1. ウェルカム・バクスター
周知の通りだが多額の制作費を費やさなくとも良質の作品は作れる。この作品はその典型例だと思う。作品全体に流れる空気を形容すると素朴でささやかと言ったところであろうか。世間から忘れられたような極々小さな町が舞台だが、そこで淡々と生きているいい人達にとても親しみを憶える。雄大な自然の景観も美しく、心が洗われる思いがする。電波や人混みに包囲されている都会人にとっては別世界。こんな所に住んで焚き火を囲みながら談笑してみたい。そんな長閑で平穏な町に或る事件が起こるがサスペンス物ではないのに事件自体の展開に関心を抱くと期待はずれになる。さりげなく淡々と交わされる会話や心の交流こそが大切だし、その空気に浸ることが出来れば幸せだ。自分もあの若者達の仲間に入りたいと感情移入出来たので満足しているし、結末が判っていてもまた観たくなる。自然への回帰願望を満たしてくれるからだ。K.ハドソンも初々しいしC.アフレックやP.サースガード、J.ハードもいい味を出している。更にはB.セクストンⅢ(ブルー)の母親役のL.ジェネリーも実に良識的な好人物でもっともな台詞を吐き溜飲が下がるが、何と言ってもエキセントリックなC.リッチにとどめを刺す。国家権力や大資本に全く臆することなく自由奔放に振る舞う彼女に憧れる。最後にやってのける大胆な行動見たさに繰り返し観ていると言っても過言ではない。スカッとすること間違いなし。ささやかな作品らしく90分という長さも疲れなくていい。C.リッチのファンというだけでも是非御覧あれと言いたい。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 15:54:49) |