81. ジャッジ 裁かれる判事
《ネタバレ》 法廷以外の場面が緊張感なさすぎでだらっとしている。兄弟、妻、娘、元カノ、その娘といったサブキャラが全然効果的に使われていない。弟が持っているカメラとかコンビニで買った卵とか、伏線なんだろうと思ったら見事に何もなし。登場人物の心の闇や影をあぶり出すのが得意な名手ヤヌス・カミンスキーの撮り方と、暖かく穏やかで力強い方向に物語を向けようとする演出がまったく合っていない。内容の割に尺長すぎ。と、突っ込みどころは満載なのですが、実はびっくりしたのはロバート・ダウニー・Jrの芝居でありまして、ここまで自然で堅実な演技ができる人だとは、今まで気づきませんでした。仕事の実力はあるんだけど人間関係は万事苦手で、何となく距離を置いてしまう・・・という立ち位置を、オーバーアクトすることなく、台詞や動作ではなく「存在」で示しています。この作品は彼に大幅に救われています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-02-06 23:30:41) |
82. シャロンの屠殺者
《ネタバレ》 導入部では、天然で野放図な主人公のキャラクターに新鮮味があって、また3人組のかけ合いもそれなりに面白く、こんなウエスタンもありかと思っていたのですが・・・中盤以降、なぜか突然グダグダになってしまいました。登場人物を動かし切れなくなったというか、スタミナ切れになったのでしょうか。大佐の妻とのどうのこうのも、かなり無理矢理感満載です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-11-30 00:11:37) |
83. シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛
《ネタバレ》 こんな大人のラブロマンスがあったとはねー。演技面ではもちろんマーシャ・メイソンが中心なんだけど、ジェームス・カーンがそれをしっかり受け切っていて、さらに子役の彼も巧く絡んでいる。イーライ・ウォラックの使い方も絶妙。前半は、障壁乗り越え系(?)のロマンスとして堂々と進行し、あれ?ちょっと上手くいきすぎじゃない?と思っていたら、まさかの方向に話が進展する。終末部では、ビリヤードやナイフなんかの冒頭導入アイテムを用いて回帰を示し、祭りの後的な一抹の虚しさを感じさせ、「でも、でも最後に何とかなるよね?」と願わせておいて、本当に何とかしてくれました。お見事。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-27 03:21:16) |
84. 17歳の肖像
《ネタバレ》 キャリー・マリガンの存在の安定感にはなかなかの素質を感じさせますが・・・肝心の脚本が、もう実に安直で、底が浅くて。あんだけ分かりやすく怪しさ満載だったら、普通どこかで誰か(本人含む)が気づいてどこかで止めるでしょ、としか言いようがありません。せっかく達者な俳優陣を脇役で揃えていながら、実力を出すべき場面が見当たらない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-10-23 02:16:56) |
85. シャッター アイランド
《ネタバレ》 中盤くらいまでの「引きずりこみ力」はなかなかの強さだったのですが、レオが単独でああだこうだ探検する部分が長すぎ(洞窟のシーンのみは良かったけど)。オチの部分で持ち直しはしましたが、そこからの回想というか解説がまた長すぎ。じめっとした映像はそれなりの迫力なので、せめて110分くらいでもう少しシンプルにコンパクトに行っていたら、衝撃も強まったのではないでしょうか。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-10-11 00:21:54) |
86. 死の棘
ほとんどが2人芝居の趣で、じっと息を潜めるような空気感の中、じわじわと進んでいく。従って、これはかなり高度な演技力が要求されるのですが、やはり松坂慶子には荷が重かった。また、岸部一徳も、この頃はまだ目立たない役が多かった頃で、したがって全体にぎこちなさが漂っています。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-09-28 02:12:28) |
87. シルバー・サドル 新・復讐の用心棒
《ネタバレ》 78年という時期だけあって、まあ何か、いろいろ目新しい要素を入れようとしたウエスタンにはなっているんですよね。主人公の銃撃アクションが妙にいちいち細かかったりとか、敵にあれこれ多重戦略があったりとか、最後に謎解きシークエンス(!)があったりとか。そうそう、テーマソングがもろに西海岸AOR/SSWっぽいのも、一応新鮮かもしれません。ただ、それら諸要素がかみ合って作品が前に動いているかというとそうでもないし、冒頭の前提設定もあまり生きていません(敵の一族の身内を助ける、という葛藤がそれほど感じられない)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-24 02:37:52) |
88. シェフ 三ツ星フードトラック始めました
《ネタバレ》 よくある挫折人間再生コメディかと思いながら見ていて、まあ大筋ではそこから外れていないんだけど、それでも作品の質を保っているのは、料理の手順をきちんと撮り切り、できあがった料理も美味しそうに撮る、という作品の根本テーマをきちんと尊重した作り方をしていること(メインのキューバサンド以外にもいろいろふれているのも良い)。また、脚本をきちんと刈り込んで、登場人物に無駄な動きや発言をさせていないこと。メールとツイッターの区別もついていなかった主人公が、一日で炎上騒ぎを起こすくだりなど、一歩一歩が妙に丁寧で、笑えてきます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-04 23:11:05)(良:1票) |
89. 白雪姫と鏡の女王
《ネタバレ》 導入部は自己満足的演出で「単に童話を崩したいだけ」に見えたのですが、中盤からは意外に引き締まっていました。印象的だったのは、久々に伸び伸び楽しそうな演技のジュリア・ロバーツ、素直に若い美しさを発散しているリリー・コリンズ、そしてタイミングよく発されるギャグアクション。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-23 00:22:18) |
90. ジャズ大名
何がしたかった作品なのか、さっぱり分かりませんでした・・・。「ジャズ」と「大名」という異なる要素が、対立するでも融合するでもなく、ただ結合している(させられている)だけなので、無理矢理感だけが残ってしまうのです。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-02-16 01:03:01) |
91. 実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン
《ネタバレ》 ウルトラマンの「有名怪獣」としてはレッドキングとかゴモラとかバルタン星人とかいろいろあるんだけど、「心に残る名作回」という観点から考えた場合は、真っ先に挙がってくるのが、この実相寺監督の作品群なのである。したがって、それを一本にまとめたのだったら、当然に優れた作品になるに決まっているのである。闘いのバックに「帰れー!」という子供たちの罵声を延々かぶせる演出が強烈なガヴァドン、見果てぬ夢の前に斃れた地底人への哀惜の念すら感じさせるテレスドン、説明不要の名作にして問題作のジャミラ、何かに取り憑かれたようなシュールな演出が切れまくるスカイドン、怪獣の心象表現アクションを極めたシーボーズ・・・どれも今見ても、まったく輝きは失せていない。 [映画館(邦画)] 7点(2017-01-15 23:51:06) |
92. 仁義なき戦い 完結篇
《ネタバレ》 前4作の余韻というかカーテンコールみたいな一作なんだけど、それでもこれだけの内容を詰め込んでしまえるところが凄い。広能は終盤までほとんど登場しない、武田も中盤はいなくなる、それでも次々に脇役がうじゃうじゃと登場して、しかもしっかり緊張感をつないでいる。これくらいのことをしないとテンションの収まりがつかなかった、それが前4作。 [DVD(邦画)] 6点(2017-01-12 11:47:25) |
93. ジャージの二人
描写の一つ一つが、いちいち作為的で観念的。登場人物が動いているのではなく、動かされているだけ。ジャージを二人に着せたところで物語は終わっていました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-12-01 02:11:29) |
94. ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン
《ネタバレ》 作中のニール・ショーンの台詞で、「単にYouTubeでアーネルを見つけたという話だけだったら、ここまで(の大成功のツアー)にはならなかった」という一言がありますが、この作品もまさにそのとおり。友人がアップした動画がたまたまメンバーの目にとまってスカウトされ、そのまま伝説のバンドのヴォーカルへ、という絵に描いたようなシンデレラサクセスも、あくまでも導入部にすぎません。カメラはその後も、ステージ、バックステージ、フィリピンの風景、ツアー中の何気ない光景などを地道に確実に積み重ね、その中で、一夜にしてスーパースターになってしまったアーネルの努力と苦悩を、そして周りの人達がそれをどう感じているかをあぶり出していきます。また、ジャーニーというバンドの歴史も短時間凝縮版ながらきちんとふれられており(90年代再結成以降も漏らしていないのも良い)、そこに新加入することの重みが伝わるようになっています。情報整理と編集と構築がきちんとされている、優れた音楽ドキュメンタリーです。●個人的にツボだったのは、ロス・ヴァロリー先生の渋い格好良さ、実はニール以上にバンド運営の中心っぽいジョナサン・ケインの静かな迫力、そして一瞬だけ登場するジェイソン・シェフとアン・ウィルソン。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-05 00:42:51) |
95. 16ブロック
《ネタバレ》 極力シンプルにまとめた基本的な作りは良いと思うんですよ。見ている間は一気に見られましたし。ただ、もっと面白くできたのではないかという点が何点か・・・。●一番もったいないのは、情報戦の側面をあちこちで捨てていること。エディがするりと逃亡して、これはジャック・エディ・警察の3点勝負か?と期待させておきながら、携帯を通じてあっさり自分がエディと離れていることが敵にばれている。バスの乗客の人数水増しも、エディの乗客紛れ作戦も、そんな美味しいネタをまいておきながら、何も起こさずにさっさと潰している。この辺はもっと引っ張ってほしかったのですが。●16ブロックという狭い範囲の限定も、その中で居所を探す技術と、そこからさらに逃げる知恵がぎりぎり対決するのかと思っていたら、基本はただの追いかけっこでした。途中の地下室の対決も、最後の対決の妙味を削いでしまっているので、いらなかったんじゃない? [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-08-08 02:04:59)(良:1票) |
96. ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
《ネタバレ》 とりあえず、最後まで通して楽しめましたし、笑えました。ただ、同じギャグでも、前振りやタメ、そしてギャグの後の受けをしっかりやっているかどうかで、切れは全然違ってくるんですよね。クライマックスのアホダンスシーンなんかはそれが成功していると思いますが、美味しいネタなのにもったいないと思った箇所も多々あります。それと、アクション方面をところどころやたら真剣に撮っていて、これが逆にリズム感を阻害しています。当然の顔でエレベーターであっさり追いつくとか、あの路線で十分なのにね。●あと、表情分析は最後に何かあるのかと思っていたら、何もありませんでした・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-05-26 03:29:56) |
97. SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁<TVM>
設定についても中身についても、何がしたかった作品なのかさっぱり分からないというか、何というか・・・まあ、ベネディクトの変人面はホームズのオタクキャラには合ってますね、という程度の発見はありました。 [DVD(字幕)] 2点(2016-05-20 21:47:18) |
98. シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム
モリアーティが「ただの悪党大物」になっている時点で、ダメというか、分かってないというか。どの事件でも余裕綽々のホームズは、モリアーティを相手にしたときだけは必死で真剣で、「彼を滅ぼすことができれば、僕は引退することに何の後悔もない」とまで言っていました。こんなに適当に相手ができるモリアーティなど、モリアーティではないわけです。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2016-05-20 21:43:09) |
99. シャーロック・ホームズ(2009)
人物像が原作と全然違うのはまあ仕方ないとしても、画面の一つ一つがいちいち撮り方に慎みがなく、18世紀イギリスの気品をまったく感じさせないのです。前半でせっかく出てきた洞察力や想定力なんかが、後半は何も使われていないのも問題。つまり、テーマが存在していません。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2016-05-10 01:45:42) |
100. 11人のカウボーイ
《ネタバレ》 ホノボノムード全開の前半はあまり面白くないのですが、終盤のウェインとロングヘアーの対決の結果にはびっくり。その前に追跡を察知し、襲撃も想定している台詞があったので、まさかそれはないと思っていたのですが。途中までは区別がつかなかった少年たちも、ここから俄然良い顔つきになっています。あと、お姉ちゃん集団のその後が気になる・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-06 00:23:00) |