1. 3-4X10月
沖縄、ヤクザ、海、砂浜、マシンガン等、次作『ソナチネ』で見事に開花するネタが詰まっています。が、ストーリー、キャラも弱くつなぎの作品のようであり、北野作品たる迫力には欠けます。 [DVD(邦画)] 5点(2011-12-18 13:13:13) |
2. ザ・コーヴ
前日に鑑賞したのが『いのちの食べかた』という薄味な作品だったせいもあって、冒頭、日本の漁師と思われる姿を白黒反転させた映像からしてただならぬ気合を感じ、期待をもって鑑賞しました。イルカ調教師と長い年月を共に過ごしたイルカが、過労の末に死んでしまった(と本人には思えた)ことから、イルカ解放活動家になったことを主軸に展開し、本作最大のヤマは、公然とイルカ漁が行われている和歌山県太地町の入江でその現場を撮影することに向けられます。果たしてそれは成功し、残虐な行為を暴きめでたしめでたし、という顛末。イルカが心底好きなのだなと思わせる作品です。本作と同様の手法で犬、猫、牛、馬、熊などを題材にすればアカデミー賞のドキュメンタリー部門はマイケル・ムーアと毎年競り合いそうです。 [DVD(字幕)] 5点(2011-08-19 23:55:33) |
3. ザ・ロード(2009)
《ネタバレ》 原作既読です。荒廃未来系の作品が大好きで原作に非常に唸らされパンパンの期待で鑑賞しました。活字の合間から立ち上がる灰色の荒廃した世界を見事に映像化したことにまずは拍手を贈ります。小説の映画化はえてして脳内映像に勝ることが少ないなかではよく作りこまれています。ただ決定的に掛けているのはその見せ方。深い谷をつなぐ荒廃した高速道路、同じ角度で傾き連なっている電信柱など、親子ドラマの背景にしておくには余りに惜しいように思います。荒廃した世界にはショットを固定し、幾何学的な文明の遺物を連ねて映すだけで満腹になったと思うのですが何とも残念です。また、越冬するため荒廃した世界を南に歩いて下るという極めて途方のない感覚は映画では欠落しており、ストーリーは原作に忠実ではあるものの、ハプニングを連ねて飽きさせないように腐心した脚本家の苦心が伺えます。ただ、原作と異なる心地よい感動を得て映画館を後にできたのは、ラストでガイ・ピアース一行の女性(妻?)と少年が会うシーンです。女性が少年に笑いかけながら「あなたを見ていた」と告げたとき私は強烈な母性を覚えました。回想部分も含め全編を通して少年と母親との交流を描いた場面は(原作でも)皆無であり、父親に庇護され命を保証されてきたとはいえ、母親という存在がいかに子供にとって不可欠であるかを感じました。父親とは明らかに異なるやわらかな輪郭と全てを肯定するようなまなざしが非常に印象的です。荒廃した世界に生まれ、父、母、通りがかりの老人とカートを盗んだ男性が世界のすべてだった少年にとって、まさに新しい世界が開けたこのエンディングは素晴らしい余韻をもたらしてくれます。 [映画館(字幕)] 6点(2011-02-05 22:33:56)(良:1票) |
4. サロゲート
《ネタバレ》 レンタルショップで「この男、何回世界を救えば気が済むのか」というコピーを見てブルース・ウィリス主演の新作と知り、並外れた強運と体力で幼稚な動機で大金のこそ泥を企む犯人に挑む不死身の娯楽アクションに違いないと思い込み、本国にならった鑑賞態度で臨もうとマクドナルドのセットを片手にいつもの名画座へ。ところが。ちょっとSFちっくなサスペンス映画でした。アクションシーンはブルースの身代わりロボットが犯人を追い詰めるシーン程度で、この作品の肝であるサロゲートのメカニックな解説もなく、何よりクスッと笑えるシーンが皆無。フライのないフィレオフィッシュのような按配でした。奥さんとの距離を縮めるために彼が取った行動が多くの命を救うことに繋がるくだりは、世間体はどうあれ自分の大切な個人のために全精力をつぎ込む姿はブルースの出演作だなぁと思えたのはよかったです。しかしブルース、齢取ったなぁ。イーストウッドは『グラン・トリノ』で役者としての自分を葬りましたが、自分としてはブルースの不死身の活躍をまだまだ映画館で観たいのです。フサフサのブルースを活写できるハリウッドのメイク技術の進歩に某シリーズの続編を期待して+1点、5点献上。 [映画館(字幕)] 5点(2010-11-23 00:51:13) |
5. 3時10分、決断のとき
妻の勧めで観てみました。うーん、これはどうでしょうか。借金持ちで2人の子持ちの貧乏農場主クリスチャン・ベールは、借金返済と己のプライドを賭して大悪党ラッセル・クロウを護送することを決意する。ラッセル・クロウ奪還を目論む悪党一味に包囲されたホテルの一室に立てこもった2人は、敵味方という立場を捨て男同士として向き合い、いつしか友情のようなものが芽生えて・・・・・・。駅までダッシュ!という映画ですねこれは。賞金稼ぎがなんとなくイーストウッドに似ていたり、インディアンの襲撃があったり、馬車を強盗する派手なシーンがあったりと、西部劇へのオマージュがちりばめられているのですが、このダッシュのためだけに2時間を見るのはちょっと退屈でした。終盤、散々人を殺してきたラッセル・クロウが、クリスチャン・ベールのひたむきさに打たれて更生したのかと思いきや腹心を瞬殺し、途中下車する気満々なのに列車に乗り込んだうえで馬を追走させたりと、悪党のすることはさっぱりわけがわかりません。 [DVD(字幕)] 3点(2010-11-23 00:42:44) |