1. 草原の野獣
《ネタバレ》 「何でこんなに性格違うのかしら・・・同じように育てたつもりなんだけどねぇ~」とは、同性の子を育てた母親のありがちなセリフ(笑) 普通は弟の方がやんちゃというのがよくある傾向だと思いますが、この映画は逆で、やんちゃなのは兄の方。 母親が登場せず、父親の子育ての寄与度が高いと逆転現象が起きるのでしょうか。 それはさておき、ストーリーは良く出来ているのは勿論、登場人物それぞれの演技も素晴らしく良い仕事をしていると感じられますが、どうしてもB級以上の映画には成り得ない悲劇の香りが漂う作品のように感じてしまいます。 主役の兄エドは観る側からも良い印象を持たれずに終いには撃たれて死んでしまうし、父親リーも弟ダーヴェイもその脇役に過ぎずということで、ストーリー展開を考えるとどうしても大物俳優を並べられない矛盾を抱えた作品に思えてしまいます。(邦題もかなりビミョー過ぎるw) そのエドですが、ストーリー序盤では親父の手元にある缶を撃ったり女性に対しても乱暴気味に接したりと何となく悪ぶれている感が出ている様子。終盤にかけては看守を欺き人に向けて銃を放つようになったりと、段階を踏むように悪役に成り進む人物描写をするところにストーリー構成の上手さが出ていたように思います。 個人的には、馬の仲買人と父親リーとの駆け引きのシーンが好きで、法廷での証言を盾に欲しい馬を取っていく仲買人と悔しそうな表情をするリーでしたが、その後に銃で撃たれて瀕死の状態になった仲買人に対しては一転強気に出たりするなど、主役以外のところでもなかなか見ごたえのあるプロットのように感じました。 また、ごく自然に撮られている白馬が走るシーンですが、大平原の中で乗り手がいない馬の動きをしっかりとコントロールする調教技術や、それを追うブレないカメラワークも見事。 ラストは、エドが銃で撃たれる直前のリーの手元についてやや分かりにくい感があったところが残念でしたが、ダメ親父なりの判断で後々の死者を増やさないよう先手を打ったと解釈し、ハッピーエンドと捉えることにしましょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-23 15:59:11) |
2. 相続人(1973)
《ネタバレ》 ベルモンド、つまり命を狙われる側の人物像は、背景とか新聞社のやりとりとかを出しながら上手く描かれていたと思いますが、命を狙う側のキャラクター設定が確立されておらず、全体的なストーリーに難があると感じました。 ストーリーの後半まで観てみると、恐らくナチスドイツの残党の思惑が絡んでいると思われますが、歴史の知識が浅いために深くは読み取れなかったところはあります。 単純に大企業をつぶすとかそういった漠然とした意図しか感じ取れず、この辺りに改善が欲しかったところです。 ただ、枝の部分は総じて良いシーンが多く、序盤の麻薬入りの鞄のトリックは斬新で、ここでこの映画に対する期待感が増した感じはありました。 会議のシーンで、親父のイニシャルHC(Hugo Cordell)が刻まれた椅子に座るのを躊躇する仕草で感情を表現したりするところや、肖像画が次々と落ちて狙われていることに気付くシーンも芸術的な感性を感じますし、何と言っても最後の空港のロビーに向かうベルモンドと新聞が印刷されていくモーションのクロスカッティングは緊迫感絶大で凄く引き込まれました。 最後の最後、エンドロールで複数アングルのリプレー映像は完全に蛇足。 [映画館(字幕)] 5点(2021-05-21 00:34:33) |
3. そして僕は恋をする
《ネタバレ》 アルノー・デプレシャン監督作品3作目。 人物描写に卓越したものを持つ同氏の作品ということで期待して臨みましたが、まぁ確かにしっかりと描かれていたのかもしれませんが、話が進展せず大きな出来事もないままであれば、いくら丹念に描かれていたとしても面白さは見出しにくいです。 よく考えると、相性が悪いと分かっていながら10年も交際を続けていたり、論文を5年もかけて書いていたりという話ではストーリーが面白くなる訳もなく、3時間にも及ぶ長尺も無駄に長く感じられてしまうだけでした。 不思議と上映中は寝ないで最後まで観れたという事で、観たことを忘れてウッカリ再見しないよう記録としてレビューしますが、コメントを書くにも窮する作品でした。 ところで、家に帰ってこのページを見て初めて英語のタイトルを知りましたが、「私のセックスライフ または私は如何にして・・・」という邦題にした方が良かったんじゃぁ・・・ [映画館(字幕)] 5点(2015-02-01 02:38:48) |
4. そして誰もいなくなった(1945)
《ネタバレ》 原作を未読どころか、タイトルすら初めて聞くくらいの予備知識パーフェクトゼロの状態で観ました。 メインのストーリーは、アイディア一発で撮られただけのごくチンケなもので、登場人物それぞれが皆、過去の罪を語る場面が一応用意されてはいるものの、10人もの顔と職業と話の内容を把握し、その上で誰が犯人かを推理するなんていう芸当は到底出来るわけもなく、また、どのような経緯で集められて船に乗り込んだのかという事や、島に関する情報、更には一人一人と死んでいった際に死んでいる事をしっかりと確認しないまま話が進んでいくところを見ると、実はネコが犯人でしたテヘペロというオチだったら面白いんだけどなぁとかいうアホな推理をしていた自分のようにユル~く眺める感じで鑑賞するのがベターなのではと思います。 クレールの映画では音の使い方に注目するようにしていて、また明かりが消えた闇のシーンではどの監督に限らず微妙な照明テクに注視しているのですが、そのどちらに関しても特に目を引く耳を引くようなシーンはなく、本当にアイディア一発の映画という以上の何かは感じ取ることはできませんでした。 しかし、鍵穴を覗いている人を他の人が覗き、その人をまた別の人が・・・という演出は段々とテンポが出てきて楽しいですし、最後の方で女が一人部屋に戻ってきた時に犯人が姿を現す時の、最初のうちは首から上を見せない演出なんかは面白いと思いました。 最後、カップルが仲良くハッピーエンドを迎えたと思いきや、11人目が出てきて最後のオチを奪うというのも爽快感が感じられ、上手くまとめてくれて良かったです。 [映画館(字幕)] 7点(2014-01-17 23:47:52)(良:1票) |
5. そして船は行く
《ネタバレ》 この映画は何故セットとわかるように撮ったのだろう??初めのうちはこのあからさまな雰囲気が凄くイヤで、何度席を外そうかと思った事か。最後のスタジオ全体とスタッフを映したのもどうもよくわからない。何故セットであることを前面に押し出さなければいけないのだろうか。何故ナレーションが必要だったのか。全くもって意味のわからない映画だった。 [映画館(字幕)] 4点(2005-11-06 20:25:43) |
6. 双生児
《ネタバレ》 面白かったです。今まで日本映画バカにしていました。 世界観というか雰囲気というか、映画全体に流れている独特な感じが妙に綺麗で怖かったです。井戸に落とされるシーンで「りん か?」って言った瞬間いきなりワッ!と来たときは、かなりビビッた。ケツが1センチ浮きました(笑)。来るぞ来るぞ~って思わせといて、ワッ!とビックリさせられるのも怖いけど、ああいう驚かせ方もいいですね。 もっくんも良かったけど、それ以上にりょうの演技がとても魅力的で印象に残りました。※ 7点(2004-09-09 18:15:45)(良:1票) |