1. 千年女優
場面やら状況やらが突然変わる(と言うより交錯する)独特の手法を見ていると、さすが『PERFECT BLUE』の監督だなと思います。前作と違って安心して見ることができる話の内容が、個人的に良かったです(テンポの良い展開とあの独特の手法が良い具合にマッチしてとても面白かったです)。ただラストのあのセリフに関しては、個人的に拍子抜けの感じがぬぐいがたかったです。今監督は個人的に期待しているので、新作が発表されれば見に行くつもりですが、それでも「次はどう出るのだろうか」という多少の不安を感じないでもありません(老婆心ながら、『PERFECT・・・』といいこの作品といい、「アイディアで勝負」という面が結構強いので、「次」のアイディアが前二作に比肩するなり凌ぐなりできるのかと、心配になってしまいます・・・まぁこんな心配は、一視聴者としての僕の想像力の貧困を物語るだけで、たぶん今監督は今度も十分楽しませてくれると思いますが) 6点(2003-11-12 23:08:00) |
2. 戦場のピアニスト
長い映画なのに思ったほどその長さが気にならず、最後までのめり込んで見ました。ただ内容に関しては、あまり心動かされるところがありませんでした(これは映画の内容が実際に希薄だということではなく、もちろん僕の「個人的な感じ方」の意味です)。「シュピルマンのような人間はむしろ例外的であり、生きることへの執着やピアノへの情熱さえあれば必ず生き抜けるというわけにはいかないのでは」という思いがどうしようもなく湧いてきてしまいます。個人的には、二次大戦下のユダヤ人や収容所を扱うのなら、少なからぬユダヤ人に降りかかったであろう「死」ももっと真正面に取り扱って欲しかったかな、というのが正直な感想です。ただそれでも、弱弱しそうでいて実はとてもしぶといシュピルマンの生命力(生への執着)はやはり印象的であり、一本の映画としては決して嫌いな映画ではありません。やはり素晴らしい作品だと思います。 7点(2003-10-18 11:00:16) |
3. ゼイリブ
<ネタバレあります>眼鏡をかけたら、社会が違って見えた・・・このアイディアに僕はやられました。全体的におもしろかったです。しかし社会諷刺の要素もあるみたいなのに、全体に漂う「B級感」は拭いがたいものがありますね・・・ 6点(2002-07-05 17:31:15) |
4. セロ弾きのゴーシュ(1982)
高畑勲監督による「セロ弾きのゴーシュ」の映画化です。原作はもちろん宮沢賢治です・・・あれから(というのはこの映画を登録していただいた時のことですが)ようやく原作を読み、それから改めてこの作品を見てみたのですが、おかげでこの作品が、かなり原作に忠実な作りになっていることがわかりました。ただ、原作つきの映画を作る際には、製作者による原作の「読解力」が問われると思うのですが、その点高畑監督はきちんと「読解」しているように感じました。単なる忠実な「再現」に終わっていない、独立したアニメーション映画としての雰囲気を備えていると思います。しかしこの作品に登場する動物達は本当に愛らしいですね。 8点(2002-06-12 01:40:19)(良:1票) |
5. セブン
決してスカッとする映画ではありませんが、迫力はあると思いました。七つの大罪になぞらえたストーリー展開が、謎めいていて、見終わった後に何かどっしりと残りました。 8点(2002-03-25 17:56:25) |
6. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 鑑賞する回数を重ねる度に魅力を増していく作品は、アニメ(映画)に限らずあらゆるジャンルにも存在しますが、僕の場合それは同じ宮崎監督による『もののけ姫』でした。しかし現在は、この『千と千尋の神隠し』がその位置を占めています。 僕は映画を見ても「泣いて感動する」という事が余りない方なのですが(『ナウシカ』も『トトロ』も、大好きな『ラピュタ』も、あるいは『ニューシネマ・パラダイス』などの「感動の傑作」と言われている他の作品でも、感動はしても泣くことはありません)、前からこの『千と千尋』だけは別でした。千尋のあの健気な姿を見ては涙ぐんでいたのですが、今回見返してみて、自分でも思いかけないくらい感動してしまい、何度も涙が出てきてしまいました。 『もののけ姫』以来、宮崎作品は作中の一つ一つの事柄に象徴性が持たされるようになり、それらの事柄を一つ一つ「読み解いていく」のが、これら最近の宮崎作品を見る時の個人的な楽しみとなっていたのですが、この『千と千尋』も、やはりそんな象徴性に満ちた作品であり、これまではどちらかと言うとそのような鑑賞の仕方をしていました。しかし今回見た時は、そういう様々なメタファーやらシンボルやらということ以前に、作品全体に満ちており、千尋を暖かく包み込んでいる「優しさ」に対して、深く心に染み渡るような感動を覚えたのです。 そしてこれまで僕がこの『千と千尋』にあると感じて来た象徴やら何やらといった事柄が、全てこの千尋(そして千尋と同年代の子供達)に対する「優しさ」につながっているのではないかと思うようになったのです。正直言って細かいところを見るとまだまだ消化不良なところがあると感じているのですが(それはもちろん僕自身の感じかたの方です)、それでも僕は、何とも暖かいことこの上ないこの作品を、僕にとっての宮崎作品第一の傑作としたい気持ちです。 10点(2002-03-20 22:34:31) |