1. 存在の耐えられない軽さ
静かなる名作。当時の社会情勢と絡めて、男と女から理性と本能まで追求している非常に深みのある作品。トマシュが最後まで声明にサインしなかったのは本能というか人間としての根元的なプライドを保持しようとしたからだろうか。羨望の眼差しで見つつも、自分はどうあがいてもあちら側の人間なんだろうなあ。ただ欲望だけを求めるなら地位や名声を守るだろうから、彼は極めて本能的に生きていたんだと感じた。清貧として一瞬の幸せを掴めた終盤は特によかった。牧歌的というか、あーゆう描写すごい好き。静かにフェードアウトしていくラストシーンも秀逸。重厚長大な感もある作品だけど、文学が好きな人、というよりもこのタイトルに何かを感じる人は観て損はないと思います。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-04 15:55:24)(良:1票) |