1. ジェイソン・ボーン
《ネタバレ》 ボーンシリーズの新作がやると聞いて喜びがある反面今やる必要性があるのかとも思った。ボーンは三部作で綺麗に終わっている作品であり(レガシー?悪いけど思い出せないな)、新作を作るなら何か新しい要素がいるだろう。基本的にボーンシリーズは彼の過去を探る物語だ。三作目でそれも終えた。ではボーンの新作があるとしたらボーンは何のために戦うのか? というわけで結局はまた過去をほじくる物語でした。うーん、正直ボーンの過去にはもうそこまで興味はない。個人的には「アイデンティティ」で発覚する「実はCIAが作り出した人間兵器だった」この一点だけで十分。今回ボーンを取り込もうとする女性局員やボーンに恨みを持つエージェント等からは新しいことを試みる姿勢が見えないこともないが、いずれも今作を押し上げるパワーにはなっていない。「スプレマシー」以降も評価が上がっていき、また自分が面白く観たのもストーリーよりもボーンが咄嗟の機転で窮地を打開していくアイディアが秀逸だったからだ。今作もボーンは自分の能力を発揮して行動していくが前シリーズを上回るアイディアはない。焼き直し的な動きも目立つ。新作を作るなら「これは新しいし面白い」というシーンを用意するべきだ。「アルティメイタム」は越えられないと思っても、でも心のどこかで「上回ってほしい」と期待するのが観客なのだから。 作りは想像以上に「ボーン映画」になっていると思う。臨場感のあるカメラワークに細かいカット割り。昨今のアクション映画ではもはや主流ではない撮り方に感じるが、この監督の作風でもあるしボーンといえばこれ!みたいな観念もあるのだろう。普通に観ればそれなりの作品だと思う。でも前三作を越える出来とは思えなかった。ボーンシリーズのファンからすればマット・デイモンとグリーングラスの復帰は朗報だったはずだが「アルティメイタム」からはや9年も経つのにマンネリ感が拭えないのは残念だ。 [映画館(字幕)] 6点(2016-10-08 18:43:03)(良:1票) |
2. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 庵野秀明と樋口真嗣がゴジラの新作を撮ると聞いてあまり不安に感じなかった。ビジュアルはそれなりに見せてくれるだろうと思ったし、特撮オタクの彼らが作ってもダメならこれからもきっとダメだろうという思いがあった。いわゆる最後の砦のような感があった。 不安要素は人間ドラマの方だったが今回のゴジラは人間ドラマと呼べるものはない。ゴジラという脅威に対応しようとする人間は数多く登場するが彼らの間にドラマはほぼない。高速で早口で行われる政治家、官僚、専門家の会議ややり取りがただただ積み上げられる。一人一人が積み上げていったものが最終的にゴジラを倒す力になりうるという構成は人間ドラマとしては乏しいが非常にドラマティックに感じられた。偏った作り方だがこれしかないと思えるほど今作にはマッチしていると思う。 「あれ?ゴジラ以外にも怪獣が出てくるの?」とは初めて現れるキモいクリーチャーを目にして思ったこと。進化していくゴジラとは思いもしなかったが今作のゴジラはただただ「異形」。ギョロっとしているが小さな目は何を見ているのか分からない。何をしようとしてるのかも分からない。ゴジラが動く度に緊張感がある。安い人間ドラマが入り込む余地が無い。これは本当にゴジラなのか?使途じゃないのか?いやイデオンじゃね?ゴジラが炎を吐き出す前の動作が良い。吐き出した炎が収束してレーザー状になっていき大惨事を巻き起こす。あのシーンだけでハリウッドのゴジラを吹き飛ばすくらいのインパクトがある。ビジュアルはそれなりに見せてくれるという予想は覆された。見事に期待以上のものを見せてくれた。 石原さとみが浮いているだの、エヴァをゴジラに持ち込んだ感、この音楽まんまエヴァ!等言いたいことがないわけではない。会議シーンの多さに辟易する人もきっといるだろう。だが今の日本でこの作品を作った意味は大きいと感じる。日本に大災害や脅威が起こった場合のシミュレーションとしても楽しめるが、積み上げていくことを否定しない物語は現代日本にとっては希望ある物語だと言える。それと同時に現代日本への問題提起をしている作品にもなっており意外と懐の広い作品になっているのではないだろうか。今作のゴジラは何のモチーフかを考えるだけでも人の心に何かは残るでしょう。今という時代を切り取ったまさに日本にしか作れない「ゴジラ対日本」お見事でした。 [映画館(邦画)] 9点(2016-08-04 01:21:40)(良:4票) |
3. ジョーズ3
《ネタバレ》 なぜか「ジョーズ'87 復讐篇」→ 今作という順で観てしまった。3は独立した話だと思ってたが役名見ると主人公の兄弟はブロディ署長の息子たちなのね。一応シリーズは繋がっているのだ。名前だけで。 デニス・クエイド、ルイス・ゴセットJr.と当時は注目されそうなキャスト。リー・トンプソンも出てるし少々期待していたが…こりゃダメだ。全編褒めるところを探す方が難しいくらいの出来だがラストがひどい。突然仰天するキャスト(スローで)!何故か!サメが自分たちのいる海底王国に突撃してきたからだ!そりゃ仰天するのも無理は無い。しかし、こちらに向ってくるのはどう見ても合成で力なく浮遊してくるサメ…。当時は3D映画だったらしいが3Dだとしても問題がありそうな力弱さ。もうこのラストしか覚えてないよ。他で覚えているのは「浪花」水着くらい。 4作目を観た時は「酷い」と思ったが3もなかなかの酷さ。まさか4作目の方がマシという感想になるとは思いもしなかった。 [インターネット(字幕)] 2点(2016-01-15 02:36:52)(良:1票) |
4. 人生の特等席
《ネタバレ》 老いたイーストウッドの雰囲気は代えが効かない。それだけで点数を増やしてしまいそうになるが…。 オーソドックスだが分かりやすい展開は別にかまわない。だが終盤の解決はいろいろ急ぎ足過ぎないか。ピーナッツ売りが袋を指名候補に放り投げた時から「何かあるな」と感じたが終盤都合よくダイヤモンドの原石として現れるのは上手いとは言い難い。怒って去っていったジョニーがラストなんとなく戻ってくるのも腑に落ちない。わだかまりが解消する場面でも父親は過去の出来事を娘は心情をすべて台詞で説明するのもセンスを感じない。「父に捨てられたと思って心を閉ざした人間になった」なんて自分で説明するのはやめてほしい。だいたいわだかまりはあれで解消したのか?何かもやもやする。 娘がダイヤモンドを周る姿を見て思わず微笑んでしまう父親。野球を通していると距離が縮まっていくような感じは良かった。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-01-13 21:50:15)(良:1票) |
5. ジョーズ'87/復讐篇
《ネタバレ》 なぜだ?なぜこのサメは主人公の家族ばかり狙うのか。なぜ息子は自分の家族が危険な目に合うかもしれないのにサメのことを黙っているのか。なぜ装備を整えようとせず行き当たりばったりの退治になるのか。なぜ舳先が刺さるとサメが爆発するのか。なぜ爆発した後セット撮影に切り替わっているのか。なぜマイケル・ケインが出ているのか。なぜ今作を作ったのか。 なぜが多い作品でした。海キレイ。 [DVD(字幕)] 3点(2015-11-24 01:51:43) |
6. ジョン・ウィック
《ネタバレ》 キアヌ・リーヴスはこういうことがあるから侮れない。そろそろ落ち目かなと思わせたときに「マトリックス」が来て今回はこれ。「マトリックス」ほどのインパクトはさすがに無いがシリーズ化できそうな作品だし今後も期待できるかもと思わせる。 「犬が殺されたくらいで」と言う人もいるだろうが犬はきっかけにすぎない。人には踏み入ってはいけない領域がそれぞれあるのだ。蹂躙するのなら蹂躙される覚悟をしておかなければならない。マフィアの息子ならなおさら。まあピンポイントで凄腕の殺し屋を襲撃してしまうという渾身のボケをやらかしたから仕方ないね。 売りはやはり銃撃戦。面白いようにヘッドショットを決めていく様はなかなか面白い。まるでゲーム感覚。スタイリッシュであると同時に確実にとどめを刺していく姿は現実的なアクションだと錯覚させる。さすがにガンアクションだけではもたないと感じたのか素手のアクションも挟むがこちらはガンアクションに比べると少々もたつく。これらをテンポ良く消化できるともっと良かった。 殺し屋の世界観、映像や雰囲気も良く一見の価値あり。しかし、こういう役をやっても「しぶい!」と思わせないキアヌ・リーヴス。年齢も50を越えているのにどこか「青年」を思わせる。この不思議な感覚がこの映画の雰囲気に妙に合っていると感じた。 [映画館(字幕)] 7点(2015-11-24 01:32:23) |
7. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 気がつけば14年ぶりの新作。え、もうそんなに経っちゃったの?そういえば恐竜映画を長らく観ていなかった。 1作目は自分が中学生の時。CGの恐竜に目を瞠りながらもどこか夢中になりきれなかったのを覚えている。恐竜が大好きだった小学生の時に観られたら生涯の一作になっていたのだろうか。 さて今作だが展開としては1作目に近い感じ。結局は人間のなんでも管理して支配できるという傲慢さをあざ笑うかのような展開に。しかし、過去の事件で恐竜を管理することの難しさ、恐竜の恐ろしさは嫌でも味わっただろうに。そういうところは教訓として活かされてないのね。20年前の事件なんて知らないよと言わんばかりの逃げられ方のあっけなさ。ヒロインは運営責任者らしからぬ行動ばかり取るし、CEOはなぜかヘリの操縦にご執心で案の定…。もういいよ!人間が愚かなのはわかったよ!! 映像は迫力はあるのだが14年ぶりだしこれくらいはやるだろうという域を越えてない印象。意外と一つ一つの出来事はこじんまりとしていて怒涛の展開とまではいかず、全世界興行収入3位に躍り出るほどのインパクトは残念ながら感じられなかった。個人的に一番印象に残ったのは兄弟の付き添いの女性の末路かな。ひどい死に方というのは印象に残るもんです。 あれ?全然褒めてないなこれ。でも観ている間はそれなりに楽しめたかな。家族で楽しめるサマームービーになっていると思うし、このシリーズのファンには終盤の展開に熱くなる人も多いでしょう。なにより子供たちがまた恐竜映画を楽しめるのは喜ばしいことだと思う。 [映画館(字幕)] 6点(2015-08-10 04:32:20)(良:3票) |