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1.  ダンサー・イン・ザ・ダーク
本作には相反する要素を持つものがいくつか並列されている。何のBGMにも彩られずザラついた白黒に近いハンディカムによる映像(セルマの日常)とカラフルで躍動感のあるミュージカルシーン(セルマの想像)、善良であるように見せかけつつ性根悪い警察官、閉塞しきったセルマの故郷と自由のシンボルであるアメリカ、そして何より童女と母性を併せ持つセルマ(ゆえにビヨーク以外のキャスティングは考えられない)の愛と周囲に渦巻く悪意。確かに最初は唐突にミュージカルシーンが始まって、何だこれは?と違和感を抱いたが、それは冒頭に述べたように敢えて相反するものを並列させることにより、セルマが無垢なままに生きるには自由のシンボルであったアメリカでさえも現実はあまりに苛烈であり、ゆえに無垢の象徴もである往年のミュージカルに逃避せざるを得ない状況と言うものを見事に表現してるのだと気づいた。問題のラストシーンも単にペシミスティックの一言で片付けることのできるものではなく、息子に対する愛を貫き通したセルマに対する深い慈愛が溢れているように感じたし、現実にはあり得ないえないような話なのにどうしようもなくリアルに心に響いてきた。それどころか、逆に映画が終ってしばらくはビヨークがセルマ以外の人格をもちこの世に存在することに違和感を抱いてしまったくらいで。監督のラース・フォントリア-自身「私の映画を見た人は必ず大好き派と大嫌い派に分かれる。今後もし万人に受けるような映画を撮ってしまったら逆にがっかりするだろう」との旨コメントしてたくらいだから、本掲示板で賛否両論あるのもいたしかたな、とも思う。だけど、例えば僕が一番好きなシーンはセルマが刑務所の中で通風孔に向かって1人歌うシーンなんだけど、演技と言うより何かが憑依してるのではないかと思うくらいの痛々しさで、本当に0点とかつける人は何も感じないのかな、と思ってしまう。
10点(2001-07-14 02:22:09)
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
411.49%
500.00%
634.48%
757.46%
82334.33%
91826.87%
101725.37%

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