1. 戦場にかける橋
《ネタバレ》 【前置き】 冥界の大島渚監督に叱られそうですが、「戦メリ」は絶対に本作の影響を多大に受けてますね。 映像から感じられる空気感もそう、斎藤大佐のキャラが「軍人で無ければ良い人だろうに」と思える設定なのもそう。 【本題】 初鑑賞は確か1979年位、何と今から45年も前の話。 1977年公開の「スター・ウォーズ」に夢中になった私は、「オビ・ワン役の人が出演している」と言う理由だけで本作を鑑賞、 当時小学校高学年の私には本作はまだ早すぎた様で、残っているのは「観た」と言う記憶のみ、中身は殆ど覚えておらず。 月日は流れ相応の人生経験を積み、清濁併せ飲む事も覚えた56歳のオッサンに取って、本作は他多くの戦争映画の名作と同様に 人と言う生き物の愚かさ・滑稽さをしみじみと思わせる深い味の作品でした。 人望厚いが真面目過ぎる英国士官:ニコルソンと、橋の完成が遅れ気ばかり焦る日本士官:斎藤。 悲しいかなどちらも中間管理職。 反りが合う訳が無い二人のやりとりはもはや笑えないコントの領域。でもお互いの気持ちは良~く判る。 そんな二人の面子と意地のぶつかり合いは、やっぱり滑稽で何となく悲しさを感じさせるもの。 クライマックス、友軍が仕掛けた爆弾に気づいてからのニコルソンの行動は虚しさだけ。 28年間もの間、軍隊に身を捧げた彼は忌の際に何を考えたのか。 Madness... そう、まさしくその通り。 【蛇足】 何故に白人兵士3人に随行する現地のお姉さま方が皆一様に可愛いのか? そして、上手くカップルになってしまうのは何故なのか? これは小学校高学年だった私には絶対に思いつかなかった疑問(爆)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-28 14:34:24)(良:1票) |
2. 西部戦線異状なし(2022)
《ネタバレ》 極端な程に賛否両論で評価が二分されている「エブエブ」に次ぎ、2023年のアカデミー賞を席巻した本作。 夜23時過ぎに軽い気持ちで観る映画では有りませんでした。 正に実際の戦場とはこの様な場所なのだろうと思わせる、リアルに徹した描写の連続。 敵味方を問わずそれぞれに人生が有り、愛する家族が待っているであろう兵士一人一人の存在はまさしく「虫けら」同然。 最初は希望に燃え明るい表情だった主人公は加速度的に硬く無表情になって行く。 私は兵士達が戦車に踏み潰され、火炎放射器の餌食になる余りにも凄惨な描写に途中で観るのを止めようとさえ思いましたが、 本作制作陣の思いを汲んで頑張って最後まで見届けました。 余りにも理不尽な終戦間際の無意味極まりない出撃、そして停戦時間を過ぎた途端にまるで何事も無かったかの様に 塹壕で行き違う兵士達。 いったいあの多大な犠牲は何だったのかと戦争と言う不条理に居てもたってもいられなくなり、この思い・怒りを一体どこにぶつければ良いのかと、私は深夜に独り呆然としておりました。 とどめは最後の説明、僅か数Kmの陣地を奪い合う為に数万の兵士達が戦死したとの事。 一体何なんでしょうか?これって。 余りにも、余りにも酷過ぎます。 今のご時勢、どうしても本作の様な作品を観た後は以下の内容に気持ちが傾きがちになりますが、敢えて書きましょう。 こんな不条理で愚かな馬鹿げた事が、今もウクライナの地で繰り返されている。 私が一人深夜に映画を観ているこの瞬間も、こうして感想をしたためている正にこの瞬間も、 ウクライナの地では大勢の人たちが偽政者達の愚か極まりない行為の犠牲になっている。 例え本作がロシアが戦争を仕掛ける前に製作されていたとしても、本作は私が抱いた様な思いを世界中の出来るだけ多くの人達にも持って貰おうと言う思いが絶対に有った筈。 そう考えると、今年のアカデミー作品賞はエブエブでは無く本作に獲得させるべきだったのかもと思ってしまう。 アカデミーは本作に長編外国語映画賞、「ナワリヌイ」に長編ドキュメンタリー賞を獲得させる事で戦争と独裁権力に反対する意思表示は果たしたのかも知れないけれど、果たしてそれだけで本当に良かったのだろうかとずっと考えています。 一分一秒でも早く、ウクライナに平和を。 戦場にいる兵士一人一人が、無事の帰宅を待つ家族の元に帰る事が出来ます様に。 そして最後に、プーチンに神の鉄槌を。(もっと厳しい表現にしようと思ったが、この程度にしておきます) [インターネット(字幕)] 10点(2023-03-20 15:04:13) |
3. 千年女優
《ネタバレ》 もし本作が実写だったら、ここまで興味深く鑑賞は出来なかったと思う。 今敏監督らしい、アニメ(絵)で有る事を上手く使った表現で最後まで飽きずに観られました。 日本では辛口の評価が多く、海外では好意的に受け止められ多くのファンサイトが存在する。 そのコントラストも面白いです。 今敏監督、映画を愛しているんですね。 今頃は「あの世」で往年の大女優達と映画談義でもしているのでしょうかね。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-27 10:27:43) |
4. セントラル・インテリジェンス
《ネタバレ》 家族向けアクション・バディムービーとしては及第点。 レーティングを意識したのか人が死ぬシ-ンが全く出てこないのも、何だか新鮮に感じた。 「いじめは良くない」事を教えるきっかけや、「実はいじめられている」事を子供達にさりげなくカミングアウトさせるきっかけとして、 家族で観るのが良いと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-09-30 17:15:47)(良:1票) |
5. 009 RE:CYBORG
《ネタバレ》 ①「俺だったらこういう映像にする!」溢れ出る製作陣の熱い思い +100点 ②これぞ真打、009の加速装置の映像化とはこういう事だ! +100点 ③生きているジェット戦闘機、002の爽快感溢れるカッコ良すぎる描写 +100点 ④大人の鑑賞に堪える、無駄にエロい003 +1000点 ⑤訳の判らないストーリー、もっと訳の判らない幕の引き方 -1299点 上記合計して1点。 以上! [CS・衛星(邦画)] 1点(2019-03-04 16:16:03)(笑:3票) |
6. 世界一キライなあなたに
《ネタバレ》 二人の最後の選択をどう捉えるか?で本作の評価は天と地程に別れる。 良い映画だと率直に思う。 だが、私は映画レビューのポリシーとして物語に起伏を与える為に①主要登場人物がレイプされる、②もしくはオートバイ事故で亡くなる・大怪我をする作品には高評価を付けない様にしている。なので残念ではあるがMaxで5点とさせて頂く。 エミリア・クラークの素の魅力が炸裂。これは「ターミネーター:新起動」では全く感じられなかったもの。 この2作での落差が凄い。思うに、ターミネーターは相当無理をして演じていたのではないか。 残念ながらオートバイ事故で四肢障害を負ってしまったイケメンの男性主人公。 家が金持ちでなければ専属の介護士は勿論のこと、お手伝いさんなど到底雇えない。 ましてや高額な費用が必要と聞く安楽死など絶対に望めない。 その様な恵まれた環境で悩むイケメン主人公。 確かに辛い状況だ、だが、観ている側としては正直甘いと感じた。 眼の前に魅力的な、自分を愛してくれる女性がいる。 なのに男性として何もする事が出来ないのは、一人の男性としてこれ以上辛い拷問は無い。 この様な環境に有る人の家族の意見として「生きていてくれるだけでよい」との話をよく聞く。 その時いつも思う。「周りがそう思っても本人の意思はどうなのか」と。 もの凄く難しい問題だ。 もし私が同じ様な境遇に陥ったら・・・ 考えたくも無い事だが、恐らく本作の主人公と同じ選択をするのではないか。 イケメン主人公が金持ちだったおかげで、エミリア・クラークは最終的に自由と富を手にする。 本人がそう望んだ上での結果では無いので、この結末に抵抗は感じない。 だが、もしイケメン主人公が一般家庭の人だったらと思うと、やはり点数は辛めに付けざるを得ない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-18 17:06:05)(良:2票) |
7. セッション
《ネタバレ》 もっとジメジメ・ドロドロとした、観るのが辛くなる様なスパルタ礼賛満載の展開と描写の映画だと思っていたので、正直な感想としては少々拍子抜け。 フレッチャーの発する言葉は果たして愛の鞭か、はたまた単なる彼自身のエゴイズムから来る言葉なのか。 あの二人が演奏終了後に判り合う姿など、想像したくも無い。 終演後に主人公がフレッチャーに一発お見舞いした後、吐き捨てる様に一言、"F※※K you"。 私にはこれしか考えられない。 [映画館(字幕)] 7点(2015-06-07 23:00:51) |
8. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 作品そのものについては、既に多くのレビュアー諸氏が投稿されているので敢えて多くは触れない。 本作に興味をお持ちの方は、是非ともIMAX3D限定にて劇場で観賞頂きたい。 敢えてここで私が書くとすれば、それはサンドラ・ブロックへの賛辞。 演技は勿論だが、鍛えすぎでは無いシェイプアップされた身体のカッコ良さに痺れた。 まさに「サンドラ、大地に立つ!」と表現すべきラストシーンの力強さ! それにしても、「パシフィック・リム」しかり、本作しかり、IMAXは映画館復権の寵児的存在だ。 他レビュアー諸氏も書いておられるが、本作の様にIMAX(3D)で観賞出来ないならばむしろ観ない方が良いと言える作品がこれからも増えるだろうけれど、個人的には歓迎したい事だ。 [映画館(字幕)] 9点(2013-12-23 09:27:26) |
9. ゼロ・ダーク・サーティ
《ネタバレ》 良く出来ている。見応えは充分以上だ。 この手の作品で政治心情云々を書くのはご法度かも知れない。 だが私は終始「この作品は一体誰の為に・何の為に創ったのか?」と言う思いを拭い去る事が出来なかった。 冒頭の画面暗転~悲惨極まりない9.11の音声だけを聞く事で、観客の心情は自ずとアメリカが被害者で有り、これから繰り広げられる物語はアメリカが憎き敵を追い詰め・倒すまでの出来事を描くのだ という心境にされてしまう。 そう、この作品は明確な位に「勧善懲悪」で有り、善=アメリカ、悪=アルカイダ なのだ。 何故、アメリカがアルカイダの標的なっているのか? という9.11同時多発テロに至るまでの複雑な背景・経緯は見事なまでに切り落とされている。 無論、本作はアメリカが作成した映画なのだからそれも止むを得ないと思う。 だが、本作がエンターテイメント色を排した描き方をしているだけに、徹底して偏った勧善懲悪を描いている事が妙に引っかかってしまう。 アラブ系のCIA情報員が殺された人々や親を亡くした子供達を複雑な表情で見つめる描写はあるが、取って付けた様な印象しか私には持てなかった。 「事実」を映画という形で観客に伝えたいのならば、単純に9.11から本作で描いている襲撃までを描くのではなく、もっと他に映像として後世に残すべき映像が有る筈だし、そもそもこの監督さんは「ハート・ロッカー」の様な骨太の作品を創作できる力量が有るのだから、余計にその様にして欲しかったと思ってしまう。 「その様な作品を観たいなら数多のドキュメンタリーを観ればいい」という意見も有るだろう、また、この様な私の感想がまさに平和ボケした日本人特有の物で有る事は充分に判っているが、期待が大きかった分、敢えて思った事を率直に書かせて頂いた次第。 [映画館(字幕)] 7点(2013-02-18 10:11:51)(良:1票) |
10. 戦場のメリークリスマス
《ネタバレ》 まだ16歳だった私は本作初見時に意味などまるで理解出来ず、狐につままれた様な思いで映画館を後にした。 30年の年月を経て自分もそれなりに人生経験を重ね、ようやく本作の訴えたい事が少しは理解出来る様になったのかな?と思い始めている。 異なる文化・思想を持つ人達が戦争という特殊な環境の中で邂逅し、ぶつかり合う様はどこか滑稽で、悲しい。 それにしても、本作に出演した坂本龍一、ビートたけしは今や「世界のサカモト」「世界のキタノ」と呼ばれるまでの存在になった。各種文献によると二人が世界を目指すきっかけになったのが本作への出演だったそうだ。 そう思うと、また違った視点で本作を観直す事が出来る。 また、ローレンス役のトム・コンティは本作以降はほとんどお目に掛かる事がなかったが、何と「ダークナイト ライジング」で洞窟牢でクリスチャン・ベールを介抱する役を演じていた事を知り、思わず同作をブルーレイで観直してしまった。 年は召されていたものの、どこか寂しげな表情はそのままだった。 最後に、大島渚監督のご冥福をお祈り申し上げます。合掌。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-23 15:04:41)(良:2票) |
11. 世界最速のインディアン
《ネタバレ》 本題の前に私自身が一人のオートバイ好きな為、本作の題材となったバート・マンロー氏について書かせて頂きたい。今や素人でもアクセルを捻れば300km近いスピードを出す事が違法ながら可能なオートバイが生産・販売されている時代だが、マンロー氏は何と今から約50年前(!)の1960年代に公式記録で時速295kmを達成している。ボンネビルと言う特殊な環境下で、しかも最高速仕様に特化したオートバイを使用したものでは有ってもそれが一つの偉業で有る事は揺るぎ無く、本作の公開により普段はオートバイに興味の無い人に対してもマンロー氏の事が知られる事となったのは嬉しい限りだ。 【本題】 "Offering to the Speed of God"の文字と共に並べられた数多くのピストン、メカ好きには堪らないオートバイと工具達で埋め尽くされたガレージ、その中で目覚めた主人公は近所の事などお構いなしに朝の挨拶よろしく愛車のエンジンに火を入れてやる。当然、改造したエンジンは爆音だ。一見は近所迷惑な親爺の行為でしか無いが、特に目くじらを立てる事も無くそれを暖かく見守る近所の人達の対応が、マンロー氏が愛されるキャラとして受け入れられている事を示しており、この一連のシーンだけで私は本作が好きになってしまった。 基本的に悪い人が出てこないのも好印象で、飄々と自分の目標に挑む姿はお茶目で且つ凛々しい。 アメリカでのロードムービー的展開も楽しく、丁寧にまとめられた良作だと思う。 [映画館(字幕)] 9点(2013-01-17 10:11:07) |
12. 世界侵略:ロサンゼルス決戦
《ネタバレ》 登場するエイリアンや兵器類は単にアメリカの仮想敵国の置き換えに過ぎない。迫力有る戦闘シーンが延々と続くが、殆ど中身は無い。 [地上波(吹替)] 2点(2012-04-10 13:02:07) |