1. 歌行燈(1943)
昨日は歌舞伎を観にいったんだけど、今月の演目はまだ2日目だったからか全体的にどうにもバラバラでアラばかりが目についてしまった。複数の人間によって作り出されるアートと言うのはあらゆる要素がシンクロする瞬間に醍醐味があるワケで、それは人間という孤独で不完全な生き物が、束の間誰かと何かを共有する(と錯覚する)瞬間にこそ至福の喜びを見いだすからではないだろうか。この作品ではそんな瞬間が実に見事に表現されていると思う。音楽映画では「指の動きを完コピしていた」とかって事が評価される事があるけど、そんな事やろうと思えば誰だってできる。音楽とは呼吸なのだと私は思う。【STING大好き】様ご指摘の宋山との対決シーンにおける緊張感!あの瞬間から身を乗り出して画面に見入る私。「人を死に追いやるような芸を許すわけにはいかない」。芸事とはそれ程までに覚悟を要するのだ。流しに身を落としても隠しきれない恩地喜多八の三味線と歌声のセクシーなこと!落ちぶれても決して哀れっぽくない太い音には説得力がある。そしてクライマックスでは全てが鮮やかにシンクロし、我々は至福の時を味わうのだ。このラストシーンには涙が止まらなかった。何て美しくて強い映画だろう!超名作! [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-11-03 21:22:20)(良:1票) |
2. 浮雲(1955)
高峰秀子と森雅之が一緒に歩くシーンが何度も出てくるんですけど、その際、高峰秀子が言う「私たち何処にも行くところがないのよね。」ってのが2人の関係を象徴しているように思いました。2人一緒の未来ってのをお互い想像できないんですよね。終戦と同時に終わってしまったと、2人共分かっているのに新たな人生のビジョンを描けない。恋愛だけでなく敗戦で人生全てに於いて抜け殻になってしまった2人と言うのを感じました。↓【大河内伝次郎ノ介】様ご指摘のように森こそが人生の目的と思い定めてしまっている高峰が哀れで・・。今なら女が一人で生きて行く、或いはシングルマザーと言う選択肢も十分アリなのになぁって。なんで子供堕胎するよー?私なら大喜びで絶対産む。そんで男なんか捨てる!一方で私もこれくらい一途に全身を投げ出すべきだったのか?とか自らを反省してみたり。まぁとにかく映画に凄く引き込まれちゃって、2人と一緒にこっちも悩だりで、その濃密さに映画が終わっても暫くはボーゼンでした。ホント、スゴイ映画です。 9点(2005-03-08 12:14:03)(良:2票) |
3. 浮き雲(1996)
「小津が好きなら絶対気に入るから見ろ!」と常々いろんな人に勧められていたのですが、公開当時見た「レニングラードカウボーイ」シリーズにあまり相性が良くなかったのでずっと敬遠してました。で、この度やっと拝見。確かに小津だ。けど、ごめんなさい!私はどうしても彼の「間」には馴染めないし、好きになれなかったです。 6点(2004-11-02 13:32:32) |
4. ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
羊の話と不感症の話が好きかな。けど、全体としてはちょっとビミョーに笑えなかったス。あと最後の話は一緒に見ていたツレに「これ見た後じゃする気になれない」と言われちゃったよ!男の性欲を奪う効果があるようなのでご用心。 6点(2004-09-03 15:16:04)(笑:1票) |
5. ウォー・ゲーム(1983)
《ネタバレ》 お正月にヒマだから映画でも見るかって感じで見た映画。この頃は米ソ冷戦時代ですから核戦争の不安てのはシンプルに、黙示録的に世界共通の心配ごとだったワケです。昨今はテロの時代だから暴力ってもっと身近なものだし、核だってインドVSパキスタンとかなんだかフクザツでややこしくてピンとこないものになっちゃいました。ところで私がこの映画の中で一番感銘を受けたのが実は冒頭。核の発射ボタンを押すよう命令を受けた軍人が「自分は出来ない」と言うんです。「命令だ!押さないなら殺す!」と上官が彼に拳銃を向けるのですが、「世界を自分の手で滅亡させる位なら殺された方がましだ」と断固拒否すると言うシーンがあるんです。まぁこれは抜き打ちの訓練で(でも実話だって聞いたけど)全米でこんな人が多かったもので判断を機械に任せることになるんですが、なんつーか、人間って捨てたもんじゃないんだなって。自分にはできるかなって。そんな風に考えさせられたんですよ。そんなワケでこのシーンに5点です。 5点(2004-08-18 12:23:28) |
6. 運命の女(2002)
ダイアン・レイン美しかったなぁ。この手の話はもういいよって思いながらもやっぱ最後まで見てしまうね。私は男と女の関係にはタブーなんて無いと思ってるので不倫は良いとか悪いとかっていう問題のモノではないです。けど、子供はやっぱ可哀想だよね。あの子、なんかいじらしくて可愛かったし。ところでこの映画から得る教訓、それはズバリ「浮気相手と直接対決はするな!」でしょう。人間心の奥底にはとてつもない闇を持っているものでして、突然自分では制御できないような激しい感情に飲み込まれ、思いもよらない行動をすることがあると思う。離婚する気の証拠集めが目的じゃないのなら、尾行なんてするべきじゃないね。 5点(2004-06-21 11:56:07)(良:2票) |
7. ヴァンダの部屋
監督のペドロ・コスタがリスボンのスラム街に2年間住み込んで、彼の前作の出演者だったヴァンダ・ドゥアルテとその家族の暮らしを撮ったドキュメンタリー。日がな一日薄暗い部屋の汚いベッドの上でヘロインだかコカインだかを吸引するヴァンダ。スラムに住む無気力な人々。強盗でもやらかす方がまだ人間らしい。世界にはホントに色んな地獄があるもんだ。そしてその映像が表現する構図、柔らかい光と柔らかい影はまるで絵画のような美しさがある。しかしですよ、例えば旅に出たり戦ったり指輪捨てたりの3時間でもいい加減うんざりするのに、ドラッグキメてる様子がメインの何でもない日常を3時間も見るのは正直言って拷問ですよ。「あとどの位で終わるんだろう、もう限界だ」と時計を見たら(映画館でそんなことしたのは生まれて初めてだ)まだ30分あった時のあの絶望感!とは言えチラシには「ペドロ・コスタのようにフリッツ・ラングや溝口のような画面を撮れる人は他にいない。『ヴァンダの部屋』の光のきらめきをみつめていると、“小津”の映画を思い浮かべるージャン=マリー・ストローブー」と書いてあったから、前衛とかオッケーで知的持久力に自信のある方はチャレンジしてみてください。 4点(2004-03-29 13:42:24)(良:1票) |
8. 浮草
小津が唯一宮川一夫と組んだ作品。いつもより映像がキリっとしてます。【なるせたろう】さんも言っておられる軒下のシーンなんか鳥肌立つほどキレイです。本作ではなんと言っても鴈治郎の会話のテンポが楽しい。聞いてて心地良いです。歌舞伎なんかだと世話物は特に会話のテンポを楽しむところがあるけど、その辺も小津は影響受けてるんでしょうかね。ラストも京マチ子がいじらしくてなんかホッとしちゃいます。 8点(2004-01-21 12:07:39)(良:1票) |
9. ウェディング・シンガー
怒濤の80'Sヒットソング集にはちょっとハマりましたね。しかしドリュー・バリモアはあのいけ好かない男と4年も付き合ってたなら修羅場の2度や3度はあったハズ(男の浮気はすぐにバレるのだ!)。それでも結婚しようとしてたんだからあの手の男が好きなのだろう。それならきっとロビーのような「いい人」ではその内物足りなくなるに違いない。二人の未来は危ういゾ!↓【やすたろ】さん元気だして!因みに私は高所恐怖症だしトイレに行きやすいので飛行機では絶対通路側派です。ハイ。 5点(2004-01-05 11:20:13)(笑:1票) |
10. ウエスト・サイド物語(1961)
歌と踊りがキマってる!昔は大晦日とか正月によくTVでやってたな。「猪木祭り」も良いけどサ、こういう名作放送する局があってもいいんじゃないの? 8点(2003-12-02 17:16:24) |
11. ウェインズ・ワールド
マイクマイヤーズ(だっけかな?)が楽器屋でギターを試し弾きしようとした瞬間店員が貼り紙を指さす。そこに書かれていたのは「DON'T PLAY!『Stairway to Heaven』」ってのには笑いました。 4点(2003-12-02 17:05:28) |
12. 麗しのサブリナ
ビリー・ワイルダーの映画はホントに粋。たまりませんね。ヘップバーンもとってもかわいかった。けど、サブリナ自身はなんだかあまりにもバカみたいだと思うのは私だけか?シンデレラストーリーと言うやつに素直に感動するには、あまりにスレてしまった自分が悲しい・・。 7点(2003-03-04 12:32:38) |
13. 海の上のピアニスト
良い音楽に出会うことに歓びを感じている監督の作品は、見ていると「この人音楽好きなんだな~。」とその思いが伝わってくるのですが、私にはこの作品からそんな思いは感じられなかったです。だから演奏シーンが退屈で、故に全体的に退屈でした。「ニューシネマ・パラダイス」もそうですが、どーもこの人の作品は「仏像作って魂入れず」って感じがするんですよねぇ・・。 4点(2003-02-03 11:19:16) |
14. ウェイクアップ!ネッド
いまひとつパンチに欠けた。ブラックユーモアはかなり好きなんですが、どうも中途半端だったような・・。しかしアイルランド人ってのは酒飲みすぎだろう。かく言う私も映画館から出たら無性にギネスが飲みたくなって、銀座でブリテイッシュパブを探し回りましたが。 5点(2002-11-28 14:40:41) |
15. ウエストワールド
私も子供の頃見てもの凄く怖い映画として心に残りました。ユル・ブリンナーの容赦の無さが怖いのなんのって・・。当時「日本沈没」やら「タワーリング・インフェルノ」やらが流行っていて、お陰で「世の中はキケンに満ちている」と幼かった私は真剣にビビらされていたことを思い出します。「ウエストワールド」は確か続編もあったハズ。主演はピーター・フォンダだったような・・。(間違っていたらご免なさい) 7点(2002-08-28 17:44:59) |