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1.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
サスペンス映画の傑作。2つのサスペンスが同時に進行し、意表外なことから思わぬ展開となり、複数の犯罪が一気に白日の下にさらされるラストは見事である。中年の愛と若者の愛も描けている。硬質なモノクロ映像、心理描写に卓越したカメラワーク、主演女優の艶麗な美しさ、クールで洗練された音楽、頗るゴージャスだ。完全犯罪を目論んだが僅かの偶然から破綻していく過程を見せる映画のように見えるが、そうではないだろう。主題は「倦怠(アンニュイ)からの開放」。登場人物のほぼ全員が倦怠を感じている。倦怠とは、退屈な生活、本来の自分でない自分に対する嫌悪感といったところ。社長夫人は、夫との愛のない生活に疲れ果てている。ジュリアン(大尉)は戦争で死線をさまよったが、戦争で儲けている男の下で働いている。花屋の娘は、退屈な仕事と貧しさに甘んじながら一人暮らし。青年はやりたいことが見つからず、仕事もせず、バイク窃盗で指名手配され自暴自棄になっている。その他、秘書、警備員、各飲食店の従業員、酔っ払いの大尉の友人、警察の受付まで、誰一人明るい顔をしていない。人生に倦む現代人の無表情がそこにある。倦怠を暗喩するのが雨模様の夜の都会であり、その中を夜を徹して恋人を探して徘徊する社長夫人の姿は、自由を渇望してもがく現代人の姿そのものだ。恋人通しがお互いに惹かれ合うのは、倦怠から脱出したいという共通の素懐があったからだろう。彼らは犯罪を起こす前から 倦怠という名のエレベーターの狭い空間に、息も絶え絶えに閉じ込められていた。だからこそ中年の恋人達は自分たちの邪魔になる男の殺害するという決死の決断をし、若い恋人達は自分たちの犯罪が明るみになりかけたとき、躊躇なく自殺を決行したのだ。殺人を犯したことでエレベーターは死刑台へとつながる。展開上、若者の恋人達は、中年の恋人達をかき乱しているだけの存在にみえるが、実は両者は対等だ。アンニュイを感じている人ほど、この作品に惹かれるのではないか。残念な点もある。鉤爪付きロープが地上に落下しているが、もし雨などのせいで勝手に滑り落ちたとしても、ベランダに落ちるはず。ロープは回収するつもりだったが、警備員が部屋に入ってきて、あとで回収するしかなかったという筋にすべき。殺される観光客はおちゃらけすぎ。最後の抱擁写真だが、あれは一枚で良い。風景写真の中にたった一枚あった方が印象が強い。
[DVD(字幕)] 9点(2012-10-06 04:20:24)(良:1票)
2.  白い馬(1952) 《ネタバレ》 
鮮烈な印象が残る映像詩。寓話性、象徴性に富み、映像と物語が高度に昇華された好短編。白い馬の気高き精神、他者に屈しない自尊心、野生の剛健さ、躍動する生命力が遺憾なく表現されている。最後の行動は、自由を奪われるくらいなら死を選ぶというような単純な考えではない。少年と馬を衝き動かしたのは、常人では考えもつかぬ、より高みへ進もう、未知の新天地を目指そう、新しい冒険の旅にでようとする開拓精神の表れだと思う。沖に漂う少年と馬は若さと自由のメタファーであり、逃避や自殺などでは決してない。最後は光となって消えた「かもめのジョナサン」と比較されるべきものだ。 ◆最後の語り「強くたくましい白い馬は友である少年を素晴らしい土地へと運んでいった。人と馬が仲良く暮らせる国へ」は余計だ。何故少年と馬は沖へ沖へと進んでいったのか、いつか戻ってくるのかなどを想像させて、深い余韻を残すのが常套手法。短編であればなおさらだ。 ◆惜しいのは少年パート。少年の内面が見えてこない懸念がある。少年が自尊心の高い白い馬に認められて、強い絆を築く過程がややもすると平坦。少年が何度も捕まえようとしては失敗し、時には怪我をし、時には馬飼達から守ってやるなどの辛労、精神力を見せる場面がもっとほしい。心の成長を見せてほしい。短編で尺が足りず、仕方ないのだが、非常に残念である。少年の弟(妹にみえる)が、三年後に「赤い風船」の主役を演じるとは驚きだ。子供の成長は早いもの。「赤い風船」と同じ主題であることにも驚いた。このごつごつとした現実とは別に、どこかに理想郷が存在すると夢想しているのだろう。そのロマンチシズムに乾杯。監督さん、あなたは詩人だ。
[DVD(字幕)] 9点(2012-09-13 19:28:41)
3.  七人の侍 《ネタバレ》 
【感動】①農民の境遇に同情した侍が、金、出世に無縁の野武士との私闘に命を張る。ヒューマニズムとヒロイズム。②言葉では百姓を罵倒していた人足が、心底では窮状に同情しており、勘兵衛が断ったとき、飯を突き出して説得する。③心離れた侍に菊千代が百姓の実態を訴える。「百姓は嘘つきで業突張りだ、そんな百姓に誰がした」④菊千代が火中から救出した赤子を抱いて「この赤子は俺だ」と叫ぶ。 ・勝四郎が食事を削り、娘に米の飯を与える。娘はそれを最貧困の老婆に渡す。それを知った侍が食事を削り、子供たちに与える。⑤決戦前夜、勝四郎と村娘との恋の激情。⑥勘兵衛を師と仰ぐ勝四郎の成長ぶり。⑦「勝ったのは百姓達だ」と心憎い言葉を残す勘兵衛。大地に生きる者が勝利者、戦に生きる者の心は虚しい。【悲劇】①百姓利吉の妻は野武士に差し出されていた。野武士の砦を襲ったとき、利吉の姿を見た妻は火中に飛び込む。そのとき利吉を助けようとした温厚な侍平八が射殺される。②戦術上離れ屋は見放される。長老は自らそこに残って死を選ぶ。③菊千代と良いコンビを組んでいた弱い百姓代表与平が戦死。④人格の高い久蔵が戦死。仇を討ちに行った菊千代は敵と差し違える。久蔵と菊千代とは表面上正反対の存在だが、心ではつながっていた。【野武士】40人もいるのに屑揃いで無能、同じ戦法を繰り返す。鉄砲も弓も甲冑も馬もあり、村は四方から襲撃可能なのに。いきなり斥候が殺され、奇襲を許す。村の木柵は焼き払えば良い。近くの家も火矢で焼けば、防ぐのは困難。槍襖などは鉄砲と矢で蹴散らせば良い。隠れている小屋も焼く。何軒かの家も火矢で焼いておいて談合を持ちかけ、ゆさぶりをかけるのが定石。一旦引いて、数か月後に奇襲するのが最上手段か。侍が去るのを待つべし。復讐するなら村ごと焼き払えば良い。【その他】①婆さんに人殺しさせるのは良くない。止めてあげないと。②長老の死が理解不能。③百姓を無力な存在に描いているが、秀吉の刀狩令が出たことでも分る通り、当時は百姓も武装していた。④青年がほとんどいないのも疑問。⑤せっかく甲冑や槍、奪った鉄砲があるのに活用しない。弓矢が当っただけで死ぬ。⑥馬から降りた野武士が弱すぎる。悲鳴を上げて女の鍬に追い立てられる。剣豪が一人ぐらいいても良い。⑦菊千代を除いて侍達の体格が貧弱。⑧ラスボス不在が残念。
[DVD(邦画)] 10点(2011-01-27 23:45:09)
4.  静かなる男 《ネタバレ》 
アイルランドの片田舎が舞台。素朴で、大らかなで、伝統を守って暮らす人々の中に、ヤンキーのソーントンが移住してくる。メアリーを一目見て気に入り、いきなり結婚を申しこんでびっくり。ソートンはリタイアした身で、50歳くらいと思っていたので。ソートンが始めて自分の家に入ったときにメアリーがいて、いきなりのキスにもびっくり。メアリーは野生そのままの女だけど表情は豊か。伝統的な意味の強い「持参金と嫁入り道具」に執拗にこだわるのには、理解できませんでした。最後のほのぼのとした大団円に水を差すようですが、二人の結婚生活はうまくいかないと思いますよ。外国人が異文化に溶け込むにはお祭りのような通過儀礼が必要。それがクライマックスのソーントンとダナハーの大喧嘩。要するに、これを見せるための映画ですね。わっしょい、わっしょい。みんな楽しそうですね。「静かなる男」が静かでなくなったとき、村に溶け込めました。ケンカをやめさせるべき神父や牧師までもが高見みの見学で、賭けまでするのはどうかと思います。アイルランド人蔑視に取られないかと心配になります。酒とケンカと賭け事とお祭の好きな人向けの映画。古きよき伝統、理想郷と取るか、打破すべき因習と取るかは意見が別れそう。何しろ奥さんをずるずる引きずってゆきますからね。完全な男社会です。「これで奥さんを殴りなさい」と枝を渡した奥さんって親切?サブストーリーは、試合で相手を殺して、人を殴れなくなった元ボクシング・チャンピオンが殴れるようになるという成長物語。これは描写不足で不発ぎみ。そもそもソーントンという人物像がよく見えてきません。年齢不詳。無口であまり心を開かないですね。バラは似合わないと思うけど、父親が庭にバラを植えていたのを再現するんですよね。でも競馬のときどうして未亡人の帽子をとったの、教えて!忘れられないのは都会生活を説明するのに「溶鉱炉で熱した鋼鉄を胃に飲み込むのさ。だがな、強くなりすぎると折れやすい」という名台詞。たったこれだけで都会生活のハードさと孤独が見えてくる。感服しました。作品の意図はわかるのですが、田舎の人を馬鹿にしているような印象がぬぐえず、あまり楽しめませんでした。 御者ミケリーンのキャラは好きですが、定型で作りすぎ。多様な価値観社会の現代には支持されない映画かもしれません。
[DVD(字幕)] 5点(2009-09-26 07:46:25)
5.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 
半世紀前の映画の演出法は現在とは随分違っていたんですね。いろいろと勉強になりました。オーケストラのシンバルと共に暗殺が行われる。旅でマッケナ夫婦に近づいてきた怪しい男が殺される。秘密を知った夫婦の息子が誘拐される。夫婦は自分たちだけで息子を探し出そうとする。歌で息子の居場所が判明。息子を探して戻ってきましたのオチ。極上の設定ですね。北アフリカの異国情緒とオーケストラも堪能でき飽きません。サスペンスなのにユーモアが随所に見られるのが特徴。またホテルに知人が大勢押しかけてきたり、剥製屋でドタバタを演じて見せたり、「息抜き」の部分があります。また敵のエージェント夫婦が高齢で善人だったり、拳銃で撃たれても血は見せない。これらは観客に安心してみてもらうためでしょう。当時の観客にとって息子が救助されてハッピーエンドになるのは当たり前だったでしょう。展開に手に汗握り、画面に釘付けになるような昨今のリアリティを追求した演出は望んでなかった。そういう要望に応えた演出でしょう。あざとい演出とは無縁で、品のよさを感じました。現代映画を見慣れていると、テンポがのろく、ゆるく感じられます。製作時代を考慮し、頭を切り替えて観る必要がありそうですね。気になったところ:①ジョーが暗殺現場を知ったのは警部に助けを求めにアルバートホールに行ったためで全くの偶然。たまたま警部が首相を警護していた。脚本でここが一番弱い。②サイレンサーを使えばいつでも撃てた。③大使館の敵ボスが捕まっていない。④子供があんな指笛を吹けるの?⑤スナイパーの顔はインパクトあった。音楽に合わせて乱闘、転落するシーンは絶品。⑥マッケイは大使館に子供がいるとどうしてわかった?ある意味「知りすぎていた男」だ。
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-22 21:37:45)(良:1票)
6.  ジャイアンツ 《ネタバレ》 
古い価値観が時代と共に剥落してゆく物語。テキサスの大牧場主ベネディクト家の当主ビックは美しい娘レズリーと結婚する。その未来派薔薇色に見えたが、人生は彼の思い通りには進まない。姉と妻の諍い、姉の死。妻は夫に従順に従わない女権主義者で、家の習慣を守らず使用人と仲良くしたり、村に出入りする。息子は跡を継がずメキシコ人と結婚、姉娘の夫は独立して小さな牧場主になるといい、妹娘は仇敵ジェットを好きになる。戦争で、牧場の一部をジェットに売らなくてはならなくなる。レストランでの殴りあいで、打ちのめされる。妻はその姿が「英雄に見えた」という。どういうことか?それは長年メキシコ人に偏見を持ち、差別してきた夫が、メキシコ人のために体を張って、殴りあいをしたからだ。喧嘩に負けても、真に弱いものの味方になったのだから、精神的には勝利。心の勝利者こそが人生の真の偉人(GIANT)という物語。ジェットに目を向けよう。レズリーと初対面のとき彼女はすでに結婚していた。最初から報われない恋だ。が、これは脚本のミスだろう。未婚の彼女に恋心を抱き、失恋する設定でないと、あとの物語が続かない。土地かお金か選ぶときに土地を選んだのは、レズリーの近くに住みたい気持ちがあったから。石油採掘に成功し、成金に。病院を寄付する善意も見せる。空港を作ったり、ホテルを経営したり、ビジネスの才能もある。ラズと付き合うのは、母の面影を追っているため。が、前半に彼の恋愛感情に触れる場面がほとんどないので感情移入できず。ビックが彼を嫌っている理由も不明。ジェットが石油を掘り当てたとき、ビックも採掘すればいいのに思った。当然石油が出て、邪魔できたはず。二人とも不器用な人間だ。ジェットは人生の敗者?失恋の空白を酒とお金で埋めるような生活を25年も続けてきた。だが悔い改めるのに遅すぎることはない。これから失った人生を取り戻すことは可能でしょう。ジェットを悪人として描き、最後は破滅する物語にすればインパクトがあった。少なくとも彼の苦悩をもっと描くべきでした。レズリーは村人を助ける活動をしていたが、その成果があいまい。政治にまで口を挟もうとしていたが、どうなったのか。このあたりが中途半端で、女の自立物語としてのカタルシスを得られない。また四代の物語なのにビックの父や祖父が登場しないのも未消化の原因。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-15 08:08:26)
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