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1.  父親たちの星条旗 《ネタバレ》 
クリントイーストウッドが何故日米相方の側から描いた戦争映画を作ったか、また何故硫黄島かを考える時、それぞれの兵士達が「何のために戦い、尊い命を犠牲にしたか」を主題に描きたかったのだ、ということがこの2作品からわかります。「硫黄島からの手紙」で栗林中将が「我々がここで戦う一日一日が本土がアメリカの攻撃にさらされるのを防ぐことになる」と明確に訓示している一方で、米軍兵士は劇中語られるように「一緒に戦う友人のため」せいぜい「国家のため」に戦うのであって、本土は戦場とは別世界であり、母国で家族が日本に殺される危険は全くありません。執拗なフラッシュバックや時代の跳躍も地獄の戦場との乖離を際立たせるための手法であり、本土で英雄を紹介するにあたり「これはショウビジネスなのだよ」とまで言わせる徹底ぶりです。クリントイーストウッドとスピルバーグ(プライベートライアンも同じ目的で製作と思います)が何故ここまで米軍に厳しい映画を作ったのかは、私が常々感じるアメリカ国民は参戦を納得していなかったことに通ずると思いますし、何よりも「何のために戦うか」を描く事が現在の「アメリカのあり方」に対する「草の根保守派」からの強烈なメッセージなのだと思います。硫黄島二部作において日米それぞれの兵士達の戦う目的が「旗」と「手紙」という題に象徴されているのです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-28 17:26:20)
2.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
国際情勢が険悪化していたとしても現役の他国の国家主席をここまで茶化し、しかも地球儀風船を弄ぶなど現在でもさすがと思わせる芸術性のある喜劇を作り上げる手腕は素晴らしいと思いました。突撃隊に虐げられるユダヤの人々を描き、ただ普通の平穏な生活を送りたいだけなのにという純朴な気持ちは収容所から脱走した床屋がヒンケルと入れ替わって行う最後の演説に集約されていて、それがこの映画を作ったチャップリンの思いでもあったでしょう。しかしこの最後の演説の主張はそのまま米国が第二次大戦に参戦する理由となり、戦後も「だから米国のやったことは全て正義である。」という免罪符にされてしまいました。未来において米国によりドイツの都市が無差別爆撃による殺戮を受けたり、その同盟国に原爆が落されるとは、この時点でチャップリンは思ってもいなかったでしょう。いろいろと考えさせられる作品でした。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-16 13:53:54)
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