1. 聖闘士星矢 The Beginning
観る1時間前は、行くとは思わんかったんだが…つい行ってしまった。 いや、飯食ってたら「以前の仕事の資料」を、(急に)先方から求められたのが、多分切っ掛けだった。 んーで、資料を探してりゃ…あるわあるわ、過去に書いた指示書が。 想い出と当時に、創ってた時の気持ちが炸裂しちゃって、もう行くしかないな!って気持ちになった。 いや、単純だなぁー…チョロいぜ、俺は。 ――聖闘士星矢/The Beginning(2013) しかし懸念点が全く無い訳じゃない…つか、ぶっちゃけ懸念点だらけ。 いや、1994と2009年に作られた「ストリートファイター(&春麗)」や、2009年の「DRAGONBALL/EVOLUTION」とか…もう芳醇に香し過ぎて、時代に永遠にソッポを向かれていると言っても過言ではない…そんな逸品達との出会いが最高に恐ろしいんでヤンスよ!アニキぃ! んで、ついに上映になる。 ヤッベぇ!あまり…いや、全然ワクワクしねぇ!なんだこの予感! まぁ、東映のロゴが出た時に頭に過ったのは、2013年にCGで作らてた「キャプテンハーロック/SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK」だけど……実は、あの作品は嫌いではない。 ただ、ハーロックの場合に足りなかったのは「松本零士先生」の作家性の欠如かな? 結論から言うと、星矢もモロにそこだった。 作家性が全然足りないし、キャラの掘り下げだダメ過ぎた。 俺的には観てる時…過去から星矢に仕事で関わって脳裏に焼き付いた「星矢への想い」などを映画を観ながら掘り出してる感じだった…。 マジで車田正美っぽくも、荒木伸吾(&姫野美智)っぽくもない…まさに、鳥山明に似せてないドラゴンボール状態だな、こりゃ! ただ、アレ。 結論から言うと「ダメな映画映画」ではなかったけど、人にはお勧めしないし…人によっては駄目だコリャ~!(Byいかりや長介)と、なるかも知れん。 ある意味、上記のCG「キャプテンハーロック/SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK」と同程度のクオリティーだと思う。 漫画も勿論、車田正美先生の作品を、ずーっと網羅してきた俺にとっては大好き以外ナニモノでもないが、(当時は観てなかったけど)アニメ版はある意味で「革命的な作品だった」と思ってる。 俺の好きだった星矢は…まさに少年の「友情、葛藤、闘い」だったし、絵にもそれが現れていた。 アニメ版のOPやEDなんかも偶に観る。 その勢いを存分に感じつて、いま観ても伝わると思うんだけど…製作者はちゃんと観たんかな?「新田真剣佑」は確かに(るろうに剣心でも)カッコ良かったけど、もう身体が完全に大人へと出来上がり過ぎてて華奢さゼロ! ただ、アクションも上手だったし、映画としては現代風にアレンジしてるのも確りと伝わったけどね。 ただ、そのアレンジのせいで上で描いた「作家性が全く消えちゃってる」のが悲しかった…いや「聖闘士星矢」感は一体どーこーへー。 詰まるところ…「何の映画?」と観終わった後で考えてしまった。 けど、(大事な)星矢感は(置いちゃダメだけど)さて置くとして…映画としては「頑張ろう!」って意気込みは確りと伝わったし、冒頭の地下格闘シーンとかは(ヴァンダムやラングレンが好きだから)個人的には好きだね。 思えば…うん。 キャラコンテンツに関しては、もはや時代を問わずに過去作から人々に愛されてるターン。 好いも悪いも含め、SNSやら記録メディアやらで、過去作を観れる時代となりつつあると(個人的に)実感している。 故に、ユーザーも製作会社も、そして版権所持のメーカーも忘れてはならないと思う。 ――何故、そのタイトルが受けていたのか? ――何故、そのタイトルの何処が支持を得ていたか? あのキャラ、あのシーン、あのキャラ劇。 全てが歓喜と共にユーザーから愛され… 沢山の心をトキメカせたはずのコンテンツ。 なら、その笑顔を決して曇らせてはならない。 だったら作り手も、好きになるしかない。 ただ愛して、創り続けるしかない。 ――コンテンツを曇らせるな! 俺は本気で、そう思うんだ… 過去からの自分の歴史を愛するように。 . [映画館(吹替)] 6点(2023-04-29 16:20:19)(良:1票) |
2. 戦場のメリークリスマス
【4K修復版で鑑賞。】 チネチッタは最近…メェ――ッチャ好みだ。 観たかった映画が。これでもかとリバイバルされてる。 2001年宇宙の旅も、七人の侍も全部面白かったなー。 つー事で、今回は古い映画に。 何でも4K修復されてるとの事で気分がグングンと入ってくる。 ――戦場のメリークリスマス(1983年) この映画は、既に何度か観ているんだが…痛感した事。 それは、観ている映画でも「(一定以上の)時間を経過」させると印象がガラリと変わる。 別に自分の事を偉く言うつもりは無いが、きっと「観なかった期間の、人間的な成長」がそれを感じさせるのだろう。 今まで、それを強く感じたのは映画版の「機動戦士ガンダム」だ。 最初は赤い彗星シャア・アズナブルのカッコ良さに惹かれ、凄く好きになる。 けど、大人になって「下の者を引っ張る立場」になれば、ランバ・ラルの責任感と、実直かつ老獪な仕事への取組みに惹かれ… そして、「さり気なく難関な仕事を熟す」マ・クベに対して(嫉妬も半分含め)素晴らしい男だなー、なんて考える。 何より、結婚したり、子供が出来ると余計に胸に来るシーンは、ブライトとアムロの母のシーンだ。 息子であるアムロを預かり、彼の母に対して「息子さんをお預かりします!」と凛々しい言葉を残すのが、20歳を超えてない青年ってのが、否が応でも「戦争の悲惨さと非情さ」を表現している。 さて、その――「戦争の悲惨さと非情さ」だ。 本作、戦場のメリークリスマスは相当に訴えていた。 設定の秀逸さも素晴らしいが、戦争映画とセットになりがちな流血沙汰はあまりなく、それよりも「精神的に追い込まれてゆく様」の描写が凄まじい。 では、追い込まれてるのは誰なのか? それは「捕虜」たちだけではなく「日本軍の者も」だ。 人間的な好き・嫌いはあるだろうが…観た人、観る機会がある人は考えて欲しい。 作品の日本兵は誰もが軍務に忠実なのだ。 俺の持論ではあるが、「自由とはサボる権利を有してる事」と思っている。 この映画では、誰もサボる事なく任務に就き…それ故に悲惨な状況が次々に発生する。 そんな中で、常に現場的に対処して苦悩するが故に、日本兵が悲惨さを引き起こすトリガーと成ってしまう。 この体系を作った上の人間は、この悲惨さを知っているのだろうか? 劇中でデヴィッド・ボウイの幼少時代が描かれている。 子供の頃から、歌う事が好きな弟を護って来た彼なのに…弟が自分の通う高校に入って来た時に新人歓迎の”イビり”に遭遇する。 服を脱がされ、無理に歌わされ…弟はそれ以降、歌う事が無くなった。 勿論、それ以上の悲惨な光景はなかったが、それ以降は弟ととの距離が出来てしまい苦悩する。 助ける事が出来なかった…いや、助けなかった彼は、ずっと自分の行為を悔いている。 今は捕虜にされてる戦場だというのに。 人はそれぞれ、そんな悔いと共に生きているはず。 それは敵対するイギリス兵だけじゃなく、日本兵もみんな同じだろう。 そして、それが「戦争という括りの中」で、平等に与えられる人間の所業だ。 誰もが苦悩し、苦しむ…なのに、それを引き起こすのも人間。 たけしが演じる「ハラ軍曹」が見せるラスト。 「メリークリスマス!Mrローレンス!」 明日、処刑されるのに笑顔のハラ軍曹。 狂気なのか?後悔なのか? それは、まだ…今の俺には分からない…未熟だ、俺は…。 けど、祝うべきクリスマスを創ったのも戦争を起こす人間なのは解る。 戦争を起こすのは人間。 終戦後、強引に敗戦国を裁くのも人間。 忠実に軍務に励もうが…関係ない。 反論させない為には命を奪って処刑するしかない。 だが、デヴィッド・ボウイが見せた坂本龍一へのキス。 憎しみと醜悪の戦場の中、愛のキスを彼に示した事…。 それこそが、あの映画のテーマなのかも知れない。 そして――あの映画音楽。 この美しい調べの中に…うん。 人間が向かうべき場所が示されているのかも知れない。 また、何年かした後… 俺は、その場所をこの作品で探したい。 見つかると信じて。 * * Blue Jean(Official Video)を聴きながら。 . [映画館(字幕)] 8点(2023-01-18 23:23:32) |
3. セルビアン・フィルム
いやいやいやー…観てきたんだが……ついに。 本作品については、観たい思ってもBlu-rayもDVDも高くて買えず、ずーっと観れてなかった。 作品自体は2010年の制作なんで、再び4kに移行しつつ…新たに公開まで漕ぎつけたのはマジで驚嘆。 いや、スタッフさんらの行動や熱意は「マジで大したものだなー」と思う。 俺は……意外とアレ。 俗に言う「キワモノ」とか「グロい」映画は…かなぁり好きで、よぉぉぉぉぉく観る。 でも、スプラッターが好き!ってんじゃなく(まぁ、表現として有っても良いけど)人間の尊厳などに対して、何かが(特に人間が)凌辱する様に(何故か)神経を揺さぶられるので、そこの有無が大きなポイントとなる。 まず、閲覧に赴く前…少し体調が悪かったので「またにしようかな?」と思ったんだけど…もう、そろそろ上映も終わりそうなので強硬的に出発。 ――そしたら、アレ。 人が多いわ~、大雨が降るわ~で、俺が「渋川剛気(By刃牙)」なら……「むぅ、この先…どんな化け物が待ってるんじゃ…」と躊躇してただろうな…いや、マジで。 その後はTSUTAYAに飛び込みBlu-rayを観ながら(雨でズボンがビッチャビチャだし)時間を潰しつつ…そのまま映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」に向かったんだ。 ここは10年くらい前かな?光宗薫の「女子カメラ(2012)」を観に来た思い出がある場所。 そして、映画の時間が来た! この手の映画を観る際…いつも俺が留意している点は1つ。 映画として「手法が確立してなければ、幾ら話が素晴らしくても評価しない」って事。 そういう意味で語るなら、この作品はしっかりとしたスタッフが揃ってたと思うし…特に「カメラワーク」と「音響」が素晴らしいな、と感じたのを付け加えておく。 ――世界各国で放映禁止をされた映画。 ――見た目の「物理的な不快感」か? ――それとも「心理的なタブー」なのか? そんな感情を胸にして映画館の中に入った…。 ともあれ、今回のバージョンではモザイクなどの画面処理は極力考慮したと聞いたので、そこも期待。 いや、それって絶対大事なんだよね…俺的には。 あの名作「時計仕掛けのオレンジ」なんかでも、そのモザイクのせいでAV感が出ちゃうからね…。 確かに(多少悪趣味ではあるが)恐ろしい…っつーか、胸糞な映画だと思う。 意外だったのは、思った以上にスプラッターなシーンは無かったし、そこを売りにしてる映画でもないんだなーと把握。 ――ただ、考える。 自分にとって大事なものを、誰かの手で「さも面白そうに破壊される」事が恐怖なんだな、と。 その恐怖ってのは、どこの国の人間も持っている事だろうし…少しばかり言い換えれば、そこを人は恐ろしく感じるだなーと思った。 恐ろしい、そして…ただ胸糞悪い。 何でもセルビアという国の成り立ちが、この映画のメタファーだと聞いたので、そこも調べてみようと思う。 だが、だ。 本音を言うと…俺はフツーに観れたんだよな…マジで。 確かに恐ろしいし、胸糞悪さ100%だけど…俺が生きてる「この世界」の方がよっぽど胸糞悪い。 例えば…苦い薬ってのはオブラートに包もうが(その場で)苦さを感じなかったとしても…本来の味は変化することなく体内に飲み込まれてゆく… そう、それは「薬」であろうが「毒」であろうが…オブラートに包んだまま飲まされ続けて、苦みがしないから気づいてないだけなんだ。 要は、全ての物事をリアルに感じて常に想定していれば…世の中ってのは栄光に包まれた素晴らしさの反面…例えようのない胸糞の悪い事なんか、幾らでも溢れて、ゴロゴロと転がっている。 細かい事件とか差異は兎も角として、俺はそういう世の中を生きてるお陰で「ああ、こういう不幸ってのもあるよな…」って、この映画をしっかりと受け止める事が出来た。 恐ろしい…気分が悪い。 そして、胸糞な感覚がこの上ない映画だった。 この―――セルビアン・フィルム。 二度と観たくない! その感情も人の評価だし…そうすりゃいい。 けど、俺は…避けては行かない。 俺は忘れないだろう。 そして、俺の人生でも「あり得る」と思って生きて行くしかない。 もし、同じ目に遭ったら…嫌で嫌で仕方ない。 絶対的に絶望してしまうが…それが世の中だからだ。 ――悲しいか? けど、後悔しないように、と願いながら… 今日も、明日も生きてゆくしかない。 人生ってのはそんなものだ。 [映画館(字幕)] 8点(2022-08-04 15:17:34) |
4. 切腹
※最高の役者なので呼び捨てにさせてください。 いやー…随分と評価が遅れてしまった…。 んまぁ、遅れた理由ってのは…ちょい体調が悪かったってのと…アレ。 実は…この方を、あまり知らなかった。 ――石浜朗。 調べてみると、いぶし銀の如き役者だった。 日本の映画やドラマを盛り立ててくれた(文字通り)立役者的だ。 けど、俺の学習能力の低さのせいで、あまり詳しくなかった。 本当に申し訳なかったです! なので、今回は所持していた「切腹(1962)」を初観。 いや、相当にカメラアングルっていうか…フレームレイアウトが素晴らしい映画。 黒澤明による数々の過去作もそうだったけど…ある意味で名作コミック並みにカッコいいアングルばっかで(当時を知らない俺は)ただ、ただ驚嘆した。 いや、コレって凄い事なんだよな、マジで。 この作品、メガホンを取ったのは「小林正樹」監督。 作品を観るのは…脚本を担当した「どら平太(2000)」以来かな…? あ、あと「東京裁判(1983)」も、いつか観たいなーと思ってた監督だ。 んで、キャストはまた素晴らしい。 まず、かの「仲代達矢」が主役を張ってる。 いや、語り口調も流石の素晴らし過ぎて「宇宙戦艦ヤマト」の冒頭ナレーションを思い出すわ。 あとは「三国連太郎」と「岩下志麻」(いや、若すぎて最初は気づかんかったんだけどマジ美人やね)も出てた。 あと、好敵手の侍が「丹波哲郎」だったのも見逃せない。 この人、007の時も思ったけど…海外スターのようなオーラがあるな、マジで。 そして、今回素晴らしい演技を見せてくれた「石浜朗」が千々岩求女を演じていた。 武士としての誇りを他者に湾曲されながらも、家族を守ろうと奔走する…その不器用な姿が、ただ涙を誘う。 ともあれ、話の筋は…すっごく簡単だ。 武士は、一人の人間として何を守るのか? 名家を守るために犠牲にするものは何か? そして「誇りある死」とは、一体どこにあるのか? もし興味があれば、ぜひ観て欲しい。 そして、石浜朗のいぶし銀の演技を感じて欲しい。 ――本物を! 本物ってのは、時代が護り続ける。 そして本物は…いつまでも本物だ。 ――そう、永遠に。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-08-01 02:13:49) |
5. 世界の中心で、愛をさけぶ
《ネタバレ》 屁理屈なんかどうでもイイさ。 魂でこの映画に耳を澄まそうと思った。 そして…ただ泣けた。 久しぶりに大粒の涙が流してる自分に気付いた。 ご都合主義に見える演出も気にならない。 人生を生きていれば信じられないほどの偶然や… 劇的な出会いが何度かあったから。 横長のカセットデッキ… 壁に飾られた昔のアイドルのポスター… 申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうな 長澤まさみ演じるアキの視線を伏せた笑顔… 「こんなになっちゃった…」 もうそれだけで堪らなく胸を打つ。 ラストのアキを送るシーン… そして世界の中心を判ったと言った朔太郎。 それはオーストラリアのあの地だったのか。 それとも日々過す生活か。 それともアキとの想い出の日々か…。 [DVD(邦画)] 9点(2006-09-26 13:42:37)(良:2票) |