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1.  ウエスト・サイド・ストーリー(2021) 《ネタバレ》 
★バーンスタインの音楽が大好きなので、それが聴きたくて新作も鑑賞しました。 ★ワイズ監督の旧作と比べると当たり前だが映像や音響は段違いに良い。特に音楽は旧作だと所々ぷつっと切れたりしてるので。「アメリカ」は新作の昼間の方が明るい曲調に合ってる。「クール」は決闘にハヤるジェッツの仲間を諫める歌だから、旧作の方が、もっと言えばオリジナルのミュージカルのがいい。トニーとマリアの出会いは旧作の方が普通にオシャレかな(新作でいきなり舞台裏(?)に連れ込むって・・・)。喧嘩のシーンは新作の方が「ガチ」。 ★そのほかいろいろあるが、新作の方は「普通の映画」として観れるように作ってある、歌やダンスの入り方もなるべく唐突にならない、お話から浮かないように配慮してある感じがしました。 ★この映画について、マスコミではこぞって今はやりの多様性だSDG'sだLGBTだとポリコレ姦しい文面でリメイクの意義を紹介していますが、スピルバーグ監督の腕をもってしても、お話の古さを払拭するには至らずと感じました。 ★そもそも男女の恋愛や、人種・国家以下様々なコミュニティ間の諍いなんてそれこそ元ネタの「ロミオとジュリエット」はもちろん、ミュージカルの前身であるオペラ、果ては紀元前のギリシャ劇の頃から定番のネタだし、それを現代の人にどのように共感を抱かせるようアレンジするかがミソ。新作では移民問題や都市再開発とかいろんな説明を加えてたり、トニーの働く店が女店主とか、ジェッツにまとわりつくボーイッシュな女の子がLGBTっぽく描かれてたりとか現代に通じる要素を加味してる様子はある。 ★けどやっぱりトニーとマリアの、何の前触れもなく(「予感」だけはするんだけど)「一目会ったその日から恋の花咲く」状態から果ては命を懸けた逃避行(未遂)に発展してしまう急展開や、自分たちの立場を分かっていながら後先考えず争うだけの不良グループとか、自分にはとても共感できるものではなく、登場人物皆~トニーもマリアもリフもベルナルドも~アホばっかりだなと。 ★まあ一目ぼれに野暮言っても仕方ないし、元々アメリカは移民の国で要は陣取り合戦であり、基本平和ボケ&外国人問題も他人事な自分なんぞには分からない複雑な事情や感情があるのだろう、とは思いますが(それこそ旧作、ミュージカルではその辺の説明なんか全くない。『言わなくても分かるだろうが?』ってか)。 ★ストーリー上の改変はほとんどなく、旧作ファンでも楽しめると思いますが、ミュージカル映画初めての人にお勧めできるかは微妙。前述の通り映像と音響だけなら十二分。舞台とか小物とかお金かかってるだろうな~と。そういえば、プエルトリカンの面々がアメリカの暮らしに文句言いながら、住んでるアパートとかなんかすごい広くて快適そうな・・・日本のウサギ小屋とか見たらびっくりするんじゃないかしらん・・・
[映画館(字幕)] 7点(2022-02-27 21:45:09)
2.  ウルヴァリン:X-MEN ZERO 《ネタバレ》 
★一言で言うと、ヒュー・ジャックマン様のヌードを観にいく映画。とにかく脱ぐわ脱ぐわ(笑)、でも確かに観れる体なのはすごい。このからだ作るのにトレーニングしたんですか? ★ストーリーは正直言ってすごいサプライズがあるわけではないが、一応ウルヴァリンの過去もきっちり説明してくれるし、アクションシーンは迫力満点だし(やっぱなんでもかんでもビームだのサイコキネシスだのじゃなくって、力技でえいやってのは見ててスカッとする)、やや駆け足だが人間ドラマもありで、番外編としては充分合格点なんじゃないか。 ★個人的にしびれたのはアタマとラストだ。南北戦争なんていう我々から見れば「歴史上の」時代から戦争に明け暮れてきた長命(不死身)種ミュータントの嫌世感。 ★そして、頭部を撃たれたことによる文字通りの「記憶喪失」(細胞は復活しても記憶は物質ではないので復活しない、のではないか)。二度と過去を思い出すことはできないのだろうかという哀しさと、反対に苦悩に満ちた過去を思い出すこともないのだという「救い」。狙った設定かどうかは分からないが、なるほどと思った。 ★アメコミ映画の苦悩する主人公なんてのはもう手垢がついてるが、それでもやっぱり謎に満ちた(もう明かされちゃったけど)ウルヴァリンというキャラクターは特別かなあ、と思える。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-10 23:49:11)
3.  ウォーリー 《ネタバレ》 
★すごい。こんなに台詞の少ない映画は久しぶりに観ました。ピクサーの映画には必ず台詞のないショートアニメがおまけでついてきますが、この「WALL-E」はまるでその拡大版みたいに台詞がほとんどない。 ★複雑な芝居はしてないが、それでもウォーリーとイブが何を考え、何をしているのか、ちゃんとわかるし、ウォーリーがイブに寄せるちょっとした感情表現とかの演出が冴え渡っている。 ★さすがに全編台詞ナシとはいかなかったようだが(もともとそれは売りじゃない、ただ会話の必要のない使役ロボット達がたまたま主人公だったから)、それは仕方ない。人間達が出てきてダレたと言う方もいますが、あの後半の展開がなければ、おそらく子供達には全く理解不能な映画になってしまったかもしれないし(今のままでもちと分かりづらそうだ)。 ★大の大人が観るといろいろ詰めの甘いとこはあって、(根本的な科学考証は漫画映画だからと置いとくとしても)例えば 人間達が地球をごみの山にして去っていってしまった過程・ウォーリーが擬似ヒューマニティを獲得する過程・宇宙船での人間達の暮らしや変遷の過程・ロボット達の命令管理系統や思考と(できれば)三原則とのかねあい、そして地球の復活の過程等々・・・を細かく描写すれば、ドラマにも深みが出ただろうしSFとしても面白くなっただろうが、そういったものはすっとばして(これはピクサーの作品全般に言えることだけど)まあ評価としてはよくできたジュヴナイル小説かそれの一歩手前くらい、という感じ。 ★とは言え、そういうのがなくてもウォーリーやイブたちロボットの愛らしい仕草、演技、高度なCG(廃墟の地球なんて鳥肌モノ!)、豊かなイマジネーションのみで2時間近くをあっという間にひっぱる力はさすがとしか言いようがない。 ★減点は、ウォーリーの暮らしが紹介されてからイブが登場するまでが早すぎること(今時の映画って、ほんと予告編どころかポスターチラシすら見ない方がいいかも)、最後あれだけ落としといてやっぱり持ち上げちゃったのはちょと(まあいいんだけど)がくっときちゃったので。 でもやっぱりピクサーいいです。次回作も楽しみにしてます。
[映画館(字幕)] 8点(2008-12-28 23:28:29)
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