1. スオミの話をしよう
《ネタバレ》 よく考えてみると、この監督(・脚本)の方の映画ってのをあんまし観ずにココまで来てしまってるって感じでもあるのですが、少なくとも本作はかなりフルスイングに大ボケ(ボッケボケ)な質感のコメディではありまして、実際に演技もナンも一切合財相っ当に大袈裟であるコトも含めると、まずは多分に舞台劇・舞台芸術っぽい感じでもありましたかね。加えて(だから)特にキャラの造形の部分にはリアリティが在るって感じではないので、畢竟、お話の流れにも隅々まで納得が行き渡る…な~んてコトになる可能性もあんまし高くはねーかなーと思ってもしまいますね(⇒それ自体が好いのか悪いのかは別としても)。そもそも、コメディ・お笑いってまた、人に依って比較的「好み」自体が分かれるトコロでもあるかとは思うので、その意味でも仮にもし「好みじゃない」とするとコレって、ちょっと流石にどーにもなんない…みたいな気もしてしまいますかね。幸いにも私は、実は結構嫌いじゃない方のソレではあった様な気もしてて、なので結局この位の評点にはなります(⇒最後まで観ると、とゆーか、結局ホントのオーラスのオーラスの「ヘルシンキ~~~♪♪♪」の辺りで遂に大爆笑!に至るコトが(チャンと)出来ちゃってるのでして⇒勿論、むしろあの辺りこそが前述の「好みが分かれる箇所」の最たるものであろう、と言ってしまえるダケの客観的視点とゆーのも持ち合わせている積りでは居ります)。映画自体のつくり諸々としては、かなりリキの入った丁寧なモノだったとも思えてますし(カメラワークとかもワリと凝ってた気がする)。 とは言え、ね~~~そーいうの関係無く、少なくとも長澤まさみさんに関してはコレは絶対に嫌いな人の方が圧倒的に少ないってコトだとは思ってるのですよ。んで、何となく予告編とかの感じからすると、その長澤さんがあんまし出ない(=出ないケド存在感ダケ在りまくる)みたいな方の映画なのか…とも思いきや、実際には全然そんなコトも在り得ずにフルスロットルで大暴れ!してくれちゃってるって方の映画なのですわね。結論、長澤まさみさんがお好きな方になら、全然フツーにオススメ出来るって映画ではあります。ただし一点、前述どおりお話にはあんまし中身の無いってコメディ…のワリにも、尺も別にそんなに短くもねーので、有り体に言うと「コレって映画館で観るべきなのかな…」みたいな感覚とゆーのは、無いと言えば嘘になってしまうかも知れません。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-14 00:54:53)(良:1票) |
2. スネーキーモンキー/蛇拳
《ネタバレ》 『ドランクモンキー』の方は昔観ていたのですが、コチラは未見でした。しかし、筋立てにしてもアクションにしてもキャストにしても、ごく『ドランクモンキー』のまんまとゆーか⇒コッチの方が先行作ではありますが、加えて言うなればアッチの方がより練られているとゆーか、類似作品ではありますが全体的なクオリティには少し差があるかな…という感じですかね。とは言え逆に+同時に、この手のが好きって人ならコッチも当然手堅く楽しめるってコトではあるかとも思うのですね。ジャッキーのアクションの出来は決して悪くはないので、彼の出世作であるコトも含めて一見の価値はあるでしょう。私もフツーに、今回観ておいて好かった(楽しかった)とは思えましたよね。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-05-23 21:08:37) |
3. スザン・レノックス
《ネタバレ》 まあ、100年近く前の作品なので諸々と「考え方」自体が現在とは異なるとゆーか、特に時間間隔(=時間経過の描き方)がとにかくかなり異質な感じですよね。ヒロインのガルボとクラーク・ゲイブルが出会った一夜のアレコレはかなりネットリ丁寧に描くのに、彼と彼女がいったん決別して再会する2つのシーンの間には(それなりに経過してる筈の)時間の流れを示すナニかがナニも置かれて無い…とか。しかしソレで結局76分なんだから、そーいったモノを現代風に整えてやれば(多分)100分尺のドラマとして今なお全く通用する様な内容だと思いますし、更に言えば要はソレって、ガルボとゲーブルの渾身の演技による見せ場のそのモノは不滅のクオリティを備える名シーン個々として(再び今なお)輝き続けている…というコトかとも思います。正直、私が観たガルボの中でも一番好かったかも知れない…とすら思ったりもしますよね。プラス、その全盛期たる眩い美貌も含めて、見逃すのは余りに惜しい作品にも思われてしまいますね(アマプラでロハなので、コレは是非)。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-24 21:51:20) |
4. スウィート・スウィートバック
《ネタバレ》 70年代前半からのブラックスプロイテーション(ブラック・ムービー)流行の嚆矢となった作品…とのコトなのですが、正直言って「は?」とゆーか、その手のヤツとは全く完全に方向性の違う、エンタメでもナンでもない(⇒B級ではある…のかも知れませんが)完膚なきまでのアート系!みたいな作品なのですよね⇒余りにも、余りにも全てが「異質」すぎるのです。お話の内容自体は、クライム系(逃避行系)…なのかも知れませんし、んで描写の所ドコロは(確かに)ポルノだったりバイオレンスだったり…とマデは言えるかとも思うのです。が表現自体としては、諸々の演技の感じも・雑な録音の質感も・画面のつくり方&音楽の流し方とかだって(その終始一本調子でかき鳴らされ続けるやや暢気なBGMは、あのアース・ウィンド・アンド・ファイアーが演奏してるらしーのですが)フツーの映画だったら全部「在り得ない」ってレベルの逸脱だと思われるのです。再度、到底、エクスプロイテーションってレベルの(娯楽的に使用できる)作品ではないと確信しますし、芸術系だとしてもそのエキセントリックさはモ~最高レベルに近い方かとも思います。そして、それでもその一方で、作品の背景に明らかにメッチャクチャ明確に、監督の「言いたいコト=叫び」が完全に貫かれて存在している…が故に、映画としてはともかく表現物としては何一つ「成立してない」なんて感覚が皆無…でもあるのですよね。。確かに、凄い作品かな…とは思ってしまいますかね。。 [DVD(字幕)] 6点(2024-03-07 22:19:05) |
5. スイート・チャリティ
《ネタバレ》 言わずもがなミュージカル仕立てで、かつナンだカンだ「半分は歌って踊ってんじゃネ?」てな感じにその面のボリュームが凄いコトも含めて、諸々と元ネタとは雰囲気が大いに違ってると感じるのですね。中で、私が思う最大の違いとゆーのは、根本的な主人公のキャラクター=ナニを一番に求めているか…ってトコロですかね。カビリアは自分の(悲惨な)人生に絶望してるんだと思うのですが、翻って今作のチャリティは「真実の愛」に唯々飢えている…みたいな。それに伴って、それこそアメリカナイズされたアーバンな質感+ミュージカルというごく「エンタメ」な要素もふんだんに加わって、シンプルにとにかく全編「楽しい」って雰囲気には仕上げられてると思うのですよね(⇒別に、チャリティの境遇自体の「悲惨さ」を際立たせたい…というコトではない、と)。でも、だから寧ろ、このラストって(ナンなら元ネタより更に)かなりコッ酷いバッド・エンドじゃない?とも思われたのですよ(逆に)。あの男……個人の信条とゆーのは在るとは思いますが、マジでクソろくでもねーな…と思ってしまいましたよね。。また逆に、だからこそ、其処からチャリティがオーラスに立ち直って来れたのは、前述のアメリカ的な(舞台となる土地そのものが備える)都会感・開放感・進歩性=未来への希望、みたいなモノが在ってこそ(実在してこそ)ではねーか…と⇒だから、たぶんコレ、今今にそのままやってもモ~成立しないかもな…な~んて。 [DVD(字幕)] 6点(2024-02-22 23:32:41) |
6. スリ・アシィ
《ネタバレ》 「ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース(BCU)」の待望?の二作目でして、鑑賞順はテレコになりましたがコッチは劇場で鑑賞しました。その劇場鑑賞の甲斐もあってか+明らかにアクション的な物量&CGの使用量&製作陣の気合が激しく増量されてたってコトもあってか、かなりシンプルに娯楽作として楽しんで観てゆけたと思いますね(完全に『ワンダーウーマン』ではありますケドね)。『グンダラ』の方でも書いたとおり、このスリ・アシィちゃんもまたヒーローとしての覚醒=自分が何者かを悟るマデには結構時間が掛かるのと、ソコまではまたワリと地味めなクライム・アクション的質感…であるのはまた確かなのです。がしかし、一作目と比較しても(ヒーローものとしては)かなり壮大なストーリー&背景設定を擁する本格的なお話に為ってたとは思いますし、終盤のスーパーヒーロー!な超常アクションの感じも(『クンダラ』と比べても)だいぶ高度なクオリティに纏まってたとも思えてまして、それこそインドネシア産であるコト由来のユニークさ・物珍しさも相まって重ね重ねかなり楽しく観終われました。全体的にややテンポが重めな感じもありますが、主演女優さんも相当な美人で見映えも抜群でしたし、興味のある方は是非々々(俄然オススメできますね)。 [映画館(字幕)] 6点(2023-12-24 17:51:59) |
7. スクリーム6
《ネタバレ》 4⇒5作目まではだいぶん年月が空いてたのですが、6作目はすぐにつくったのですね(多少ヒットすると分かったら途端にこの速さ…)。んで、5作目はナンバリングも無い「無印」だったのにコッチは「6」て付いてて、なのにベースは(1~4作目じゃなくて)モロに5作目=5作目の生き残りキャラが完全なるメイン!てのは、ソレだけでも何か騙された様な気もしたりしなかったり…… なので重ねて、今作に関しては5作目は先に観て⇒で直後にコッチを観るとイイ感じなんじゃねーかと思います(⇒引き続きの主演のコはやっぱ結構カワイイし、彼女がお気に召したんだったら尚更かと)。ゆーて内容はま~「いつも通り」ではありますが、中盤以降のショックシーンのボリューム&出来とか、あとそもそもの「犯人捜し」の意外性、なんかはシリーズでも(微かに)平均は上回ってる…という気もしますかね。ただ一点、今作の登場人物は総じて防御力が高過ぎですね⇒ナイフが腹に刺さった位じゃたぶん学校も休まないと思われます+銃で撃つにしてもヘッドショットじゃないと死なないかと(⇒ゾンビ映画か!) 結論、本来的には5作目(の評価)とは流石に差別化しないと駄目(とゆーか私自身の「負け」)かとも思われるのですが、細かく考えてゆくのがどーにも面倒なので同じにしちゃおうと思います⇒どーせ5作目も観ないといけないワケだし。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-10-21 16:27:53) |
8. Smile スマイル(2022)
《ネタバレ》 連鎖してゆく死の呪い…という意味では、それこそ『リング』とか『イット・フォローズ』とか今までにもシコタマ観てきた系統のホラーなのは間違いないのです。ただ今作はまた、まずその連鎖に不運にも巻き込まれたが故に必死で対抗策を探し出し⇒遂に邪悪な存在との対決に挑む…というお話である一方で、標的たる主人公が怪異に責め苛まれて精神の均衡を失い⇒結果として周囲の人々との関係性も壊れていってしまう…という点からは(その主人公の不安や焦燥の感情が少なからずホラー的な美味しさになっているという意味では)よりサイコロジカル・ホラーに近い系統の作品だ、とも思われますね(前述の2作品と比べた場合は特に)。 連鎖のトリガーとなるのは所謂トラウマ、つまり笑顔で惨たらしく死んでゆく恐るべき有様を見せ付けられるコトの恐怖そのモノがこの悪霊の「攻め手」なのであって、コレなんかも(実際にその有様を観客である我々も同時に観ているという意味では)フィクションと現実を結びつけるちょっと洒落た仕掛けだ、という様にも思われます。でそもそも、比較的聡明で医学的・臨床心理学的な素養もある主人公が終盤には見出したように、この連鎖への根本的な対策としては「誰にも見つからない場所に引き籠る」とゆーのが有効な手立てとなってくるワケです(⇒この連鎖自体が、一般的な病原体と同じ様に悪霊にとってもメリットともデメリットともなり得るのだと)。コレもまた、だからこそ最初に主人公を責め立てて発狂状態に陥らせて、でその様子を周囲の人間に見せつけてから仕留めに掛かる、てのが巧いやり口だな~と思ったりもしますね(⇒あの状態で失踪されたら、流石に警察その他の手も借りて探し回ってイイ頃合いで見つけてしまうだろうな…な~んて)。まとめると第一の感想としては、好く出来ている箇所はワリと好く出来ている・しっかり考えられている、と言っても好い様な作品だな~と。また前半は特に、ごく静かに(だが陰鬱に)ゆったりと進行していく中で音やナニかで驚かす恐怖描写のトコロなんかも、まあまあ比較的に出来は好い方かな…と思いましたし。 ただ、最後まで観ての第二の感想としては(特にクライマックス付近が顕著なのですが)一方でテキトーな部分はかなりテキトーでつくり込みもいい加減で、だから結論としてはやっぱイマイチな方かな…というトコロなのですね。何よりもやはり、観終わると結局この悪霊に対しては確固たる対抗策とゆーのは存在していなかった様で、標的が恐怖で参ってしまったら唯々乗っ取られてジ・エンド…とゆーのは+ソレが結局最後の最後でハッキリと示されるのは、イマサラのこの構成のホラーとしては実に工夫が無い様にも思われますし+また2時間も観てきての徒労感の方がより強力に感じられてしまいますかね。あとそもそも、悍ましく笑いながらにじり寄ってくる人型の悪しきモノ…みたいなのが唯一最大の映像的ホラー・コンセプトだと(当然に)思うのですが、どだいコレのインパクトとゆーのが思ったよりもちょっとショボかった…と思いますね⇒そんなにそーいうシーンがふんだんだってワケでもなかったですし、それらもまた結局は似た様なのが多かった気もしますし、だから正直2時間尺とゆーのがちょっと間が持ってない気がするのですよね。ラスボスの造形なんかも在り来りで、ソコも痛いかな… ※個人的にはやはり、ホラーは基本は90分がベースだと思ってるのですね⇒それを超えるなら何か明確な「理由」が必要だと。今作は典型的な「理由が無い(弱い)」のに尺だけ長い…ってホラーに見えてるってコトですね⇒そーいうのは大体かったるく感じられてあまり怖くもならんのです。不快なコト・居心地が悪いコトってのは、怖いってコトとはまた違うので… 重ね重ね、もうちょっと納得感と斬新さのあるワンランク上のラストまでに仕上がってれば全然違った…と思うのですが、個人的には暇潰しになるかならないか、というレベルの作品に思われます。ややイマイチですかね。 [DVD(字幕)] 5点(2023-10-21 00:00:37) |
9. スランバー・パーティー大虐殺
《ネタバレ》 コーマン御大の製作!とのコトですが、そもそも彼が製作のスラッシャーって他にもあるのでしょーか?結局のトコロ「なんちゃら・マサクル」というごく典型的なヤツであるのも含めて、内容は完全に時代相応としか言い様が無いごくコテコテなるスラッシャーです⇒むしろ、根本的な設定的には更に以前の(スラッシャーの始祖の一つでもある)あの『暗闇にベルが鳴る』にクリソツな気もしてます、が私もなにぶん(ソッチも観たコトある…とは言え)昔のコト過ぎてよ~覚えとらんのでして…… でもまあとにかく、ごく古典的でプリミティブなスラッシャーだぜ!てコトなのでして(尺もごく短いし)、要は唯々「エロとゴアが在りゃあエエんやろ!」てなダケのヤツなのですよね⇒そもそも、コーマンってスラッシャーに関係なくそーいう映画人ですよね、とも。ただ、そのエロとゴアについては(個人的な結論としては)時代的にも微かに平均を上回るか…という感覚はありましたすね(特に前半のエロは明るく爽やかで好し)。しかし、ゴアについてはそれでも一長一短あり…とゆーか、やってるコト自体は結構エグいし+終盤はかなり派手にブッ殺しまくってて人数的には比較的ゴージャス、だったかとも思うのですケド、他方、血ミドロ具合や特撮・特殊メイクアップなんかはワリと低レベル(=ほぼほぼ肝心なブツを見せずに誤魔化す系統)だとも思いましたし、あとアクションとゆーか格闘シーンがまたごく低レベルなのですよね…(=コッチもカメラワークで何とか誤魔化してるダケ、とゆーか…) 結論、それほど特筆すべき見ドコロが在るとかって作品でもねーかな~とは思うのですケド、それでも一点⇒肝心の犯人役のサイコのサイコ度合い(+実際の演技)に関してはまあまあだと思えたコトも踏まえまして、いったんこの位の評価としておきます(今だ、暇潰しにはなるかと)。 [DVD(字幕)] 5点(2023-08-24 00:28:50) |
10. スクリーム(2022)
《ネタバレ》 ホラーの有名シリーズとしても特徴的なマデに、このシリーズってやってるコトもやってる人達も基本全部同じだし、映画的な技術の進歩ともさほど関係も無いという少し奇特な作品群だとも思うのですよ。なので、好みの問題としてこーいうのが嫌いじゃないのならば、偶に観る分には確かにワリと手堅く楽しめる…のかも知れませんね。重ねて、実にシンプルなコンセプトの下に「偉大なるマンネリ」を繰り返しているという点は今作でも不変ですし、かつシリーズ作を観ていなくてもそれ程困るコトも(実は)無いかと思います。とは言え、劇中でのそこら辺の説明はごく限定的なので事前に主要3人(シドニー・ゲイル・デューイ)がどーいう人物なのかは頭に入れておいた方が好いですし、彼らと再会する同窓会的な喜びとゆーのが確実に作品のクオリティの一部分を形成している…とゆーコトも認識はしておいた方が好いです。 その上で(=別に5作品にソコまで顕著な出来映えの差は無い、という前提の下で)個人的にはやはり僅差で1がベスト、2・3は少し劣る、で、4・5はまた僅差で1に比肩する…という感じかと思うのですね。でもまた重ね重ね、コレはこの第5作をだいぶ久しぶり(≒10年振り?)に観たからだ、とも思います。結論、シリーズを全部観る必要はありませんし、続けて観るのは(コレは尚更)止めた方が好いと思います。個人的に理想的なシチュエーションは、1だけ観ていて久し振りにコッチも観てみようかな?という人ですかね。該当する方は是非。 [DVD(字幕)] 5点(2023-01-03 23:50:56) |
11. すずめの戸締まり
《ネタバレ》 現し世の災いは荒ぶる神の仕業であり、人は都度その身を供して其れを鎮めてきた…というごく日本的で分かりみの深い世界観ではあるのですし、お話自体もまたシンプルでごく分かり易いモノだったかと思います。かつ、その「災い」とゆーのが具体的には「地震」という形象で描かれるのも(ある意味で)今だにタイムリーだとも思いますし、それ故確実に現実世界とこの物語の繋がりとゆーのはまた強まってゆく…という意味ではより共感もし易い・入り込み易い作品にもなっていた、かとは思うのですね。 結論的にはかなり面白く観れたのですが、それでも二点ほど。一つは、そーいう比較的優秀な作品世界を構築しては居るものの、描かれる物語自体は(重ねて)ごくシンプルでかつ然程「深い」というモノではなかったかな、と(⇒まあ別に他の新海作品と同程度、だとも言えるのですケド)。特に、その世界におけるとある「出来事」としてはまずまず興味深いお話だとは思ったのですが、その中に生きる「人の物語」としてはちょっと(いやかなり)軽かったかな、とも。殊に序盤が、また全体的にも結構駆け足気味な展開運びだったしな…とも少~し思ったりしましたかね。 もう一つ、たぶんワリと(人に依っては)感動できる・泣ける…って系統の映画かな~とも思うのですが、ソレってやっぱり結局このお話が(巧いコト)先の震災とリンクされていた、てのがとにかくデカいんじゃねーかな…とゆーのもまた確実にそーは思われるのです。重ねて、その繋げ方が巧くなかった・あざとかった、とかなんて全く思わないのではありますケド、ソレでも私自身は単純にまだ正直、あの震災の話を映画の題材として観たいとはあまり思って居なかったりするのですし、ソレなら最初からそー言っといて欲しかったな…とも(少しダケ)思ってしまいましたよね。 重ね重ね、娯楽アニメ映画としては十分に楽しめると思いますが、評点はそこそこ迷ってのコレでいきます(特に二個目の指摘をより重視して)。 [映画館(邦画)] 6点(2022-11-12 16:58:34) |
12. ステラ・ダラス(1937)
《ネタバレ》 個人的には決して「理不尽」な話だとは思いませんでしたが、それでも主人公ステラには大いに同情も出来る…てのも確かにそーだなと思いました。時代的なコトもあってその「イタい親」のイタさとゆーのはごくシンプル、かつある種表面的な(=本質的でない)コトにも感じられました、が、題材的には現代でも全然フツーに好く在る(=普遍的な)問題だとも思うのですし、むしろ現代の方がその面では比較的にも「ややこしい」問題になりがちだったりするカモな…と思ったりも。 まあでも、やはり個人的にはコレってごく表面的な(=本質的な意味での「瑕疵」ではない)コトだと思われるのですよね。それは取りも直さず、ローラがあれだけ愛溢れる素晴らしい女性に育ったコトだけ見ても尚更そー思われるとゆーか、その意味でも本作は実に美しい親子の愛の物語だったな…と思うのですよ。オーラス、涙を流しながらも何処か満ち足りた表情を垣間見せるステラは、私には本当に美しい女性・母親に見えました。シンプルな様で、実に優れたラストシーンだったな、と思いましたね。 バーバラ・スタンウィックは(上述どおり)諸々の演技も素晴らしかったと思いますが、根本的に非常に上品な雰囲気を纏っているという女優さんである様に思われて、なので(特に前半で)品の無い行動を執りつつも決して憎々しい…とまではならない絶妙なバランスが整っていて、その点でも優れた役作りだったな…と思いました。他、ローラ役のアン・シャーリーちゃんも中々好い演技だったのではないでしょーか(寝台車の中で二人が寄り添うシーンが私は一番泣けましたね)。 [DVD(字幕)] 8点(2022-06-04 00:48:12) |
13. すばらしき世界
《ネタバレ》 世界は決してただ美しい、素晴らしいモノではないのであって、多くの不条理・不正義・不公平と残酷な運命に満ち満ちている。それは人ひとりの力で何とか出来るものばかりでは全くないのだし、そもそも人智に依っては如何ともし難いことだって今だ数多く存在する。だから残念なことに「努力は人を裏切らない」とか「人生は何度だってやり直せる」だとかいう美辞麗句というのは、言葉の使い方の問題でもあろうが確実にそこに「嘘」を孕んでいる、とも思うのだ。人生とは、この世界とは、元々全く「ままならない」ものなのだろう、と考えている。 でももし、そこにただ純粋に素晴らしいことがひとつだけ在るとしたら、人が自分の人生を少しでも、ほんの少しずつでも「前に」進めようというささやかな意志を持ったのならば、その人生はどんな時でも、ほんの少しだけはより善い・より意義深いものにきっと変わるだろうということなのだ。例え明日死ぬとしても、その明日を今日よりも少しだけ何か意味の在るものにすることはたぶん可能なのだ。それだけが、人に許されている唯一つの絶対なのだ(人生の意味とは、ただひたすらにその積み重ねでしかないのだ)。だから、それでも世界は絶対に素晴らしいのだ、と。 [DVD(邦画)] 9点(2022-05-08 18:20:35)(良:1票) |
14. ずっと独身でいるつもり?
《ネタバレ》 登場人物においてだって、男の側の面々とゆーのが押し並べてかなりしょーも無い連中で揃えられているコトからしても、まずはごく「女性向け」な映画だと言って間違いはないかと。ただ、そーいったバイアス強めの状況設定を通してであっても、肝心なテーマの表現とゆーの自体は(確かにやや強引・安直ではあるものの)、描き出される「結婚しなければ幸せに為れない訳じゃない」「結婚したからと言って必ず幸せに為れる訳でもない」といったモノについてはまず説得力とゆーのがも~十分だと思うし、更にその中にそっと置いていかれる様な「たとえ結婚しても自立した(ひとりの)人間で在り続けるべき」という価値観とかにだって、コレもまあ十分に共感は出来るかと思われるのですね(私は男のほーですケド)。重ねて、決して巧みだ・スマートだ・粋だとは言わないまでも、やりたいコトとゆーのはある程度チャンと出来ている(伝わる)映画だ、とは思われますです。そんなに悪くはないかと。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-01-24 21:42:01) |
15. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
《ネタバレ》 ホランド版は前シリーズと比べても少し若年層向け・ごくコミカルに楽しく観れるという質感かと感じており、ソコは今作も概ね踏襲してると思うのですが、一方で今作は結末含め全体としてしっとりする場面も多くて中でややシリアスめではあるのです。ところが、今作での騒ぎの元凶はとゆーと(マーベルでもチョイ珍しく)完全に主人公側に存在するのであって、彼らの若さ・バカさ・茶目っ気が為せる業、という点を考慮すると、雰囲気+成り行きからの全体の纏まりとゆーのはやや微妙かな…とも思ったのですね。オーラスも、私個人としてはも~ただ素直で完ペキなハッピー・エンドの方が観たかった…とも思いました(エンドロールなんかは最後の最後までほのかに期待してしまいました)。まあ権利関係がややっこしいスパイダーマンはMCUからはいったん御役御免…というコトなのかも知れませんが(→一転、ココぞという場面でまたブチ込まれる方により期待したいトコロではありますケド)。 しかし、いったんの完結編としてはその豪華さ(何と言っても出演者)はあの『エンドゲーム』にすら匹敵するとゆーか、この20年のスパイダーマン映画の集大成とでも言うべきゴージャスなモノでした。トビー・マグワイア、最近見なかったなあ~とも思っていたのですが実に素晴らしい仕事でしたね!私もサム・ライミ版は大好きで(ナンなら『アベンジャーズ』より好きなぐらい)、グリーンゴブリンを殺そうとするホランドを押し留めるシーン、年齢を経た今の彼だからこそ出来る真のヒーローの姿を垣間見たとでも言いますか、その無言のメッセージに感じ入って自分を取り戻すホランドも含めて今作ではココが一番グッときましたですね。他、アンドリュー・ガーフィールドも相変わらず爽やかでしたし、ウィレム・デフォーの迫力・凄みも際立ってました。贅沢ですね。 評点は少しだけ迷ったのですが、素直に楽しめたので高めに寄せておきます。 [映画館(字幕)] 8点(2022-01-14 18:04:40) |
16. スプリング、ハズ、カム
《ネタバレ》 父ひとり娘ひとり、春の巣立ち…という以上には、ほぼほぼ内容は無いのだね。飾らない台詞で、また格好も付けずにごく真面目に丁寧に語り込んでゆくのは極めてありふれた親子の物語であって、非常に実直な映画を指向しているごく硬派な作品だと言えるだろう(=少し飾らなすぎる、とでも言いますか)。そして、また「繊細」な作品だなあ、とも思うけれど、偶にはこれくらいただ緩やかに流れる時間を過ごすっちゅーのも、人生においては実に必要なコトかも知れないですよね。 舞台の世田谷は非常に好きな「街」感でそれだけでも中々に心地好かったすね(私も上京したて小田急沿線に住んでたのよね)。ただ大家の婆ちゃんにせよインド人にせよ個人的に少ーし苦手な「親切の押し売り」感があってソコは率直にチョイ微妙に思えたカモ?(あくまで個人の感覚です) そして肝心のキョンキョンは、結論的には本職落語家としては流石!と言ってよい演技だったと思いますが、とは言えその質自体はプロと比べたら中の中くらいかねえ。でも、2回あった長い独り語りのシーンではコレも流石の「話芸」者の貫禄を見せつけてくれたので、そこにはフツーに大満足です。女の子は、よく見るとこれがまたスゲー可愛いのでさーね。 [映画館(邦画)] 6点(2021-09-25 18:41:14) |
17. スパイラル:ソウ オールリセット
《ネタバレ》 そーいえば、実は『ソウ8』って観忘れてたわァ…(ぶっちゃけあんまし観る気にならんな…) でもそもそもこのシリーズ、少なくとも3~6+ファイナル辺りってあんまし内容的に変わり映えがしなくて(それは肝心なグロ描写に関しても同傾向だと思えており)、正直根本的にさほど好みではないって感じなのですよね(ほぼ全部やん)。そしてその観点からすると、今作でも相変わらず観たコト無くもないよーな(いつもの)拷問描写+率直に大したアイデアも無い犯人vs犠牲者の対決ギミック(どだい今作ではギミックと言えるのはラストぐらいなモンだし)といったトコロは、前述のこのシリーズの「悪い」流れからは残念なコトに脱却し切れていない、ともまずもって感じるのです。加えて、真犯人の「悪」としての魅力の(ジグソウと比べての)低レベルさ、という点が、ココは確実にやはり旧作(1・2ら辺)には到底比肩し得ない、という感じであるのが激イタですね。結論、あまり上等とは言えない感じの二番煎じ風、と言っても過言ではないかと。ただ二点、流石に映像の出来は(ある面で)確実に向上しててその辺のキレ自体はごく良好、あと今風とゆーか(それにしても)トンデモなく映画のテンポ自体は好いので(=好過ぎてあまり恐怖パートにネットリ感が無いとゆーのは痛し痒しではあるケドも)、単純にホラーとしてはワリと観易くて快適、つーのはある種適切な進歩だとも思えましたケドね。 (※以下、重大なネタバレ込みの蛇足)20代かと思った真犯人が実は演者は30半ば、に始まり、30代だと思った女署長は演者的には40後半、主人公も30代に見えたケド同様に50半ば、そしてサミュエル・L・ジャクソンだってこれももう70過ぎで還暦辺りくらいの役をやっていて、そこら辺が正直なんか驚愕だったのですね(ホントに蛇足ですね)。 [映画館(字幕)] 4点(2021-09-16 00:51:46) |
18. Swallow スワロウ
《ネタバレ》 テーマは「異食症」。こーいう言い方は語弊があると思いますが、非常に興味深い精神疾患ですね。ある面では確実に自傷行為・ミュンヒハウゼン症候群の要素を孕むものだと言えるのでしょうし、それは(今作でもそーである様に)妊婦の罹患例が多いという点にも示されているのかと思います(胎児を一種の「盾」にしている、とでもゆーか)。ただ、それでいてどこか内向的でもあるとゆーか、隠れて行うその行為自体のスリルに溺れている、という側面も確実に見て取れます。更に言えば、何か「達成感」とゆーか、レベルアップの楽しさをソコに見出しているとでもゆーかの様な危険な香りを感じます。今作でも、ビー玉→画鋲→電池、と確実に急激にデンジャラスになってゆく様子には、かなりのサスペンス風とゆーか(意外に)高度な緊迫感を感じ取れましたのですね。 私自身もかつて一時期うつの症状に悩まされたこと、また身近に同じ病の人を多く見てきたことからの学びとして、精神疾患の治療として最も重要なのはまずは「病識」(つまり、自分がどういう状態にあるのかを正しく認識すること、更には、何故そういう状態にあるのかを理解すること)、そしてその後は対症療法に走るのではなく、その根本原因となっている要素を突き止め、可能な限り取り除くことにあります。その意味では、今作における「治療」のアプローチというのは、悉く完全に間違ったものであったと言わざるを得ません。ある種、その場合においてやってはいけないことの見本の様な映画であったとも思います(それはつまり、確かに主人公本人の向き合い方もそうではあるのですが、それ以上に周りの人間の採った手段とゆーのが実に深刻に間違っていた、と感じるのです)。その部分については、非常に特殊な事象を取り扱っている様でありながら、極めて「典型的」な事例でもある様に思えました。もしかしたら応用の効く、とある(ヒューマンヘルス上の)知識として実に有用な映画、と言えるのかも知れません(その観点から言うと非常にリアリティのある映画でもあった様に私には見えましたのですね)。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-23 21:48:51) |
19. ズーム/見えない参加者
《ネタバレ》 ゆーて私も、ここ一年は毎日の勤務時間の半分以上がZoomでの打ち合わせですからね。その意味ではやっぱ親近感とゆーのはありますですよ。複数端末で参加しててハウリングさせる、なんてのも(当然のよーに)やったことありますしね。 リモートなホラーとしては個人的には三作目、その三作を手が込んでいる(=カネ掛かってる)順に並べると、『アンフレンデッド』→『真・鮫島事件』→今作、という感じになるだろうか(『真・鮫島事件』はアレはアレで相当にチープですケドも)。とは言え手が込んでれば好いというワケでもなく、『アンフレンデッド』は様々なツールが入り乱れ、異常に手数が多くて観ていてメチャクチャ疲れてしまったのだし、それに比べると今作は全編Zoomのみなので格段にシンプルで観易いことは観易い。ただ今作、コンセプトは『アンフレンデッド』を引き継いでいるというか、これも全編Zoomの画面上のみで進行するという作品なので、観易い一方で『アンフレンデッド』で弱点にも感じられた「カメラがチャッチいからショック描写に迫力が出ない」という部分もこれまた継承してしまってる、とゆーのも事実かと。 しかし、ま~見るからに低予算ですよね(ほぼ自主制作レベル)。Zoomの画面なんだから別にエーやん!と言わんばかりのクソ低画質に、そもそもが68分という短尺ながらラスト10分は更にどーでもいい(ちょっとだけ怪異な)メイキング風映像だし、これに1900円払うのはちょっと勿体無いという気がする。短い分密度が濃いというワケでもなく、B級ホラーよろしく前半半分は完全に「捨て」で殆ど何も起こらないし、後半は多少マシになるとは言えショック描写もこれまたチープ極まりなく、結論的には許容範囲を少し下回って地味すぎる、という感じですね。結局やはり、完全リモートだと(諸々の事情で)あまりホラー的にインパクトのある描写を盛り込めない→どの描写も似た様な感じにまろやかになって決定的に抑揚・盛り上がりを欠く、というコトかとも思われます。 その意味では、やはり全編リモートというのは結論的にはキビシイ、というコトが分かってきたかとも思いますね。あくまでリモートな状況を(前半で)活かしつつ、後半は別の展開に上手いコト繋いでいく、とゆーのが肝要かと(その意味では『真・鮫島事件』とゆーのは思ったより好く考えられていた、というコトかもと)。もう一点、やはりインドア(自室)で世にも恐ろしいショック描写を描く、とゆーのは相当に難しく、結局高度にユニークなアイデアが必要になる、というコトですかね。こーいうの一見低予算でもつくれそうなのですが、そこから天下を取りたいのなら普通のホラー以上に才能と努力と閃きが必要だ、とゆーことにも思えますですね。 [DVD(字幕)] 3点(2021-06-30 20:07:03)(良:1票) |
20. ステップ
《ネタバレ》 愛し合う両親のもとで健康に育って、結婚して、子を産み、孫を抱き、そして誰よりも先に死んでいく(絵に描いた様な「普通」の人生)。でも、そんな人生を送るひとって、実際どのくらいいるのだろう。そうじゃなくて「普通」じゃないことの方がむしろ「普通」の人生、なんじゃなかろうかとも思う。 誰の人生だって波瀾万丈、とでも言うか、この映画に描かれる家族にも色々なことが次々と訪れる(善きにせよ悪しきにせよ)。でもそれはどれも実に「ありふれた」ことであり、その意味ではこの上なくシンプルな映画だと思う。だからこそ、誰の心にもどこかしらには引っ掛かる様な感情移入の容易な作品であり、必ずどこかでホッコリと、或いはホロリと出来るという温かい作品になっている、と感じた。親の再婚に対して複雑な感情を抱く娘というのは正に10歳の私でもあったし、妻(娘)を亡くしても義理の親子(家族)の関係が善きものであり続けた主人公一家に対しては、そうではなかった自分と照らしての少しばかりの羨ましさと、そして小さくない後悔を覚えるのだ。 主要キャラの演技については、誰しも殆ど満点と言ってよい高水準であった。國村隼の存在感・温かさには惚れ惚れとしてしまいましたね。だけれども、やはり最後は山田孝之を褒めておこうと思う。多分に悲しさ・辛さを纏いながらも、奥底に十分に強さを抱きそして静かに成長していく様子は、実に味わいのある深い演技の仕事だったと思う。 [DVD(邦画)] 9点(2021-03-20 21:31:39) |