1. ウディ・アレンの重罪と軽罪
《ネタバレ》 これはアレン映画久々のヒットですね。彼の哲学が色濃く出てる作品で、群像劇風ですが忙しい感じもなく、引き込んだり、距離をとったりと緩急をうまくつけてます。マッチポイントがこれに似てるっていう噂を聞いてたんですけど、確かに似てる。でも、こっちのほうが断然いいですね。大本のテーマは同じですけど、こっちのほうがいろいろな比喩やサイドストーリーで深く描きだせてると思います。この作品の悲観的なラストはウディの世界観そのものです。神の不在は彼の映画の根本テーマのひとつですが、それが最もわかりやすく表現されている作品。ベンが盲目であることと、ジュダが眼科医であることはキーとなる比喩のようです。つまり、眼が見えず信仰に生きているベンがモラルを持ち、世界のありようや真実を見つめているジュダが殺人を犯すという現代の不条理。世界をよく見つめているのはジュダのほうだとウディは語っています。 [DVD(字幕)] 9点(2007-05-27 05:00:38)(良:1票) |