1. 宇宙でいちばんあかるい屋根
《ネタバレ》 近所のお兄さんへの憧れ、複雑な家庭環境、学校でのSNS絡みのゴタゴタ、など題材としては昨今よく見るもので特に真新しいとは思わないんですが、つばめと星ばあのやり取りが秀逸すぎて楽し過ぎた(笑)実際会ったこともない誰かと誰かのやり取りだけで笑ったのっていつぶりだろうか。とても楽しく、心が和むやり取りだった。 特に個人的な感想として、つばめがすごく大人だなぁと感じた。あの家、つばめの態度次第では崩壊してますよね。なのに父親はつばめの側に立ってる気配がほとんどなくて自分の都合と新しい奥さんと子供のことが優先のように思えて、そこがすごく違和感でした。母親のひばりと会ったと伝えた時ももっとなんか言うことなかったのか。つばめに対しても、自分の恋愛事情を棚に上げてやたらつばめの恋愛事情をいじろうとするが、自分の立場わかってるんだろうか?娘の立場なら普通不快ないじりでしかないことがわからないのかな。つばめ側にそれを受け入れてる様子もありませんでしたし。つばめの態度が軟化したことにかこつけて距離をつめにきたように見えた。なんか、ずっこい。あの父親だけ不満です。 桃井かおりさんの星ばあはとっても良かった。ぐだぐだとくだを巻きながら時々核心をつくそのしゃべりや、なぜか不思議なことができるところ、そして謎の包容力。見ていて安心できますね。登場シーンこそ不安だらけでしたけど(笑) 「屋根を見ればどんな人が住んでるか大体わかる」 ふとそれを思い出して周りの屋根を見てみました。意外と屋根なんて見ないもんですね。こんな色してたんだ、瓦かな、スレートかな、あの材質はどっちだろう、などよく見ると色々普段見えてないことがわかりました。 映画とかだとよく屋上のシートンとかありますが、現実にはなかなか屋上に行ける建物とかないもので…少し、憧れます。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-11-11 17:55:29) |
2. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(2017)
《ネタバレ》 花火大会を見に行くと、たまにドラ◯もんやミ◯キーの柄で上がる花火を見かけることがある。たまたまそれがこちらの正面を向いて上がれば綺麗な柄として眺められるのだが、横を向いているとなんの絵柄だかさっぱりわからない。つまり、花火は平べったいはずだ。でも、通常の円形の花火では角度によってそんなことになるのは見たことがない。平べったいのは絵柄花火限定かな。そんなことを思いながら映画を見ていた。 映画でも、花火の形が実際どうであるかなんて大した問題ではない。でもそういう日常の一コマを切り取って一つのテーマやきっかけとするやり方が、ひどく魅力的に思えた。繰り返しのタイムリープの結果、彼らがどんな形に落ち着いたのかは分からないが、少なくとも典道やなずなや、祐介たちも打ち上げ花火を見るたびにこの時のことを思い出すんじゃないだろうか。思い出す時期にもよるが、仮に失恋の記憶だったとしても、この時のことは不思議で澄んだ青春の記憶として残ると思う。 何か一つ掛け違えただけで全く流れが変わってしまうことがある。なずなが好きなはずの祐介が、展開次第で全く逆の結論を出してしまったり、また違う未来では典道の抜け駆けに逆上して典道を殴ったり。 現実にはあの球は無い。願い事を言って投げれば願いを叶えてくれるあの球は。でも、いくつかに分かれた未来のうちの一つの形に過ぎないとしても、自分と駆け落ちしようとしたなずなは現実で、それを糧に生きていけるなら幸せだなと思う。 失礼な言い方かもしれないが、映画を楽しんだ、と言うよりかそこから考えたことや自分の振り返りに時間を使えて有意義だった、という感じがする。『時をかける少女』以降タイムリープの物語なんて珍しくもないかもしれない。けど花火の形なんて、日常のなんでもない話題から始まるストーリーというのも良いなと思った。良かったです。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-08-13 13:03:24) |
3. 嘘八百 京町ロワイヤル
《ネタバレ》 前作に引き続き鑑賞。やはり私はそもそも骨董品に興味はないようだ。基本、お皿やお茶碗など使ってなんぼだと思っているので、、、絵画とかならともかく飾るようなお皿とかよくわからない。もっと言えばそれを高値で取引したり偽物で儲けようとするのもよくわからない。まあ物の価値は人それぞれということはわかってますが。 京町ロワイヤルということで色んな京都の景色が見られるとも思ったんですが、期待していたほどに「京町」感も無かったです。渉成園は出てきましたが、他の寺社仏閣や京都の街並みはほとんど出ず、それ目当てだった私のような視聴者には空振りになってしまいました。残念。 今回は「はたかけ」というお茶碗を用いての詐欺ストーリーということですが、茶碗の欠け具合であったり歪み具合は千差万別で、いくつも贋物が作られるわけですが高名な鑑定士が見てもどれが本物やらわからなくなってしまうという。それならなおさら茶碗の価値ってなんだろうと思いましたね。 唯一良かったのはエンディングでのはたかけのCG。茶碗の継ぎ合わせの模様から枝が伸び、ひとつの木のように描かれたCGがとても綺麗でした。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-11-10 17:50:31) |
4. 嘘八百
《ネタバレ》 キャストが中井貴一さんと佐々木蔵之介さんということで興味を持ち、タイトルから察するに詐欺師かなんかの話かなと思って鑑賞。全然別の映画で美術品を扱う作品を見て、良い美術品を見つけてそれをさらに高値で他の人に流す仕事の価値がよくわからず面白く感じなかったことを思い出しました。この映画もそういうやつかなと、途中まで諦め半分のような気持ちで見ていましたが、「本物より良い贋物を作る」と佐々木蔵之介さんが本気モードになってからはなんだか作品に血が通ったのを感じました。たとえそれが偽物でも、何かを本気で作るということは何だか惹かれるものがありますね。砂にこだわり焼きにこだわり色にこだわり、、、何かのイメージに寄せて騙すという目的を除けばそこには本気の作家が一人いるだけ。茶碗製作のシーンは好きです。 あとはそれを品評会に出しもっともらしく演説を打つのもまあ見せ場でしたが、そちらはまぁまぁ、、という感じ。中井貴一さんのほうの役柄にあまり魅力を感じなかったせいかなあ。何にも知識がない人の家の蔵を覗いて、価値あるものをそうでないと偽って安く買い叩く姿は少し嫌悪感を覚える。まあそもそもあんな風に急に訪れた人に蔵なんか見せませんけどね。 最後はこういう映画でありがちの、騙したつもりが騙されて終わりエンディング。どっちにしてもあまり後味良い終わりかたではないのでスッキリはしませんでしたが。次作は京都編ということでしたが、中井貴一さんに熱を感じる作品にしてくれたら嬉しいです。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-11-07 11:32:25) |
5. ヴェノム
《ネタバレ》 ヴェノムについては、昔よくやってたセガサターンの格ゲーで見たことあるなーってくらいにしか知りません。見た目から完全に悪キャラを想像していたのですが、実際見ると善悪の判断のつかない天然キャラという感じでしたね。基本的に自分中心の性格なヴェノムさんなんですが、唯一自分と適合するエディの言うことを聞かざるを得ないということもあり、ちょっとずつ人間社会に馴染んでいきます。性格的にはもののけ姫の山犬みたいな感じかな。 エディが少し短絡的な性格なのが残念だったかな。登場シーンでバイクを颯爽と駆るカット割は格好良かったのに、ジャーナリストとしては短絡の一言。あれだとライフ財団に干されなくてもいつか違うところでトラブってただろうな。あれだけ念押しされたのに突っ込み取材して、クビになって、リスクを考えなかったとは言わせない。あそこはまだ大人しい取材に徹して、それほど疑惑を感じるならその後詳細な証拠集めをした上で記事で告発するべき。それこそがジャーナリストなのではと思ってしまった。まあそれするとこの話始まんないんですけどね笑 なんで腹が減るのかとかなんで水槽に浸かりたくなるほど体が熱いと感じるのかも教えて欲しいな。あと4000〜6000ヘルツの音に弱いってのも、元々の設定か何かなんですか?アメコミにそんなん言っても仕方ないんですけど、よく原因のわからない現象に尺を使って欲しくないなあと思ってしまった。ヴェノムを体から引っ剥がしたいだけなら、たとえば犬アレルギーだとか、お酒が入るとだめだとか、そんなんでも別にいいですよね。どういう理由で音が嫌なのかをちゃんと説明してくれれば別に良かったんですけどね。ちょっと製作者本位の作り方だったかなと感じました。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-10-03 20:02:44) |
6. 海街diary
《ネタバレ》 15年前に家を出た父親。その葬儀で出会った異母兄弟の少女すず。彼女を妹として迎えた三姉妹の物語。 観る前はもっとドロドロした展開になるのかなと思っていましたが、問題という問題は起きずに三姉妹プラス1の生活が展開されていきます。家族の関係、それぞれの仕事のつながり、それぞれの恋愛…。それこそdiaryのように日々を綴っていった映画、という印象でした。 英題は"Our little sister" 三姉妹の生活にすずが入ったことできっと何かが変わったんでしょうが、元々の三姉妹だけの生活の描写が少なかったのであまり変化がわかりませんでした。でも「小さい子に見られてる」という感覚を大人が持つこと、感情の赴くままにならずに一度ふっ…と立ち止まってみることは大事なこと。なかなか自分でも出来ていないことですが。 三姉妹はなんなら元々すごく仲の良い三姉妹だったようにしか見えない。たまに長女(=綾瀬はるかさん)と次女(=長澤まさみさん)がお互いの価値観の違いでぶつかりますが、いずれも健全なレベルは越えない程度のケンカ。一緒に障子を張り替えてるシーンなどもとても自然で、別にすずがいてもいなくてもあの家族独特の心地良い雰囲気は変わらないんだろうな。 三姉妹がそれぞれに妹を愛し、そして妹がすくすく育っていくのを見るのは、映画だとしてもなんだかほっこりした気持ちになれました。 “Our little sister"、原題より私は好きです。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-06-15 20:52:16) |
7. 嘘を愛する女
《ネタバレ》 正直なんだかレビューがしにくい作品と感じました。なんでかなあ。 いきなり思い立ってパートナーの素性を調べるよう探偵を雇ったり、その調査に同行して東京から瀬戸内に行ったりするかなあ。そもそも警察も動いてたんだし、そちらからの報告待ちで自分は倒れたパートナーの看病するってのが自然な気もする。わざわざ喫茶店で自分の人生や今後の願望を小説風に書いたり、その書き込んだPCを意味ありげに街中のロッカーに入れておいたり、そういったやりかた自体に「作り物」感が強い気がしました。だってそんなとこにPC保管する人いないでしょ。したいわけじゃないけどつまらん突っ込みをしてしまう映画でした。途中で出てきた喫茶店の女の子(=川栄李奈さん)もいるかなあ?必要なキャスティングとは感じなかった。別にいなくても話は進んだのでは。 って書きながら思ったのはこれも原作があるのかな?それに沿って作ったのだとしたらそうなるのかな。うーん、でもこれを観て本を読みたいとはあまり感じなかったな。 話の中で一番ショッキングだったのは小出桔平(=高橋一生さん)の過去の家族との事件でした。作り物でもああいうのはきつい。しばらくメンタルやられます。あんな極端なことにはならないまでも、やはり家の中で子供と二人っきりの状態がずっと続くっていうことは不健康なことなんだなと改めて思いました。24時間、もしくは何年も誰かと一緒にいてノーストレスな人なんて皆無だろうし、ましてや会話もろくにできない子供と一日中一対一なんてかなりのハードジョブ。世の中の子育て奮闘中の方々ご苦労様です。 自分もたまの休みの時に子供とずっと関わってるかって聞かれればそういうわけでもないし、いつも自分のしたいことと子供のやりたいことの中間をとることで頭がいっぱいです。自分が読書中に子供は勉強しておくとか。なので、子供の要求にほぼほぼ答えながら家事もこなす主婦(もしくは主夫)ってすごい。リスペクトですね。 っとなんか子育ての話になってしまいましたが、でもそういったことを再確認してしまった映画でした。 この人(川原さん)は嘘を愛していたのかなあ。嘘がどうとか関係なく、結局小出さんが好きだっただけでは?好きで好きでどうしようもなくなると前後の見境がなくなる感覚は、残念ながら、よくわかるが。 なんだかなあ。冒頭に書いたように変な作りこみ要素が気になってまじめなストーリーとしてレビューしにくくなってしまった。ちょっと求めてたものとは違ったかな。身分詐称とか偽造免許証とかのくだりはマジでいらなかったと思う。いやそれも原作に従っただけなら仕方ないんですが。 視聴者としては色々消化不良の作品でしたね。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-01-04 01:55:20) |
8. 宇宙人ポール
《ネタバレ》 これまで『サイン』、『ノウイング』などに代表される宇宙人ものは押し並べて宇宙人そのものは隠そうとする演出をするのが一般的ですが、ここまで堂々と、しかも典型的な宇宙人を出されるとこちらも何だか受け入れ態勢が整いますね。コメディならではの思い切りの良さに脱帽。まあそもそも、DVDのジャケットからして隠す気ゼロでしたけどね(笑) さて内容はというと、コミコンと呼ばれる米国のアニメ・マンガのフェス(?)に来場したオタク二人から始まる物語。二人はひょんなことからポールと名乗る英語ペラペラでブラックジョークを飛ばしまくる宇宙人と遭遇。その逃亡を手伝うことになる。道中で敬虔なキリスト教一家の娘も同行し、いよいよ物語はラブありコメありの何でも展開に。また宇宙人が異様にファンキーで人間寄りだったことがとても好印象でした。『世界侵略ロサンゼルス決戦』とか『バトルシップ』観た後でこの温度差はある意味衝撃的。こんな友好的な宇宙人がいてもいいよねっていう明るさがあります。 GEOでおススメされていましたが、確かにある程度どんな方でもウケる内容のわかりやすい映画になってると思います。かる~いノリの宇宙人を観たい方はどうぞ。 [DVD(字幕)] 7点(2012-10-01 21:10:36)(良:2票) |
9. ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
《ネタバレ》 男(大谷)の心情がさっっっっっぱり!!理解できなかったので、彼への感情移入も、彼に対する周囲の対応への理解も難しすぎます。窃盗・不倫・アルコール依存に心中騒ぎと人間のダメなところを掻き集めたような男に魅力を感じられずに、それが障壁となって話に入っていけませんでした。 彼がなぜそんなにダメダメなのか。そのダメさに一体全体どれほどの意味があるのかというところが全く描写されませんでした。結局彼を通じて何が言いたかったのか。彼を支える立場の佐知(=松たかこさん)も夫に不平を漏らすことは一度二度程度で、甘やかすばかり。不倫相手と心中しようとした人間に対してあの態度はあまりに不自然。不自然なら不自然なりに、そういう行動にはどんな意味があるのか示してしかるべきなのだけど、それもない。そんな時代だったってことなのか??理解するには原作を読むべきだろうか。というか、理解のために原作を読むべきと思わせてしまう段階で映画としては終わってると思います。 [DVD(邦画)] 4点(2011-03-17 14:41:36) |
10. 美しき運命の傷痕
《ネタバレ》 冒頭で、ある鳥の巣に別の種類の鳥が卵を産みつけ、その別の鳥のほうのヒナが元々あった鳥の卵を全て巣の外へ落としてしまう(托卵というらしい)シーンがすごく印象的で、ここから始まるドラマもさぞそういった"住み処の奪い合い"みたいな要素が盛り込まれた内容を期待したのですが、私にはあまり両者の接点は見えてきませんでした。とても思わせぶりな冒頭のシーンだっただけにもったいない。 内容は3人の女性(どうも姉妹らしい)のそれぞれの恋愛模様を描いていくもの。DVだとか不倫だとか、それぞれがそこそこに"ドラマ"やってるんですが、ただでさえ短い映画に3人分の話を詰め込んだもんで、言わんとすることを理解できるほど丁寧ではない。ていうか私には理解できなかった。托卵-不倫-妊娠-DV-父の真実-母の達観-で何が起こったの??話に出てくる全ての要素が観ている側にはちぐはぐで、最後に一つの絵にはならない。理解したかったらもう一度観る必要があるのかもしれないが、そこまでする気も起こらない。文化観の違いかもしれませんが、全体的に冗長な感じがします。特に次女役の電車でよく寝るお姉さんの話は私には退屈でした。一番私が興味を引かれたのは三女の大学教授と不倫してた女の子の話でしたね。あれはもう少し引っ張って欲しかった。てかあの教授は本当に事故死なのか? まあ個人的にはサスペンスとかホラーとか抑揚のハッキリした映画ばかり観る人間なので、そのせいで退屈と思ったのかもしれません。私には3点くらいの映画でした。 [DVD(字幕)] 3点(2011-03-03 09:47:46) |
11. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 『マトリックス!!!』というのが第一印象☆ 自分の空虚な人生に絶望してることとか、嫌味な上司にネチネチ言われるところとか、なぜか壁がたわむところとか、美女と出会って仲間に入るところとか、そこから彼らと修行し始めるところとか、かぶってるところを挙げたらキリがない(笑) しかしこういう話の展開は嫌いではない。いわば”大儀のため”、千人の命を救うために一人を殺すんだと偉そうに言っていた人が、自分におはちが回ってきたとたん知らん顔(笑)。他の暗殺者メンバーも自分の名前があると分かったときの動揺ぷりったらないですね。あんなターゲット指定システムを見た時点で、自分もターゲットになるかもとか普通考えますが。「お前たちの名前もある」と言われて「えぇっ!?」って、おまえら遅すぎだろ(笑)しかしそんなのが面白い。 映画そのものも奇抜な銃撃シーンやカーチェイスなどがスタイリッシュでテンションが上がります↑ 主役がメッタ切りにされるけどお風呂で回復するし、曲がる弾などアイデアが凄いです!暗殺シーンでルーフトップを空けながらタバコ吸ってる人を頭上から殺すシーンがありましたが、あれも曲がる弾で仕留めて欲しかった。 総括としては人間に深みが無い『マトリックス』。しかしそれを補ってあまりある斬新さがありました。キャスト分の豪華さは堪能することができますし、7点ってところでしょうか☆ [DVD(字幕)] 7点(2011-01-27 11:18:03) |
12. ウルフマン(2010)
《ネタバレ》 題材としては使い古されたと言ってもいい「人狼」「狼男」というテーマ。「何をいまさら」と思い鑑賞しましたが、良い意味で正統派な中世モンスター映画に仕上がっています。昨今の映画業界の目玉である3Dや突飛などんでん返し系ストーリーは全くありませんが、その方がシンプル且つ純粋に映画を楽しめたように思います。予想通りの展開・予想通りのエンディングでしたが、気分はスッキリしたものでした。 まずキャスティングが凄く良い!!アンソニー・ホプキンスさんとか超久しぶりに見るし、今何歳??もう引退してもいい歳だろうに、年齢を感じさせない演技、それにちゃんとロケーションに合わせた発音をしてるあたりがやはり実力のある俳優だなと思いました。 ベニチオ・デルトロさんも『チェ』シリーズ以来の鑑賞でしたが、作中での舞台俳優としての雰囲気や狼男になってしまった苦悩の男としての演技など言うことなしでした。とても俳優の演技が光っていた作品☆ ストーリーも妥協が無くて良い。主人公は普通の人間としては何の罪も無い人間だし、こういうのにありがちなハッピーエンディングで落ち着くのかと思いきや、そこはシビアに現実的なラストにしてくれました。「どんなに優しい男でも、満月の夜には凶暴になる」という冒頭での台詞をしっかり具現化してくれました。 本当に、最初にも述べたように題材としてはこれまでにいくらでも観たことのあるテーマの今作。しかし完成度はバリ高☆ちょっとホラー風味が効きすぎ感もありますが、『切り裂きジャック』や『ジキル博士とハイド氏』に代表される中世ホラーものと並んで興味深い作品です。 [映画館(字幕)] 7点(2010-04-26 13:01:57) |
13. ウルトラヴァイオレット(2006)
《ネタバレ》 とてもカラフルだし、ファッショナブルだし、エキサイティングだし、見た目はものすごく豪華なのに、大事なものが抜けている感じ。細かいところを突き詰めれていないように思います。 似たようなSFアクションは『イーオン・フラックス』など他にもたくさん観ましたが、この映画は端的に言って説明不足。美的感覚から言えば良く作られた作品だと思いますが、ストーリーを楽しむ映画という観点では不足に思うところが多々ありました。そういう意味ではこの映画はほんとう、「観賞用」なのかなという印象を受けます。眺めて愛でる、という意味合いでそういう表現を使いましたが。どうせならそういった美の部分だけを突き詰めて、ストーリーなんかいっそ無いほうが良かったかもしれない。なまじドラマを組み込んだためにダメにしてしまってる気がします。 キャストも個人的に印象に残ったのはミラ・ジョボヴィッチさんとウィリアム・フィクトナーさんくらい。子供はキャラ薄いし、悪役は魅力ゼロだし。『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーや『プレデター』みたいに悪役でもファンができるくらいの人が欲しいですね。 まあ、3・・・かな。 [DVD(字幕)] 3点(2010-02-10 12:48:29) |
14. ヴァン・ヘルシング
《ネタバレ》 ヒュー・ジャックマンさんがこんなところでまでウルヴァリンに!!!って感じでしょうか(笑)キャストに関して言えばかなり豪華な面々。個人的にはヒュー・ジャックマンさんもケイト・ベッキンセールさんもかなり好きな俳優の部類に入るんですが、魅力を引き出しきれていない印象がありました。 まずはヴァン・ヘルシング(=ヒュー・ジャックマンさん)。ヨーロッパ中に名を轟かすモンスター・ハンターという割には戦い方が危なっかしすぎる。あれで今まで良く生きてこれたなとそこに不自然さを感じる。アンナ(=ケイト・ベッキンセール)さんはその美貌の割りにけっこう泥臭い演技をしています。しょっちゅうひっぱたかれるし、流血も多いし。ラストには殺されてしまうし(←今までに殺された一族と天国で仲良くする、というラストにしたかったのは分かるが、彼女があろうことか主人公に殺されてしまうというのは視聴者にはショッキングすぎる)。 などなど、キャスティングした俳優がもったいない映画だなと思ってしまいました。 ストーリーについて言えば、一言で言えば「アメコミin中世のヨーロッパ」ですね(笑)フランケンシュタインはハルクかザ・シングにしか見えないし、中世のヨーロッパという舞台にはあまりそぐわない。もっと生々しくておどろおどろしい雰囲気を期待していましたが、上述のアメコミ描写によりどこか軽い印象を持たざるを得ず、違和感がありました。 キャストや舞台など、素材はいいと思うのになぁ。 [DVD(字幕)] 4点(2010-01-20 12:26:50) |
15. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
《ネタバレ》 今までのX-MENシリーズでは一番良かったかも♪序盤、多様な能力を持ったミュータント集団がどっかの組織に殴り込みをかけるシーンはかなり盛り上がった!!(が、アクション映画としてはそこが作品の最高潮だったかもしれない、汗)。でもカタナを使うアクションが入ると、アメコミ映画が途端にアジアンムービーの雰囲気が漂います。気のせい?? キャラクターとしては、まずウルヴァリン。さすがに"Origins of Wolverine"(ウルヴァリンの起源)とまで謳っているだけあって彼を輝かせる内容になっています。今まではどうしても彼の見所について、<不死身=やられシーンが多い><鋼鉄の爪が出る=アクションとしては地味>という見方しか出来なかったので。ドラマを交えて、ウルヴァリンに感情移入できるようになっています。個人的にもっと使って欲しかったのはガンビット。ゲームでも最も使い込んだキャラでもありますし、彼がチョイ役程度にしか出されなかったのは大変遺憾。韓流の銃男なんてどうでもいいからもっとガンビットのアクションが欲しかった。 兄役で出てきた彼はやっぱりセイバートゥースってことでいいんでしょうか。シリーズで出てきてたセイバートゥースとあまりにも違いすぎるので・・・。まあ後で作ったこじつけってたいていそんなもんですけど。サイクロプスは意外と良い使われ方をしてましたね(笑)能力パクラレたけど。 [映画館(字幕)] 7点(2009-09-15 10:29:48)(良:1票) |
16. 運命の引き金
《ネタバレ》 もう17年前の映画かあ。やっぱり感覚的に古い感は否めないかな。仮にそれは抜きにしても犯人が稚拙すぎる。知能犯とされるIQ150の相方がいればもうちょっと計画的にしてほしかった。あれではただのナイフ好きミリタリーマニア。 物語は サスペンス4:ラブストーリー5:刑事物語1 って感じです。広ーーーく、浅ーーーーく作った映画ですね。色々な出来事が起こる割りに、物語の流れはあまりそのへんには突っ込まずに中途半端にフェード・アウトしていきます。個人的にはDaleはLilaの親とか家族&自分の家族にも過去の事実をきちんと打ち明け、そこで色々と衝突して、仲直りした後にこのラストシーンになってほしかった。それのほうが絶対涙を誘うけどなあ。 あと、ビリー・ボブ・ソーントンがかなりただのチンピラです(笑) そこは一見の価値あり☆ [DVD(字幕)] 4点(2008-06-24 00:17:30) |
17. ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
《ネタバレ》 これほど観ていてむかついた映画はありません。ちなみにこのジョン(=Joaquin Phoenix)とジューン(=Reese Witherspoon)が実在していたミュージシャンだと言うことは知らずに観ました。 想像してみてください。もしこのジョンと言う人間に音楽の才能がなければ、ただの最低男に過ぎません。ヴィヴィアンを無理やり口説き落とし、生活に苦しくなったらダメモトでオーディションを受け(ここらへんまではまだ良かった)、そのオーディションも子どもじゃあるまいし物欲しげな顔をしながら「受からせろ」と言ってるようで気に障るし、それで成功したら家のことは全く無視で、「金は稼いでるのに何が不満なんだ!」みたいな傲慢な態度。それが原因で冷めてきた夫婦関係を埋めようともせず不倫。ヤク中・アル中になり、家庭がありながらファンの子にも手を出し放題。ジューンと出会い、やってることはストーカー、脅迫、公衆の面前でのセクハラ等々。ジューンと会うたびに相手の気持ちは無視して結婚を迫る、挙げ句ライブ中に「NO」とは言いにくい雰囲気の中プロポーズ。いや、こんなんプロポーズと言うより脅迫に近い。そんなジョンをそれでもずっと見守ってきたジューンに対して言った言葉が一番むかつきました→"You should have left me."「君は僕の事をほうっておくべきだったんだ」・・・・・・むっかーーー!!!!!!(怒)(怒)(怒)(怒) こいつは絶対音楽が好きなんじゃない!!少なくともこの映画からはジョンに対してそんな印象しか受けません。 オレは直接にはこの人物を知りませんし、あくまでこの映画から受けた印象ですが、こんな男の歌う歌を気持ちよく聴くなんて無理です。嫌がってる女の人を口説き落とすために利用するような男の曲なんてまっぴらです。確かにJoaquinもReeseもすごく良い声で歌ってたしそこは評価したいですが、歌がそういう使い方をされたライブを観て他の曲もこの男にとっては自分を良く見せるためのツールでしかないのかと思ったらもう良い印象はもてませんでした。 実在した人間のストーリーに愚痴を言っても仕方ないのかも知れませんが。 というわけで自分的には滅多にない0点評価です。 [DVD(字幕)] 0点(2006-11-30 00:15:11) |
18. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 スティーブン・キングの『ドリーム・キャッチャー』とかM・ナイト・シャラマンの『サイン』とか、宇宙人モノって宇宙人そのものを作中に出すと急に恐怖感が薄れる気がする。宇宙人本体よりいい味出して恐怖感を煽ってくれたのは彼ら自身より彼らの乗りまわすメカ。特に海中から船を待ち伏せて襲ってきたときなどはけっこうドキドキ。 やっぱり話の展開とかみあってなくて「ここはちょっと・・」って思ったのは宇宙人の侵略作戦のずさんなとこ。人類誕生より前から計画してたってわりには、地球の物質が自分たちの体に合うかどうかくらいの調べもついてないのはどうなんだろう。仮に人間が地球外侵略してもそこにある水とかをろくに調べたりせずに安易に飲んだりしないだろうし、侵略以前の問題では・・・。メカのまわりにはりめぐらされてた見えないシールドも、某独立記念日モノと酷似していて、ツッコまずにはいれなかった。おい!パクるな!!って。 でもお話としては、リアルに表現されてるところもありそのあたりはやはり緊張感が走りました。一番リアルだと思ったところは、難民の群れが暴徒化して車を襲うシーンでしょうか。人間ってそういう一面も見せるし、一方では宇宙人の船に取り込まれそうになった人をみんなで助けようともするし、対極な人間像なのにそこはとてもリアリスティックかつ巧妙に描写されていたと思います。 レイ(=Tom Cruise)の息子のロビーが軍隊に参加して宇宙人と闘おうとしてましたが、少し気持ちは分かる気がする。目の前で理由も知らずに殺されていく人達を見て、自分はあんな風に死にたくない、せめて相手の顔を拝んで一矢報いてから死にたいと思う、そういう気持ちは分かる気がする。自己満足と言われればそれまでですが、どうせ死ぬなら自己満足を貫いて死にたいと思うのはそれはそれで当然だとも思うし。まあ、結局生きてたわけですが。 色々たらたら書きましたがこの映画はおなじようにテーマだけ大きいその他の映画よりは数段上。スピルバーグにはこれからもこういうスケールの大きい映画を撮り続けて欲しいと思う。あとは脚本次第。 追記・炎上列車は怖かった。。。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-23 00:34:57)(良:1票) |
19. ウーマン・オン・トップ
《ネタバレ》 これは・・・女性向けコメディのわりには女性に対する扱いがひどい映画ですね。 浮気した男を振って新天地で成功していくまではコメディとしてとてもよかったし、痛烈で共感できるものだったのに、なんでだんだんイザベラ(=ペネロペ・クルス)の方がしんどい思いをしていく話の流れになっていくんだろう。 呪いを解くために荒波に身を投じようとまでするイザベラを見て憤りすら覚えました。 本来そのぐらいの苦労をしないといけないのは男のほうだろう!!って心の中で叫びましたね。 話一本を通して、イザベラは何一つ悪いことはしていません。浮気した男を捨てて単身新しい土地で頑張ろうとすることのどこが悪いのでしょう?一方浮気した男のほうは捨てられたあと自分勝手にストーカー行為を繰り返しさんざんやりたい放題していったくせして、最後にはハッピーだぁ??ふざけんな! 女性が報われない映画です。女の友人にはとても勧められません。 前半部分と音楽はよかったのであんま低い点はつけませんが。 6点(2004-11-09 01:36:00) |
20. ウォーターワールド
《ネタバレ》 ちょっとだけ設定がずさんかなとは思った。中盤でヘレンがエノラが見たものを全部絵に描いてしまうのを見て、エノラのことを「鏡みたいな子よ」って言ってるのに、後の方でマリナー(ケビン・コスナー)に対して「あなたが持ってたあの光るものは何よ!?」って聞いてんですよ。・・・それが鏡だよ!!・・ってつっこんじゃいました。あと、エノラがさらわれた後に2人がいちゃついてたのがちとひどいかなと思った。でもまあそれ以外はとても楽しめました☆映画が始まった時に、あのユニバーサルのロゴがだんだん海に覆われて陸地が減っていくのとかがとても興味深い演出でした。その後マリナーが出てきて、ろ過した小便を飲んだのはけっこう衝撃的でしたけどね(苦笑)。海に沈んだ都市もとても味が出ていてよかった。その沈んだ都市と、スモーカーズを倒した後にドライランドに向かう気球のシーン二つが思いっきりオレにラピュタを思い出させてくれました。それがなんか感動してめっちゃジーーーンときました。これ観たのは2回目ですけど、やっぱ2回ぐらい観てみた方が色々こまかいところに気がつけてとてもおもしろいです! 8点(2004-05-10 02:22:21)(良:1票) |