1. シェルブールの雨傘
すべての台詞がメロディに乗っている。この監督はそこに何を狙ったのだろう・・・?全体的に原色系の色彩が際立つのと、唯一駅の情景のくすんだ色合いのコントラストは狙ったものだろうか・・・?この映画は先ず最高にドラマチックなテーマ曲ありき、そして美しいカトリーヌ・ドヌーヴありき。その二つが混じり合った時、自然とすべて台詞がメロディに乗っかってしまったかのような感じだ。こんなの一歩間違えば滑稽だ。だけど、一歩も間違わないどころか美しくも、切ない。不思議だ。製作後に時を経て、しかしテーマ曲もドヌーヴも時代に埋もれるどころか、いっそう鮮やかに映える。 [映画館(字幕)] 7点(2010-05-18 06:16:06) |
2. 自転車泥棒
《ネタバレ》 冷静さを失ったアントニオが、犯人と思い込んだ青年に詰め寄る場面からの見せ場。予防線を張って生き抜くすべもない境遇、引っ込みがつかない状況、大勢に罵倒され、そして情けなく惨めな感情がうごめくこの見せ場。この後、この一家はどうなっていくねやろ?何とか生きていけるやろ、と能天気な考えは全く浮かばない。アントニオとその家族には、したたかに生きて行って欲しいと願う。それだけだ。僻み根性丸出しで書くと、小金を失っても痛くも痒くもないであろう、あのレストランに居たような金持ちから、多少の金をくすねてでも生き抜いてほしいと願う。それにしても時代を切り落とした、暗く地味なこの映画が持つテーマの普遍性には脱帽する。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-09 23:09:45) |
3. 上流社会
配役が贅沢、楽曲が贅沢、パフォーマンスが贅沢、グレース・ケリーが贅沢、 もうそれだけで何度でも観返したくなる、まさにハイ・ソサエティーな一品。 サッチモとのデュエットでただ両腕を横に伸ばしたくらいのビング・クロスビー のステージが何でこんなにも様になるのか?なんでグレース・ケリーはこんなに も品があるのに、そこに妖艶な色気を並び立たせてしまえるのか? 軽い感じで観られるのに、めちゃくちゃ手応えのある作品です。 それにしても、1950年代って何という時代なんだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-07 22:59:03) |
4. 真実のマレーネ・ディートリッヒ
20世紀を代表する女性、マレーネ・ディートリッヒ。世紀を代表するくらいになると、 こんなにも濃厚な人生を歩むものなのか、と呆然としてしまう。 しかも、訪れた運命を受け入れるのではなく、自らの意思、信念で歩んでいくこの生き様、愛の強さに言葉も出ません。映画に出会えたことによって、こうやってデーィトリッヒを少しでも知ることが出来て本当によかった。この人を全く知らないなんて、寂しすぎる。 えーと、点数?申し訳ないですけど、この作品に限っては本当につけられないので、記号としてのこの点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2007-09-30 19:20:03) |
5. 情婦
嘘の供述と騙し騙されることの同じようでいて微妙に違うニュアンスの綴れおり、私利私欲と愛情とお洒落な笑いのアンサンブル、チャールズ・ロー豚のデップリした名演とディートリッヒのオーラ、人生一度っきりのフルコース。 [DVD(字幕)] 9点(2007-06-23 19:42:02) |
6. 芝生は緑
豪華4大スター競演にも関わらず、あの執事くん(と何故かくん付けしてしまう)が一番印象に残ってしまった。確かに台詞はオシャレな感じでTVドラマ風なトコも嫌いじゃないんですが。何よりも折角のコメディ作品なのに、僕にとっての最高のキャラクター、ケイリー・グラントの魅力が全然活かされてなくて消化不良。あのカッコー時計の "ポッポー" に送る彼の視線を見よ!これですよ、これ!ニヤリとしたのは、そこだけですよ。 [ビデオ(字幕)] 4点(2007-05-20 09:12:11) |
7. 七年目の浮気
1950年代版アメリカのホームコメディっぽい雰囲気がいいですね。『逢びき』では切なく映画を濡らしたラフマニノフのピアノ協奏曲第二番が、この映画のお陰で台無しになっているのが楽しい。 そしてモンローが良いも悪いも、そのイメージを決定的にしたかのような印象があり、この映画の全てのシーンに、そこにモンローがいる!という輝きがあり眩いくらいです。しかし、どうしてもテンポの悪さが響いてダレてしまうのでワイルダー監督作の中でも傑作の部類には入らないでしょうけど。 [DVD(字幕)] 5点(2007-04-08 21:30:05) |
8. 知りすぎていた男
《ネタバレ》 実際観るまで "ケ・セラ・セラ" は単なる挿入曲だと勝手に思っていたので、この曲の扱い方、使われ方にヤラレてしまいました。ドリス・デイいいですよね。それにしても、この時代のヒッチコック監督のカラー作品のテンポと言おうか、ヌケと言おうか、じらし様と言おうか、おそらく全部なんでしょうけど、好きなんで。もうこればっかりは、どうしようもないんです。ただこの作品は邦題が損してる(原題からして仕方ないけど)でもなんかこの邦題じゃ物足りない。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-01 21:51:34) |
9. シナラ
《ネタバレ》 この映像と音楽と役者の格調高いハーモニー、たまりませんわ。ロナルド・コールマンの苦悩、不倫相手を諭すシーンの余計な優しさ、そんなもんいらんねん、次会う約束なんかせんでええねん、でも相手が思い詰めてると思うほどに出来なくなるねん。凍えた心にかけたつもりの毛布がその心を切り刻んでいくねん。イマジネーションの助言するならここやろ。そして最悪の展開へ。もう二度と会えないと思うイマジネーション、抱き合う二人のラストはマジでシビレる。もう、絶対にお互いを離したらあかんねんで、しょうちせえへんで! [ビデオ(字幕)] 6点(2007-03-11 00:46:07) |
10. 新婚道中記
《ネタバレ》 胸がギューッとしめつけられて、それでいてちょっとした感動を味わう程に笑った! 特に"君には女というものを学ばせてもらったよ"と帰り際に捨て台詞を吐くフィアンセに"はい、卒業証書"とルーシーから受け取っていた結婚できない理由を綴った手紙を叔母が差し出すシーン、この鳥肌モンのギャグは凄い!それとバーバラ邸での妹ルーシーの傍若無人のリベンジは抱腹絶倒。ケイリー・グラントさえもかすむアイリーン・ダンの魅力的なこと!アイ・ラヴ・ユーと全く逆の言葉や行動によってアイ・ラヴ・ユーを伝える難しいテーマを映画化し、しかもそのまどろっこしさが絶妙のギャグへと昇華して随所に散りばめている奇跡のような作品、という勝手な解釈でもしたくなってきますね。 [DVD(字幕)] 9点(2007-02-04 07:44:26) |
11. 十二人の怒れる男(1957)
映画的な作品ではないけど、ある意味最高峰とも言える面白さ。そして面白いだけでなく、物事に対して自分が常にどうありたいとか、自分を顧みて考えた上で明日への活力を与えてくれる作品。時にこのような映画が産み落とされ、時代が変わっても鑑賞できることに感謝したい。 [DVD(字幕)] 9点(2006-11-20 06:39:47) |
12. 自由を我等に
発想とアイデァはスゴい、風刺も効いててギャグもいいし(あまり笑えないけど)音楽もいい、見所の多い作品。だけど全体としてあまり面白くなかったのは、登場人物に魅力を感じなかったからだろうか? [ビデオ(字幕)] 5点(2006-09-03 00:36:56) |
13. 情事(1960)
《ネタバレ》 主役と思われたアンナ(レア・マッサリ)が開始20分くらいで忽然と姿を消す。その後の展開はあえて書きませんが、映画が終わった瞬間に誰もが"えっ!?"と思わずにはおれない大胆な作品です。ミケランジェロ・アントニオーニ&モニカ・ヴィッティの作品はどれも素晴らしいのですが、この作品はその中でも特に好きです。ゴツゴツした岩場が印象的な島でのアンナ失踪直後から、電車でのメロドラマ風の駆け引きに至るシーンは特に鮮やかです。おそらくはモニカ・ヴィッティが一番ノーマルな女性を演じているのが本作だと思うのですが、とにかく艶かしい。ボサボサの髪の毛、手のしぐさ、肌の質感、もうたまりません。もちろんフォトジェニックな美しさもあるのですが、むしろそれとは対極の生々しさで、揺れ動く心理状態を見事に演じきっています。この作品は、ふとした時にレンタルに行って、ついつい手にしてしまいます。もっとも、自分が観てるビデオは大幅短縮版なんで完全版DVDが出たら是非観てみたいです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-09 06:54:32) |
14. 商船テナシチー
《ネタバレ》 この時代のフランスの情感がたっぷり詰められた、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督初期の傑作。印刷屋のうたを皆で奏でるショット、バスチャンとセガールの性格の対比、船の故障で港に足止めされることにより翻弄されるそれぞれの運命。裏切られたセガールが一番いいクジを引いたかもというラストの台詞まで、全編がとにかく味わい深く心に沁みる素晴らしい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-30 09:20:06) |
15. 静かなる男
強烈に目に焼きつく色彩、た~くさんの緑とその中に映える赤、アイルランドの風習に根ざしたユーモアと情感が、たっぷりとそして絶妙なバランス感覚で描かれた大傑作。 ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレン・・・この魅力的なキャスティングと胸はずむ音楽の楽しさ。この地、この家、この人々への憧憬が、心の中でどこまでも膨らんでくる。自分にとってもジョン・フォード監督の数々の傑作の中でも1、2を争うくらい、たまらなく好きな作品。 [DVD(字幕)] 10点(2006-07-23 09:40:13)(良:1票) |
16. 上海特急
息を呑む美しさが際立つという点では、ある意味マレーネ・ディートリッヒの代表作とも言える本作の魅力は、異質であるが故に類稀なものになっている。北京の情景、そのギュウギュウの町の真ん中を、黒煙を上げて走る汽車、そして汽車の客室の質感とクセのある登場人物の面々。そしてその浮名を受け流し、黙して語らず、ただ愛する人の信頼だけに委ねる上海リリー。ディートリッヒが、これ程のカリスマ性、存在感を持ち、尚且つその魅力をスタンバーグの手によって最大限に引き立たせた奇跡の記録の中でも『上海特急』はやはり特別な作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-26 05:55:40) |
17. 深夜の告白(1944)
《ネタバレ》 ラスト・シーンを冒頭に持ってきて、まさにネフ(フレッド・マクマレイ)の深夜の告白に添ってストーリーが展開させていく、緊張感たっぷりのサスペンス。惹かれ合っていった男と女の窮地での裏切りと、はたまた潜在的に惹かれ合っていた男同士の心の絆が、完璧にピタッ、ピタッとハマッて、作品に何とも言えない奥行きをもたらしています。そんでもって、やはりバーバラ・スタンウィック。この儚げな悪女、その素晴らしき演技と美貌に降参です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-25 22:56:46)(良:1票) |
18. ジンジャーとフレッド
《ネタバレ》 虚無、虚像入り混じるTV番組に出演する"ジンジャーとフレッド"そのものが、そっくりさんであるにも関わらず、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースにしか見えなくなる。それ程ラストのショウのシーンは(停電のアクシデントが効いてるし)いろんな感情は頭ん中を駆け巡る感動に目頭熱くなります。やはり何気にかわいいジュリエッタ・マシーナとマルチェロ・マストロヤンニの時にコミカルで時に切実な演技が素晴らしい。もう一緒に踊ることは無いという別れのシーンの切なさと言ったら!何がホンモノで何がニセモノか、答えは自分たちの心の中にある。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-11 11:13:24) |
19. ショウほど素敵な商売はない
《ネタバレ》 この邦題はウマイ!思いついた人ガッツポーズしたんじゃないかなぁと思ってしまいました。余談はさておき、この映画、贅沢な役者のラインナップと芸の限りはまさにゴージャス!そして何と言ってもエセル・マーマンを存分に堪能できるのが嬉しい!ラストの"ショウほど素敵な商売はない"は圧巻で、リフレインを止めないでって程の高揚感で締めくくってくれます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-22 01:18:44) |
20. 情婦マノン
'51年のマーロン・ブランドと並ぶ'49年セシル・オーブリーの衝撃、この胸の高鳴りと恐るべきラストシーン! [DVD(字幕)] 8点(2006-05-05 07:07:45) |