1. Winny
《ネタバレ》 裁判ものとして議論の場面には引き込まれるし、その背後にあった人間ドラマも丁寧に描いてあったと思う。それでも、やっぱり本作のアプローチはいろいろ残念でした。 自分もWinny事件は同時代の出来事として経験してました(Mac使用者だったので、Win中心のWinny現象自体は横目で見てましたが)。その視点から見てみると、あの時代の空気感のようなものを本作が掴み損ねているように思える。この事件の少し前、同じP2P技術を用いた音楽ファイル交換ソフトのNapsterが、文字通りの「革命」を起こそうとしていた。Napsterもまた裁判で負けてビジネスとしては失敗したものの、CDというモノを売る音楽ビジネスのモデルの限界が示唆されるようになり、いまの配信やサブスクで音楽を聴くモデルへの一大転換点となりました(その渦中、日本では音質に問題があるコピーコントロールCD(CCCD)という珍品まで出現しました)。その時代の波のなかに、Winny事件もあったはずです。Winny事件を起こしたのは時代の変化に対する人々の不安でした。金子勇氏は、既得権益を守りたい「業界」と新たなネット社会への不安のスケープゴートとして、拘留され、法廷に立たされ、開発者としての、そして自身の身体的な生命も絶たれたのだと思っています。 CD販売店やビデオレンタル店が街から姿を消し、サブスクで映画や音楽を楽しむのが当たり前になった今の時代にWinny事件を描くのであれば、その時代の空気をどれだけ描けるかが焦点になったはずです。しかし、本作では、なぜ警察があれだけ金子氏を立件しようと躍起になったのかという問いも、警察の隠ぺい体質や自白強要といった昔ながらの捜査・立件手法の問題として描くのみで、まったくその時代の不安を描けていない。また、皆川猿時さんが演じる旧世代と、三浦貴大さん演じる新世代の弁護士のあいだの溝は、弁護団のなかにも、金子氏がやっていること、そして金子氏という人物を本当に信じていいのかをめぐる、もっと根源的な対立として描けた筈なのに、残念ながら単なる世代間の温度差として処理されてしまう。金子氏が起こした「革命」は、彼を陥れたい警察側のストーリーとしてのみ存在し、弁護側視点(そして本作の製作者も)からは開発者のオタク的な「純粋さ」の物語に収束してしまう。 しかも警察司法の問題を描きたかったのであれば、焦点は最終的に無罪を勝ち取った最高裁判決になるはずなのに、それは最後に字幕で知らされるだけで、法的にもこの事件の何が問題だったのかもわからない。愛媛県警のエピソードも、Winny事件を描くために絶対に必要なものだったのか、よくわからない(Winnyはいい側面もあるとか、警察にとって都合が悪いから目の敵にされたとか? どっちにしても表面的な矮小化だ)。90年代生まれの若い松本優作監督がこの映画に託したかったメッセージがなんだったのか、どうにもよくわからなかった。 [インターネット(邦画)] 4点(2024-05-19 10:20:45) |
2. ウェディング・ハイ
《ネタバレ》 こうゆう「悪人」がいないコメディは好きなので、しっかり楽しめました。結婚式あるある、自分はもう20年近く前の話になりますが、それでも思い出して微笑ましい気分になったり。フツーの人びとが非日常で輝く瞬間の楽しさというか、一緒に式に出て「あー、いい式だったね」と感想言い合っている気分になるだけでも、この映画としては大成功でしょう。篠原さんはいつもの篠原さんですが、脇で輝く臼田さん、自意識過剰ぶりが笑える中尾君など、キャスティングもいい。いままで苦手だと思っていた中村倫也さん・関水渚さんのカップルも、この作品では二人の魅力が見事に表現できていたと思います。このあたりは、大九明子監督の演出力でしょうね。 去年『ブラッシュアップ・ライフ』にはまって期待していたバカリズムさんの脚本はいまいち。「縄抜け」をやりたがる義理の兄と「投げ縄」が特技というバーテン、というあまりにも不自然な設定は、きっと伏線として回収されるんだろうなあと思ったら、やっぱり。これは伏線の張り方が不自然過ぎて、逆に興ざめでした。最後30分を岩田さんのパートにする構成も、『カメラを止めるな』的なカタルシスを期待したのかもしれないけど、「結婚式」という本作のテーマからすると逆効果だったような。やっぱり式が終わってよかったねー、お疲れー、幸せにねーという流れが途切れてしまったのが残念。しかも、その30分も基本は下ネタだし、これもカキの伏線がわかりやすすぎて・・・。このあたりのさじ加減は難しい。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-03-02 08:59:48) |
3. ヴィレッジ(2023)
《ネタバレ》 多くの人が抱くであろう「思ってたのと違う」という感想は、M・ナイト・シャマランの作品と同タイトルであることから仕方がないのでしょう。しかもあっちは、閉鎖的な共同体を奇抜な方法ながらも真正面から描いていたので、同じようなモチーフを藤井監督がどう描くのか、そんな期待で見始めた人も少なくないはず。ただ、結果としては新しさも深さも感じない、表面的な描写に終始した一作でした。思わせぶりな能のシーンや祭りはあるものの、本編にうまく絡んでいるともいえず、結局は「ボス一家と搾取される若者たち」という都会のヤクザものでも描かれるような人間関係のほうに焦点は当たってしまう。終わってみれば「村」は主役というよりは舞台設定に過ぎず、そこで先が簡単に読めてしまう安直なドロドロ劇が展開しているだけの映画でした。ゴミ処理場が「SDGs時代の人気観光地」っぽくなったり、朴訥と解説するだけのイケメンがローカルヒーローになる展開は、「習俗」「伝奇」的な共同体ものというよりは、某民放番組の「ダーツの旅」が描くような「素朴で明るい」田舎観といったほうがいいのかも。でもその表層性を批判的に掘り下げるわけでもなく、物語上「ありえた未来」のように描かれてしまうのもいかがなものか。藤井道人監督作品、毎回興味深い題材を選んでくる眼は確かだと思うのですが、人間関係観(とくに男女観・家族観)もメディア観も微妙に古く、テーマも上っ面を走るのみで脚本が練り上げられてるように思えないのが残念。人気監督となって企画も満載で忙しいのだと思いますが、ここらでじっくり取り組んだ一作を観てみたいと思ってしまいます。 [インターネット(邦画)] 4点(2023-06-18 09:00:10)(良:1票) |
4. ヴェノム
《ネタバレ》 トム・ハーディ演じるさえない負け組男エディと同じく異端の宇宙人ヴェノムの寄生獣的バディもののやりとりの数々は楽しかったです。個人的にはヒーロー誕生譚がけっこう好きなので、実はヴェノムとの共生関係が始まるまでがとても楽しかった。自分の体の異変に気づき、恐怖し、でもそれを受け入れていく過程はもどかしいけれど、そのなかで築かれるヴェノムとの関係が微笑ましく、中盤にかけてはかなり好きな映画でした。ただ、そのほかは残念なことのほうが目立ちました。まず「ダークヒーロー」に見えないところ。動物を生で食べちゃうことくらいしか悪役っぽさがなく、ヴェノムもあっさりエディや人間の味方になってしまう。バディものコメディであっても「最後にこいつは裏切って自分を乗っ取るかもしれない」緊張感はやっぱり必要。むしろペット的なかわいさを強調するような描き方(子犬に取り憑くあたりは特に)には違和感多し。「悪役」なのに「悪くない」映画の系譜にまた1本追加されたという感じです。それから、生ぬるい描写。『デッドプール』があれだけできたのに・・・。むしろディズニー系マーベル作品ではできない踏み込んだ描写が、この作品にはできなかったものか・・・。結局、後半は、平板なアクションが続き、平凡なラストに着地してしまいました。この路線で行くんだったら、続編はあまり期待できないか。 [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2019-06-04 22:52:59) |
5. ウインド・リバー
《ネタバレ》 『ファーゴ』を思わせる雪のなかの死体という絵からはじまるものの、描かれるのは冷徹で苛酷な先住民居留地の現実。ジェレミー・レナー演じるハンターを導きの糸として、FBI捜査官のエリザベス・オルセンと一緒に観客も少しずつ先住民の苦しみや哀しみを学ぶことができる構成が見事。殺された少女の父親役のギル・バーミンガムや少女の不良少年の兄たちの「よそ者」への不信と、その影に隠れた「本音」の見せ方など、一気に感情移入させる。そして、最後の最後にエリザベス・オルセンが見せる涙とその言葉で、失った命がなんと大きなものであったのかを観客も真に実感することができる。テイラー・シェリダン監督が脚本家として名をあげた『ボーダーライン』と比べると絵的な新しさには乏しいし、主人公の父子関係あたりが置き去りになってしまうあたりなど脚本にも疑問が残る。けれど、最底辺で生きている人たちが見せる「人間性」を丁寧に描いたという意味で、より厳しく、そして優しい作品でした。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2018-08-31 11:56:05) |
6. 裏切りのサーカス
《ネタバレ》 よく言えば重厚、悪く言えば退屈。「陰謀」や「真相」が鍵の映画ではなく、イギリス諜報局(サーカス)のなかの人間関係の機微を楽しむ映画だということがわかってくると、楽しくなってくる。そこで描かれるのは、、カーチェイスも銃撃戦もなく、黒いスーツを着てなかなか本音を見せないイギリスのおっさんたちの人間関係なので、そんなのに興味がない人にとっては退屈でしかないのだろうけれど、1回目に「退屈」に見えたシーンも、2回目を見れば、そこにさまざまな意味が込められていることがわかり、全く別物に見えるのが面白い。罠にかかっているのに気づかずドヤ顔してしまう人、「同性愛」だと思った瞬間に全く意味が変わってしまう台詞、そしてどんな哲学的なことを考えているのかと思いきや実は奥さんのことしか考えてなかったという顔など、背景が分かると英国紳士たちの「演技」の奥深さを楽しめる。そして、ラストに人間関係がつながったところで再生されるパーティ・シーン(これは音楽も含めて本当に名シーン!)。このカタルシスは、結局この映画がスパイ陰謀モノではなく、組織のなかの人間関係モノだったことを如実に表しています。ただ。そう考えると、キャストのバランスの悪さは気になる。基本的には、主人公スマイリーと、ボスのコントロール、主要な幹部4人(ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン)に加えて、その部下2人(ギラムとブリドー)のあいだの人間関係を描くのだけれど、やっぱりコリン・ファースのオーラというか存在感ありすぎなので、ほかがかすんでしまう(ブリドー役はとてもがんばっていたけど)。そのアンバランスがけっこう、そのまま本編のストーリーにも絡んできてしまうので、それがよかったのか、悪かったのか。「難解」というよりは、ほとんどの台詞やシーンが多義的なので、それを楽しむための映画といったところでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-06 09:42:09) |
7. 運命じゃない人
《ネタバレ》 「アフタースクール」がよかったので、いつか見たいと思っていていたのだけれど、やっと見られた。予備知識ゼロ。冒頭の失恋した者どうしのちょっとダルい出会いエピソードから、探偵視点の第2幕に入って途端に転がり始める展開は本当にお見事。まさか、あのオープニングで最後に現代ヤクザの悲哀の物語になるとは思ってもみなかった。この方の映画の凄いなあと思うのは、これみよがしではない絶妙な伏線の張りめぐらせ方。たとえば、宮田くんのガッツポーズ脇を通り過ぎるクラウン。意識するほど見たわけじゃないけど、どこか意識下に残ってて、それで後半のヤグザ視点になった瞬間に急に意識上に現れて、あーっそうだったってなる。別に前半を1シーンも見逃さないぞという意気込みで見る必要は全くない。フツーに物語を楽しんでいても、意識しないうちにどこかで引っかかってる程度の絶妙さ。そんなシーンが2幕から3幕にかけて続けて登場するのが気持ちいい。登場人物に感情移入したり、エモーショナルに盛り上がるタイプの映画ではなく、キャストが弱い分脚本の技巧的な部分ばかりが目立ってしまうのが少し気になるけど(その点では「アフタースクール」のほうが好きかな)、限られた予算とキャストでこれだけやれたら十分。楽しませていただきました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-26 10:44:06)(良:1票) |
8. 海街diary
まず鑑賞後の印象。これは、映画館で見るべき映画だった! 女優としても旬の4姉妹の姿、美しい鎌倉の四季、そして何気ない日常の一コマこそ、映画館のスクリーンでこそ堪能すべきだったと思います。最近、自分が年取ったせいか女優さんを目当てに映画を見ることがめっきり減ってましたが、これはまさに「スター映画」。こういう映画は、もっとも環境のよいところで見てこそ、そのすばらしさが何倍増しにもなると思います。ただ、自宅で見たときの利点は何回でも見れること。すぐに2回目鑑賞しました。今度は、細やかなこの映画の構成が鮮やかに見えてくる。鎌倉の四季の日常のなかで積み重ねられていく四女すずの苦しみや3姉妹のそれぞれの生き方の微細な象徴が、物語に緊張感をもたらしていく。だからこそ、最後に「家族になる」ことの重みが、じわーーんと響く。スターが出ててもあいかわらず是枝作品風の会話表現、少しクラシックな(そしてややベタな)音楽、是枝作品のよい部分と華やかな日本映画の奇跡的な融合。原作を読んでいたので、原作での重要キャラ(とくに次女の彼氏)の雑魚キャラ化で逆に戸惑う部分もありますが、原作とはまた違った「海街diary」として、おすすめしたいです。 [DVD(邦画)] 8点(2016-02-24 11:50:10) |
9. ウルフ・オブ・ウォールストリート
この内容このテーマで、3時間ちゃんと魅せてしまうこと自体が凄い。スコセッシの演出も、ディカプリオの演技もキレキレです。口八丁手八丁で莫大な金を稼いでも、その使い途が結局はあの乱痴気騒ぎ。実は、少し前に、失業者や最下層の人々がドラッグで転落するドキュメンタリーを見たのだけれど、金はあってもやってることは結局一緒・・・。こんなに虚しいことのために割かれる膨大なエネルギーの不毛さ。あの「レモン」からのランボルギーニと電話のくだりは、もうディカプリオの演技力の壮大な無駄遣い(誉めています)。そして、映画全体のドラッグのような編集と音楽(胸を叩いて「んーっんっぽー」の中毒性・・・)。才気爆発とはこのことを言うのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-09 10:34:19) |
10. WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~
自分の祖先がかつて一生懸命世話をした木々を今の自分が刈るという林業の考え方にはハッとさせられた。今の自分が生きていることを自分の家族や他者とのつながりのなかに見いだすという、今どこかおろそかにされている考えをズバリと言い当てられた感がした。こういう「哲学」を軸に置きつつも、内容は矢口監督らしいエンターテインメント。たしかに自分も子どもが行方不明になるエピソードは不要だったと思うし、恋愛パートもちょっと違うようなという違和感もある。でもそれ以上に山男たち(とくに伊藤英明は特筆モノ)の気持ちのいい描き方に、すっきり爽やかな気持ちで見ることができた。くだらないネタに笑いながら(苦笑を含むけど)、その「哲学」がじわじわと染みこんでくる、矢口監督らしい快作だと思います。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-11 06:18:29) |
11. ウルヴァリン:SAMURAI
《ネタバレ》 予想どおりというか、残念な出来。日本をめぐる描写を抜きにしてもつまらない(むしろ、ハラキリ、ニンジャ、ラブホのヘンテコな日本に突っ込むしか楽しみがない)。キャラが不必要に多くてごちゃごちゃしてるうえに、唯一まともにアクションができていた真田広之は無駄遣いとしかいいようのない使い方(その後、アメリカ・ドラマやハリウッドでも活躍しているようで、この作品への出演が躓きにならなくてよかった)。ミュータントが蛇女以外出てこないわけだから、X-MENシリーズならではの楽しさもない。あと、監督は日本語の演技のチェックができないんだったら、役者に日本語をしゃべらせないように。マリコ役の女優さんのひどい日本語の台詞まわしは、相手をしていた真田広之が気の毒になった。あの「ファースト・ジェネレーション」の次がこれだったのが、本当に残念。 [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 3点(2014-08-29 12:52:54)(良:1票) |
12. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
《ネタバレ》 短い時間であらかじめ用意されている第1作目の設定までつなげなくてはならない、というのは難しいとは思うけど、あれこれ拙速になってしまったのが残念。ストライカーのやってることは全く理に適っていないが、彼の狂気のおかげで、いろんな設定のつじつまがあったっていうのも何だかなあ。でも、そういう狂気も、彼のこれまでがあってのことなのだろうが・・・。というわけで、次作は『ストライカー』って感じで、マッチポンプ化してくんじゃないかと余計な心配をしてしまった。あと、サイクロプスの残念な感じは昔からだったというのがわかって苦笑。 [地上波(吹替)] 5点(2012-02-20 06:40:24)(良:1票) |
13. うさぎドロップ
原作もアニメも未見。設定も演出も脚本も、なんかうまくかみ合っていない。芦田愛菜は、僕が見ただけでも、「他人」と暮らすことになる話が3回目(あとの2つはテレビドラマですが)で、さすがにキャラ被りすぎ。大吉の喜怒哀楽の感情表現はマンガ的で、急に6歳の女の子を育てることになった「不安」の表現としては理解できるのだが、せっかくの実写映画なので、もう少し丁寧にとその不安感や不安定さを表現してほしかった。それから、映画のクレジットにいくつか「イクメン」系の団体の名前があったが、本当に彼らが監修や助言をしたのかと思うほど、「男の育児」という点では安易な表現が目立つ。たとえば、子どもに相当の熱があれば、保育所がどういう対応をするか「イクメン」なら知ってるでしょ。あんなふうにほったらかしなんてあり得ない。子ども抱いて走ってれば育児を表現したことになるのか。そういう細かい表現の荒さや薄っぺらさが積み重なって、映画としての完成度を低くしてしまったようです。残念。 [映画館(邦画)] 4点(2011-10-13 05:18:55)(良:1票) |
14. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 結局、冒頭のシーンが最大の伏線で、本編は家族ドラマ+ホラー映画で、最後にまた伏線から種明かしという、ちょっと変な構成の映画でした。どうも「奴ら」が、大がかりに仕掛けをしたわりには、地球で何をしたかったのかよくわからない。また、肝心の家族ドラマがどうにも中途半端ですし、スピルバーグ印のご都合主義的展開も満載でした。ただ、車を奪われるシーンと、いろんな工夫が見れるトライポッド出現シーンは、人間に対する恐怖と未知のものへの恐怖の両方を見せてくれてなかなかよかったと思います(『激突!』や『ジョーズ』を思いだしました)。要するに、いつものスピルバーグでしたが、自分としては、そんなスピルバーグ印も案外嫌いではないようです。 [地上波(吹替)] 5点(2009-04-16 00:45:52) |
15. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 『サイン』のときも思ったけど、シャマランの最近の映画は、SFテレビドラマ級に陳腐な舞台設定のもとで、格調高く「人間」を描こうとしてる。『サイン』は、その二面性(「信仰」というテーマと宇宙人侵略という設定)が分裂して「なんじゃこりゃ」状態だったけど、この『ヴィレッジ』では、その融合がうまくいったんじゃないかな。あの村を作った人々の思いと、そこで育った子どもの悲劇は、ドラマとしても十分説得力があった。ただ、怪物の造形は相変わらずB級。というか、あの着ぐるみを年長者たちがせっせと作ってる様子は想像するとちょっと笑える。それから、ホアキン・フェニックスが主役の映画だと思ってたので、途中で刺されて倒れちゃったのに驚いた。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-27 02:41:44) |
16. ヴァージン・スーサイズ
どうやらぼくは「金髪白人少女」の区別をつけるのが苦手らしい。姉妹の区別がちゃんとつかなくて、「これ、誰だっけ?」とひたすら考えながら見てた。それはさておき、そこそこセンスのいい映像と音楽に、鑑賞者がそれぞれ自分勝手に意味を補填しやすい「自殺」というテーマを絡めるというあざとさには反感を覚える。少女達の内面や心情をあえて描かなかったのではなく、単に描けないだけなんじゃないか、という疑念がどうしても離れない。ま、ぼくがガーリーな世界を理解できていないというだけの話なのかもしれないが。 4点(2005-02-01 09:43:19) |
17. ウォーターボーイズ
さわやかで面白かった。テレビで見たけど、小ネタの多さなんかを含めても、2時間ドラマにちょうどいいかも。演技や演出はまだまだな感じだったから、映画館で見たらどうだったかなあ? まあ、演技力に難ありな感じも初々しくていいのかもしれないけど。しかし、火事にならなかったら、(女子校も同じ日に学園祭だから)ほとんど男子生徒ばかりの会場で、パフィーダンスをやるつもりだったのだろうか・・・。 7点(2004-09-26 22:26:19) |