにも正直驚いている。筋は悪くないと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2009-09-29 13:43:30)
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