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 > すかあふえいす さん
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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ザ・ウィメン 《ネタバレ》 
ジョージ・キューカー最高傑作。  とにかくこの映画、女性しか出ません。赤ん坊から婆さんまでみーんな女、女、女。幼い子供だって立派な“女”。宝塚みたいに誰かが男性役で出るとかもしません。   脚本も女性だし監督のキューカーだって筋金入りのゲイというより魂は乙女みたいなもんです。出てくる犬も全部メスだったかオスも1ッ匹くらいいたかな。  男の声すら出ないし、存在が確認できるのは受話器の向こう側だけ。劇中フィルムすら男は出てこない。  とにかく女達の怖さ、言葉による殴り合いや女の強さをこれでもかと堪能できる素晴らしい映画。  「イヴの総て」みたいに男の存在が女達を際立たせる事もあるが、これほど見えない男達の存在が女性を引き立てる映画もない。  メンツもジョーン・クロフォードをはじめノーマ・シアラーやロザリンド・ラッセル、ポーレット・ゴダード、端役にジョーン・フォンテインなど豪華だ。  超高級エステ・パーラーのマニキュリストが流した噂が、流れに流れてやがて一大スキャンダルに発展していく狂騒。   動物に例えられる女性陣のオープニング、犬の喧嘩がやがて女性陣のバトルに発展してく。 エステに励む女性たち、乗馬といったスポーツに精を出す親娘。あの馬もメスかしらん。 エステは女性の身体をかたどったボトルキャップも売る。  例の黒人女性は「風と共に去りぬ」にも出ていた。そういえば「風と共に去りぬ」も最初はキューカーが監督していたんだっけか。   悪態つきまくっていた女性がカーゴに躓いてまっ逆さまになるシーンは爆笑。アナウンスまでシュールだころ。   中盤のファッションショーは美しいパートカラーも楽しめる。当時の流行を覗く事ができる。 もっとも、ファッションショー後に黒服を脱ぐシーンが一番ドキドキしてエロティックなのだけれど。 ドアから出たらドアごとそのまま付き返すシーンもクスッとくる。  ミニスカでやるエクササイズはエロいが、女性としてはどんな心境なのだろうか。  今の時代は短パンやスパッツが普及しているけどさ。   後半に出てくるポーレット・ゴダードとクロフォードのキャットファイトも笑いが止まらなかった。  噛み付きまで繰り出すクロフォード。 つうかポーレットが可愛すぎて辛い。ショートパンツ姿が良い。  「モダン・タイムス」のポーレットもスンゲー可愛かったよ・・・。   泡風呂におけるクロフォードと女たちのやり取りも良い。  下の透明な水槽からクロフォードの脚がチラり。  香水の音ワロス。  クライマックスまで扉の中に閉じ込められたりと散々なクロフォード。  髪が乱れた感じもまた良いっす。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2016-11-19 01:44:10)
2.  サリヴァンの旅 《ネタバレ》 
メチャクチャ面白かった。フランク・キャプラ「或る夜の出来事」にも通じるロードムービー、コメディ。  本をめくるように始まる物語、いきなり煙を吹き出しながら突っ走る列車と車上での格闘、連結部分で揉み合い、拳銃を撃ちまくり、口から溢れ出る血、締められる首、橋の上から投げだされる身体…を試写室で見て文句を言う映画監督の御登場。 そうやってこの映画は始まる。  けたたましくまくし立てる口論、ドアが開かれるのは試写の終わり、主人公が出かけるまで延々とくっちゃべり続ける。ズタボロ衣装とベッドの上で電話をかける女性の豪華な衣装の対比がウケる。  旅だってもでっかいキャンピングカー?に乗り込みカメラを抱えてゆっくりじっくり追いかける魂胆の映画人たち。コックまでいるんだからタチが悪い。  そしたら救いの手といわんばかりに車が通りかかり、猛烈なスピードでぶっ飛ばしてハイウェイを駆け抜ける!バスもフルスピードで追跡開始で中はグッチャグチャのしっちゃかめっちゃか、映画人は助手席で揉みくちゃになり、女性はスカートがめくれて下着も丸見え、黒人のコックは天井を突き破り、バイク乗りの警官も泥まみれの鬼の形相で追いかけるカオスなカーチェイス、主人公が乗った車も運転手は子供だわメーターも手描きだわ藁を山ほど積んだ馬車に突っ込んでと、ありとあらゆるものが暴走していく破天荒振り。  ここまでまだ15分である。ディズニーも赤塚不二夫も顔負けのハチャメチャ。こりゃあジョン・ラセターもイーストウッドも惚れ込むワケだ。  あれだけムチャクチャな目に遭ってもこりないんだからヤレヤレ。  虫に刺されながらの薪割り、映画館で黙って見れないガキども、食いもんむさぼるオッサン、反応を気にしながら映画を見続けなきゃならない作り手も大変だ。  変なおばさんにはドアの鍵を締められ閉じ込められ、ベッドで誘うように待つBBA、ふとんのシーツをロープがわりに脱出、釘が引き裂くもの、樽の中に落下してずぶ濡れとふんだり蹴ったり。 肖像画のとぼけた顔がまたムカツク。  ヒッチハイク、カフェでの出会い、煙草のやり取り。  出会ったばかりの女性とドライブ、バックミラーに映るもの、投獄され巻き込まれる。  車内電話、豪華な家でプールに突き落とされ、説教たれるやつは引きずり込んでしまえ! ローブ姿のセクシーなヴェロニカ・レイクもいいが、豊かなブロンドを帽子にしまいこみ男装する姿も可愛い。 ブラシで髪をとかし、せっかく着替えたのに今度は執事が…w  労働者たちに交じり一斉に列車に乗り込み、先にいたホーボーたちは気を利かせてか板を掴んで隣の車両に去っていってしまう。 寒い中で身を寄せ合い、敷き藁の匂いでくしゃみを連発、彼女を抱えて降りる。  喫茶店のオッチャンの気遣い、インタビューを中断するように口に体温計を突っ込む医者。 蒸気と透明なカーテンが隠すシャワー中の裸体のエロティックさ。  その後しばらくサイレント映画のように映像だけで語り続ける。この辺から物語はがらりとシリアスになっていくが、散々喋りまくりバカ騒ぎをしてきただけにこういう場面がグッと効いてくる。 貧しい生活の中で生き抜く人々との出会い、寝ようにもノミが体中にたかり、共同シャワー、講談、食事、足の踏み場もないくらい狭い場所で眠る人々。隣の人の手足がぶつかり、気づけば脱がされる襤褸靴。 職を求めて看板を体中に括りつけ、夜の湖畔を二人で歩くロマンチックな場面も。ゴミ箱をめぐる葛藤。  贈り物、下手な施しは災いを誘発し後に続く歩みを生み、待ち伏せ、一撃、奪われるもの、線路に散らばり接近する光とともに消えるもの、血に塗れた名刺。  目覚めた先で喰らう一撃、握りしめてしまう石、視線がおぼつかない裁判、ショットガンを抱え平手打ちを浴びせる保安官、鎖に繋がれた囚人たち。  川沿いで汗と泥にまみれる労働、ポケットに詰め込まれた新聞が知らせるもの、閉じ込められるもの。  教会での上映会、黒人たちの歌声。霧のかかる教会の前を通り過ぎ中に入っていく囚人の群れ、鎖。 消される灯、ミッキーマウスの映画!?一人だけ観客の反応にビックリしていた監督も思わず笑ってしまう。嫌なことは映画を見て忘れてしまおう…今まで抑圧されていた分狂ったように笑う囚人たち。  墓参り、映画に刺激を受け、決意を固め、駆け寄り、帰還を知らせるもの、それを見た瞬間に仕事も忘れて夢中で駆け出し人をぶっ飛ばしながら爆走し、みんな大騒ぎで迎え入れる光景が笑って泣ける。  クライマックスに押し寄せる笑顔、笑顔、笑顔。あまりにの畳みかけにちょっと怖かったが、なぜ映画監督を続けていくのかという理由がこの瞬間に詰め込まれる。
[DVD(字幕)] 9点(2016-11-03 21:39:16)(良:1票)
3.  猿の歯 《ネタバレ》 
ルネ・ラルーの短編。 実写、道を歩いていく人々、アコーディオンを弾き、一軒家に集まり楽しそうに作業に励む人々。  ナレーション、会議、紙、絵の中のビル群へ。  不気味なデフォルメ絵と音楽、カラフルなビル、自転車をいじるもの、扉から出てポツポツ歩く者。 歯医者、抜かれた歯がおざなりに置かれる狂気地味た空間。歯を一本一本抜く、結婚、食事、家族を一人ずつ抜かれていくような悪夢へ。  抜かれたあとは穴だらけ、穴は戦場になり、そこでもまた一人に。孤独に苛まれる姿、抜かれた歯の行方、眠るものを抱えて向かう先、ドイツもコイツも恐ろしい歯だこと。 何をする気だったのか、自転車で通り過ぎる悪魔、押し寄せる警官、追跡、家の中に入り、飾りのマネキン?、逃亡者は肉になり警官の追跡を巻き、、警官は子供になり身元がバレないようにする。郷に入ったら郷に入るということだろうか。 階段を登る、男は人体標本に。獲物を見つけたぞとばかり教科書や文房具を放り出し警官に戻る姿、教師の睨みで子供に戻る。 ぎこちない動き、窓から見つめる視線、脱ぎ捨てられる半身、鏡、涙、笑顔の写真、ベッドにうずくまる孤独。ビルに囲まれた小さい家、ひっそり近づく悪魔たち、尻尾をなでながら口に突っ込みまくる。 口を開けて自転車を寂しそうに漕ぎ続ける。悪魔は春の季節も歩き続ける。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-09 16:21:34)
4.  The Follow 《ネタバレ》 
デヴィッド・フィンチャーとウォン・カーウァイが組んだ短編「The Follow(The Hire: The Follow)」。  女性の後ろ姿、鳥の群、夜のハイウェイ、相談をする黒服の男たち、写真、標的を尾行、追跡、回想、封筒、空港、寝ている女と二人きりの夜、キスでもしようとしたが思いとどまる、目の痣?
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:20:14)
5.  サニーサイド 《ネタバレ》 
男にケツを蹴られてチャップリンが起きるが、また寝てしまう。 そこに靴を投げる、で起きて着替えるのかと思いきやパジャマの下にシャツとズボンwww何という横着振り。 んで出たと思ったらまた窓からベッドに御帰宅。  コーヒー、牛を連れてきてそのミルクをコーヒーにそのまま入れてしまう。 ヤギが楽譜を喰うわ鳴くはいきなり車がクラッシュして事故るわ。  犬を蹴るような野郎にはパイをくれてやらあっ!  後半は牛のモーレツな勢い。牛が教会で大暴れ、窓を牛がブチ破る。  杖に蝋燭、あえて車に轢かれるチャップリン。 情事のために人一人殺しにかかるチャップリン。これは酷い(褒め言葉)。  牛のロデオで頭を打って“幻想的”な妖精たちと原っぱでダンス。 それを引き上げる“現実”のおかしさ。  NGフィルムにおける床屋シーンの狂騒は「独裁者」で復活した。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-07 15:35:26)
6.  座頭市物語 《ネタバレ》 
再見。 個人的に完成度はTVシリーズ、「喧嘩旅」あるいは「千両首」の方があると思うが、やはり本作を見ずして座頭市は語れない。 今回は「物語」をたっぷりと語る。居合抜きを拝めるのは36分以降、本当に一瞬を積み重ねて終盤の大乱闘まで流れていく。  桜の花見、客をマッサージする一人の男、雪が降り積もった街中、棒を持って手探りで先に進む「市」の姿、旅から旅に揺れて揺らされて揺り動かして、挨拶、梅の香り。 清水宏「按摩と女」にも武闘派の按摩が出てきたな。あの作品も座頭市シリーズに影響を与えているそうだ。  博打から始まる駆け引き、「めくら」と馬鹿にしといてまんまとハメられるヤクザ連中が面白い、無数のヤクザにまとめて喧嘩、死ぬも生きるも大博打、揉む人間が揉まれる、座ったまま正確に物を投げ込む。  釣り、耳、足音、魚の跳ねる音、のどかなようでヒリヒリとした出会い。釣り竿と市の顔が重なる。  鼻血も搾り取る喧嘩売り、目をつぶり抜刀の練習に顔が引きつる女性、座頭市も用心棒も「抜かない」と無駄な闘いを避けようとするが…名前を聞いて眼が変わる瞬間。  畳の一部かと思っものは杖となり、刃となって放られた蝋燭をたたっ斬る! 水辺に投げ出されたもの、釣り仲間への“おもてなし”、盃、死亡フラグ下っ端、闇討ちには返り討ちで、使者と鬼ごっこして“返答”。 忘れ物、おたねにたねブチこもうと太ももをこじ開けようとする兄貴、先に手を出したら負けよ。  感触、弔い、出入り、思わぬ知らせと食い物の恨み、川を突き進む船団、鉄砲を見て決める覚悟とやり取りから伝わる信頼。 贈り物 、薄野から市街戦へと突入、ヤクザも女子供も死んで死んで死にまくる修羅場、血反吐ぶちまけ、橋の上での一騎打ち!風だけが静かにないている。  虚しくもくたばり果てる命、船に積まれる死体の山、隠れ蓑、「馬鹿野郎ッ!」、開かれる酒樽と両眼、返されるもの、本当馬鹿なくたばり方しやがって…。  市の孤独な旅は続く。棒きれを握りしめ、果てしなく。  予告にあって本編にないシーンも必見だ。酒樽への一閃(本編では唐竹割り)、闇夜での一騎打ちと返り血。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 22:08:51)
7.  猿の惑星 《ネタバレ》 
ピエール・ブールの原作を元にした映画。  「ウラシマ効果」による老化、 未知の惑星における受難、 文字通り言葉を失う主人公。  ブール自身の戦時中の受難、日本軍への怒り、戦争そのものに対する憎悪。 それをSFの世界に持ち込み、人間の誤ちと尊厳、魂に訴えかける力強い作品となった。  惑星を支配していた猿たちは「人間が進化させた結果」である。  第二次世界大戦の狂気を人間が作り出し自らの兵器で焼かれたように、人間の恐ろしさと愚かさを擬人化した存在なのだ。  本物の猿のような精巧なメイキャップ。 「2001年宇宙の旅」に出てきた類人猿に負けず劣らずのリアリティが凄い。  原作の星はベテルギウス星系の惑星らしいが、本作はそれを変更したことで衝撃的なメッセージを産みだす事になった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 20:21:24)
8.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
題名通り「夏休みのとんでもないひととき」に巻き込まれるストーリー。 「ぼくらのウォーゲーム」を拡張したような世界観で、さらに複雑に入り組んだ展開である。 何がしたいのかよく解らないヒロイン夏希にいざなわれる主人公の健二。 一貫性が無くて飽きやすい性格、自分のやりたい事がハッキリしないグラグラのヒロインを、一本筋が通った健二が支えていく。 理想を具現化したような大家族に囲まれながら、今の世の中には無くなってしまった懐かしさも感じられる。 大家族のほとんどがネットゲームやアバターに興じるというところは現代的だが、全員が戦力になり得るというのはちょっと疑問。 だが、事件は世界中のネットで突然起こり、主戦場は片田舎である。 「ラブマシーン」と呼ばれる凶悪なウイルスに食い荒らされるネット空間。 何でもかんでもデータにして情報を統一しようという「OZ」の危うさと人間の限界を語りかける。「OZ」を破壊されれば、それが管理する医療機器に繋がれた命も危ない。 栄ばあちゃんもそれが原因で助けが間に合わなかった。 最悪「ラブマシーン」に侵食された軍事システムが街を焼き払うだろう。  仇討合戦誰がやる? 誰もやらなきゃ誰がやる? 俺たちがやってやる! 今作の“戦”は刀や槍ではなく、それぞれの知恵と能力を武器にして立ち向かう。 「いくら大家族とはいえ戦力揃いすぎバロス」というツッコミはこの際ヤボだ。  数学に強い学生健二、 ネットゲームのチャンピオン佳主馬、 生まれた時代を間違えたネトゲーじいさん万助、 自衛隊の理一、 オーバースペックな電気屋である太助、 戦う覚悟を決めた夏希、 そして曲者の侘助。 41歳にしては若すぎる(伊丹十三モデル)容姿だが、そこにはラブマシーンの開発者として責任を払おうという覚悟が芽生えていく。 そして夏希の家族たち。 ひと時の夏に全てをかけた老若男女の男女たちの映画。 TV版では夏希と侘助が花札に興じる場面がカットされていたり、最終決戦の重要な伏線が削られてしまっていた。今度TVでやる時は是非ともフルで鑑賞したいものだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:54:40)(良:2票)
9.  三悪人 《ネタバレ》 
フォードのサイレント時代における最高傑作。 「三悪人」は文字通り三人の悪党が暴れて身を滅ぼしていく映画だ。 中盤における馬の群れが一斉に飛び出す迫力を見よ! サイレントとは思えない凄い作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:32:49)
10.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
愛する隣人を治そうとした努力がやがて人類滅亡の引き金へと繋がってしまう悲劇を描いた作品。  人類にとっての滅びの序曲、猿たちにとっての歴史の夜明け。その分かれ目が本作なのだろう。  友情、愛情、知恵、言葉、そして憎悪。シーザーの失望と絶望が人類に降りかかる前触れである「脱走劇」。  脱走した猿達の疾走する様子が何処かノリノリに見えるのは多分気のせいですねハイ。 CGのあの“跳ねる”感覚は未だに多少の違和感を禁じえない。動きすぎるのだ。  ゴリラとオランウータンが久しぶりにカッコ良く見えた映画だった。ゴリさん・・・。  シーザーが人間の言葉で“喋る”のにはビックリ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 18:17:40)
11.  山椒大夫 《ネタバレ》 
「雨月物語」よりも遥かに進化した溝口最高傑作の一つ。 本作は平安末期。 平安時代にキッチリした活字が合わないのは別として、生活を追われたある貴族一家の波乱に満ちた人生を描く。 主人公たちは今まで貴族という安全に浸かった生活を送ってきた。当然世の中に投げ出されれば、一人では生きていけないほど世間知らずでもある。そんな人々が狼や野盗、“偽り”の情けに騙されても文句が言えない過酷な世の中に放り出される。 主人公の兄妹。人買いの大主の山椒大夫(どんな美人の“太夫”かと思ったらオッサンの方の“大夫”かよ、チッ)にこき使われ、今までした事もない野良仕事に明け暮れ倒れそうになる日々。 そこに声をかけた男。 「辛かろうに負けるんじゃないぞ」 声をかけるくらいなら二人が成人するまで見守ってくれても良かろうに。ひやかしもいいところだ。為にならない情けは世の中いくらでもある。いや、俺がひねくれているだけなんだろうな。世の中、声すらかけてくれない奴が多すぎるもの。 妹はそんな男の言葉を支えに懸命に生きるが、兄は山椒大夫のやり方に染まり、山椒大夫がやった行いを同じ様に平気で行えるほど心が荒んでしまった。 国が乱れ、人買いや姥捨てが平気で跋扈する荒んだ世の中は、人の心も荒らす。 年月が経った兄の顔を見てみろよ。その面を、菩薩のような妹が少しずつ浄化していく。 妹は本当に健気で強い女だ。最後まで母親や父親の事を諦めなかったし、グレた兄の事も見捨てなかった。 それがあんな・・・溝口貴様あああっ(それと「山椒大夫」の原作者)! 兄は妹のためにも、何より家族のために一人で生き抜こうと抗う。荒んだ世の中が同時に彼の心も強くした。 そして父親は息子から離れても違う形で息子を助けてくれた。 兄は学を身に付け、官職になっていく。そして山椒大夫への逆襲。政治の攻防。 悪人は一掃されるが、主人公の運命には絶えず残酷な答えが待つ。 解放されて自由に歓喜する人々、ただ一人満たされない兄。それでも一縷の光が見える限り生き続けた。 終盤のあの池の畔に立ち尽くす、悲しみに満ちた場面。 それに全てが流されてしまった浜辺の村。あの黙々と海藻を整理する男が、それを物語っているのだ。 息子はまだいいさ。これからがある。だがもう一人は、“あの人”は最後の最後で救われたのだろうか
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:28:01)
12.  ザブングルグラフィティ 《ネタバレ》 
TV版ザブングルの再編集。 幻じゃなくなったトロン・ミラン、 エルチの眼の治療とアーサー・クランの復活。 イケメンは死なず。 ジロン「イケメンは死ねとか言ってゴメン」 チルよオーラバトラーは別番組だがや。 
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-16 21:35:08)
13.  サーカスの世界 《ネタバレ》 
監督はベテランで実力確かなヘンリー・ハサウェイ、 シナリオにベン・ヘクト、 原作ニコラス・レイ!?  というワケで超絶期待しすぎた感もあるが、それでも中々の見応え。  豪華客船の転覆、テント炎上のパニックも凄いが、一番驚いたのはロープ登りの緊迫感。  ただグルグル回ってるだえなのに、どうしてこう惹きつけられるのだろう。 芸人の演技もロングショットだが、凄い。 やはりサーカスは魅力的だ。  またドラマも良い。 父親として厳しくも優しさを滲ませるウェインも良いし、絶世の美女だったヘイワースを知る者にとって、同じく絶世の美女となっていくカルディナーレを思うと配役は完璧といってもいい。  クラウディア・カルディナーレとリタ・ヘイワースの新旧二大美女の競演。  デビュー仕立てのカルディナーレは毒気の無い可愛らしさ、オールドミスとなったヘイワースもまたスラリとした体系で健在振りを示す。これが彼女の最後の花かと思うと少し切ない。  事情があって深い溝のあった親子が和解していくストーリーも説得味があるし美しい。  ジョン・ウェインの父親振りはいつも以上に優しい。いざという時の頼もしさ!  クライマックスの親子競演の場面は必見。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-13 19:04:59)
14.  座頭市と用心棒 《ネタバレ》 
倒産寸前の大映を立て直すべく、勝新太郎と三船敏郎、若尾文子、嵐寛寿郎、寺田農、監督に岡本喜八など最高に豪華でアクの強い俳優陣を揃えた。 特に勝新太郎と三船敏郎のピリピリ具合が凄い。 実際に酒を飲んで撮影に参加、セリフも不明瞭で動きでだけで演技を押し通す。 役者として三船敏郎にブチ切れる勝新! 勝「何でこんな奴と一緒にやんなきゃなんねーんだよ。ふざけやがって・・・ブチ殺すぞ大根野郎」 三船「面白え。やれるもんならやってみやがれドめくら」 共に多くの修羅場を潜って来た者が出せる殺気に満ちた二人のやりとり。 視聴者はワクワク、制作陣は心臓バクバク。 流石に最盛期ほどのキレが無い三船だが、その存在感とユニークで油断ならないキャラは中々のもの。 勝新も機嫌を取りながら「いつか殺す。ぜってー殺す」と虎視眈々と隙を狙うような眼光がたまらない。 とにかくファン必見の映画。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-08 23:50:32)
15.  座頭市千両首 《ネタバレ》 
この映画の見所と言えば、やっぱりあのシーン。  投げた賽銭の位置を耳と空気のゆらぎで把握し、落ちた瞬間一閃! 真っ二つ。  凄えよ・・・。話は相変わらずと言えばあいも変わらずだが、数を重ねるごとに勝新の居合抜きが凄くなってると感じるのは俺だけ?
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-08 23:41:09)
16.  さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅 《ネタバレ》 
機械化帝国は滅びなかった。 戦争は全てを倒さなければ終わらないのか? どうすれば終わるのか? 際限なき戦いの中で出会う新たな仲間、新たな敵。 より多くの死を乗り越えてまた一つ成長していく鉄郎の物語。 銀河を駆けるレールの如く鉄郎の旅は続いていく・・・いつか再び故郷に戻ると信じて・・・。  前作と同じようでいてまったく違う最終決戦の迫力も見所。  ハーロックとエメラルダスも相変わらずカッコイイ。  ミャウダーと「ダースベイダー」みたいな黒騎士ファウストがお気に入り。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 20:19:05)
17.  さらば、わが愛/覇王別姫 《ネタバレ》 
チャン・イーモウと組んだ「大閲兵」の鬼気迫る訓練と行進に比べると、この作品は恐ろしく退屈に感じてしまったのです。  いや、この映画は駆け足なんだけどさ、何か大きな変化に思えないんだよね。  「ラストエンペラー」で俳優として素晴らしい演技を残したチェン・カイコーだが、この映画はあの時ほどの凄味を感じられなかった。  コン・リーもチャン・イーモウ映画ほどの魅力があっただろうか? 確かに劇中に色を添える貴重は華ではあったが・・・。  男でありながら心はどんな女よりも“女”の主人公。男としてではなく、女として男を愛してしまう悲しみ。その変は胸に迫る。 が、一体何が嬉しくて50年に渡って延々とイジケた話を聞かされなきゃならんのだ。 上記の“女”として男に惚れる件も、人によっては単なるホモ扱いでさようなら。  それに加えてグロい演出も多すぎてげんなり。胸糞が悪いったらありゃしない。6本指を“詰める”シーンは強烈すぎ。  しかし中国映画は日本軍の描き方がいっつもボロクソで、ここまでくると笑ってしまう。 「イップ・マン」みたいにボコボコにしてスッキリさせてくれる作品も少ないからなー(山中貞雄を死に追いやりやがったクソ日本軍の肩なんて絶対持ちたくありません)。  京劇の描き方も、華やかで美しいが退屈さを吹き払うような派手さがなく眠りそうになった。
[DVD(字幕)] 8点(2014-11-26 21:41:32)
18.  座頭市(2003) 《ネタバレ》 
この程度の「座頭市」で満足している奴らは、勝新太郎の「座頭市」を知らないからそんな事をほざけるのだ。  山中貞雄やマキノ雅弘の軽快で笑いあり涙ありの痛快さを知らんからそんな事がほざけるんです。  北野武にしたって、「キッズ・リターン」や「あの夏、一番静かな海」ほどの冴えがこの映画にあるかは不明だ。  といっても、三池崇史のクソッたれな「一命」や「十三人の刺客」よりは遥かにマシという程度のこの痛快ヴァイオレンス時代劇をどう語るべきか。  勝新ほどじゃないがその抜刀振りは深作欣二のヤクザ映画よろしくバッタバッタと斬り倒しまくりで中々良かったし、敵の懐に一瞬にして飛び込んでみせ「次会う時はテメえの胴をブッた斬る」という具合に“警告”をするシーンも面白い。 稽古シーンの皮肉も笑えた。 用心棒が痛い妄想をした瞬間、座頭の市が構えを変えてフイを付くシーンも笑いを狙っているとしか思えなかった。 このように、金髪の呂布が日本に上陸し、仕込み杖の座頭を“偽って”日本のヤクザ共をブッ転がしまくる映画である。  劇中やエンディングの盛大なタップダンスの津波。 踊るような剣戟が売りのマキノ正博(雅弘)の軽快さを彷彿とさせる。  思えば、北野武の暴力的なエネルギーは深作的流血で綴る漢のドラマ。下手なドラマはこの際いらんのです。 ただ、それを台無しにするCG演出には反吐が出る。  刀や流血までCGで“偽る”下劣さ、下品さ。フルCGなら別に気にしない。だが実写で二次元と三次元の壁を作ってしまっている時点で気分は台無しだ。ふざけんなこの野郎。 これが本当に後で「アウトレイジ」という傑作ヤクザ映画を撮る監督のやる事かよっ!?  何故たけし自身がタップダンスのような軽快さでやくざ共を血祭りにあげまくるようなシーンを撮らなかったのかが謎。俺はそれを見たかったのに・・・。  小学生の頃にtvで見事に“騙された”自分が悔しい。 その直後に勝新太郎の凄さを俺に教えてくれた地方局の再放送にマジで感謝。
[DVD(邦画)] 8点(2014-11-06 23:35:47)
19.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズは「罠」といったフィルム・ノワールやSF、戦争映画と傑作・力作揃いだ。 だが、やはりミュージカル映画が最も評価の高いジャンルなのだろう。 この作品は「雨に唄えば」に並ぶミュージカル映画の最高傑作だと思う。  雄大な自然を捉えた美しいキャメラワークと撮影。 誰が撮ったのかと思ったらジョン・ヒューストンの「黄金」やエリア・カザンの「エデンの東」を撮ったテッド・マッコードではないか!道理で雨のシーンや山々の幻想的な映像が際立っているワケだ。   教会で修道女をやるような器では収まらないマリア。 他の修道女はマリアが歌う事を咎めるが・・・ってアンタらも歌っているじゃないか。  送り出されたマリアは絶倫トラップ大佐の元に。 トラップ大佐の家族は腕白な一個正体(5姉弟)。 マリアにとっても、子供たちにとってもヤッた事のない“冒険”のはじまりだ。  マリアは自分に言い聞かせるように歌う。 やがてその歌は子供たちの心も動かしていく。 聞き覚えのある名曲たちが子供たちの、トラップの、そして我々の心を満たしてくれるのだ。  「私は犬ではありません大佐(少佐)」 「さきの奥さんの記憶が辛いのでしょう」 「イキすぎたのよ(子作り)」・・・意味深なセリフの数々。 家政婦が(メッサー)シュミットときたもんだ。 奥さんの死因は絶対トラップ大佐のピスト(ry  まつぼっくりの“あいさつ”、 雨の中のダンスの可憐さ。雨にしっとり濡れた感じが色っぽい。 アシダカ軍曹、お疲れさまっす。 「稲妻に返事をする雷」とはマリアらしい考えだ。  辛い時、泣きたい時は楽しい事を考えてしまおう!  歌で心が通う感動。  伯爵夫人も悪い人じゃない。相性の問題さ。自ら身を引いていく潔さ!  迫るナチスの影、だがマリアたちは諦めない。 「隠れても問題は解決しません。立ち向かうの。自分の道を探すのです」 トラップもまた男。潜水艦の艦長は溺れねえぜ。 垂れかかったナチの旗は破っちまえっ!   終盤におけるナチス将校たちとの緊迫したやり取り。 大佐(少佐)が本当カッコイイ。  ロルフよありがとう。そして生きろよ!  ラストの山々の風景が最高だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-14 17:30:49)(良:2票)
20.  三里塚 辺田部落 《ネタバレ》 
小川紳介のドキュメンタリーは傑作が多いが、この「三理塚」シリーズの辺田部落も凄い。凄すぎる。 自分達の仲間や先祖が眠る共同墓地が他者に蹂躙されるのではないか、“奪われる”のではないかという恐怖、警官に逮捕され何をされるのか解らない恐怖、恐怖、恐怖。 権力に挑む農民たち、人間同士の魂のぶつけ合いを捉えてきた本シリーズだが、不当な弾圧や村を引っ張る若き青年団の逮捕、時期的にも厳しい冬場と次から次に問題が起こる畳み掛け振り。とても苦しい1年間を2時間強に収めた監督たちは凄い。 何せ人々の闘いを捉え続ける傍ら、小川プロも資金不足やフィルムのやりくりでどうにか撮影を続け作品を完成させていたのだから。 NPRという機械、それに1950年代頃から映画史の舞台裏を支える事になる「ナグラ」を揃える事で可能となる同時録音のシステム。撮影された70年代、「ナグラ」はまだまだ高価な機材だ。 人々が同時に語るシーンで、その威力は大いに発揮されている。 農民たちの執念を、小川プロも執念で応える。素晴らしいです。ドキュメンタリーってこんなにも血が通っているのかと感動しました。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-30 22:08:15)
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