1. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
《ネタバレ》 バカバカしい時間の使い方と、なんでそんなに引っ張るの?という緊張感。百回見た。 完璧に西部劇を勘違いしたこの映画は、その実アメリカ本土の西部劇よりも遙かに西部劇なのである。 [地上波(邦画)] 10点(2013-05-09 20:38:48)(良:2票) |
2. その男ヴァン・ダム
《ネタバレ》 ヴァンダムが非アクションな演技をしている。 なんか可哀想なストーリーが、現実なのか嘘なのかわからない。作り込まれた映像美にドキュメンタリズムを排除した優しさがあるのに、なんかヴァンダムに容赦ない。 どの程度ヴァンダムが可哀想なのかホントのところが謎めいて虚実入り交じったこの話で、一番うろたえてるのは誰か。 ヴァンダムではなく、見てるオレだった! どうすんだよヴァンダム。この後どうすんの?って、って思わずヴァンダムを調べると、2012の新作に超重要キャラとして登場するらしくて安心した。 マジで安心した。 [DVD(吹替)] 7点(2012-05-20 17:24:38) |
3. その男、凶暴につき
もうどうしようもなく凄い。 怖い。ちっともすっきりしない。腑に落ちていかない。 何でこれはこんなにも映画の定石を外そうとするのか。でも凄く映画している。 凄いリアルで、気持ち悪さすらある。 何も得る物なんかないんだけど、これを観てがんばれる気持ちが沸くわけでもないんだけど、でもなんか凄い物を観たって言う、体験ができる。これはテレビじゃ得られない。 [ビデオ(邦画)] 8点(2012-04-29 08:25:38) |
4. ゾンビランド
《ネタバレ》 なかなか面白い。 映像的にゾンビ映画として、真っ当かつ高品質であることは間違いなく、一瞬B級じゃないんじゃないのか?とか思わせるんだけどやっぱりどうしようもなくB級であり、そこが良い。 全く説明されないゾンビ過は、社会と背景の損傷度から容赦のなさを知ることができるが登場人物たちはその辺を気にする様子もない。ふざけた空気が流れるなか、何となく生きていこうとして、なおかつ何となく生きてしまえている彼らにどういうわけか共感が湧く。 目的地までの彼らのやりとりに何となく安堵感を覚えるのはなぜだろうか。あの四人のどこかにどうしようもない自由さと繋がりを見つけてしまうと、エンディングがどこか寂しくて、それが心地よいのだった。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2011-05-31 21:39:28)(良:2票) |
5. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 面白かった。絵に描いた様なダメ人間風の男だ。その印象が最後まで続く。なぜあのときあんなことしてたのかという様なことや、なぜあのとき疑問にきちんと答えないのかということ、なぜあのときなんな態度をとったのか、なぜあのとき常識的な機転が利かないのか。諸々。 その主人公の造形が秀逸で、巧く話が進んでいく。一方でお話的でない裁判の部分では実にありそうな進み方をしていく。現実的な部分と、居そうなダメ人間という部分がお互いを補って、巧妙にいやな結末を生む。 痴漢冤罪は本当に怖いものであるが、一方で被害者側の安易な行動や自動思考を助長している。根本には刑事裁判において、他先進国と比較したとき供述の整合性を偏重する裁判理論と、科学捜査の軽視という事実認識の欠落が存在する。記憶や類推を事実とは無関係なリアリティを伴った造形物として、それを競う場となって裁判所は機能しているのだろうか。この国はここが怖く、本質的に共産圏のような閉塞感が知られていないことも恐怖だ。 この映画では冤罪の実態と、裁判理論のおかしさに焦点を当てていて、その広さではなく深度において造形のうまさを実現している。また主人公の性格造形においても丁寧なので、人間ドラマが実に面白い。しかしそのために具体的に何がどう変なのか、直すべきところがどこなのか。という部分については受け手が持っている情報量で問題認識と再提起するしかない。つまり、感想が千差万別になってしまう。 そういう意味でより普遍的な社会問題を扱う話としては他者の他作品に譲ることになるのだろうが、フォーカスされている部分の完成度は非常に高く、非常に巧くいっている。 [DVD(邦画)] 8点(2010-04-30 16:09:56) |
6. ゾンビ/ディレクターズカット完全版
《ネタバレ》 大昔、小学生の時見た最初のゾンビ映画。日本には商用インターネットも無く洗練された恐怖映画もそれほど無かったと思われる時代に、密封されたすでに壊れた世界を見せられた恐怖というのは相当なものだった。 ゆっくりとおそってくるゾンビでさえ、普通の民間人には脅威である。それを武装した警官が場合によっては餌食になるというオープニングで脳みそにインプットされると、一方的な情報としてゾンビ=ヤバいという認識で固まる。あんなゆっくり襲ってくるのになんで対抗できないの?という疑問は徐々に無くなる。うっかりや不意、憐憫などの誰にでもある数秒の隙に彼らは噛んでいるのだ。鍛えられた警官が、引き籠もりがちの男に刺殺された事件があった様に不意は不可避である。 ゾンビを初めて観る人間には、それがゾンビである可能性を認識していない。それは観客も劇中の人間も同じであり、そうした人間しかいない世界では瞬く間にゾンビは広がっていってしまうのだろう、と、小学生の頭の中にはすぐに刻まれたわけだ。もちろん特殊部隊や軍隊が即座に機能すれば事態は収束したかもしれない、けどそれに失敗した世界がこれだ。そのルート進行に痺れた。 物語が始まった時点でもう修正がきかないほど世界が壊れていたりと、1999年を意識させる破滅的な世界にも痺れまくった。この世界観構築は偶然の産物かもしれないが、後の作品がこれを様々なお話でブラッシュアップさせ逸品を作り上げることになるのだからその影響力と遺したものは大変な価値があると思う。 それに、初見の恐怖感を補いながら観ることで、いつ見てもこの映画は怖い。よくできている。 [地上波(吹替)] 8点(2010-04-30 15:05:45) |
7. ソードフィッシュ
《ネタバレ》 面白かったと思う。人に勧められなくもない。 冒頭の爆発シーンには当時たまげた。そういえばPlayStation2を購入して、最初にどっさりレンタルしてきたDVDの中の一つがこれだった。DVDというメディアがブラウン管に映った時、こんなにすごい映像がこんなに簡単に楽しめるのかとマジでビビったのが懐かしい。 なんかふざけてる感じが良い。どうしてか悪人にしか見えないトラボルタが、どうしても悪人にしか見えない悪人を、小憎らしく演じるという良い感じの演出がまた良い。いきなりパイオツとか、なんかよくわからん時系列だとか、あり得ない技能だとか、そういうことは置いておいても見せ方自体がかなりアクロバティックでこうなるんじゃないかという、無意識に身構えるそのちょっとだけ斜め上をいってくれるあたりが巧妙だ。 全然予想だにしないようなふざけたようなどんでん返し的な展開より、ほんのちょっとどうせこうなるんだろ的なテイスツが振りかけてあるあたりに、その周到さを感じる。狙いどころをどうするかっていう技術のバランスがどうにも飛び抜けている。 このスピーディーさでエンディングまで行くと、なんだかテロとかそういうものがスパイスになってしまうが、あの事件の前であるということを考えるとそういう使い方が出来たということでなんだかこれも懐かしさを感じたりもする。 [DVD(字幕)] 7点(2009-11-22 00:28:01) |
8. 捜索者
《ネタバレ》 DVDで見直すと、映像の汚さに本当にがっかりしてしまった。昼のテレビ放送にあったあのすすけた雰囲気が完全に台無しだ。懐かしさを感じる様なたぐいの映画を液晶テレビ+DVDで見るときには気をつけた方が良い。 本作の背景にある、ネイティブアメリカンへの嫌悪や憎悪というのは、1956年当時実在のものだったのだろうか。それともアメリカ人が映画を見るときだけ発生させる一時的な感情なのだろうか。ネット上では英文の資料を見てさえ、書き手の恣意が見え見えでよく分からない。 小学生の時に夢中で見た本作だが、やはり面白い。しかし当時あこがれたあの汚らしさ、美しさ、西部の日常といった部分が大型液晶のせいでかなり台無しになった感があり、そのせいで過去様々な時期、時間帯でみた本作と全く違う印象になってしまった。 ジョンウェインの演じる主人公の性格が、相対的に情報量としての体積を持ってしまったがため、仇敵であるネイティブアメリカンのもつ、古典映画的なネイティブの像と釣り合わなくなってしまった。舞台の美しさがすべてを内包できていたがために、それが欠けてしまうと必然的に憎しみの造形が現実性と描写性とを行ったり来たりしてしまう。そもそもが、一度として私はこの作品を現実的にはとらえていないので、焼き付いていたはずの主人公のキャラクター設定に当惑してしまった。 この映画が持っていたはずの雄大な美しさと、セットが発する劇ですよという安心感。予定調和の中でジョンウェインがジョンウェインらしく暴れるという部分が少なからず失われてしまっていたのは残念だった。 やっぱり西部劇はブラウン管のテレビ放送かBDに限る。いつ何時何がスポイルされるか全く分からない。あと、英語をしゃべるジョンウェインにはいつも違和感を感じる(笑)。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-10-02 19:44:21) |
9. ソウ
《ネタバレ》 オチが騙しになっていない。 こういう古典的な、死体が犯人の死んだふりでした的なオチっていうのはどうなんでしょうか?これじゃ犯人は主人公でしたとか、人工衛星にいましたとか、死んでいましたとか。考える意味が無く、考えても当たったか外れたかでしかないというところで等価。 おそらく昔多かったこの手の手法の映画のオチに飽きてしまった人は、本能的にこの映画見ないと思います。それでも紹介されてとりあえず・・・という形でこの映画に出会ってしまった人はイライラしっぱなしでしょう。 [DVD(字幕)] 2点(2008-08-06 22:30:13)(良:1票) |