2. 地獄の黙示録
この映画は決して安易なカタルシスを与えてくれはしない。それ故にハリウッド映画の与える安易なカタルシスに慣れきってしまった人には到底受け容れられない映画だろう。しかし、私にとってはそれこそがこの映画を何度も繰り替えし見てしまう理由だ。他人に押しつけられる最大公約数的な結論(エンディング)なんてまっぴらだ。結論は自分の頭で考え出し、それに対して責任を持つものだ。だからこの映画がエンディングを放棄してしまっているのは制作者の誠意の表明なのだ。私はそれを支持したい。あと、この映画を傑作たらしめているのは各カットの構図の完璧さだ。しっかりとした絵になっている。いかにスタッフが時間と金と頭を使ったかの証拠だと思う。特にベトコン村を急襲するシーンの構図は神憑かり的な完璧さだ。この映画はあくまでベトナム戦争を題材にした、抽象的戦争映画なので、ベトナム戦争に関する表現上のリアリティの無さはあまり問題じゃ無いと思う。 10点(2004-11-04 16:47:03)(良:2票) |