1. さよならみどりちゃん
《ネタバレ》 この人は「ロボコン」みたいなメジャー系に食指を伸ばさず、最初からこういう映画だけを撮ってれば良かったんだと思う。構図を固定したシーンでも手持ちカメラ、手持ちだから意味も無くカメラをパンさせる等、ドグマみたいな自主映画癖が直ればもっと良くなる筈。で、本作は地味な題材と地味な(稚拙な)撮影技法がマッチし、かなりリアルさを感じさせる恋愛映画に仕上がってます。それなりに濡れ場のシーンがあったのに全く裸を見せることなくきた主人公は、最後の最後に貧弱なヌードを披露する。つまりこれは、心も裸になって初めてユタカにぶつかった訳です。相手がどんなにダメ男でも、自分からは決して別れることが出来ないダメ女の逆説的別れ話。ぬるま湯の関係が心地良かった男は当然去っていく。思い切り歌が下手な主人公は、生き方も恋愛も下手。しかし生き方も恋愛も歌も「上手い」人なんて、そうは周りにいないもんですよね、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-02-09 00:01:42) |
2. サヨナラ COLOR
話自体が陳腐で面白くないから、本来なら演出や俳優を見せる映画として作るべき。しかし竹中直人の演出は淡々としてるだけで盛り上がりに欠ける。また、所々に「オシャレな」小物等を配してあるものの、それが映画の個性としてまでは昇華されず、単なる小手先の飾りつけにしか見えない。そして最も大きなマイナス点は、肝心要のヒロイン・原田知世が全然魅力的に撮られていないこと。病気の時も回復した時も、笑ってる時も悲しそうな時もずっと一本調子。この人の持つ他に類を見ない「透明感」や「爽やかさ」が全く活かされないまま終了。こりゃ勿体ないです、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2007-02-09 00:01:18) |
3. さよなら、さよならハリウッド
「ハリウッド」というよりも、「観客も含めた映画に携わる全ての人」への皮肉に満ちたバック・ステージ・コメディ。才能の枯れ果てた嘗ての巨匠、利益のことしか頭にないプロデューサー、言葉の通じないカメラマン(しかも中国共産党員?)、口八丁手八丁のエージェント、そして、盲目の監督が撮った駄作でも「芸術」の一言で許容してしまうアート映画信仰。こんな環境で「良い映画」なんか出来る筈がない。私は「フランスが存在してて良かった…」って台詞が一番笑えました。また、一見いい加減に見えるストーリー自体も、「安易な家族再生もの」や「都合の良いラヴ・ストーリー」への皮肉なってる。もしかして2002年度の作品でモノラル音声ってのが、現在の映画製作に対する最大の皮肉だったのかもしれません、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-02-03 00:03:01)(良:1票) |
4. THE 有頂天ホテル
複数のエピソードを羅列するだけでなく、これだけの登場人物をちゃんと「絡ませて」あるのは流石。完全な室内(屋内)劇であるにも関わらず、ホテル全体を網羅した空間的広がりのある作品にも仕上がってました(もしかしたら本作は、日本で最も効果的にステディカムを使用した映画かもしれない)。大爆笑や大感動こそ得られなかったものの、長丁場を飽きさせることなく、鑑賞後はほのぼのとした気分にもさせて貰える、充分及第点の娯楽映画だと思います。唯どうしても気になるのは、小劇場のわざとらしい段取り芝居的演技。特に川平慈英! 逆に舞台臭さを感じさせなかったのは麻生久美子嬢でした(舞台経験が無いのか?)。それにしても、公開からテレビ放映までの間隔が恐ろしく短くなってきてるなぁ…、6点献上。 [地上波(邦画)] 6点(2007-01-04 00:04:22) |
5. 再会の時
今で言う「ミッドライフ・クライシス」に直面してる面子の集った同窓会。しかしそこで繰り広げられる物語は、単なる「ビバリーヒルズ中年白書」。いい歳した大人がやってることも「ビバヒル」のガキ共と全く変わらない、恐ろしく狭い世界で展開される惚れた腫れたの愛憎劇。中年はそこに懐古趣味まで加わるから、私に言わせれば更に質が悪いぞ。正に三つ子の魂百まで、馬鹿は死ななきゃ直らないってことなんでしょうか…、3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2006-09-29 00:01:21) |
6. サハラ 死の砂漠を脱出せよ
単純にストーリーを追いかけるだけで、何とも盛り上がりに欠けたアドヴェンチャー映画。まず、伝説の装甲艦探しと「伝染病」というプロットが巧く咬み合ってない。だから序盤は話があっちこっちに飛んで、全くまとまりに欠ける。その解決も、全て「偶然」によるもの。最も見せ場的な産廃処理施設への侵入にもほとんどアクションが絡まず、簡単に秘密まで辿り着いてしまう。その後ようやく、主人公達に危機らしい危機が訪れるものの、精々殴り合い程度のアクションで終了。だだっ広い砂漠の風景が、のんびりしたムードを醸し出していたのがマイナスだったんでしょうか、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-09-14 00:03:23) |
7. サマータイムマシン・ブルース
昨日と今日をもの凄く軽いノリで行ったり来たりする、日本では非常に珍しいSFコメディ映画。見た目のスケールはかなり小さいですけど、決して時間に逆らわず、タイム・パラドックスを次々消化していく脚本は中々見事。佐々木蔵之介演ずる「研究助手」の解説も効いてました。25年後の風景(及び風俗)がほとんど変わってないという設定も、コミカルながら現実的。しかし、ストーリーはショート・コント的エピソードの羅列ばかりで、今一つ全体を通した大きな流れが感じられなかったので(もちろん、それもあるにはあるんですけど…)、皆さん程は楽しめませんでした。タイムマシンのデザインが2002年の「タイムマシン」の縮小版ということ以外、余りSFパロディ的要素が無かったのも物足りませんでしたね。という訳で、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-08-21 00:04:25) |
8. サムサッカー
スティーブ・オーデカークの「少林サッカー」の親指パロディ映画では全くなく、17歳にもなって「親指しゃぶり」の癖が抜けない高校生の自分探しを描いた青春映画。あることがきっかけで「注意欠陥多動性障害」と診断された彼は、落ち込むどころか、この診断に飛びつく。常々違う自分になることを望んでた彼は、自分に対する不満を「病気」の所為に出来るので、積極的に薬物治療に取り組む。彼は向精神薬の効果で一時的に「デキる」自分に変身するものの、それも長くは続かない。「思春期特有の漠然とした不安や悩み」という病気に特効薬は無いのです。クサい家族愛的なシーンが無かったことと、「まごころを君に」的展開で面白くは観れましたけど、ラストのキアヌ・リーヴスの陳腐な台詞は凄く余計でした、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-08-12 00:05:58) |
9. サイコ・ビーチ・パーティー
いわゆる60年代ビーチ映画&C級ホラーの雰囲気にヒッチコック風スリラーを加味した、チープでポップでお馬鹿な低予算パロディ・ムービー。サーフィン、ゴーゴー、ダイナー、ドライブイン・シアターと、当時のアメリカ若者風俗が原色バリバリの毒を持って再現されてます。現代風にブラックな部分としては、ゲイネタと、連続殺人事件の被害者達が全員、身体的欠陥・健康的疾患の持ち主であるという点(主人公の女の子の設定は「マーニー」から来てると思う)。お約束ではありますが、ラストのどんでん返しに次ぐどんでん返しも気が利いてたし、中々楽しい映画でした、6点献上。 [地上波(字幕)] 6点(2006-08-12 00:03:02) |
10. ザ・ビーチ(2000)
果たして「自由」とは何か? 自由を求めて集まった者達のコロニーではあっても、人間が二人以上集えば、それは社会になり、社会には「ルール」が生まれる。ルールに従って生活するのは余り自由とは言えないものの、「自由の幻想」を抱いてる未熟者達は、生活が楽しい内は全くそのことに気づかない。しかし一たび問題が生じると、自分達の暮らしは自由ではなく、厳然たる(しかも理不尽な)「ルール」に縛られていることを嫌でも思い知らされる。これは古臭いヒッピー・コミューンの現代版。「自由」と「無責任」は相容れず、自由は責任の上に築かれるものなのです、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-12 00:01:58) |
11. サイレントヒル
私も原作ゲームは知りませんが(この町は「煉獄」という解釈で良いんですよね?)、異空間に迷い込み→探索し→襲撃を受け→ヒントを収集し→ゴールし→秘められた真実が明かされ→そして阿鼻叫喚のクライマックスと、映画は如何にもアドヴェンチャー・ゲーム的定型の展開。しかし統一された世界観や不気味なクリーチャー達(ダーク・ナースがお気に入り)のお陰で、この手のジャンルとしては比較的長めの作品ながら、最後まで飽きずに楽しめました。特に、クライマックスの火炙りの表現は初めて見たと思う(文字通りジリジリと「炙られる」。これでPG-12じゃ甘いんじゃないか)。あと、私は「ローズ・イン・タイドランド」から間を置かずに観たので、ジョデル・フェルランドちゃんが随分大きくなってたのに驚きました、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2006-08-07 00:27:34) |
12. さよならジュピター
【あろえりーな】さんの書かれてる通り、正に「究極的にダサい」。大真面目なハードSFの筈なのに、出来は「怪獣大戦争」レベル。怪獣映画なら許せることも、ハードSFでは決して許されることじゃありません。総監督として名を連ねた小松左京自身はどう思ってたんでしょう? 話題になった「無重力セックス」も、単に裸で吊られて(つーか、腹這いになって)宇宙空間にショボく合成されてるだけって、「イデオン」じゃないんだからさぁ…。環境テロリストがヒッピーってことだけで、本作のセンスが当時から数えても数十年前のものだということが判る。ミニチュアも序盤はそれなりの大きさだったのに、後半へ行くに従いサイズが縮小していく(予算が底を突いたか)。そう、昔の邦画はこんな作品がゴロゴロしてましたよね、1点献上。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2006-07-22 00:01:30) |
13. SURVIVE STYLE5+
「日本映画じゃないニホンエイガ!」という宣伝文句は全くの出鱈目。シネマライズやシネクイントでしょっちゅう上映してる、珍しくもない渋谷系「日本映画」と全然同じです。従って「新しさ」は皆無と言って良い。そして数多あるそのジャンルの作品群同様、中身も何も無い。後はこの「STYLE」が肌に合うかどうかで評価は決まってくるでしょう。繰り返しがクドくて時間が長すぎるのが最大の欠点でしたけど、私は飽きずに観れました。多彩な出演者の中では橋本麗香と神木隆之介が出色。特に橋本麗香は、モデルだけあって表情が非常に魅力的。「無表情」もかなり絵になりましたけど、ロケット・パンチを繰り出した時の顔なんか最高。女優としてはハーフ顔がハンデでしょうけど、これからのご活躍に期待します、5+点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-09 00:01:13)(良:1票) |
14. 酒とバラの日々
《ネタバレ》 「酒とバラの日々」というのは、つまり「地獄と天国の日々」。酒をかっくらえば簡単に天国へ昇れ、切れれば途端に地獄へ真っ逆さま。しかし実際の二人はずっと地獄に堕ちたままで、束の間、天国の夢を見てるだけ。ラスト、夫は何とか地獄から這い出したものの、自分の直ぐ足元には、まだ暗く深い穴が大きく口を開けている。地獄から抜け出せない妻の登場こそ、その穴の底から聞こえる悪魔の囁き。「悪魔に耳を貸すな」というのは悪魔祓いの鉄則。彼に選択の余地は無かったのです。一番の見所はもちろんジャック・レモンと、特にリー・レミックの演技に尽きますが、「一般人」が「普通に」アルコール中毒になっていく様を、説得力を持ったディティールで描いた脚本・演出も素晴らしかったです、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-22 00:02:41) |
15. ザ・メキシカン
どういう訳かとんでもなく豪華な配役を組んだ為、キャストと内容の釣り合いが取れず、鑑賞後の肩透かし感だけが大きくなってしまったライトなコメディ映画。しかも観客の期待に反して、ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの2ショット・シーンがほとんど無いという酷いストーリー展開。一体、何をしたくて2大トップ・スターを競演させたんだ? これは監督や脚本以前の、企画の問題です。本作のブラピの役は、どっちかと言えばジョニー・デップが好みそうな役なので(ブラピはカッコ良すぎて、もう一つ「情けなさ」が足りなかったと思う)、デップ主演、ジム・ジャームッシュ監督という「デッドマン」コンビのインディーズ・ムービーにでもしておけば、作品相応の評価を得られた様な気がします(作り手の狙いはそこにあった筈)、5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-04-13 00:14:05) |
16. サロメ(2002)
一種のモキュメンタリー手法で構築されたフラメンコ版の舞台「サロメ」。前半のメイキングっぽい部分は、スタッフも役者が演じてるフィクション。後半のステージも舞台ではなく、あくまでもスタジオ内での上演。むしろ全体で二幕一場ものの舞台劇といった構成です。もちろんダンス自体は「本物」だし、前半の「解説」を踏まえた上で後半の「本番」を鑑賞できるので、「サロメ」やフラメンコに疎い私の様な素人でも楽しめるとは思います。しかし私には、この手法の意図する所が良く理解できませんでした。映画としてもどう評価して良いものやら解りません。従って、中道の5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-03-13 00:35:21) |
17. 惨劇の週末
雰囲気はそんなに悪くないし、アメリカ製の似た様なティーンズ・ホラーと比べれば良く出来てると思う。「インビジブル」をモロにパクった日本のビデオ・パッケージからZ級のバッタもんをイメージしてると、凄く「まとも」な作品であることにも驚くでしょう。しかし、伏線の張り方が余り上手だとは思えなかったし、そもそも、もうこの手のオチには飽きた。別に途中でオチが判っちゃうってことではなく、例え最後まですんなり騙されてたとしても、真相が明かされた時に最早「おおっ!」という驚きは無い。むしろ「な~んだ、またかよ…」って感じ。そういったことで、私的には惜しくも4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-03-13 00:33:17) |
18. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
無理矢理サイコ風に味付けされた、実は全然サイコじゃない薄味のサスペンス映画。思わせぶりな宣伝とは全く違って、謎も駆け引きも無く、あれよあれよと強引に話が進んでいく。取り立てて面白くもつまらなくもない中途半端な出来で、本サイトの平均点分布(↓)が如実に本作のポジションを表してます。意外にも渋めの豪華キャストが揃ってましたけど、ブリタニー・マーフィ以外見る所もなし(と言っても、彼女の見せ場もそんなに無い)。折角ファムケ・ヤンセンを出してるのに、お色気シーンさえ用意してないとは…。それにしても、本当に何でこの邦題になったんだ? 5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-01-14 00:03:57) |
19. SAYURI
貧しさから置屋に売られた女の一代記なんて見飽きた題材、日本だったら今更映画化しようと思う人は、まず居ないんじゃないですかね。ベストセラー小説というからどんな内容か気になってましたけど、我々には珍しくもない話です。また、「妾にしかなれない女の悲哀」が欧米人に解ったんでしょうか。この映画では普通にハッピー・エンドみたいな印象でした。【あろえりーな】さんに釘を刺されちゃいましたけど、違和感もアリアリ。一番は言語。フランスを舞台にした英語作品等では所々に「シルブプレ」とか「ムシュー」とか入れたりしますけど、同じことを母国語でやられるとここまで違和感が増すとは思わなんだ。まだ完全英語作品にしてくれた方が良い。それに、少なからぬ日本人が関わってんだから、神社の鈴を鳴らすシーンで寺の鐘の音を入れるこたぁねーだろー。流石にここはずっこけた。でも、作品のクォリティとしては素直に「嫉妬」せざるを得ませんネ、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2006-01-02 00:04:33) |
20. ザ・コーポレーション
(長々と失礼します) 「法人」とは、法律の規定により「人」としての権利能力を付与された団体を言う。ならば、人としての権利能力を持った法人である「企業」の「人格」を分析してみたら…というのがこのドキュメンタリーの趣旨。様々なケース・スタディと有識者へのインタヴューで綴られる本作は、凄く真面目な「ザ・ビッグ・ワン」(本編中でもマイケル・ムーアのインタヴューと共に引用されてます)かハイセンスな「NHKスペシャル」といった印象。2時間半近くを飽きずに観せてくれる力作だとは思いましたが、FBIのプロファイラーに「サイコパス」と断じられるグローバル企業の人格を形成するファクターとして、本作にはコンシューマーの影響力が決定的に欠けている。この映画でのコンシューマーは搾取される被害者か、マーケティングで簡単に洗脳される白痴。しかし企業活動のほとんどは、オーナー(株主)のオーダー以上にカスタマーのニーズに沿って行われているのです。従って、企業が精神病質者であるならば、それは我々一人々々が精神病質者であるということに他なりません。構造計算書偽造事件でも判る通り、その更生治療には安くないコストが伴いますが、果たして我々は、身銭を切ってそれを払う覚悟があるのでしょうか? 6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2005-12-02 00:04:14) |