1. ゼブラーマン
現場で直感で脚本を大幅に変更することで有名な三池崇史。賛否が分かれるところだろうが、発売されている宮藤官九郎の脚本と比較してみると、三池が脚本の弱点を補うべく適切にセリフ・シーンを補完しているのがよくわかる。元々の脚本では家族の扱いがぞんざいすぎる。しかし、その三池でもプロットの根本的な欠陥である真のヒーローに進化していく理由まではごまかすことができなかったようだ。と考えていくと、理に叶わないこの脚本はスピーディにノリで押し切る演出が必要であり、堤幸彦演出を希望する【うさぎ】さんの指摘はもっともだ。クドカンはもっと人間ドラマの構築と向かい合わないと、堤幸彦以外との仕事は上手くいかなくなるのではないか? とまぁ、クドカンファンが読んだら怒りそうな批判ばかりですみません。ちなみに俺のご贔屓の三池監督も切れ味という点では今回は鈍かった。特にラストシーンの大観衆の空々しい喝采ぶりは『サラリーマン金太郎』の悪夢再びという感じ。それでも高得点をつけるのは、ゼブラーマンという発想の素晴らしさと鈴木京香ほどの女優がゼブラナースを熱演していたから。ある意味、ヌードやベッドシーンより勇気が必要だったのではないか? そして、水木一郎アニキの熱い歌声にもしびれたぜっ! 7点(2004-05-06 17:32:07) |
2. 千里眼
水野美紀のアクションヒロインぶりはなかなかに見事なのだが、如何せんプロットが迷走しているのが難点。原作自体がハリウッドに目を向けたものなのだが、無理に表層ばかりを真似ていて、中身がスカスカなのが観ていて悲しい。まぁ、本家も今では大したことはないのだが、それでももっと観客をノセる努力をしている。麻生監督、急遽の代役登板は大変だったとは思うが、あともう一ふんばりしてほしかった。 4点(2003-12-02 19:54:29) |
3. 千と千尋の神隠し
大風呂敷を広げた割には尻すぼみのラストにがっかり。しっかり構想ができてから製作にとりかかるべきだと思うのだが。それでも6点の評価を与えるのは、独自の世界観の構築が素晴らしいことが一つ。そして、もう一つは涙をながしながらおにぎりを食べるシークエンスの見事さ。劇場でついついもらい涙を流してしまっているのを隣の席の見知らぬ子供ににたにたと見つめられ、思わず殴りそうになってしまったことが思い出される。 6点(2003-12-02 19:49:36) |
4. 戦場のメリークリスマス
R・レッドフォードに出演を断られた結果、D・ボウイが参加することになった本作。演技のプロではないが、それぞれの分野で活躍するキャストの味をひきだした大島演出にはさすがと唸らされる。基本的に俳優ビートたけしはあまり好みではないが、本作ではなかなかの味わいをかもしだしている。これでもう少し脚本が整理されていたならば・・・惜しまれる作品である。 7点(2003-12-02 19:44:25) |
5. 戦艦ポチョムキン
どんなに斬新な手法を生み出した作品であろうとも、今観て面白くなければ評価は低くする。これが、批評家でもない一映画ファンとしての俺の基本姿勢だが、本作品は「モンタージュの祖」などという蘊蓄を知らずとも引き込まれてしまう。あまりに平凡な感想で恐縮だが、やはりオデッサの階段のシークエンスは編集のすばらしさゆえ身震いが起きてくる。エイゼンシュタインは新手法を生み出しただけでなく、最高の使い手だったことがわかる。 9点(2003-12-02 19:37:24) |
6. 戦火の勇気
おそらく今後のキャリアを考えてM・ライアンが熱望したために本作に出演できたのだろうが、やはり違和感をぬぐうことはできない。『羅生門』スタイルの構成は嫌いではないが、あぶりだされる真相が予想の範疇を越えず、今ひとつ効果をあげていない。しっかりと謎を構築した上でプロットの組み立てをしてほしいものだ。E・ズウィックの演出も手際がわるくもたついてしまている。 5点(2003-12-02 19:27:43) |
7. セブン
《ネタバレ》 フィンチャーの底力を痛感させられる力作。詳細はanemoneさんのレビューで語り尽くされていて、俺などが付け加えられることは一つもない。では、なぜ低評価なのか。犯人を最後まで正体不明とすることで、普遍的な悪と感じさせる手法は評価できる。しかし、ならばミステリーの文法を持ち出してはいけない。前半のプロットが謎解きをメインと据えているために、観客はラストに至って肩すかしをくらう。全体を見据えたプロットの構築をお願いしたい。 6点(2003-12-02 19:19:26)(良:1票) |
8. 11'09''01/セプテンバー11
《ネタバレ》 作品間にレベルのばらつきが大きいが、非常に意義のあるオムニバス。なんといっても秀逸なのは今村作品。無意味に人を殺すことに耐えられなくなった男が蛇に変身。彼は生きるための本能の殺しは行うが、決して感情での殺しは行わない。恐怖にかられ魔女狩りのように決起する村人の姿に、テロ後のヒステリックなアメリカへの批判が読みとれる。ラストのテロップはまさに蛇足だが、もっとも示唆に富んだ傑作。 7点(2003-12-02 19:02:20) |
9. 絶体×絶命
A・ガルシアは顔の濃さに比べて存在感が薄い役者なんだろう。おかげで、終始M・キートンに目がいってしまう。コメディアン出身ではあるが、M・キートンは狂気をにじませる演技が非常に上手い。プロットは平板で盛り上がりに欠けるが、M・キートンを観ているだけで充分に楽しく時間が過ぎていく。キートンよ、『バットマン』新作で悪役としてリベンジしてみてはいかがか? 6点(2003-12-02 18:53:54) |
10. セックスと嘘とビデオテープ
女性の心を具現化しようという試みは確かに興味深いのだが、如何せん作品にリズムがない。観客の目を意識したプロット展開を心がけてくれないと、観客は退屈するばかり。批評家受けはいいのだろうが、思えば本作からすでに俺のソダーバーグアレルギーが始まっていたのだろう。観る人を選ぶ作品で、残念ながら俺は受け付けなかった。 4点(2003-12-02 18:49:57) |
11. 絶叫屋敷へいらっしゃい
C・チェイス、D・エイクロイド、J・キャンディとコメディファンなら垂涎もののキャスティングにも関わらず、やっちゃったね、エイクロイド。面白くしたいという意気込みはわかるのだが、すべてが空回りで、まさに本作自体が『Nothing but Trouble』だった。 3点(2003-12-02 18:46:03) |
12. ゼイリブ
主演俳優がプロレスラーであることも知らず観たが、B級ものとして開き直っていて素直に楽しめた。いくらでも料理できそうな設定を格闘一本勝負でぐいぐいと演出していたのは、主役がプロレスラーだったからなんだな。本当はK・ラッセルあたりで映画化したかったのかもしれないが、この人選もなかなか。 7点(2003-12-02 18:41:26) |
13. ゼイラム
最新のSFX技術が使われた傑作との評判を聞き、劇場にて鑑賞。正直言って、自主制作映画の延長といった感じで、当時としてもさほど驚くような映像ではなかった。しかし、思いの外ストーリーが面白く、最後まで楽しめた。蛍雪次朗は本作や『ガメラ』シリーズで、なぜかSFものでは好演。また、あつむさんの言う通り、アニメファンに支持されていて、アニメにはあまり興味のない俺は、ちょっと劇場では肩身が狭かったのも記憶に残っている。 6点(2003-12-02 18:36:53) |
14. 戦慄の絆
とかく外面的変貌ばかりクローズアップされるクローネンバーグ作品。しかし、彼の本質は未成熟な精神を持つ男性のもろさではないか。死と隣り合わせである麻薬・SEXに溺れ、全く対照的であったはずの双子が徐々に同一化していくさま。J・アイアンズの名演も手伝い、観る者の心を静かに揺さぶっていく・・・。 8点(2003-11-20 03:11:36) |