1. ソウ
《ネタバレ》 練りに練った脚本、意欲的な映像、素人ながら熱演したリー・ワネル、おぞましくも美しい美術…しかし「努力賞」止り、「上手い」けど「巧く」ない。若い新人監督に「巧さ」なんか求めるのは酷な話だけど、ただこんな感想になるのは、作り手の情熱やそれを後押しする見事な才能を感じずにはいられないからだとも思います。それぞれの人物像の描き方が今一つ希薄で感情移入が出来ず、謎解きも「ん?」「もしや?」と思った矢先、様々な場面のフラッシュを度々挿入して感覚をかき乱される。感情の共有をとことん拒絶され混乱し、最後に犯人がむっくり起き上がった瞬間には「エェェ?!」と爆笑せざるを得ませんでした。どこにも余韻がないので、せっかくの疾走感は疲れるばかりです。【ゆらめきクルージング】さんが紹介されている完全解析サイトを私も読みました。医学の専門知識と深い読解力でとても面白いのですが、もはやダビンチコード解読の域。よくぞここまで謎とヒントをちりばめたなと思う反面、そこまで読み解かないとこの映画は楽しめないのか…と絶句。これでは現代美術と称される難解なオブジェです。通信簿5段階で平均3の私でも、もう少し鑑賞時に謎解きの楽しさを共有出来るように映像化出来てこそ、「作品」なんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2005-05-28 13:46:25)(良:1票) |