1. 続・兵隊やくざ
《ネタバレ》 シリーズ第2作。前作のラストシーンから始まっているのが本当に続編であることを感じさせてくれていて良いし、切り離した軍用列車が爆弾で吹き飛ばされ、軍隊に逆戻りする大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)という冒頭の展開も脚本的にあまり無理を感じないのも良かった。前作は有田の視点で語られていて、どちらかと言えば大宮よりも有田が主人公という感じだったのだが、今回は最初は有田の視点(ナレーション)で語られていたのが、大宮が当番兵になったシーンから視点(ナレーション)が大宮にかわるところが細かく、(「声が違う」と映画を見ている人の立場にたった突っ込みを自らしているのが笑える。)中盤あたりは大宮ひとりのシーンが続くなど、ここから大宮も主人公らしくなっている。個人的にはあくまで有田の視点から描いていた前作の構成が良かった分、ちょっと残念に思わないでもないが、シリーズ化ともなればいたしかたないのだろうと割り切ればそんなに気にはならない。大宮と一緒に風呂に入った二人の軍曹(芦屋雁之助、芦屋小雁)が大宮が自分たちよりも階級が下だと分かると態度が豹変するなど、今回も軍隊の理不尽さや腐敗がしっかりと描かれているが、それを決して重くならずに痛快な娯楽映画としてしっかり消化しているところもこのシリーズの魅力なのだろうと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2021-05-22 23:33:23) |
2. 組織暴力 兄弟盃
《ネタバレ》 タイトルに「組織暴力」と入っている佐藤純彌監督の映画で、シリーズ第3作目を思わせているが、実際は別物なのか、前2作とは趣を変え、戦後に出会った二人の男(安藤昇、菅原文太)が私設警察を結成し、のし上がっていくさまが描かれている。ヤクザ映画らしい作風になっていて、面白くないことはないのだが、「組織暴力」シリーズにあった社会派的な視点はなりを潜めていて、それが少し物足りない気もしないでもない。それに、舞台となる時代背景を実際の映像で出したりしているが、なにか中途半端に大作感を出そうとしているようで、ダイジェスト感も強くなり、これはいらなかった気がする。安藤昇も菅原文太も存在感がある演技を見せていて、とくに菅原文太は東映で頭角を現し始めたころで、このころから既に菅原文太らしい演技を見せているのが印象的。その菅原文太の相手役を演じているのが野添ひとみだったのは少し意外に感じたが、やはり彼女はこういうヤクザ映画よりはやっぱり大映、増村保造監督の映画でのほうが好きだな。後半の私設警察が結成されてからは暴力描写も凄まじく、見ごたえがあり、ラストもやるせなさが残るのだが、やはり個人的には「組織暴力」シリーズ2本のほうが好みだ。 [DVD(邦画)] 6点(2019-06-15 22:24:53) |
3. 続・組織暴力
《ネタバレ》 シリーズ第2作。主演は前作同様に刑事を演じる丹波哲郎なのだが、実際見てみると渡辺文雄演じる裏とつながった氷屋の社長が主人公のように見え、彼がヤクザと手を結び、のし上がっていく物語になっていて、丹波哲郎の出番は比較的少なめな感じだった。渡辺文雄は前作でも悪役で出演していたが、今回もはまり役で、丹波哲郎の追及をのらりくらりとかわしていくふてぶてしさが素晴らしい。一方でさっき書いたように丹波哲郎の出番が少なめなためか、刑事たちの捜査に対する執念というものが前作より弱かった気がする。それでも本作は前作同様にヤクザを美化した内容にはなっていないのがこの時代の東映ヤクザ映画とは一線を画すところ。逮捕された直後の渡辺文雄をバックについていた柳永二郎演じる大物の命を受けた部下たちがあっさりと殺してしまうラストシーンにヤクザ社会の非情さというものがしっかりと描かれていて、のちの実録路線のヤクザ映画にも通じるところのある映画になっているのが良い。このラストシーンは前作のラストシーンよりも救いがなく、やるせない気持ちになり、茫然と立ち尽くしている丹波哲郎と同じく、見ている側も茫然とするしかないのだが、これは佐藤純彌監督をはじめとするスタッフの狙いなのだろう。そして、トカゲの尻尾切りのように悪人を捕まえても結局、まだその上がいて、悪は無くならないという社会的メッセージを感じとることができる。これがこの当時の佐藤監督の作風によるものなのかはわからないが、このシリーズは2作とも単なる東映のヤクザ映画ではなく、とても見ごたえのある社会派映画の傑作だったことは確か。 [DVD(邦画)] 8点(2019-06-07 00:09:49) |
4. 組織暴力(1967)
《ネタバレ》 佐藤純彌監督の手掛けたヤクザ映画を見るのが初めてだったのだが、面白かった。東映のヤクザ映画というと、ヤクザ同士の争いを描いた作品が多いが、この映画は丹波哲郎演じる刑事を主人公にすることで、決してヤクザを美化するような映画になっていないし、視点もあくまで第三者的でクールに描いていて、70年代後半以降の佐藤監督の大作映画の数々を見慣れていると、本当にこれがあの佐藤監督の映画なのかと思うほどだ。作劇としても見ごたえがあり、ヤクザの描き方もそうだが、中でもラスト近くの空港のシーン、目の前に拳銃密輸事件の黒幕(月形龍之介)がいるのに法が壁となって逮捕できないというのが非常にリアルで、今までヤクザ一掃と拳銃押収に執念を燃やしていた主人公同様、見ているこちら側にももどかしさを感じさせる脚本はすごいの一言。ほかにもヤクザの抗争に巻き込まれてなんの関係もない若い女性が両目を失明してしまうエピソードなどをきちんと描いているところが良い。また、最後の最後に兄の仇討に躍起になっていた千葉真一扮するチンピラの若者(千葉真一、このころから既にギラギラしていて熱い。)が黒幕たちの前に飛び出していく展開は、なかなかに来るものがあり、感動的だったし、それまで抑えられていた見ている側の感情もここで一気に爆発するかのようにカタルシスもものすごく感じられる。さらに、彼の最後の行動によって、本作はヤクザばかりではなく、警察にも批判的な目を向けていたのではないかと考えることができるようになっているのはやはり一筋縄ではいかないものがあり、紛れもなく本作は社会派映画の傑作だったと思う。佐藤監督と言えば大作映画(あるいは「北京原人」)の監督というイメージがどうしてもあるが、それとは違う一面を見るにはじゅうぶんだった。 [DVD(邦画)] 8点(2019-06-01 17:53:26) |
5. 続・次郎長三国志
《ネタバレ》 東映「次郎長三国志」シリーズ第2作。今回は前作ラストで登場した森の石松(長門裕之)と追分三五郎(大村文武)の珍道中が中心の、東宝版で言えば第3作にあたる内容がほとんどそのまま再現されている。森の石松といえば東宝版で演じた森繁久彌がなんといってもハマリ役で、中でも東宝版第3作の小泉博演じる三五郎とのコンビぶりが絶妙で、かなり印象に残っている。その分、本作は分が悪いかと見る前は思っていたのだが、確かに長門裕之の石松は森繁久彌の石松に比べると物足りなさがあるものの、思ったよりは悪くなく、三五郎とのコンビぶりや、この二人とお仲さん(丘さとみ)とのやりとりも東宝版同様に楽しく、このあたりにマキノ雅弘監督のうまさも感じることができるし、シリーズとしてもこのあたりから本格的に面白くなっていく予感。東宝版でも印象に残った石松にお仲さんが酔った勢いで一緒に旅に出る約束をする一連のくだりはこの東映版でもやはり笑えて印象に残る。お仲さんを演じる丘さとみはかなり久しぶりに見るのだが、久慈あさみが東宝版で演じたお仲さんが大人の女という雰囲気だったのに対して、丘さとみのお仲さんはその可愛さが印象的で、久慈あさみとはまた違う魅力が感じられるのが良い。前作からの続きから始まる映画だが、前作よりも今回のほうが楽しめた。そうそう、松方弘樹と近衛十四郎が親子共演しているが、それもみどころの一つだろう。 [DVD(邦画)] 8点(2016-10-28 21:45:55) |
6. 早春物語
《ネタバレ》 原田知世主演の角川アイドル映画の一本。17歳のヒロイン(原田知世)と42歳の独身中年男(林隆三)との恋を描いていて、アイドル映画としてはかなり内容が大胆だが、その大胆さも角川映画らしいと思えば納得がいく。しかし、脚本はグチャグチャで、ドラマとしては面白くもなんともないし、感情移入のしようもない。ヒロイン役の原田知世に対して相手役が林隆三というのはあまりにも濃すぎでこの二人のラブシーンもドキドキするというより、ただただ気色悪いだけで、ラストの空港での林隆三が原田知世に告白するシーンも本当に本心とは思えなかった。それに原田知世の魅力もあまり感じられなかったのも残念だった。ただ、澤井信一郎監督の演出は丁寧で、印象に残るシーンもいくつかはあるのが本作の救いかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-07-15 18:20:01) |
7. 狙撃
《ネタバレ》 加山雄三といえば若大将シリーズであるが、本作ではそれとはまったく違う主人公の孤高のスナイパーを演じている。少し不安もあったが、冒頭の新幹線の標的を狙撃するシーンからストイックでカッコよく、雰囲気もよく出ていて、なかなかはまっていて良かった。それに東宝としても三十路を迎えた加山雄三のイメージを一新させたかったのか若大将シリーズでは絶対に見られないヒロイン(浅丘ルリ子)とのラブシーンがあったりするのも新鮮に感じられる。(シーン自体はヘボかったけど。)それだけでなく登場する銃器や車もカッコよく、それらにあまり詳しくない自分が見てもつい見とれてしまう。後半に登場する主人公を狙う森雅之扮する初老のスナイパーもカッコよく、(セリフが極端に少ないのがまた良い。)クライマックスの海岸での1対1の対決シーンも見ごたえじゅうぶんで、ラストの余韻の残し方も良い。正直、見る前にあまり期待はしていなかった映画だったのだのだが、とても面白く、隠れた傑作を見たような気分で見終わることができたので見て良かったと思う。ただ、少し不満を言わせてもらえれば、主人公とヒロインが出会ってすぐに惹かれあっているように見えること。もう少しこの二人の惹かれあう過程を丁寧に描いたほうが良かったと思う。それに土人の扮装で踊ってるシーンは完全に浮いていて意味不明でハッキリ言って無いほうが良かった。面白い映画だっただけにその二つだけはちょっと残念。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-30 15:03:44) |
8. 続・網走番外地
《ネタバレ》 シリーズ第2作。出所した健さん扮する主人公・橘真一が宝石強盗事件に巻き込まれるストーリーで、なんと刑務所すら出てこないのだが、シリーズとして続けるにはさすがに刑務所内だけではストーリーが作りづらいのだろう。続編(シリーズ化)が急遽決まり、脚本執筆開始からクランクアップまで3週間ほどしかなかったということでつまんないかもと思っていたが、つっこみどころ満載なところも含めてけっこう楽しく見れた。健さんは後年の主演作だとストイックで無口という印象が強いのだが、この橘真一という主人公は饒舌で明るく、健さんの従来のイメージとはかけ離れているが、それが新鮮で見ていて楽しい。とくに啖呵売をするシーンではその品物をあの高倉健が口上述べて売っているという画がもうおかしく、つい声を出して笑ってしまった。(まさか健さんでこんなに笑うとはかなり以外。)健さんのピンチに突如現れるアラカン演じる鬼寅の存在感や、宝石強盗団のボスを演じる安部徹の悪役ぶり(いつもこの俳優の演じる悪役は見ていて本当に憎たらしくなる。)も素晴らしい。突貫工事的に製作されている映画だが、前作は白黒で、ほぼ男しか出ていなかったのに対して今回はカラーになり、ヒロインも登場するというものになっており、これだけでも東映がこの続編に期待をかけていたことが分かる。けっして手放しでほめられる映画ではないが、面白かった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-06-05 00:31:54) |
9. 続・座頭市物語
シリーズ第2作。前作の後日談ということで1作目を見てからかなり間があいているので今さら見るのもどうかと思ったが、まあ思ったよりは面白かったかな。しかし、前作のヒットで急遽作られた感があるのは否めず、市と兄のドラマなどもう少し踏み込んで描いてほしかった部分が多いし、いちばんの見どころである実の兄弟が演じる兄弟の対決もイマイチ盛り上がらない。若山富三郎はこの作品が大映初出演だそうだが、初出演が弟である勝新との共演作というのは明らかに話題性を狙ったキャスティングだったのだろう。(おそらくこれが兄弟の初共演作ではないか。)でも、この間、「新仁義なき戦い」や「緋牡丹博徒」シリーズを見たばかりだからかもしれないが、本作の若山富三郎はそれらと比べると存在感があまり感じられず、勝新に食われ気味で、日ごろから勝新より演技ができる俳優だと思っているのだが、その演技もどちらかと言えばあまりうまくないように思えて少々残念。 [DVD(邦画)] 6点(2011-09-06 17:47:43) |
10. その男、凶暴につき
《ネタバレ》 お笑い芸人であるビートたけしが北野武として映画監督デビューを飾った作品。最初の少年の家にたけし扮する刑事が乗り込んでいくシーンから既に異様な雰囲気が漂い、ここでもう一気に惹きこまれた。映画監督のデビュー作というのは、まだ作風がちゃんと確立しておらず、何本か見たあとになって初めて見たりするとあまりらしさを感じられなかったりすることがあるが、この映画は既に一作目にしてのちのたけし映画の独特な雰囲気が出ており、これは本当にお笑い芸人の監督デビュー作なのかと思うほどのちのたけしの映画監督としての方向性がハッキリと出ている。「その男、凶暴につき」というタイトルどおり、犯人に対して執拗に暴行を繰り返す主人公の狂気もさることながら、映画全体に漂う恐ろしさがなんともいえず、見ている間ずっと緊張しっぱなしだった。ロッカールームでの暴行シーンなどは、直接見せているわけではないのに中で何が行われているのか想像するだけで恐ろしくなるし、クライマックスの対決シーンで薬を探す妹をみつめる主人公の目線にも恐怖を感じる。たけしらしい笑いも盛り込まれているが、全体的には殺気にあふれており、完全に「映画監督 北野武」というものをこれ一本で確立してしまっているのが凄い。この映画、最初の企画段階では深作欣二監督の予定だったそうだが、深作監督ではこの独特な雰囲気は出せないだろうし、まさにこれは北野武だからこそ出来る映画だと思う。それにしても一作目にしてこんな凄い映画を作ってしまったのがお笑い芸人とはやっぱり信じられない。最近でも俳優やお笑い芸人が監督デビューすることが多いが、それらが何やら話題性だけのように感じるのに対し、ビートたけし=北野武にはほかのタレント監督とは違う本物の作家性というものがあることをこの第一作目から感じずにはいられない。間違いなく傑作だと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2011-05-26 14:22:43)(良:3票) |
11. 續 宮本武蔵 一乗寺の決斗
《ネタバレ》 稲垣浩監督の「宮本武蔵」三部作の第二作。三船の武蔵は前作よりも良かったと思うが、やっぱり錦之助の武蔵に比べると何か違和感があるし、一乗寺の決闘といえば東映版ではいちばん面白かった部分なのにドラマもクライマックスの決闘シーンもあっさりとしていて完全に中だるみの一篇という印象。八千草薫のお通と岡田茉莉子の朱美の武蔵をめぐる恋敵の関係など、東映版や松竹版よりも恋愛ドラマ的な部分がクローズアップされてるのが面白いところだが、武蔵の成長物語として見た場合、かなり物足りなく感じる。とくに決闘シーンに吉岡側に子供がいないのはなぜ。このあたりの東映版の記憶が少しあやふやだが、東映版とはかなり違う気がしてドラマ的に物足りなさを感じた。前作で又八を演じた三國連太郎がなぜか降板していて堺左千夫になっているのに違和感があるが、東映版でお甲を演じた木暮実千代が吉野太夫を、同じく東映版に出ていた東野英治郎が宍戸梅軒を演じるなど今回も東映版の出演者が違う役で出てるのはちょっと興味深いものがある。そして鶴田浩二の佐々木小次郎は高倉健や田宮二郎の小次郎よりも色気があってかっこよかった。 [DVD(邦画)] 5点(2010-03-31 03:07:13) |
12. それでもボクはやってない
周防正行監督といえばコメディー映画の印象が強いが、(と言いながらこの監督の映画でこれまで自分がまともに最初から最後まで見たのって「Shall We ダンス?」1本しかないのだが。)痴漢冤罪事件を描いたこの映画は周防監督本人が公開当時某番組で語っていたように全く笑えない硬派な社会派映画。とにかく作り込みがかなり徹底されていて、主人公(加瀬亮)を通して痴漢冤罪被害者の現実が淡々とリアルに描かれていてとてもみごたえがあり、そして見ていてとても怖かった。はっきり言って今時の日本映画でこれだけ社会性が強く、作り手である監督のメッセージがストレートに伝わってくる作品は(とくにこのような大手のテレビ局などが絡んだ大々的に公開される映画では)珍しいのではないだろうか。結末もいかにもありがちな甘いものではなく現実的であり、(裁判長を演じる小日向文世の演技が冷徹で淡々としているのも妙なリアルさがあって怖い。)ここにいちばん周防監督の力強いメッセージを感じることができる。この映画を見ると実際に痴漢冤罪に苦しむ人たちのことを考えさせられるし、なにより自分も電車に乗る(満員電車に乗ることはあまり無いが。)ので気をつけたいという意識が自然と一層強くなった。出演者も実に適役で、中でも主役の加瀬亮はもちろんだが母親役のもたいまさこの抑えた演技が特に良い。 [DVD(邦画)] 8点(2009-09-23 14:46:32) |
13. 続・忍びの者
《ネタバレ》 シリーズ第2作。今回も監督は山本薩夫で前作同様社会派監督らしい目線もあるのだけど、前作の織田信長に加えて今回は徳川家康や豊臣秀吉が登場し、本能寺の変などの歴史上の出来事がわずか93分の間にぎっしりと詰め込まれており、今回のほうが前作よりも娯楽映画としての面白さは上だと思うし、話も前作より面白かった。しかし、少々エピソードを詰め込みすぎな感じがするのはちょっと残念な気もするし、五右衛門が釜茹でにされる直前にエンドマークが出るのもいかにもこの後の3作目につなげようとしている感があってなにかすっきりしないままなのもちょっと不満が残る。それに一部前作と演じる俳優が違う登場人物がいるのもちょっとなあ。でも、さっきも書いたように前作よりは面白いので今回も一応7点。それにしても森蘭丸を演じる山本圭(監督の甥)が若い。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-06 13:15:04) |
14. その木戸を通って
《ネタバレ》 市川崑監督が1993年に手がけた作品で、市川監督没後の去年11月に追悼上映として初めて劇場公開されたハイビジョン撮影の時代劇。原作は山本周五郎。「幻の名作、ついに公開」という触れ込みだったが、90年代の市川作品といえば外れが多い印象が強いためにあまり期待していなかったし、多少、製作会社の話題作りみたいな浅ましさも感じた。しかし、そんな不安は見ているうちに吹き飛んだ。市川監督らしい独特の映像美がこの作品でも健在で、元々はハイビジョン実験用のテレビ作品として作られた作品らしく、撮影もフィルムではなくVTRだが、明らかに映画を意識して作っているという感じがする。それに、同じ市川監督の「竹取物語」(いや、話の印象としては「つるー鶴ー」のほうが近いかも。)を思わせるようなストーリーながらイマイチだったあちらに比べるとこの作品はかなりの低迷期にあったこの時期の市川作品の中では佳作といえる出来になっており、ひょっとしたらこの作品が市川監督の90年代の作品の中ではいちばんいい気がするし、ラストシーンの余韻の残し方も良かった。出演者に目をやると、ストーリーの鍵となる記憶喪失の女をミステリアスに演じる浅野ゆう子が特によく、苦手な女優だが、こんなにいいと思ったのはおそらく初めてだろう。主演の中井貴一や、その他市川組常連俳優たちもいい味を出しているが、フランキー堺が市川作品に出演しているのはちょっと珍しい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-15 20:19:47)(良:1票) ★《更新》★ |
15. 空飛ぶゆうれい船
《ネタバレ》 作画スタッフに宮崎駿が参加していることで知られる東映動画製作のアニメ映画。あまり期待はしてなかったのだが、思ったより面白かった。しかし、後半はなんかご都合主義な感じだし、ラストもなんか盛り上がりに欠ける。このあたりは小学生の頃に見ていたら楽しめただろうなあという気がする。それにしても、劇中何度か流れるボアジュースのCMはインパクトありすぎ。鑑賞後、何日かするとこのCMしか記憶に残ってなさそう。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-03-29 18:14:54) |
16. 続・サラリーマン清水港
「サラリーマン清水港」の続編。前作でインパクトの強い中国人を演じていたフランキー堺がこの続編では出ていないのでそのあたりが少し物足りない気がするけど、前作同様に面白かった。今回も三木のり平の存在感は抜群でやっぱり笑わせてくれて楽しい。野球のシーンでルールも分からず応援している姿がとくに最高だった。小林桂樹と司葉子のロマンスはなんか「若大将シリーズ」のようだったが、安心して見られる展開。宝田明のボンボンはイメージにピッタリじゃないか。志村喬がちょっとだけ出てくるのだが、彼の東宝サラリーマン喜劇への出演はけっこう貴重かもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-11-24 03:17:34) |
17. 続・サラリーマン忠臣蔵
《ネタバレ》 「サラリーマン忠臣蔵」の完結編。前回ラストで吉良(東野英治郎)に辞表を叩きつけた大石(森繁久彌)たち。そこからの続きとなる本作では大石を社長に新会社を設立して直後から話が始まっているが、寺岡(小林桂樹)が秘書、小野寺(加東大介)が専務になっていて、社長シリーズという感じは前回よりも今回のほうがある。前回同様に真面目に忠臣蔵をパロディー化していて基本的に軽い喜劇なのだが、同時に少しシリアスな部分もあり、やはりそれが従来の社長シリーズとの違いなのだろう。(ほかの作品あまり見ていないのだが。)クライマックスの討ち入りを株式総会に設定しているのはそうきたかという感じだが、吉良は失脚させられるだけで大石たちもお咎めを受けない(つまり誰も死なない。)元の話と違う結末(現代劇の喜劇なのであたり前といえばそうだが。)は本当に大団円という感じで気持ちのいいラストだ。今回も前回に引き続きこの手の喜劇映画には珍しいような豪華な面々が出演していて、そういう面でも楽しめるのだが、本作の翌年に東宝ではオールスター大作として本家「忠臣蔵」が作られているのは面白い。それにこの二部作で共演している森繁久彌と三船が後年テレビの忠臣蔵においてそれぞれ別作品で大石(三船)と吉良(森繁)を演じているのもまた面白い。(2018年3月30日更新) [DVD(邦画)] 6点(2006-10-17 14:57:45) |
18. ソナチネ(1993)
ストーリーはけっこう普通のヤクザものだと思うけど、雰囲気がかなり良かった。沖縄の青い空と白い砂浜のコントラストも絶妙で非常に美しい。このシーンをみてなぜたけしが映画監督として世界的な巨匠と言われているのかがほんの少しだけど分かったような気がする。 [ビデオ(邦画)] 8点(2005-11-30 02:52:46) |
19. 続・悪名
《ネタバレ》 前作とストーリーが直接つながっているシリーズ第2作。ここでも朝吉と貞のコンビは最高にカッコよく、朝吉とお絹のからみシーンでは演じる二人の実生活を想像できて微笑ましい。(と、ここまでは前作のレビューでも書いたな。)オマケに今回は中村玉緒の父である中村鴈治郎(二代目)まで出演していて、まさに勝新と玉緒の結婚を祝福しているという感じである。(三人が同じ画面に登場するシーンがなかったのがちょっと残念。)しかし、この映画のいちばんのみどころはやはり貞が殺されるシーンだろう。エピソード・小ネタ情報にも書いたけど、このシーンは大映の駐車場で撮影されたもの。とてもそうは思えない出来栄えで宮川一夫の手腕が光る名シーンとなっていて、印象深かった。 [ビデオ(邦画)] 9点(2005-09-25 18:01:25) |
20. 空の大怪獣ラドン
小学生のときに見た怪獣映画の一つ。怪獣映画としては日本初のカラー映画で、当時としては破格の予算をかけたラドンの博多襲撃シーンがいちばんの見どころ。だが、「ゴジラ」や、「モスラ」と比べるといささか内容が地味で印象に残りにくい。でもじゅうぶん面白い映画だと思う。 [ビデオ(邦画)] 7点(2005-09-24 17:18:17) |