1. 父と暮せば
重たいテーマ(戦争や原爆)を真面目に扱えば、必ず良い映画になるとは限らないし、時間をかけて一生懸命に努力して演じれば、心を動かす演技になるとは限らない、ということではないでしょうか。・・・・・要するに、皆さんもおっしゃっていることですが、これは映画でなく、舞台劇のままではないですか。劇中劇にするとか、セットに工夫を持たせるとか、逆にカメラを固定するとか、、、、、。セットや小道具は舞台のまま、カメラだけ上からとったり、移動させたりして映画っぽくするから、なんだかちぐはぐです。これだったら、実際の舞台の録画を見ている方が伝わってくるものがある。舞台と殆ど同じ脚本で、映画ならではの工夫がなく、舞台を越えられないのだったら、映画にする必要はないし、見る意味もないのではないでしょうか。・・・・・広島からは60年以上が経過しようとしています。その実際の記憶が残っている人は70歳以上になろうとしていて、あと20年もすると、語り伝える人もいなくなります。広島をどのように語り継いでゆくのかも転機を迎えようとしているのでしょう。もっと想像力のある語りが必要だと思いました。・・・・・・・あと、宮沢りえは、もっと、もっと輝くことができるいい役者なのに、じじいたちが自分たちの古い女性像を押しつけて、どんどん駄目にしていっているようにも思います。 [DVD(邦画)] 3点(2007-12-10 10:35:32) |
2. チャドルと生きる
確かに、イランのイスラーム社会で女性たちが抑圧されている、という雰囲気は伝わってきます。また女性たちをリレー式に繋いでいくという描き方も、この主題にはマッチしているようにも思いました。・・・・・・だけど、イスラームの社会でも、国家がどのようにイスラム道徳の維持に権力を用いるのかは、国家によっても異なっています。こういう描かれ方をすると、イスラーム社会では、どこでも女性が抑圧されているという偏見を生んでしまうような気もします。また彼女たち自身はイスラームの教えをどのように受け止めているのかという描写が一切ありません。なんだか、ヨーロッパ的な価値意識に依拠して、イランのイスラム権力を批判するためだけの作品になっている感じもしました。・・・・・・現状のイラン社会でいいじゃない、と感じてる女性もいるでしょう。また男は男で、ひとたびアメリカと戦争になればアメリカのハイテク兵器の前に虫けらのように殺されてしまうわけで、イスラームの社会が抱えている問題は、色々と多様なように思います。・・・・・・・・ところで、女性たちの多くが吸っているたばこは何を象徴していたのだろう。男性が享受している自由??・・・・・たばこを吸うことは健康に悪い、たばこを吸っている人は知性がない、というアメリカ的な価値意識が徐々に浸透している昨今では、よくわかりませんでした。 [DVD(字幕)] 8点(2006-09-18 00:00:07) |
3. 近松物語
なんという不条理。、、、、長谷川一夫は実存の顕現であり、これはカミュよりもカミュ的である。、、、、、などという意味不明な冗談はさておいて、、、、、日本の文化に少しでも関心があるという場合は、、、商家の家の造り、日々の暮らし、親類関係の意味、身分構造など、必見!!、、、そして昔の日本の人たちが、どのような意味世界に生きていたのかということが、深い同感的想像力と、美事な様式美で描かれていると思いました。 [ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-06 10:51:24)(良:2票) |
4. 父の祈りを
《ネタバレ》 この映画は、事実の重みも、下手な脚色をすると、だいなしになりかねない、という典型ではないか。、、、、冷厳な事実であっても、娯楽的要素を入れて、稼げる映画にしなくちゃね、という映画製作者の精神に対して、僕は怒りに似た感情を禁じ得なかった。、、、本当にベルファストの屋根の上で棒きれでギター代わりにして狙撃されたのか、本当に拷問しているそばでバースデーケーキ食べていたのか、本当に主人公は父親と同じ監房にいたのか、本当に真犯人と共鳴して監獄で暴動を起こしたのか、本当に判決が出ると何の手続きもなくそのまま法廷から出たのか、本当にジュゼッペの死に接して囚人達はほぼ全員、窓から紙に火をつけ落としたのか、本当にジュゼッペは息子を助けに行って逮捕されたのか、、、、、。この中に事実でないものが含まれているなら、本当の事件を扱ったこの映画で、どれが事実で、どれが事実でないのかがわからなくなってしまう。、、、事実は藪のなかじゃん、事実はあくまで素材じゃん、という考え方も確かにあるのだろう。、、しかし、事実を訴えた主人公、それを信じた父というこの映画の中心的な姿は、事実の重みに拘らない安易な商業精神に晒されれば、霞んで見えなくなるのではないだろうか。この映画を見て、一番悲しい思いをしているのは、父自身ではないか、とさえ僕は思う。 4点(2005-03-04 09:14:49) |
5. 父よ
淡々としていて、途中で寝てしまいそうな作品。しかし、見終えた後、何か重たいものが残り、また、つまらないと思えたシーンが妙に記憶に残る。あぁ、これがフランス映画の伝統なのですね、、、、。 7点(2004-07-02 09:45:48) |