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1.  スピード(1994) 《ネタバレ》 
“SPEED”素直に『速度』って意味でしょうかね。確かに、これほど上映時間の長さを感じさせない映画は他に無いかも。時速80kmの縛りが出てきますが、タイトル=作品の性質な、珍しいタイトルです。 映画は3部構成。エレベーター、バス、地下鉄。どれも密閉空間で、そこから“外に出る”事が統一ミッション。どれも、誰でも思いつきそうなシンプルさだけど、考える間もなく畳み掛けられるトラブルの数々が秀逸。そして作品の質に対し、実はあまりお金が掛かってないのも凄い。  自分もその場に参加しているような気分を味わえるジェットコースタームービー。優秀なSWAT隊員となってみんなを救う“ヒーロー”になるか。元気いっぱいの巻き込まれ型“ヒロイン”になるか。そしてもう一つ肝心な部分、一生に一度すら体験することもない大事件に、自分が巻き込まれ、ヒーロー・ヒロインに救われる、いわゆる“参加型モブキャラ”になれるのが、この映画のいちばん凄いところです。 思えばディズニーランドやUSJのアトラクションでも、ヒーローでなくモブとして参加するものって多いですよね。  映画が始まってすぐにエレベーター落下の恐怖を体験。そこで突然ハリーが「クイズだ。ガンマンが人質を盾にしている、どうする?」ってジャックに質問を投げかけますね。映画を観ている我々も自然と考えてしまうんです『自分だったらどうするだろう?』って。加えてジャックの解答の奇抜さに、一般人との違いを観せてくれます。さて、エレベーターのモブキャラたちは、ほぼ何も出来ずに助けられますが、ここまでが練習問題です。 さぁいよいよ本番のバスジャック。モブキャラとして、自分だったらどんな行動を取れるのか?ただ恐怖に怯える。銃を持ったやつを取り押さえる。自分だけ逃げようとする…。序盤のハリーのクイズが効いていて、ただ映画を観る(与えられる)だけでなく、自分も考えながら観るから、115分がアッという間に終わってしまうんですね。  このバスジャックでスカッとお腹いっぱい、参加したモブキャラとしては、抱き合うジャックとアニーに大満足ですよ。そこから地下鉄へ… いままでSWAT隊員として、みんなのために戦っていたジャックが、1人の男としてアニーのためだけに、悪党ペインと直接対決します。一本の映画としては、見事なパッケージングだと思いませんか?…でも、最後の地下鉄は蛇足とか言われてます。 最後の地下鉄だけ、モブキャラの参加する余地、考える必要性が与えられていません。この映画をヒーローとして観た人、ヒロインとして観た人より、圧倒的にモブキャラとして観た人が多かったから、最後の地下鉄の評価に影響したのかも? 私はもちろん、モブ中のモブです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2024-12-01 12:02:34)
2.  スペースボール 《ネタバレ》 
“Spaceballs”複数形なので『宇宙のキンタマ』かと思いました。また“ball”だと『楽しい時間を過ごす』意味になって“balls”だと『くだらない』って意味になります。最後のsって以外に大事。 きっと、今も当時も賛否両論だったことでしょう。ブルース・ブラザーズやリトル・ショップ・オブ・ホラーズを面白いと言えば、何かバイリンガルでスマートでお洒落な感じもしますが、スペースボールが面白いと言うと、笑いのツボが別次元なんじゃないか?って心配になります。  リック・モラニスだし、またアメリカンな濃いコメディかと思っていましたが、案外すんなりと楽しめたと言うか、日本でもこういうコメディってあったなぁ~って、懐かしい気持ちになりました。何だろう?ハイスクール奇面組とかに通ずる笑い? 本作も数十年前に一度観て、その時は全然楽しめなくて…でも今回そこそこ楽しめました。きっと私の笑いの方向性が、本作をカバーできる範囲まで広がったんでしょうかね? 奇面組を例に出しましたが、当時は結構好きで、コミック全巻買ってたんですよ。でも私の笑いの方向性がグルンと変わったのか、ある時から全然笑えなくなって。でもきっと、いま改めて読んだら、懐かしさ込みで楽しめると思います。  スター・ウォーズをベースとしたパロディですが、映画の最中に自分たちの映画のビデオを観るのとか、SWを揶揄した大量のグッズ戦略。トドメはジョン・ハート自身がエイリアンに腹を食い破られる時の一言。メタ的な笑いのオンパレードは、案外笑えます。いや笑えると言うか、ふふって気持ちになれます。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-11-11 00:56:28)
3.  スタンド・バイ・ミー 《ネタバレ》 
“Stand by Me”『私をそばで支えて』。原作のタイトルは“The Body”『死体』。 本作はS・キングの中編小説シリーズ『恐怖の四季』の秋編で、春編があのショーシャンクの空に(原作『刑務所のリタ・ヘイワーズ』)。 原作では、クリスを刺したのがショーシャンク刑務所から出所したばかりの男だったり、猛犬チョッパーの後の最強犬伝説が、狂犬病になったクージョ(映画クジョー)だったりと、メイン州を舞台にした作品間のリンク(お遊び)が楽しめたりします。 '80年代のS・キング原作の映画化と言えば“玉石混交”のイメージが強く、ぶっちゃけ駄作が多かった印象です。名作シャイニングやキャリーは、原作を大幅に改変してる中、本作は原作に忠実なのに名作という、稀有な作品でした。  『あの12歳の時のような友達を、それ以降持つことはなかった。なぁ、誰だってそうだろ?(Jesus, does anyone?)』 この言葉に共感できる人。それ以降にもっと大切な友だちが出来た人。色々だろうけど、自分が物心付いた頃の父親の年齢を超え、人生はきっとまだまだ続いて、今後は年老いていく。人生を振り返った時、それが何歳であれ、子供の頃の損得じゃない価値観で、大切な時間を共有出来た友達こそが“あの時のような友達”なんでしょうね。  私はめっちゃ共感できました。進学(成長)とともに疎遠になっていくのも痛いくらい解ります。本作では価値観と精神年齢の違いから、テディとバーンとは続かなくなっていくのが伺えます。 あと自動車解体場のあとの“まだ3時前とは思えなかった 色んなことがありすぎた”ってとこ。あぁ子供の頃ってどうしてあんなに時間が長かったんだろう?放課後友だちと遊んで、夕方のアニメ観て、晩ご飯食べてゲームして…あの頃と比べて時間の長さが確実に短くなったよ。今日は仕事休みなのに、大したこと出来てない。今後、ただ年老いていくのかと思うと不安になるけど、私にも“あの時のような友達”と、掛け替えのない時間を過ごしたことを、この映画が思い出させてくれて(多少美化もしてくれて)、共感と郷愁とともに、辛いことが多い今の人生を支えてくれてます。なぁ、誰だってそうだろ?
[地上波(吹替)] 9点(2024-10-26 16:51:43)(良:1票)
4.  スパイダーマン3 《ネタバレ》 
“Spider-Man 3”邦題まま。三部作として創られた完結編です。 過去2作品で見慣れた登場人物たちの、安定した掛け合いが気持ち良い。やっぱ新聞社とピーターの大家さん達とのやり取りが面白い。新キャラ・エディにグウェンも作品世界にすぐ馴染んでたわ。ただね、マルコがベン伯父さんを殺したって設定が今更出てきて、そこは後付け感が…。2の最後で3のヴィランはハリーのゴブリンだなって思ってたところ、サンドマンを出したもんだから、ピーターが戦う理由が必要と考えたのかもしれない。それが効果的だったかどうか?更にヴェノムまで出てきて驚いたわ。ヴェノムって映画の主役やってたのは知ってたから、相当人気のあるキャラだと思うけど、まさか最終作の後半に出てくるとは思わなかったわ。  整理すると本作は敵が多く、メインのサンドマン&ヴェノムに、ハリーゴブリン。ブラック・スパイダーマンとしてピーター自身の葛藤も描いているから、実質4体もの敵キャラが登場。これがきちんと整理できていたかというと、どうかなぁ? 序盤はマルコ/サンドマンの家族構成や誕生に時間を割いたのに、終盤は単なるモンスターとして中ボス化し、途中からポッと出てきたヴェノムがボスキャラ・ポジションになってしまった。そもそも、ヴェノムってもっと見せ場を作れるヴィランだったんじゃないかな。本作がシリーズ最後だから入れましたって感じで、ちょっともったいない気がしたなぁ。サンドマンだけで良かったんじゃないかなぁ?  ハリーが最後味方になるのはアツい展開だけど、敵対→記憶喪失→記憶回復→共闘→最後。と忙しい。ってか周りに振り回されて可哀想に思える。記憶を失ったハリーを見たピーターが“あれ?このままイケんじゃね?”ってしたり顔に見えて…けっきょく、一番記憶に残るのは“調子こいた主人公”だ。街の人気者だと浮かれるピーターにスパイダーマン。ブラック化して腰振って踊りまくるピーターの滑稽さと勘違いっぷりが痛々しかった。 アクションは素晴らしい。キャラも素晴らしい。でも時間配分が内容に見合わない。1のときに思った「長いなぁ」って感じはなかったけど、なにか物足りなさを感じてしまった。
[DVD(字幕)] 5点(2024-10-08 22:35:21)
5.  スパイダーマン2 《ネタバレ》 
“SPIDER-MAN 2”大文字か小文字か、悩ましいところです… 前作で「…面白いけど長いなー」って感じましたが、本作は普通に面白かったです。上映時間は長くなっていますが、前作で感じた、重たいメインディッシュの連続感はなく、話の組み立て方にメリハリがあったと思います。 スパイダーマンの独特の動き。前作ではどうも、スローモーションを活用した体捌きが、マトリックスのインパクトに引っ張られたんだろうなぁって印象でしたが、今回きちんと蜘蛛っぽい(=スパイダーマンらしい)動きに磨きがかかってきた印象です。特殊能力が消える&引退を考える。というのはヒーロー物の定番ですね。そんな定番をサム・ライミは、このスパイダーマン・シリーズに上手に落とし込んでいます。  あと監督が好きなコメディ要素も若干増えてます。デイリービューグル新聞社の個性的な面々のやり取りが微笑ましく、なんかず~~っと観てられます。秘書?のブラントが意味深ですが、原作ではピーターの初恋人だったんですね。 懐かしい“スパイダーマンのテーマ”。'67年版スパイダーマンのアニメが存在しない世界で、前作ではエンドロールに入れてましたが、本作では劇中、路上ミュージシャンが歌ってます。思い切った演出ですが、本作はスパイダーマンの決定版だと思っているので、なんか納得してしまうんですよね。 今回多くの人に正体がバレます。電車のNY市民は彼の正体を見なかったことにし、体を張ってスパイダーマンを守ろうとするシーンは胸が熱くなります。そしてMJは彼の正体に納得し、ハリーは驚愕します。続きが気になる展開です。  敵はドクター・オクトパス。アームの中心に太ったオッサンが居るビジュアルは、見た目的に中ボス感が漂うんですが、3部作の真ん中として『次の敵はもっと凄いぞ!?』って割り切ってる感じがして、案外納得してしまいました。そして映画の最後に次の敵が…おぉ、そう来たか!って、凄くテンション上がりました。続き物の真ん中って、あんまり『この続きは次作で!』パターンを入れすぎると、満足感が減って消化不良を起こすんですが、こと本作の終わり方は、適度な満足感と、続きが気になる度合いのブレンディングが巧かったと思います。 最後、川に沈んで大惨事を防げるって理由がイマイチわかりませんでした。どうして??あと、結婚式当日のドタキャンは、ウエディングドレスで駆け出す画的なインパクト(使い古しではあるけど)は良かったけど、特段欠点のない婚約者ジョンに説明もなく、MJが一方的に逃げただけなので、MJ嫌いな人はますます嫌いになったでしょうね…2作続けてノーブラで頑張ってるのに。
[DVD(字幕)] 7点(2024-10-06 11:35:52)
6.  スパイダーマン(2002) 《ネタバレ》 
“Spider-Man”邦題まま。小さいころ東映のヒーロー物でやってましたね。そのためスーパーマンと並んで馴染み深いヒーローでした。 サム・ライミと言えばB級ホラー映画監督のイメージが強いのに、こんなメジャーなアメコミ・ヒーロー物を、それも巨額な制作費を掛けて撮るなんて!と当時驚いたものです。…そう言えば同じB級ホラー監督だったピーター・ジャクソンも、同じような時期に超大作の監督に抜擢されてますね。ハリウッドがそんな動きをしていた時期だったんでしょうか?  ひ弱な苛められっ子のピーター・パーカーが新種の蜘蛛に噛まれ、超能力を手にし、謎のヒーロー・スパイダーマンとして成長していく。サム・ライミ監督なのに、奇をてらわない、とてもオーソドックスな展開に驚きました。原作は知りませんが、あの有名なスパイダーマンの映画化として、ディープなファンも、にわかファンも、一般人も、みんな納得して受け入れられる作品だったと思います。 叔父の死、片思いのMJとの関係。親友ハリーとその父とMJの複雑に入り組んだ気持ちと関係。グリーン・ゴブリン=ノーマンの心の葛藤を、本作の一貫したテーマである『大いなる力には、大いなる責任が伴う』を絡め、一本の映画に上手くまとめていると思います。 MJのキルスティン・ダンストに批評があるようですが、スパイダーマンとのキスシーンや、ピーターに女優でなくカフェで働いてるのがバレた時の表情なんか、私はとても好きです。  さて、エピソードのどの部分も、スパイダーマンを創るに当たり必要な要素に思えるし、上映時間も長すぎない。だけど何故か個人的にダレてしまいます。初めて観たとき「…面白いけど長いなー」と感じ、恐らく6回目くらいの今回の視聴も、やっぱり同じ感想を持ってしまいました。上映時間は決して長くないのに、不思議。恐らく『トラブル発生→スパイダーマンが解決』のエピソードの積み重ねの、一つ一つがそれなりにボリュームがあって、つど満足してしまうから、それが積み重なって、全体を通したとき、過剰な満腹感になってるかな?って。  クドクドと自己分析すると、“オズコープ社の平和の祭典”からの、グリーン・ゴブリンによる“新聞社襲撃”あたりからクライマックスに流れていっても充分満足だったところ、MJとのキスを挟んでの“火災現場の戦い”。これだけ派手な戦いでもクライマックスにならず、叔母さんとハリーとMJとの関係を深堀りしての“ロープウェーでの決戦”で、やっとクライマックス。個人的に映画2本分くらいの情報量で、言い換えるとフルコース2回分の満腹感に感じてしまいました。 良い映画、面白い映画と認めていても、どうにも苦手ってあるものですね。このスパイダーマン辺りから、クライマックスの連続で、満足感でなく満腹感(お腹苦しい)を感じる映画が増えてきたと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2024-10-05 18:24:00)
7.  スネーキーモンキー/蛇拳 《ネタバレ》 
“Snake in the Eagle's Shadow”『鷲の影の中の蛇』。鷹爪派に抹殺されかけている蛇形派を意味しているんでしょう。ガンフーが猫爪を取り入れた蛇拳の事を見て、猫爪は無いだろうと、師匠が名付けた拳法が““蛇形刀手”。 '80年代前半、テレビで大量に放送されたジャッキーのカンフー映画。その中でもハイクオリティ作品(想像です)に付けられたモンキー・シリーズの、一角を占める本作。期待を裏切らない面白さでしたねぇ。歴史的には、コメディ要素を取り入れたジャッキーチェンのカンフー映画ヒット作第一弾。ここからジャッキー映画の歴史が始まったと言っても過言ではないですね。  ジャッキー映画ではおなじみの顔も勢揃い。師匠のお爺さんにディーン・セキ、強敵・音尾琢真にデブの弟子…オマケにカンフーハッスルの仕立て屋さんまで登場。彼らがワイワイ動いてるのを観てるだけで楽しい。 蛇拳は蛇を真似た動きが特徴的で、酔拳と同じくらい“習いたい拳法”ですね。おなじみの修行も特徴的で、線香立てて指で腕立て伏せは、観ててこっちの指先が痛くなる。竹の先に置いた卵を、蛇の口でくわえる動作が美しくカッコイイ。オマケに蟷螂拳の達人も登場(螳螂拳使いはジャッキー映画では唯一無二かも?)するし、もう大満足のカンフー映画です。  大ヒット作の酔拳以降、拳法+コミカルさがマシ・マシになったことを考えると、形が綺麗で特徴的なこの蛇拳は、拳法部分の正統派っぽさもあって、観る価値が高いと思います。…もっとも、猫形蛇拳というミックス拳法になってしまうけど。 敵の鷹爪派が4人(音尾、色白、神父、謎の男)も出てきて、後半20分で一気に倒していくのも勢いがあって好き。気がつけばジャッキーの歯が無くなってるのも、迫力があっていいですね。…あ、歌がないこの映画!
[地上波(邦画)] 7点(2024-09-15 00:07:31)
8.  姿三四郎(1943) 《ネタバレ》 
黒澤明・初監督作品。私が観たのは79分版です。原作小説の連載からおよそ半年後に公開。1年後の再上映の際に、約18分ぶんがカットされていたそう。検閲で引っ掛かったシーンがカットされたのかな?なんて思ってましたが、戦争中の節電目的のため、上映時間を80分以下に短縮しなければいけなかったというのが、実際のところのようです。シーン同士の繋ぎ目的で入る文字の説明が、何とも盛り上がりを欠いてくれます。ここに説明文が入っている仕様なので、恐らくGHQの上映禁止が解除された'52年版なんでしょうか?  三四郎が強敵たちを倒し、最強の柔道家になっていく様子が描かれます。柔道と柔術の闘い。他流派との試合ということもあり、後のジャッキー・チェンのカンフー映画に通ずるものを感じましたが、そんなノリで楽しんでいい映画だと思います。 でも、私たちの格闘技の目が肥えてしまったのか、本作の柔道家も柔術家も、観ていてそんなに強そうにはみえません。相手が軽々と吹っ飛んでいく演出のせいもありますが、登場人物が“強い柔術家を演じている役者”から抜け出せていません。  時代劇(チャンバラ)や西部劇(撃ち合い)は、色んな人の手で、色んなパターンが練りに練られて、見得の切り方やカメラワークに工夫が重ねられ、熟成されていきました。そのため俳優が刀や銃の達人でなくても、格好良くみせる手法が確立していたんでしょう。でも柔道や格闘技は、まだ映画の題材として取り上げられていなかった時代というのもあり、誤魔化しが効きにくいのかも知れませんね。 それでも、短時間だったというのもあるけど、飽きずに楽しく観られました。
[DVD(邦画)] 6点(2024-08-19 23:35:16)
9.  スペースバンパイア 《ネタバレ》 
“LIFEFORCE”『生命力≒精気』。血ではなく精気を吸い取るので、字幕でも吸血鬼ならぬ“吸精鬼”となってます。でも原作は邦題と同じ“The Space Vampires”でした。映画に詳しくない上司(58)は、エマ・ストーンもグウィネス・パルトロウも知らないけれど、マチルダ・メイは知っていました。世代によっては、そんな身近な映画なんですよ、スペースバンパイアは。 劇場公開のとき『ハリウッド最新SF映画特集』みたいな番組が、ゴールデンタイムに放送されてました。そこでさんざん流されてたのが、ミイラ化した警備員が解剖医の精気を吸い取る有名なシーンと、解剖台から起き上がって警備員の生気を吸い取るマチルダ・メイのシーン。ここが何度も放送されていた記憶があります(※映像のインパクトが強かったため、記憶に誤差が生じている可能性アリ)。 ゴールデンタイムにおっぱい。マチルダ・メイの巨大なおっぱい。19歳の美しいおっぱいが、何度も何度も何度も流されてました。テレビ局の策略に見事にハマり、当時のお父さんたちは最新SFXの凄さを観てるフリして、おっぱいに釘付けだったことでしょう。私も「ハリウッドって色んな意味でスゲェ…」って思って観てました。  ふぅ…さて、何でしたっけ?そうスペースバンパイアね。マチルダ・メイと同じく印象深いのがカッコいいテーマソングです。宇宙空間に漂うスペースシャトルがカッコ良かったなぁ。当時の私は後半のゾンビだらけのロンドンの映像が怖くて怖くて…。バンパイアがターゲットを襲う所は大丈夫でも、誰彼構わず襲われるのが苦手で、自分があの場に居たらと思うと、怖かったんですね。あとは…あんまり覚えてないや。  先日偶然、中古DVDを見つけて、ついつい買ってしまいました。『無修正版』だって?あぁ、いわゆる“ヘア”が出てました。当時のはモザイクが掛かってたんでしょうかね?テーマソングはやっぱりカッコいいけど、スペースシャトル、あんな平べったかったなぁ?ハレー彗星ショボいな。でも宇宙船チャーチルの内部はお金掛かってます。何か他の映画のセット流用かなぁ? 吸精鬼が入ってるクリスタルをどうやって開けようか悩んでたのに、次のシーンではベッドで寝てるマチルダ・メイ。けっこう適当な映画なのを、マチルダ・メイのおっぱいが全部ひっくり返します。寝てても起きててもカタチの変わらないおっぱい。でも、エロさより美しさが勝るんですよね。マチルダ・メイもゆっくり動くから、おっぱいが揺れないので、あまりエロさを感じないのかもしれません。 ロンドンのゾンビ化は、警備員の生気を吸い取られた解剖医同様、2時間の命の吸精鬼たちなんですね。今見てもなかなか怖いです。でもそれより、TNGのピカード艦長(パトリック・スチュワート)が女声でカールセンとキスするところのほうが怖くて、目を背けたくなりました。
[地上波(吹替)] 5点(2024-08-11 14:25:18)
10.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 
楽器素人の少女たちによるジャズ演奏会映像(映画付き)。同時代のAKB商法に例えると、握手券がラストの演奏シーンで、CDが映画かな。正直、ウォーターボーイズと同じことやってます。同じなんだけど、オマケの映画部分は少し熟れて来てます。吹奏楽を経験された方たちにはボロクソに言われるのも解りますし、『ウォーター…と一緒だべ』と大人が眉をひそめるのも解ります。でもウォーターと違い、スウィングは、完全子供向け(学生向け)映画に仕上げてきました。ウォーターを観て、シンクロやりたいって男子は少ないと思いますが、この映画を観てジャズをやってみたいって子達は多かったですからね。そして学生向けの青春映画として、学生ビッグバンド結成のハードルを下げたのは大きな功績です。  彼女たちの思うジャズ=気取ったオッサンがブランデー回しながら聞くイメージをそのまんま竹中直人で観せ、一方で当時のゲーム・スペースチャンネル5のテーマ曲もジャズ(メキシカン・フライヤー)だった事を、スッと入れてます。 吹奏楽だと中学生からもう上手い子は上手いので、素人が高校から取り組んでもレギュラー入りは難しいけど、ジャズバンドは競合者が少ないから、頑張れば彼女たちのように…と希望が持てます。 学校にある高級な管楽器は吹奏楽部に取られていても、お小遣い貯めて中古で揃えることも出来るよ?あと最後、お揃いのブレザーなんて無くてもセーラー服で演奏するのもカッコイイよ?金銭面のハードルを下げてます。  主演5人の中に朝ドラの主役級を3人も入れてますが、メチャクチャ可愛いのを揃えなかったのも上手いです。貫地谷しほりより井上先輩の彼女のほうが可愛かったです。そして一番顔立ちの良い本仮屋ユイカを地味メガネにしてました。そして小太り娘に草食系の地味男子と、主要メンバー全員が“人生の2軍役”なんです。ダラダラと学生生活を送ってきた彼女らが、偶然にもジャズと出会って、彼女らなりに頑張った。泣いて馬鹿にされ失敗もした。だから最後あんなに輝いた。スカスカに観えて、案外スキがないですよね。 彼女らの実際の練習風景、努力の部分は、テレビの特番や円盤の特典映像で二毛作する腹づもりだったんでしょう。 集団食中毒から代打で素人ビッグバンドは、夏の高校野球の期間中にはムリ。ウォーターと同じ、抜けた仲間がワラワラと戻って来る演出は相変わらず説得力無し。コンクール参加できる・出来ないのハラハラ感が当時のバラエティ番組並みとツッコミどころも多いけど、ウォーターより良くなってます。
[地上波(邦画)] 6点(2024-07-16 11:55:58)
11.  スーパーの女 《ネタバレ》 
この映画を始めて観たとき「田嶋陽子に柴田理恵に…このスーパー毎回おんなじ客ばっか来るんだな」なんて思ったりしたけれど、この歳になって、まさか私も彼女らのように、週5でスーパー覗くようになってたなんて…。 ほぼ、棚が空っぽになることのないスーパー。『もうすぐ閉店だけど、あの大量に並んだ鮮魚、これからどうするんだろう?』そんな、とっても身近で、毎日の生活に欠かせない近所のスーパーの裏側を、ズバッと観せてくれます。 業界の不正、偽装、改ざんが新聞を賑わし、食の安全が注目されるようになるのは、本作の5年ほど後。実際に報道された食肉偽装の数々のテクニックに、感心するやら呆れるやら…報道やネットで、この映画よりも酷い現実を見せられました。  五郎と花子が変な踊りを踊りだすのは、今までの伊丹映画にない漫画チックな味付けでした。最初は楽しげで良かったんですが、複数回観せられるとクドく感じます。お揃いのピンクの自転車でチラシを配って回ったり、二人きりでサンタと小鳥の着ぐるみ着て遊んでるのとか、他の社員がドン引きしそうです。伊丹映画にしてはお色気要素の殆ど無い本作ですが、中年2人のベッドシーンは結構生々しい感じでした。恋愛コメディとしては微妙。 いつもの伊丹節&宮本信子の痛快キャラは健在で、花子がプライドだけの職人たちの鼻っ柱を叩き折っていく様は、なかなか痛快です。魚の血の混じった水を飲むシーンは迫力があってコッチまで「おえ…」ってなります。 新鮮な野菜で満たされた青果コーナーを誇りに思うキヨちゃん。自分の作ったタラコのおにぎりを美味いと言われて涙する社長。当時バブルは崩壊していましたが、庶民はまだお金を持っていた時代。急激な物価高と長引く低賃金のいまは、消費者も品質に妥協をしなきゃいけない時代。店側に騙されるのは嫌だけど、自分を騙して安物食材をカゴに入れざるを得ない現実が悲しい。  食がテーマの伊丹映画というと、たんぽぽが思い浮かびます。あちらは主に外食産業のお話で、一人の男が自分の外食経験からラーメン屋の女将を助けるお話でした。スーパーと言えば食材を買いに行くところ。本作は一人の主婦が、生活の中で培った知恵で、ダメなスーパーのダメな専務を助けるお話。 外食から自炊に。ラーメンの下手な女将は駄目スーパーの専務に。助っ人が男から女に。結構似通った点が多いけど、本作では伊丹映画らしく業界の裏側、闇の部分にスポットを当てているのと、今までの伊丹映画以上にコメディ色が強めに出ていました。 前2作がイマイチヒットせず、かといって今までの『〇〇の女』だとマンネリ扱いされる。この時期、伊丹監督も結構苦しかったと思います。今までの伊丹映画らしくないカーチェイスなんかにも、苦労の跡が見受けられます。それでも『たんぽぽ2』とか安易にヒット作の続編に逃げなかったのは、やっぱり凄い人だなと思います。
[地上波(邦画)] 6点(2024-07-06 00:01:21)
12.  ストリート・オブ・ファイヤー 《ネタバレ》 
“Streets of Fire”『炎の街路』。ストリートは道路というより『◯◯通りに面した街』が、イメージに合う気がします。 夜の似合うアメリカの下町。ギラギラしたネオンサインが、雨に濡れた路面に反射して、とても綺麗で幻想的な世界観を創り出しています。幻想的と言えば、この映画の時代設定がよく解りません。警官たちが乗るパトカーが'50年代のスチュードベーカーってマニアックな車なので、その時代の映画かと思いきや、『今夜は青春』にせよ『アイ・キャン・ドリーム・アバウト・ユー』にせよ、公開当時の年代('84年)にマッチした新しい楽曲です。  当時の日本の若者には、アメリカの文化もファッションも音楽も、日本のものより洗練された格好いいものに映っていたように思います。そんな中公開されたこの映画は、私より少し上の世代のハートをガッチリ掴んだようです。 その一方で本国アメリカでは大赤字だったとか。恐らく、ストーリーはシンプルで若者向け。でも時代設定はどことなく'50年代で中高年向けな辺りから、どの層をターゲットにした映画なのか、イマイチ伝わらなかったんだと思います。  でも日本では、アメリカの流行り廃りがリアルタイムに入っていた訳じゃなかったため、少し時代遅れのものでも、最新のものと同列にカッコいいものとして扱っていたのかと思います。 アメ車('50年代)とロック('80年代)がゴチャ混ぜの変な街が、日本人が思い描く『格好いいアメリカ文化』そのものだったのかもしれません。 このレトロでお洒落でカッコいい路線は、アメリカでもバットマン('89)で大成功するので、この映画は、ちょっと時代の先を行っていたんでしょうね。
[地上波(吹替)] 7点(2024-05-13 00:19:30)
13.  スプリット 《ネタバレ》 
“Split”『分裂』。23人もの多重人格(解離性同一性障害)を表しているんでしょうか? これ、公開当時に観ていたら感想変わってたかもしれませんね。何せミスター・ガラスの前の作品=アンブレイカブルの続編…というのを知ってから観てるわけですから、知らないで観てエンディングを迎えるのとでは、心構えが変わってしまいます。前もって続編だと知ってしまった以上、前作が、どこにどう絡んでくるのか、気になりながら観てしまいました。  結果、あの映画の続編だろうとなかろうと、本編には何の影響もないんですが、私の中で“シャマラン=最後に驚かせる”が定着してしまっていたため、却って『あ、作品内に絡んでくるんでなく、続編ってことがオチなんだ』って思ってしまいました。そのため誘拐事件の顛末を楽しめなかったように思います。  クレア達と違い、ケイシーは3人掛かりで戦うことを諦めてます。彼女の家庭環境から、“強いものとは戦うだけ無駄”と考えたんでしょう。幼少期から一方的な暴力である“狩り”を学んだケイシー。今の状況は自分が狩られる側。3人でもデニスには勝てない。それは叔父の性暴力と一緒。力に力で挑むのではなく…けど最後は力(ショットガン)で挑むことに。  最後のオチを抜きにすると、この誘拐劇というか監禁状態があまり緊張感がなかったように思えます。クレアもマルシアも、その場の思い付きで逃げ出して、すぐ捕まって。だし、24番目の人格との最後の戦いも、狩りの経験が活かせた戦いとも言えなかったし。狙いすまして一発で!とかじゃないもんな。 一本のサスペンス映画としては、ヴィラン誕生より、ケイシーの救出直後の方が気になったわ。彼女は今後、叔父とはどう向き合うのかな?そこくらいは本作の中で完結しといてほしかったわ。
[DVD(字幕)] 5点(2024-05-07 00:02:29)(良:1票)
14.  スペース・カウボーイ 《ネタバレ》 
“Space Cowboys”複数形なくらいで邦題まま。4人のおじいちゃんの若かりし頃、'50年代の音速実験機から始まり、宇宙開発をすっ飛ばし、現代に至る。旧ソ連がアメリカから盗んだ誘導装置を使ってたって設定が、実際ありそうで上手いです。レーガン大統領の時代に『スター・ウォーズ計画』なんてのがあって、まだ子供だった私は、現実がSF映画に一歩近づいた気がしてワクワクしてたのを思い出します。  アメリカも実現できなかった当時の計画を、ソ連がNASAから盗んだ技術で実現してたって設定は、あれれ?って思うけど、きっとこの世界ではアメリカも同様の核ミサイル衛生を打ち上げてたんでしょう。 マックやウィンドウズから進化してきたコンピューターの足跡とは違う、'80年代のロストテクノロジーはまさに驚きです。余談だけど、数年前にファミコンを買って時々遊んでるんですが、当時作られた中古のカセットを挿して電源を入れると、ほぼ100%見事に息を吹き返します。劇中「アイコン」がチームを“敵”と認識して攻撃態勢を取る様子が、今も元気なウチのファミコンと重なりました。  '50年代のX-2飛行実験シーンが短いので、誰がどんな担当なのかイマイチ掴めなかったけど、おじいちゃんたちが頑張って訓練して、世論とか努力以外の面でも後押しされて、みんなで宇宙に行くシーンは夢があります。さすがベテラン俳優4人、シャトル内の無重力演技もサマになってました。 この年代の作品で、スペースシャトルに乗って、落下物から地球を救うシナリオのお約束。この映画もソレだったけど、オープニングのホークと月への思い、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が上手に作用して、しんみりしない清々しさを感じました。 シャトル着陸はやり過ぎにも思えたけど、若造どもを追い出してチーム・ダイダロスでやり遂げるんだ!って場面を入れるための演出でしょうね。 最後の月面シーン。ホークが辿り着けたかどうか?を後の考察に委ねるのも良いけど、おじいちゃんたちには悠長に考えてる時間はないんだよ!って意味で、思いっきり観せたんだろうと思うと、ちょっと微笑ましい演出。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-22 10:20:22)
15.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 
Ⅰでヒーローの強さを散々見せ、知能派のライバルとの対決。ヒーローのピンチ。オマケにお色気と、ヒーロー物に不可欠な要素をかなり突っ込んできました。でもⅠに欠けていて、一番盛り上がる展開は、やはり強いライバルの登場でしょう。 前作で顔出し程度に出ていたゾッド将軍一味が地球にやってくる。しかも各々スーパーマンと同じ能力。これは盛り上がりますね。初めて地球に降り立った時の、将軍たちが自分の能力に驚く描写は見事。この時の水面を歩くシーンやホワイトハウス襲撃の時「オー・ゴッド!」「ゾッドだ」まさに神降臨な演出。サイヤ人襲来以降のドラゴンボールに良くリスペクトされている。  一方スーパーマンは、ロイスにアッサリ正体がバレて、アッサリ付き合って、アッサリ超能力を捨てる。これまたヒーロー物の定番展開。前作のライバルのレックス・ルーサーの登場もイイ。 ただ惜しいというかちょっと残念なのは、ゾッド達とスーパーマンの戦いがあまりにヌルいこと。ドラゴンボールを引き合いに出すと、まるでカタルシスが無い戦闘シーン。時代といえば時代なんだけどね。3人の倒し方がとてもアッサリしていて、スーパーマンの機転で大逆転は良いんだけど、あれれ??って感じ。ルーサーもついでみたく退場。多分死んじゃいないだろうけど、こんなインパクトのある悪役をここで終わらせるなんて、もったいないなぁ。  ⅢとⅣは昔観て、さっぱりだった印象があったけど、ⅠとⅡは前後編として作品としてのクオリティを維持している。このⅡは途中降板したリチャード・ドナー監督版が、後年に創られたそうで、なんかそちらを観て正しい評価をしたいかな。
[地上波(邦画)] 6点(2023-08-04 23:12:18)
16.  スーパーマン(1978) 《ネタバレ》 
“Superman: The Movie”はデイリープラネット社のレイン記者が“A FRIEND”と名乗る超人的能力を持つ人物に付けた名前。地球人としての名前は『クラーク・ケント』で、その正体はクリプトン星人の『カル=エル』。 '50年代前後に、何度か映画化やアニメ化、ドラマ化を経て、決定版として本作が創られた感がありますね。電話ボックスで変身しようとしたら公衆電話(スタンド)化してたなんて、時代を感じさせる遊び心も感じられます。 ストーリーを完全再現する方向性なのか、我らが知るスーパーマンが登場するまで50分も掛かります。クリプトン星の滅亡からクラーク・ケントの学生時代、両親との別れなんかが描かれるんだけど、ゾッド将軍の追放とか、本作だけだと意味不なシーンも入ってますね。 アメコミ変身ヒーローの王道作品で、ジョン・ウィリアムズの有名なスコアも映画を盛り上げます。そして何よりスーパーマンのヒーロー性・真面目なキャラ設定も、王道一直線って感じです。 王道のスーパーマンに比べたらバットマンは根暗。フラッシュ・ゴードンはウスノロ。スパイダーマンはいけ好かないマイペース野郎…  子供向け変身ヒーロー映画の王道作品なんだけど、時代に沿って取り入れたのが“お色気要素”。ハスキーボイスでキュートなロイスに、劇場に子供を連れてきたお父さんも釘付けです。 路上強盗を蹴り倒すロイス。スカートからスラリと伸びる足を収める絶妙なカメラ位置。 そう来たらヘリコプターからぶら下がるロイスを見上げる視線に期待しないわけがない。見えそうで見えない演出がニクいですね。 シースルー・ドレスに夜空の散歩。そうか、ピンクなのか。 ミス・テシュマッカー(吹き替えだとのび太の声だった)もシースルー・ドレス。大サービスでプールにドボン。子供向けなのにミス・テシュマッカーの胸が。 でもキスシーンの可愛さに、普段なら目くじら立てるお母さんも大満足。わかるわその気持。 スーパーマンのピチピチのコスチュームが、水に濡れてハッキリ観えるムキムキのボディライン。そういやピッタリした赤いパンツもセクシーです。 この映画をキッカケに、後のアメコミヒーローの映画化に、必要不可欠な要素(お色気)が決定した!と言っても過言ではないでしょう。  この流れで書くけど、カル=エルって性格歪んでます。 ロイスが派手なスーパーマンに惚れてるのを知っていて、地味な友人クラークを演じて、ロイスの心を探って楽しんでます。 ここに来て、必要性が不明だったクラークの学生時代、アメフト部で虐められていた描写が、彼の性格が歪んだ理由として見事に立ち上がってきます。 う~ん…スーパーマン=アメコミヒーロー映画の王道。…なんて安易な言葉で片付けちゃいけない、闇の深さを感じますねぇ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-07-10 14:36:16)
17.  スパルタカス(1960) 《ネタバレ》 
-Spartacus- 人名。確か中学生くらいにのときにテレビのロードショー(前後編)で観ました。大規模な行軍や戦闘が素晴らしく、スケールの大きい歴史大作として印象に残ってます。  ホント久しぶりの鑑賞。オープニングの「奴隷制度の崩壊が現実となる2000年前だ」ってところが凄い。確かに歴史を俯瞰してみるとそうなるか。 そしてスパルタカスの反乱のキッカケとなったのが、対戦相手で黒人のドラバによる命を懸けた抵抗だったこと。勝算なんて無いのに貴族席に矛を投げ襲い掛かった。この勇気がスパルタカスら奴隷たちに伝わり、大規模な反乱となっていく。 でも、中学生当時は反乱軍とローマ軍のどっちが勝つかハラハラしてたけど、最初から勝つのは無理な反乱だったんだな。  キャンプを張る反乱軍の丘を馬に乗ったスパルタカスが悠々と歩くところが好き。訓練するもの、食事の支度や子供を風呂に入れたり。奴隷で一生を終えるハズだった人たちが、あの場所で自由に生きているところ。それぞれが好き勝手に生きるのではなく、勝ち取った自由だからこそ、みんなの食事を作り、戦いに備えて訓練する。海の先への脱出が最終目標だったにせよ、あの丘の場面こそがスパルタカスたちが勝ち取った自由だったように思う。だから最後、勝てないのは解っていても、自由のためにみんな戦ったんだろう。みんながスパルタカスを名乗って立ち上がるシーンは覚えてたけど、今回観ても涙が出た。 最後のグラッカスのしっぺ返し。バリニアとの再会は覚えてなくて、トドメのボロ泣きしてしまった。
[地上波(邦画)] 8点(2022-10-01 23:30:40)(良:1票)
18.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
-It's a Wonderful Life- “それこそが素晴らしい人生”とかだけど、良い邦題です。なんか名画感が溢れてる邦題。 クリスマスイブに天使が現れて、自分の存在しない世界を観せてくれる。バック・トゥ・ザ・フューチャー2で観た“もしも”の世界が、こんな戦後間もない映画で語られていたのは驚き。  自暴自棄になり、家族に八つ当たりし、死んで責任を取ろうとしたジョージ。自分がこの町に与えてきた影響。自分の存在意義。よほど自意識過剰でもないと、自分では気が付かないものなんだろう。 いま、この時代に生を受けて、時代とともに生きることの喜び、素晴らしさ。左耳は聞こえなくても、世界中を飛び回る仕事は出来なくても、8,000ドルが出てこなくても、今自分が存在する“この世界”こそが、掛け替えのない最も素晴らしい世界なんだ。 何度もイライラした階段の装飾がカポっと取れることさえ愛おしい。 死を選ぶほどの絶望的な状況も、本人の受け止め方次第で、死ななくても何とかなるさ。と前向きに捉えられるかもしれない。  今までの過去の自分が、たった一つしか選べない選択肢の中から“そうするのがベスト”と考えて、選んできた結果が、今の自分。 それはきっと、自分が選ばなかった沢山の選択肢より、きっと素晴らしいものに違いない。 自ら死を選ばない限り、自分で選んだベストな人生は続いていく。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-06-12 22:25:03)(良:1票)
19.  スターリンの葬送狂騒曲 《ネタバレ》 
-The Death of Stalin-“スターリンの死”。邦題と日本版予告編の作りから、もっとゲラゲラ笑える作品だと思ったけど、案外、終始『ふふっ』ってなるくらいに抑えられていて、実際にあったことを割とそのまま描いている(そのままでも笑えてしまうほど雑な当時のソ連の内情)…のかもしれない。ピアニストのメモとか、急造の医師団とか、どこまでが創作なんだろう?  独裁者スターリン。もっとガチガチに自分にも厳しくしてたのかと思いきや、『さっきのコンサートのレコード持って来い!』とか、閣僚たちと遅くまで酒宴開いてて、こんなワガママと贅沢のし放題だったのかと驚かされる。 過去に何十万人も粛清され、現在進行系でバンバン殺されていく国民。そんな国でコンサートが行われてるとか、スターリンの国葬に多くの国民が参列しようとモスクワに集まってくるとか、抑圧されてるんだか自由なんだか、外からはよく分からないソ連の内情が出ていたと思う。でも、国民は簡単に殺されるんだよな。怖いなやっぱり。  勉強不足で、登場人物ではフルシチョフ(の名前)くらいしか分からず、人間関係の整理が追いつかなかったかな。 中心人物のベリヤが、粛清の中止など、国民側からすると人道的に動いていたようにも見えたけど、最後の裁判の罪状で数々の強姦罪が突然出てきて、それが本当なのか、フルシチョフらに罪を擦り付けられたのか、この映画だけではいまいち判断付なかった。“スターリンが死んでゴタゴタしたのは解った。けど、ゴタゴタに終止して結局どんな方向への舵取りに収まったのか?”が、もっとハッキリ解ればなぁって思った。  エンディングの、写真に映る人物に黒塗り加工していく様子が、なんかソ連っぽい。 子供の頃は鉄のカーテンとか言われて謎だらけのソ連だったけど、あの写真の加工のように雑な隠し方から、じわじわと隠された真実が表に出てきて、その途中経過的な作品と思えば、コメディ要素を取り入れた歴史検証映画って言えるかも。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-12 15:34:07)
20.  スターシップ・トゥルーパーズ 《ネタバレ》 
~Starship Troopers~宇宙船の突撃部隊。宇宙の戦士ってSF小説が原作。 少年「僕だって戦うよ!」兵士たち『ハハハハ!』コレです、このワザとらしい演出。ヤラされてる感がキモい。 兵士の手から弾丸を貰い、嬉々として軍用ライフルを構える子供たち。死刑の生中継が娯楽になり、ゴキブリを踏み殺すとママ大喜び。 「良い虫は死んだ虫だ!」実際の災害現場で決めゼリフ。まるでバラエティ番組のような死者数のカウント。WARの文字の入り方。 人類が先に戦争仕掛けたって?虫相手に戦争を?そんなの成立するの?なんか、素直に信じられんのですけど…  軍事政権下、恋にスポーツに、若者らしい青春を謳歌したあとは、秀才もバカも当たり前のように軍に入隊する。 男も女も全部平等。訓練も食事も寝る部屋もシャワーも一緒。これならフェミニストも文句ないべ? 参政権ほか魅力たっぷりな市民権を得る為に、良く解らん巨大昆虫と戦ってバタバタと死んでいく若者たち。 走る兵士の息づかい、勇ましい音楽、飛び散る手足。死の生々しさがダイレクトに伝わる。戦車?パワードスーツ?そんなのもったいない、銃持った人間使った方がコスパ良いし…ってかい。死に方グロいわ。無残で恐いわ。観てて過呼吸になりそうだったわ。 巨大な宇宙船の発進シークエンス。宇宙ステーションに漂う被弾した戦艦たち。轟沈するロジャー・ヤング、宇宙に吸い出されるクルーたち。脱線する脱出ポット、宇宙を漂う死体。なんだこの作り込み具合は。 「恐怖心だ…怖がってるぞ!!」『イエアー!!(空に銃バババッ)』ISISか?何と野蛮な、何て無慈悲な、テンション下がるわ。 目の前でボーイフレンドが脳みそ吸い取られて死んだ直後、自分がフった元カレと笑顔でズッ友宣言。変態だ。コイツら絶対変態だ。  主人公側の勝利なのにこのモヤモヤした感じ、一緒に喜べない感じ。この血みどろの戦いを、一歩引いて、戦争とは無縁の安全な場所で観る私らの感覚。 考えたら人類の歴史は戦争の歴史、長い歴史から見ると、今の私たちみたいな平和な状況が稀で、一見野蛮な彼らの姿が、本来の人間社会、人間の本質なのかもしれない。だって彼らのその気持ち、ちょっと理解出来てしまうから。そして“あぁ、平和な国・平和な時代に生まれてよかった”って再認識。 しかし何て映画だ。作った人間も変態だわ…って何だバーホーベンか。スゴいっす。
[DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 18:21:20)(良:1票)
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