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コメント数 304
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自己紹介 つたない文章力で自分なりのレビューを心がけます。映画館で観た作品は自然と評価が高くなりがちです。

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1.  ダゲレオタイプの女 《ネタバレ》 
写真というものが、身体的外見を人工的に固定し、存在を時間から引き離す事で、存在を生につなぎとめるものであり、被写体を死の運命から解き放つ事で、生者の心をかき乱す存在であるとするならば、それは幽霊とも似ているのではないか。 ドゥニーズは幽霊となりステファンの前に現れ恐怖させ、悩ませる事で、彼の精神を縛り続け支配下に置いていた。 それは生前彼女が、”写真を撮る”という行為を通して行われていたであろう束縛を、最も体現した報復律。 彼女は、そのように死後幽霊として夫を苦しめていた時の方が、マリーは死後幽霊としてジャンと逃避行をしていた時の方が、生前より自由であったのではないか。 肉体的な生と死(人が一般に定義する生死)、どちらがより自由で幸福であるかは、他人の尺度で測れる事ではない事実と同時に、生と死の境界線の曖昧さも描いている。 そして、写真が良くも悪くも、身体と精神を永遠に縛り付けるものであるとするならば、映画という映像芸術は虚構を映像化する事で、そのものを解放する作業(今回であれば、幽霊となったドゥニーズとマリー)となり得る。 正負どちらにも転びうる、生と死の概念、映画と写真という芸術の関係性や特性を見事に表現していた。 他にも、水銀が植物園を枯らしてしまう(ステファンの罪がマリーの尊厳を犯す)という視覚的表現や、階段下にカメラを置く事で原因を不明にし、結果のみを伝えるという落下表現も瑞々しい。 この監督は、あらゆるものの可能性、とりわけ映画という媒体の可能性に挑戦し、生と死の境界線を揺るがし続けている。 だからこそ、その大きな挑戦から目を離すことが出来ない。
[DVD(字幕)] 9点(2017-09-24 20:27:59)(良:1票)
2.  ダンケルク(2017) 《ネタバレ》 
この映画には、括弧付きのリアリティと偽りの体験しか存在しない。 執拗に水面に置かれたカメラ、兵士の顔を映すクローズアップや主観的視点。緩急もなく、ひたすら意味ありげに鳴り続ける重低音と音が大きければ迫力があると言いたげな音響。CGに頼らない映像。ヒーローになる事はない名もなき兵士達。 あらゆるものが”リアリティ”という言葉を盾に、これ見よがしに主張し合う。 しかしそのどれもが、映画の画面から飛び出して来る事はない、表面的で小手先のリアリティ。 そもそも、少なすぎる戦闘機の数、観客のカタルシスを満たすが為に示し合わせたように一斉に集う小型船、エンジン停止した戦闘機が不時着する間に寸前までいた砂浜の兵士達がいきなり全員いなくなる、戦場なのにゴア表現が一切ないなど、映画内のリアリティラインすら滅茶苦茶。 体験という視点においてカメラは水面に水中に銃撃戦に度々置かれる。しかし、いざ人が溺れる瞬間、撃たれる瞬間、カットは変わり”カメラ=観客の視点”は直ぐにその場から逃げる。観客は痛さも苦しさも味わう事はない。観客は第三者として、特権的な立場を保ったまま、決して当事者になる事はない。 観客は陸海空を何にも縛られもせず、時制をも超越して自由に動き回る事ができる。そこにはリアリティも究極の体験(あるのは必ず安全圏が確保されている、アトラクションのような体験)も決してない。映画の最後まで、スクリーンと観客の距離が縮まる事はない。 そして、驚くようなショットも表現もない。 インターステラーを観た時も思ったが、この監督は、決められた映画という枠の中で、深く見られがちな主題の皮を被り、メロドラマを軸として、驚きも色気も危うさもない演出と映像で真面目な映画を作る監督なんだろうと思った。 余談だが、ボルトン中佐が怪訝な顔をして空を仰ぐ→カットが変わって敵機が迫り来るという度々繰り返される演出は、鈍重でしかない。 空戦の場面もカットを細かく割り、クローズアップ、主観、引きのショット、別場面を織り交ぜるので緊迫感に欠け、構図が分かりにくい。
[映画館(字幕)] 5点(2017-09-22 01:09:54)(良:2票)
3.  太陽(2015) 《ネタバレ》 
目では見えているが、当事者の精神的断絶が視覚的空間の断絶に伝播する=生田宅での襖は開いているが、観客からはレイプの全貌が見えないシーン。 フェンスを隔てたキュリオの世界とノクスの世界の境界線。お互いが見えてはいるが、服装や所作、思考、価値観移動手段など全てが異質の物(父娘の別れのシーンに代表される)である事が分かる。 そして目では見えないが、当事者の精神的継続が視覚的空間の継続に伝播する=車のボンネットを隔てた鉄彦と富士太の関係性。 そういった相反するものの境界の曖昧性と価値の逆転を描いている。それは可視と不可視、光と闇、ノクスとキュリオ、自由と不自由であったり。 目を引くシーンも多い。冒頭の低い位置から捉えた駐在員殺害。視覚を制限し影をうまく使ったレイプ。対比として繰り返される生田母娘と鉄彦、富士太の構図。 そして終盤、奥寺姉弟が死亡するシーン。 長回しにより持続する時間の中で、近景(鉄彦と富士太)中景(生田親子)遠景(村人と克哉)による三つのドラマが同時に進行する。 画面的な多層性も去ることながら、キュリオとノクスの融解、ノクス同士の和解、ノクス同士の対立というように関係性もグラデーションになっていて意味の多層性も秘めている。 そしてその果てに起こる二つの肉体的な死、一つの父娘という関係の死。一つの友情の生。 争いと離散の果てに生まれた友情はどこへ向かうのだろうか。
[DVD(邦画)] 7点(2017-02-11 11:19:09)
4.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》 
過去にいったり、未来にいったり、その結果違う時間軸があるということが発覚して。何でもありなのかと思ったら、途中からどうでもよくなってしまった。 アクションも、ただ派手になっていくだけで驚きや新鮮味を感じられず。 でもまた続編があるようなら何だかんだで、見てしまうんだと思います。
[DVD(字幕)] 4点(2016-04-24 23:30:21)(良:1票)
5.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 
理想と現実のギャップに苦しみ真実を追究することから逃れようとする若いシスター。 ただ子の幸せを願う母。 この学校で生きるためにはそうすることしかできなかった生徒。 生徒の弱さに漬け込んだ神父。しかし生徒からの信頼は厚く寛容である。 校長の生徒を思うが故の厳しさや言及か、ただの自分の好き嫌いによる執拗なまでの疑いか、それとも神に従える故の倫理観か。しかしそこに至る過程で生まれる神の教えに反する疑念。嘘。不寛容。 それぞれが悩んだ末にも、はっきりとした真実は明かされない。誰が正しく間違っているとは言い切れない、人間のアンバランスさがとても丁寧に描かれていました。
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-26 02:15:15)(良:1票)
6.  太陽はひとりぼっち
ただそこに在る無機質なものに囲まれ、一分一秒に一喜一憂しながら人生をかけ、いつ終わるとも知れない恋に、戸惑いを感じながらも身を任せる。 どれだけ愛しあってもその愛が無くなればただの他人。その人にとってはいないものと同じ。それでも、ただ無機質のように存在する事が出来ない為に、また他の誰かに認識されることを求め、生きていくんだと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-09 18:53:41)
7.  ダイアリー・オブ・ザ・デッド
秋葉原無差別殺傷事件を思い出しました。事件現場の周りには野次馬が集まり、救護している人たちを横目に携帯電話でその映像を録り続けている。完全にこの映画で言っているファウンダーを覗いた時点で他人事になるという事が当てはまっていると思いました。しかし、その行為が今まではテレビ局からの真実か作り物であるか分からない映像を受け取る側でしかなかった人間が、真実をありのままに伝える事ができる側の人間になり、多くの人にその現状を知らせる事が出来るようになったことも事実。問題は、その情報を受け取る価値が、他人事のように録り続ける人間やそれを面白がる人間にあるのかという事ではないのでしょうか。ランドオブザデッドで感じたゾンビ映画に対するマンネリ感、息づまり感を現代の時代に合わせた作り方、魅せ方で見事に払拭してくれました。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-17 19:26:48)
8.  ダウン・バイ・ロー 《ネタバレ》 
なんだかんだ喧嘩しながらも結局助け合っている三人の奇妙な関係性が良かったです。見た目的には一番頼りなさそうなロベルトが実は一番しっかりしていて頼れる存在で、そのギャップにも笑えました。所々に感じる構図のすばらしさは、それぞれの単独の絵図らだけでもこの映画を端的にうまく表現しているようにも感じました。全体的にけだるい感じで盛り上がる場面は殆どないものの、その独特の雰囲気とセリフにやられました。あっさりとしすぎている別れの場面も絶妙。
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-21 20:17:26)
9.  タンデム 《ネタバレ》 
「何飲みます?」「何でもいい」「コニャック二つで」長年一緒にいたから相手の好みが当たり前のように分かり、それが必要最低限の会話ですむ何でもない日常。言葉少なくともお互いを信頼し合っている関係。愛情とか友情とかとは少し違う、言葉では何とも言い表しにくい二人の姿が素敵で憧れました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-02-01 20:21:44)
10.  ダークマン 《ネタバレ》 
悪の組織に殺されかけて、痛みを感じぬ体を手に入れた。しかし腕力は常人なみで、変身に時間制限はあるけれど、そんな時には頭脳で応戦。ピンクの象さんが大好きで、少し短気な所もあるけれど、愛する女にゃめっぽう弱い。観た人からはちょっとした笑いをいただき、愛した女に別れを告げ、今日も人ごみに紛れ込む。その男の名は、闇のヒーローダークマン。かっこよすぎです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-27 17:22:46)
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