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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  戦火の馬 《ネタバレ》 
冒頭、広大なアイルランドの風景が映し出される。この映画が「馬の映画」であることもふまえれば当然のようにジョン・フォードが頭によぎる。しかし一向に(あきらかな)フォードらしい画や(あきらかな)フォード的展開は見当たらない。と思っていたら高地の荒地を耕す様に、おぉ『ヨーク軍曹』(ハワード・ホークス)だ!と。その後のフランス戦線の風景までもがそっくりだ。馬(ロバ)を買い戻すなんて件もあったりと、えらく『ヨーク軍曹』との共通点が多いのはやはりオマージュと考えていいように思う。そう考えると動物をからめたコミカルなシーン(少女の馬調教シーンやアヒルの攻撃)も少女がじゃじゃ馬なのもいかにもホークスだ。と、書いておきながらこの映画で真っ先に想起したのはディズニーの実写動物映画『三匹荒野をゆく』だったりする。動物が人のように思考し行動する様は往年のディズニー映画そのものだ。波乱万丈な馬の生涯の中で出会う様々な人物たちがわかりやすく顔が大写しにされることからも子供にも受け入れられる大衆映画たらんとしていることが伺われる。大人にとってはやや感動の押し売りが気になるも、映画ってそもそもそういうもんじゃんって気がしないでもない。ラストシーンは人間を見つめる馬の顔。母馬から引き離された馬はオレンジの空をバックに人間たちが見せる家族の絆をどう思って見つめているのだろう。と、大人思考で感慨にふけってみる。
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-18 17:21:27)(良:1票)
2.  宣戦布告
一生懸命にストーリーをなぞっているという感じ。戦闘シーンを見せたい映画でないのなら中途半端に見せずにバッサリ切っちゃって事後のニュース映像とかで進ませればいいのに。反対にアクションで盛り上げたいのなら首相近辺の右往左往をいちいち画面に映し出さずアクションにしっかり時間と金をかければいい。結局のところ物語に出てくる人たちをいちいち映さなきゃならないという前提でもあるかのようなちんたらした作品になっている。お話の面白さを映画で見せたいという気持ちはわからんでもないけど、映画は映像と音によってお話の面白さ以外のものも作れるのだ。例えば恐怖感であったり緊張感であったり躍動感であったり・・・。そういったものがお話の面白さを補完してゆくことにもなり、お話とは違うところで映画が充実してゆくのだ。あと、国家の決断にしても指揮系統の混乱にしても戦闘における死にしてもいちいちドラマ仕立てというか、演出がくさい。
[DVD(邦画)] 4点(2011-11-10 14:27:32)
3.  ゼロの焦点(1961)
この内容で95分は凄いなとは思うんだけどナレーションで手早く説明することで達成できた数字なので手放しで褒めるわけにはいかない。とは言うものの原作ありの邦画サスペンスは大抵ナレーション過多が当たり前で、よほど原作に縛られない自由な環境を与えないかぎりはしょうがないのかなとも思う。列車、音楽、愛情のもつれ、崖で顚末がわかる、と完璧に後の火曜サスペンスあたりに受け継がれた鉄板アイテムを堪能してください。ロケーションも時代を反映していて楽しめます。
[DVD(邦画)] 5点(2011-11-09 15:33:47)
4.  戦略大作戦
評価悪いだろうなあと思って来たら意外に高評価でビックリ。私も好きっすねえ、これ。地雷を探しながら進んでゆく場所、敵の偵察が来てそこから大銃撃戦が始まるところがいい。どこかダラダラとした展開がここで一気に緊張感が高まり、一気に動きが増す。ドイツ軍のタイガー戦車といよいよ対決ってところもいい。緊張感を煽るラロ・シフリンの音楽が効果的に使われています。(ちなみにこの音楽、『イングロリアス・バスターズ』の映画館内でヒットラー暗殺計画が遂行されようかってときに流れるんだけど、あいかわらずのタランティーノの選曲センス&映画オタクぶりに脱帽。)で、その対決の最終的な決着のつけかたが、そんなのありかよ!なんだけどもう最初から戦争映画なのに愛国心もクソもない内容なのでこの決着しかないなとも思うわけで。イーストウッドが出てる映画ってけっこう長尺のものがあるんだけど、全然だれない。たぶんイーストウッドはいるだけで様になってるってのが一つある。さらにそのイーストウッドを食おうかいうくらいのキャラの相棒とか敵キャラの存在も大きい。ここではもちろんサザーランド。
[DVD(字幕)] 7点(2011-06-03 13:48:52)
5.  青春の蹉跌
ショーケンのキャラの見せ方が神代監督的というか。物語に沿ってキャラが確立してゆくのではなく物語から独立した台詞や心の声によってキャラが語られてゆく。遺作『棒の哀しみ』はより顕著だったけど、主人公の台詞が最も雄弁に語っているのは主人公のキャラクターそのものなのだ。そのあたりは独特で面白いのだが、これについてはどうも作品を被う初期ゴダールへの目配せが他の作品よりも色濃いせいでいちいち鼻についてしまった。手持ちカメラで捉えられる青春劇といい、歩行者天国でのゲリラ撮影(?)といい、喫茶店の長回しといい、政治的背景をちらつかせたりといい、せっかくの神代色が安っぽい模倣で台無しにされたように感じた。見直せばまた評価が変わるかもしれないけど、とりあえず見た当時の点数で。
[ビデオ(邦画)] 4点(2011-02-17 15:13:52)(良:1票)
6.  せかいのおわり 《ネタバレ》 
中村麻美が男にふられて渋川清彦と長塚圭史が住んでるところに転がり込む。映画はここから始まるがどうやらこの展開は毎度のことらしい。ここ、わからせるのがさりげなくてよい。渋川はいっしょにいる女の子を放って中村をなだめる。これもまた毎度のことのようだ。長塚は事後処理をする。これもまた然り。そして三人の生活が始まる。そしてまた中村に男ができるとこの場所を出てゆく。このサイクルが三人の「せかい」の摂理なのだ。三人ともがこの「せかい」に安住しながらもこの「せかい」が自分たちにとっての理想郷だとは思っていない。だからそれぞれにこの「せかい」をおわりにしようとどこかで思っているのかもしれない。一人にとっての理想郷は一人にとってのみの理想郷でしかなく、それは「せかいのおわり」を意味するのだ。実際には何度目かの、映画の中では二度目の、中村が男にふられる場面がやってくる。中村はこの恋で「せかい」をおわらせようとしたがそれは成されなかった。渋川も「せかい」をおわらせようとするが「せかい」の心地良さを手放せない中村によって阻止される。「せかいのおわり」は免れたようにみえた。だがここに長塚がいなかった(出張で!)。「せかい」は崩壊してしまう。「せかい」を崩壊させて新たなる「世界」を作り出すとき、人はそれを大人への成長というのかもしれない。しかしどうやらこの三人、同じ「せかい」を再生させてゆくのかもしれない。それを人は「青春」なんて言うのかもしれない。堂々巡りの中に何かがあるのかもしれないという希望、いや、錯覚。居心地の良い場所から抜け出せない、大人になりきれない現代の大人の青春物語。傑作。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-04 13:48:33)
7.  ゼイリブ
今まさに日本で問題となっている格差社会の原因が暴かれる!なわけないんだけど、そこに堂々と宇宙人をもってくるあたりの幼稚さというか浅はかさこそがカーペンター映画の売りで、メジャーな監督でありながら新人監督が低予算で作る類の映画を恥ずかしげもなく撮ってしまうところに彼の偉大さがある。このB級SFは「百聞は一見にしかず」ということわざを如実に実証する展開が最高の満足感を与えてくれている。「ほらね」「言ったでしょ」ってやつ。その展開に不可欠な、というかそのためだけにあるアイテム、サングラスのチープ感がまたいい。カーペンターにとってここはどうでもいいわけ。実際、途中から特殊なコンタクトレンズになってサングラス消えちゃうし。もちろんどんな構造になってるかなんか知ったこっちゃない。そのあたりのテキトーさがいい。映画にはなんら問題がない。ディテールへのこだわりは映画以外のものが映画を持ち上げるだけで映画そのものが良くなるわけじゃない。少なくともカーペンターにとっては。それを考えずにできるのがこの人の強み。
[DVD(字幕)] 7点(2010-06-24 14:13:43)(良:1票)
8.  ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲
仲里依紗が挑発ポーズで歌い踊るシーンがたっぷりとあるんだけど、たっぷりあるのも頷ける歌唱力とダンスパフォーマンス。あのふくよかなお腹には個人的にそそられはしないんだけど、これ見よがしに映し出されるボンレスハム状態のお肉はそうとうにエロい。見てはいけないものが映し出されているような、そんな気恥ずかしさがある。ストーリーもストーリーを中断させるギャグも世評の悪さとは裏腹にけっこう気に入ってます。でも「白馬の家」の二人と喪黒福造のような都知事のセリフ過多がどうにもこうにも。たしかにセリフ過多は子供向けヒーロー番組っぽくもあって、もしかしたらわざとしているようにも思えるのだが、そもそもセリフ過多の要因でもある「続編」であることに問題がある。むりに前作から繋げなくともよい。辻褄を合わせるためのいろいろがかなり鬱陶しかった。ホントは25歳のすみれちゃんを演じた子役の子の顔はどこか若かりし原田美枝子を彷彿させて今後が楽しみ。
[映画館(邦画)] 5点(2010-05-24 14:44:51)(良:1票)
9.  センチュリアン
以前見たロバート・アルドリッチ『クワイヤボーイズ』(1975年)と似ている部分が多いなと思ったら原作者が同じでした。「センチュリアン」は原作者(ジョセフ・ウォンボー)がロス市警在職中に書いたものらしく、前半の「警察24時」ばりの他愛のない事件も含めた日々のパトロール風景は実に生々しく描かれており、映画がどこまで原作に沿っているかは知りませんが原作にあるだろうリアルな風景はじゅうぶんに再現されているように思いました。それでいて本作の真に素晴らしいところは登場する警官たちの人となりをその日々のパトロール風景のみで描ききっているところ。ステイシー・キーチ演じる主人公のドラマの行く末はいたってありがちなんだけど、ストーリーを構成する人物、出来事のこれ以上ない合理的な配置には唸らされる。一瞬で緊張のボルテージを上げる一発の銃声といい、凄まじいカーアクションといい、魅せどころもしっかりと用意されている。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-19 17:39:35)
10.  千年女優
回想と現実、そして回想の中の映画と現実が交錯、あるいは同居しながら展開してゆく構成が面白い。これが実写映画だったらどんなに驚いたか。この作品はたしかにビジュアル的には最先端なのだろうが、アニメーションであることの優位性を見出していない。この後に作られた『東京ゴッドファーザーズ』もどちらかというと実写映画っぽい描写にあふれていたのだが、あの映画には「突風」というアニメーションでしか作り得ないシーンが最も重要なところで登場している。今回はそういったアニメーションの優位性をあえて封印した実験作だったとしても、その挑戦する気持ち以外は評価しかねる。せっかく持っているスペシウム光線を封印して背負い投げで怪獣をやっつけたって面白くもなんともない。話は大きく飛んで、最後のセリフがクローズアップされる理由がイマイチわからんのだが、あそこで自分を肯定して終わるのはすごく真っ当だと思うのだが・・。不満を言うならそれを「セリフ」でやったってことだ。
[DVD(邦画)] 5点(2009-12-01 15:04:55)
11.  セルピコ 《ネタバレ》 
憧れの警察官になったセルピコはけして強くはなく正義感だって人並みにしか持っていないごく普通の男である。警察全体に蔓延する汚職が異常に過ぎるのだ。だから賄賂を受け取らないという当たり前の行動が異端視される。犯人逮捕に合理的と判断する髭面や浮浪者のような装いも異端であることを増幅させる要因となってしまう。当たり前の行動が出来ない状況で当たり前のことをすることの困難が生々しく描写されてゆく。正直者が馬鹿を見るとは正にこのこと。正しいはずの行いをすればするほどに孤立してゆき、誰かが手を差し伸べてくれるはずという見込みも打ち砕かれ、つまはじきにされ、罵声を浴び、仕事にも支障をきたす。その流れが実に説得力がある。巧い。顔前にヌッと出てくる黒光りした細い銃身の不気味さ。頬から噴出す血。どアップになったパチーノの薄茶色の瞳の美しさ。一つ一つのカットがドラマを越えて印象に残る。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-18 15:46:40)
12.  セントラル・ステーション
ラジオを盗んだだけで射殺される国。ストリートチルドレンと人身売買。ブラジルの抱える社会問題がさらけ出される。この作品のいいところはこれらの諸問題を前面に出さずに、また語らずに、それでもしっかりと見せるところにある。都会から田舎へと移動するロードムービーはさらにブラジルの様々な顔を見せてゆく。代筆という仕事はブラジルの教育問題をもさらけ出しているが、同時に様々な顔を見せるブラジル中を繋ぐ重要な役割をこの女性が握っていることをわからせてゆく。そして田舎での代筆で、無条件に神に感謝する言葉、愛する人を想う言葉に「信じる」ことの素晴らしさを発見する。代筆、都会と田舎、子供、旅、それらは物語を感動的に盛り上げる一方でブラジルの現状というものを映し出す重要な駒ともなっている。いろいろな意味でよく出来た話。惜しむらくはユーモア。このおばさんと子供がなかなか魅力的なデコボココンビなのだが、このコンビならもっと楽しいシーンがあっても良かったように思う。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-09-30 12:57:46)
13.  セカンド・サークル
旧体制の軍人であった父に反発し家を出た青年が、父の死を聞き返ってくる。すでに死体となった父との対面後、死体が事務的に処理されてゆく様が延々と映される。旧体制の人間の死を「無」として描くところに社会の隠喩があるのは明らかなのだろうが、ひたすら長回しで映される淡々とした死体処理の段取りは正直退屈であり、眠気を堪えるのに苦心した。思い返せば、その段取りに翻弄される青年の物語には面白いところもあったかもしれないが(もちろん物語そのものが面白いのではなく映像の中に面白さがある)。惹かれるのはモノクロの黒の真っ黒さと白の真っ白さとそこに被さる生活の音と無線機からのノイズが奏でる虚構と現実とが均衡している画面そのもの。
[ビデオ(字幕)] 6点(2007-10-16 12:01:29)
14.  前世紀探険
三葉虫のいる時代へと順々に遡ってゆくだけで、はっきり言ってつまらない。子供にとってもたぶんつまらない。と思っていたが、最近うちの子供が実家から懐かしいものを見つけて持ってきてふと考えた。持ってきたものというのが、私が子供の頃に行った遊園地にあった「恐竜博」のパンフレット。パンフレットを見ながら当時のことを思い出したが、その「恐竜博」には本物のわけがない骨と、いかにも作り物の恐竜たちがいただけの陳腐なものだったはず。なのに何度も何度も足を運んだのをよく覚えている。その当時にこの映画を見たらどう思っただろう。やっぱり映画の中の少年たちと共にこの冒険を楽しんだんじゃないだろうか。目の前に生きた恐竜がいる、マンモスがいる、巨大なトンボがいる、と興奮したんじゃないだろうか。この作品にはストーリー上のドキドキとかワクワクは無い。ただずっと見たかったけど見ることができるはずもないものを見る、その「見る」ことの感動だけを伝えている。大人になるにしたがい失くすものって確実にあるのだなと、なんとなく寂しい気分になると同時に、子供たちに「見ること」「経験すること」の感動をこれからおもいっきり味わってほしいと思う今日この頃。まだ私には感動する子供たちを見て感動するという楽しみがある。
[DVD(字幕)] 6点(2007-08-23 10:48:13)
15.  セブンス・コンチネント 《ネタバレ》 
これはデビュー作になるのかな?ハネケの作品の中では一番面白かったかも。面白いという表現が極めて不似合いな作品ではありましたが。身の回りの何もかもを捨て去って心中した家族、という実際にあった事件を描いてはいるが、なぜ心中に至るのかその原因は描かれない。その原因を誰も知らないから。知っているのは何もかも捨て去ったという事実だけ。映画はその事実だけを映す。つまり捨てられ、壊された物を。あるいは捨てられ、壊される以前の物を。扉を開ける人は映されず、廻されるドアノブだけが映される。朝食をとる人は映されず、スプーンで運ばれるフレークが映される。生活はひたすらシステマチックに見え、画面は常に無機質で無感動を装う。しかしいよいよ最終局面というところで死のうとするその「必死さ」が痛々しく飛び込んでくる。意図されたものかは知らないが、機械的な生と人間的な死が豊かなコントラストをもって描かれている。痛々しく描写する、、、ということは、第七の大陸を目指したこの家族をこの映画は否定していると言えるのだと思う。救いを見出すとすればそれだけである。
[DVD(字幕)] 7点(2007-06-25 13:56:33)(良:1票)
16.  千姫と秀頼
大阪夏の陣から始まる冒頭に荒々しい合戦シーンやかっこいい殺陣を期待したのだが、いつまでたってもそんなシーンはなく、ちょっと拍子抜け。『千姫と秀頼』とあるがあくまで「千姫」の物語であり、昭和の大スター美空ひばりの映画だった。とは言うものの、美空ひばりがこんなにも美しかったのかということにまず驚き、こんなにも演技がうまかったのかということにまた驚いた。最後の、家康と秀忠の前で舞う姿の凛々しいこと。そしてこのシーンの緊張感がまた凄い。テレビで懐かしの映像とかで見る美空ひばりで、こんなに美しくもかっこいい姿を見たことない。これもマキノ演出の賜物なのだろうか。大作感がある反面小気味よさがなく、好みの作品とは言い難いがそれでもじゅうぶん楽しめました。
[映画館(邦画)] 6点(2007-01-05 13:23:57)
17.  世界
貧しい農村から夢を持って北京にやってきたはずの登場人物たちは、世界に開放をアピールする中国とは裏腹に、誰もが閉じられた世界で生活に追われるだけの毎日を過ごす。そしてその生活に慣れてゆくことの怖さ。「世界」とはほど遠い「世界公園」という極めて閉じられた環境で各国の華やかな衣装を身に纏うダンサーと「世界公園」の警備主任のカップル。彼らはここに長くいすぎたために外国へ飛び立つ知り合いを見送ることしか出来ない。カメラがとらえる二人の長い沈黙が「どこにも行けない」「なにもできない」「なにも見えない」、そんな二人を浮かび上がらせる。北京オリンピックを控える中国において、しかしそのほとんどの人が生まれた地から出てゆくことなく一生を終えてしまう現実を若い男女の物語の中に露呈させる。携帯電話をかけたときに女の心情を表現するアニメーションは正直どうなんだろう?と思うものの、どおってことのないシーンの連なりがとても印象に残るいい映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2006-12-05 14:22:26)
18.  接吻泥棒
実にアホらしい。でも実に楽しい。まずお話がアホらしすぎる。そのアホらしさがスピーディに展開される。セリフも早口だけど、早苗光子の変わり身も早いけど(笑)、やっぱり展開が早い。一人目の女のところにいたかと思えば次のシーンには二人目の女のところ。その間の行程が省かれる。省いて省いて省きまくる。だからやたらドタバタして、アッという間に終わっちゃう。実に愉快。実に爽快。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-14 12:51:42)
19.  青春残酷物語
ゴダールをして「本当のヌーヴェルバーグは自分やトリュフォーよりも先に作られた大島の『青春残酷物語』だ」と言わしめた傑作。見事に時代を映し出し、姉と妹両者の青春の傷を浮かび上がらせる。これまで「きれいごと」しか描かれなかった青春像をひっくり返し、あり余る力のはけ口を求め暴力とセックスを繰り返し、強さと弱さをさらけ出した若者像。あやふやで危なっかしい本能が溢れんばかりに画面を覆う。映画自体がものすごいパワーで何かに反発しているかのような作品。もちろんその根底には大島自身の体制への反発があり、それをストレートに映画にしたことだけでも松竹ヌーヴェルバーグの名に相応するかもしれないが、それ以上にその体制への反発と自業自得の男女の成り行きとの絡ませ具合がまた繊細にして絶妙なのである。
[映画館(邦画)] 7点(2006-09-04 16:18:10)(良:2票)
20.  蝉しぐれ
ヨメさんが原作をラジオドラマで気に入って借りて見ました。監督を含めた製作者側の原作に対する愛はわからなくもないですが、その結果原作につらつらと綴られる出来事を並べただけというのではなんのための映画なのかわからない。だいたい、なんなんだ!あの嵐の夜の真上からのライトは!!なんのための松明よ!!どうしてゆらゆらと揺れるオレンジの光を当てないのかなぁ。たしかにストーリーの中には日本の美があるかもしれない。でも画面からは全く伝わらず、手抜きだけが目立った作品でした。
[DVD(邦画)] 2点(2006-08-29 10:36:53)
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