1. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 ミラーマンも無実かもしれないと思わせる映画です。つい先だっても富山で婦女暴行の冤罪事件が発生し、警察から検察、裁判へと向かう制度そのものの欠点が見えてきた時期に、タイムリーですね。さて、この映画でもっとも感じた事は、登場人物全てが自分が一番正しいと感じ行動している。そんな環境で裁判官は有罪か無罪かを決めなければならず、もしも私が裁くとすれば、まずは容疑者が嘘をついていると疑ってしまう気がします。それ以上にこの映画を見て考えた事、それは裁判官になる上で経験したであろう国語の試験での「作者の主張するところ書け」という試験問題。よくよく考えればあれは「作者」ではなく、「問題作成者」の主張を探さなければならない。だって漱石や鴎外、芥川に答えを聞くことなどできないのですから。そのような試験を一般人以上に多く行ってきた裁判官が本来は「被告の主張を聞くべき裁判の場」において、設問に答えるかのごとく「問題作成者」たる検察の主張を無意識に汲み取ろうとしているのではないか?それがもしも正しければ、案外、裁判官自身は有罪判決を出す事を「自己保身」ではなく「本能」でしているのかもしれない。結局のところ、冤罪が裁判官の「本能」だとすれば司法制度を根本から変えない限り「疑わしきは罰せ」られていくのかもしれません。問題を提起する上でも、映画としても非常によいと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-29 09:13:15) |