1. そして人生はつづく
《ネタバレ》 キアロスタミ監督、やっぱりすごいです! 「友だちのうちはどこ?」も素晴らしかったけど、本作は「友だちの~」のクオリティーをさらに凝縮したような名作でした。 大震災の起きた地で、息子とともに少年を探し続ける様子を描いただけなのに、特にドラマティックな展開があるわけでもないのに、観終わったあとの満足感がハンパない! 悲劇や希望を過剰に演出しがちな凡庸な映画とは、立つ土俵が違うといった感じでした。 震災時の様子を、悲惨さ・重さを感じさせずに、でも臨場感たっぷりに伝える。これは映画作品ですが、マスコミの偏重報道よりよっぽど現実味を帯びています。サッカーのワールドカップ見るためにアンテナを立てる人のシーンがその象徴。震災を免れ、これからも生き続けていく人にとって一歩進む力とは、案外こういうものかもしれませんね。 急な坂道を人生に例えたラストシーン、ベタですがいいシーンでした。坂の途中、乗車拒否したおっちゃんが車を押してくれて、次はおっちゃんを車に乗せてあげる。出会った人々同士、心の温もりが感じられれば人生という険しい坂も上っていける・・・。 被災した人への応援メッセージ、こういう方法もあるんだなあ・・・と、あらためて映画の持つ力を思い知らされました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-29 16:18:45)(良:1票) |
2. 続・深夜食堂
《ネタバレ》 ドラマの深夜食堂は大好きで何度も観ていますが、映画となると、人気の深夜番組がゴールデンタイムの放送になった途端につまらなくなるように、「ちょっと違うよね・・・」感が漂っているように思えました。 それでも、渡辺美佐子がタクシーから息子を見るシーンは印象的でしたし、前作の多部未華子が2階で扇風機にあたるシーンも映画ならではの魅力的な映像表現だと思うので、一概に映画化を否定するわけではありませんが・・・。 個人的には、先述の2つのエピソードを合わせて「“映画版・深夜食堂”でいいんじゃない?」と思ってます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-12-26 18:34:36) |
3. そして、デブノーの森へ
《ネタバレ》 すごくいいですね! テレビの解説には「出会った女の罠にハマって、すべてを失う男の話」のようなことを書いていたし、いきなりきれいな女優さんの裸・・・という流れだったので、安っぽい映画かと思い、まったく期待していませんでしたが・・・ 実は、自殺した親友との友情を描いた骨太のヒューマンドラマでした。 途中、エヴァが主犯でミラが利用された・・・みたいな煙幕が張られるものの、どうみてもエヴァは脇役で、ミラがある目的を持ってダニエルに近づいたとしか思えない展開です。ミラは、ダニエルが、父・ポールの作品を盗作して名声を得たと思って、本の印税を脅し取り、結果的に破滅させるのですが、真実を知ったミラ、ラストシーン、そしてこのタイトルの意味がわかった時は、あまりの哀しさと美しさに声も出ないほどでした。 最初は、「鑑定士と顔のない依頼人」のような話っぽいので、どうしてもミラの正体にピントを合わせて観ちゃいますね。でも真実がわかって、ダニエルの視線でこの映画を見直すと・・・ 女好きのアホなおっさんと思っていたダニエル、実は骨のある、不器用だけど男気にあふれた、いいヤツじゃないですか!(ただ、奥さんはかわいそうでしたが・・・) 最後、すべてを知ったミラが、自殺したダニエルのことを「偉大な作家」と呼び、警察官に見せられた写真を見ながら「ポールは?」と聞かれ、「さあ・・・」と答える時のミラ、そして墓地に舞う原稿・・・最高に美しかったです! 話の根底には、ユダヤ人問題が重深く関わっています。自分にはその辺りの知識がほとんどないので、しっかり調べてもう一度見直せば、さらにこの映画の素晴らしさがわかると思います。何気なく聞き流していたダニエルの父の「火星人のジョーク」も、実は伏線というか、前フリだったんですね。 他にもいろいろとその後の展開を示唆するセリフやシーンがていねいに練り込まれた、良い映画だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-06-07 14:06:48) |
4. そこのみにて光輝く
主役の演技力は素晴らしいと思うし、ラストの美しさなどは「すごい!」としか言いようがないくらい救済感あふれるシーンで、映画としてのクオリティは決して低くないと思いますが、登場人物に共感できる部分がない、というより、大嫌いな性質の人間ばかりだったため、映画の評価よりも不愉快さが先行してしまいました。 特に、拓児のような精神的に弱いダメ人間、どこまで自分を下げりゃ気が済むんだと言いたくなるような千夏。解説には「閉塞感漂う北の町で~」とありましたが、町に閉塞感があるわけじゃなく、こういう人たちの目線で社会を描けば、南国のパラダイスだって閉塞感漂う世界になっちゃいますよ・・・としか思えませんでした。ラストシーンが本当に美しかっただけに、とても残念でした。 もうちょっと違うカタチで料理してくれれば、美味しさを味わえたと思うのに・・・。単に、自分の好き嫌いだけで、料理そのものの評価まで下げるようなマネはしたくありませんが、やはり平均点よりは低い点数になってしまってすみません・・・。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-12-09 10:28:53) |
5. 続名探偵ホームズ1/ミセス・ハドソン人質事件
《ネタバレ》 大ヒットした宮崎作品を何度も観ているだけに、それに比べるとこのホームズシリーズは粗さが目立って、じっくり鑑賞したいというほどでもありませんでした。ただ「このシーンはあの映画の原型になったシーンだな」という、資料的な面白さはありましたが・・・。ひとつだけハマったのは、ミセス・ハドソンというキャラクター。こんな素敵な人がいたら、モリアーティでなくても「惚れてまうやろ~っ!」と思ってしまいますね(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-18 15:07:46) |
6. それでも恋するバルセロナ
う~ん、どうも好きになれない映画です。正直「何これ?」といった印象で、これといった見どころもなく、早く終わらないかと時計ばかり見ていました。唯一、ヴィッキーの婚約者→ダンナの何も知らない滑稽さだけは面白かったです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-02-14 21:40:37) |
7. 卒業(1967)
《ネタバレ》 この作品を初めて観たのは子供の頃でした。「ものすごく面白かった!」という記憶があります。でも今観ると、きっと途中で観るのをやめてしまうでしょうねぇ。当時の映画解説の人が、「最後、バスに乗り込んだ2人は笑っていない。それは、これからいろんな困難があることを暗示している」と説明していて、なるほどと思いましたが、陳腐な解説ですね。音楽が良かったです。特に「ミセス・ロビンソンのテーマ」は、聴くだけで当時の様子が頭に浮かんできます。面白かったという昔の記憶に7点。 [地上波(邦画)] 7点(2011-08-29 11:21:55) |
8. そして誰もいなくなった(1974)
原作は読んでいないので、普通に「こういう話か」と思って観ていました。「サファリ殺人事件」に比べたら、よくできている方だと思いますよ。 [ビデオ(吹替)] 6点(2011-07-10 00:16:26) |