1. 春夏秋冬そして春
《ネタバレ》 実はキムギドク監督作品の中で最初に観た映画。これを観たことによって他の作品の後追いをしたわけだから、私にとってある意味記念碑的な映画であります。と言ってもやっぱりキムギドク監督、いまだによくわからない。「悪い男」にも書いたので詳しくは省くが、やはりなにか紙一枚ずれているような気がする(悪いというわけではない)。本作も韓国の仏教世界を題材にしているわりにはなにか東洋以外の香りがきこえてくる。もちろんドイツとの共同制作だから当然なのだろうが、この監督自身の「味」というほかはなさそうだ。溝口健二監督も持っていたような香りに近いかもしれない。東洋的とも西洋的ともいえない妙なエッセンスは初見のときは驚いたなぁ。輪廻転生を象徴する数々の小動物のシーンはディズニー映画「砂漠は生きている」のようだったし、生々しいセックスシーンには魚が交わるような変なファンタジー感が漂っている。ファンタジーといえば湖面の祠堂がゆっくり回転していることに気が付いたときにはやるなぁギドク監督と思ったね。仏教世界に通じている人にとってはテーマもストーリーも正直目新しいものではない。ただ、数々の小さなエピソードを包む監督の演出装置があくまでも愛に満ちているのが好ましい。でもやっぱりこの監督のことはわからないなぁ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-12 00:59:40) |