1. ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-
アニメ本編を全て見た後に続けて視聴。 美しい景色、ゆっくりとした描写、温かい気持ちになる点など本編と同様。 若干異なったのは、本編はヴァイオレットが主人公として色々な人に関わり、成長していく、という視点だが、本作は前半と後半に分かれ、手紙のやり取りをする2人がそれぞれのパートの主人公となり、その2人にヴァイオレットやベネディクトが関わる、という視点となる点。 そのため「外伝」という表現は相応しく、しかし決して本編から逸脱せず期待した通りの作りとなっていた。 そもそも本作を含む「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品は、いかに情景に入り込めるか、世界観に入り込めるか、という点が評価に大きく影響する作品であるように思う。 自分のイメージとしては、日が短くなってきた肌寒いくらいの涼しい日の夜に、自分の心が落ち着きすぎているくらい落ち着いている時に、時間を忘れてゆっくりと、余裕がある状態で見ると突き刺さる作品、というイメージ。 アニメ本編を見た時も本作を見た時もまさにこの状態に当てはまり、それ故自分にとって最高に素晴らしい作品、という評価となった。 泣くために見るわけではないが、世界観に入り込んでいるうちにいつの間にかホロリと涙がこぼれる、そんな作品と感じた。 [インターネット(邦画)] 8点(2023-10-13 22:31:49) |
2. うる星やつら 完結篇
《ネタバレ》 「評価が高いから」「うる星やつらの入りとしてこの作品を」という方にはお勧めしません。 というのも、本作は「原作を読んでいる」「アニメを見ている」「うる星やつらのファンである」という人にはぶっ刺さる作品であるが、逆にそれ以外の人には2021年現在の感覚では刺さりづらい作品かと思うからです。 「完結編」という通り、本作は原作のラストエピソードの映画化作品であるため、それまでのストーリー、キャラクター、世界観に思い入れがあるか否かで全く評価が変わるかと思います。 その上で10点を付けさせていただくのは、「うる星作品としてこれほど完成度の高い原作再現をしてくれてありがとう」という気持ちによるものです。 うる星やつらは「ラムちゃんとあたるの気持ちの違い」言い換えれば「女の子と男の子の感覚の違い」が根底に据えられており、そこにコメディやファンタジー要素が入れ込まれる、という作品です。 それを本作(というか原作のラストエピソード)は完璧に表現している。 女の子は「外面上は何と言っていても本当は不安。心で繋がっていることを確認するために好きだという言葉が欲しい」 男の子は「外面上は何と言っていても本当は心で繋がっているはず。なんでそれがわからないんだ」 これを表すのが「嘘でもいいから好きだと言ってほしいっちゃ」「言わなきゃわからんのか」「こんな状況で好きだと言ったら嘘かほんとかわからんだろうが」という言葉。 最終的に「好きだと言わなければ世界が滅ぶ」という状況に達するも、それでも好きだと言わない。 なぜなら、あたるにとってそれは世界の崩壊よりも遥かに大事なことだから。 だから 「一生かけても言わせてみせるっちゃ」 「今際の際に言ってやる」 というのがこれまでの二人の関係を表した完璧な言葉であるとともに、作品を締めくくる完璧な言葉。 今際の際に言う=死ぬ間際に言う=一生好き、ということであり、それを表しつつも、決して「好きだ」とは言わない。 原作の高橋留美子先生は女性でありながら男性の気持ちをこれほどまでに理解し、うまく作品として表現していることが本当に素晴らしく、それをほぼ完璧にトレースした本作は、私にとって10点に他ならない作品となっています。 [ビデオ(邦画)] 10点(2021-09-01 10:21:30)(良:1票) |
3. 牛泥棒
《ネタバレ》 傑作ですね。テーマは「冤罪」、裏テーマは「法(良心)」でしょうか。現代日本でも往々に起こりうる冤罪というテーマを通し、良心を説く。 ラストシーンの手紙の「法こそは良心なんだ」。深いですね。捉え方によってはそんなわけない、ともなりそうです。「法こそは良心」つまり「良心こそは法」であると。手紙の「法」を「良心」に読み替えるとすっきりします。「法(=良心)とは正義のすべて、そして善悪のすべてだ」「人々が良心(=法)を持たないと文明は成立しない」。なるほどその通りだなと。この場合の「法」は法律とかの成文法のことではなく社会一般のルールのことですね。 また、冤罪にされた男が手紙に記した、自分に私刑を施した連中に対しての「彼らは善い人だ。あおられていたんだ。彼らが可哀想だ」という一文。一番の良心を持っていたのは、良心に従わない者たちによって私刑に処された彼だったと。なんというか、グッとくるものがあります。 本作は登場人物が多く上映時間も短いですが、それぞれきっちりとキャラが立っており、会話劇の面白さがより際立ちます。 なおDVDでの視聴ですが、パッケージ裏のあらすじは開幕からほぼ閉幕までの完全なるネタバレでした。笑 [DVD(字幕)] 8点(2015-07-02 22:57:25) |
4. ウォー・ゲーム(1983)
《ネタバレ》 自分がコンピュータに全く詳しくないからでしょう。全体的にすごくフワッとした印象を受けました。何が起こったから何が起こり、何をすれば良く、何が起こると駄目なのか、なぜそうなるのか、一体どういう状況なのか・・・。筋はもちろんわかるのですが、何かおぼろげというか、どうもモヤッとしたまま進んでしまった。また、視聴者からはゲームとわかっているので、ソ連の攻撃だ!と言われてもいまいち緊迫感に欠けてしまった感もあります。 ただ、テーマ自体は面白く、コンピュータに無益さを学ばせるという発想とその手法には感心させられました。 [DVD(字幕)] 5点(2015-06-28 02:09:07) |
5. ウィル・ペニー
良い作品っすなあ。全編通してのしっとりした雰囲気が良い。中でもウィル・ペニーの渋みと哀愁と可愛らしさがミックスされたキャラクターがとても好み。一々の表情も良いし、歌を歌ってみるところなんかニヤっとしちゃいますね。ただ、それだけにアクションシーンはゼロでも良かった気がする。抑揚はアクション以外で見せてドラマ一辺倒でいくとか。悪党どもとの絡みになると急に雑な感じがしちゃうのは気のせいではない気がする。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-23 00:00:02) |
6. うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
《ネタバレ》 <全体> 原作が大好きなファンには向かない、映画単発として見る方にはオススメのアニメ映画作品です。 数年ぶりに見返しましたが、やはり全体の印象は変わらない。映画単発としての面白さなら9点、しかし「うる星やつら」として見るなら1~3点です。 0点でないのは、一応キャラクターの設定が随所に織り込まれ、原作全編を読んでらっしゃるんだな、と思えるから。 単発で見ただけだとわからない細かいキャラクターの特徴や設定、「チェリーのどアップはキツい」「暗所恐怖症かつ閉所恐怖症の面堂だが、女性の前だと平気」「今までにあたるが浮ついた女キャラが登場(名前だけ登場もあり)」など、原作ファンには嬉しい細かい箇所が随所に盛り込まれています。 <本作単体> 映画単発として見た時、「(特に)怖さの演出」「映像美」「構成」「設定」「BGM」などは極めて素晴らしく、この時代のアニメ映画作品として傑作と言わざるを得ません。 いわゆる名シーンのオンパレードで、「温泉とさくらさんの喫茶店での対話シーン」「しのぶと風鈴の迷宮のシーン」「友引町から飛び立つシーン」「夜の学校探索シーン」「メガネの独白」等々、どんだけあるんだよっていう名シーンの山です。映像と演出、カメラワークが神がかっています。 <「うる星」作品として> しかし、「うる星やつら」として見た時は、全く見え方が異なります。この作品は、「うる星やつらを読んだ男が作った作品」なんです。ラムちゃんではなくあたるに焦点を当てた、言い換えれば「男目線で作られた作品」「女の気持ちがわからない男の作品」です。なお、原作者は女性です。 原作のラムちゃんとあたるの関係は、ラムちゃんは外面は愛情表現全開だが、心の中ではいつもあたるのラムへの気持ちについて不安がっている。あたるは外面は男の本能の塊で浮気症だが、心の中で一番大切なのはラム。という描かれ方です。 にもかかわらず、本作ではあたるが再三「ラムに惚れとる」的な発言をし、ラストシーンでキスしようとさえする。 違うんです。 原作のラストシーンは「(好きだと)一生かけても言わせて見せるっちゃ」「今際の際に言ってやる!」です。 これが「うる星やつら」の全てなんです。 今際の際に言ってやる=死ぬ間際に言ってやる=死ぬまで愛してる、という意味なわけですが、それでもなお「好きだ」とは直接的に言わないわけです。この「女の子と男の子の違い」がキモなんです。 あたるのことが大好きで、心で繋がっていると思ってはいるが不安があり、たった一言、好きだという一言で心の不安を取り除きたいラムちゃんという女の子と、ラムちゃんのことが大好きで、言葉になんかしなくてもわかってるだろ、恥ずかしいという態度を取ってしまう不器用な男の子であるあたるとの対比なんです。 女と男の考え方や態度の違いを描き、理屈ではなく感情面に焦点を当てた、実に女性らしい女性目線における作品なんです。 原作の高橋留美子先生の凄いところは、「男のことよくわかってんな~」というところなんです。 故に、作中の「ラムにも惚れとる」「キスシーン」等の「直接的に」あたるがラムを好きだと認識させてしまう表現は、「うる星やつら」という作品においては絶対にやってはいけないタブーなんですね。 だって、原作全編においてそれらを言わない、それらをしない、女の子と男の子との違い、ってのがテーマになってるんですから。 ただしアニメ映画としては非常に面白い、是非多くの人に見てほしい作品です。 このレビューにおいては、そちらの観点を重視して9点とさせていただきます。 [ビデオ(邦画)] 9点(2013-12-16 05:16:56) |
7. 海の上のピアニスト
《ネタバレ》 ストーリーとしては非常にシンプルだが、台詞回しが抽象的というか詩的な作品。そういう言い回しや表現にのめり込め、「美しい」と感じる人にはツボにはまる作品かと思います。私は昔っから国語が大の苦手なので、そこまでストライクはしませんでした。 ピアニストというタイトルの通り劇中で様々な曲が流れますが、その中でも例のピアノと踊るシーンで流れる「Magic Walts(マジック・ワルツ)」が非常~~~に良い。音楽なしで観るとおいおい何じゃこりゃwとなりそうなシーンですが、曲とシーンの調和によって一転して名シーンと化しています。自分でも弾いてみたくなりましたが、実は連弾前提の曲らしいですねw [DVD(字幕)] 7点(2013-12-16 01:00:04) |
8. ウエスタン
素晴らしいですね。それぞれのシーンや動作にいちいちかなり長めの間や溜めがありますが、それが私にはどストライクです。広大な大地と雄大な自然、そこで流れるBGM、台詞自体は全体的に少ないが口を開けば味のあることを言う各キャラクター(特にハーモニカ)、どういうこと?え、何で?となった後に少しずつその意味や内容が明らかになっていくというストーリー構成、どれをとっても素晴らしかったです。 [DVD(字幕)] 10点(2013-12-16 00:30:41) |