1. ゼロ・ダーク・サーティ
《ネタバレ》 自分は好きだが、157分は社会派サスペンス好きでないときついかも。タイトルの最終30分の緊張感は凄い。自分の鑑賞環境では20数人いた観客は自分以外全員50代後半以上。 最後のシーン、マヤの涙で見せる祝福と呪い。長官との食堂のシーン「自分にはこれしかありません」からここにつながるマヤの達成感と喪失感のアンビバレントさ。時代の変化、自分の環境変化を経て、捜査当初のテロ撲滅という大義から、もはや復讐へと変化する作戦の意義。直前のマッチョな軍人男性の中、一人の女性諜報員という対比と強い存在感から一転しての広い飛行機内での孤独な涙は、その強さの裏返しというより、ここまで得た強さ故の喪失感・虚無感に見えた。 公私の区別なく取り組み続けることによってのみ成り立つというこの成功は、アルカイダ側にこれを応用した途端、最後の作戦での婦人をいとも簡単に殺害される環境に反転する。 生きることの困難さを実話にどれだけのせて「映画」とするか、その見本のような作品だと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2013-02-18 01:00:34)(良:1票) |