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1.  小さな巨人 《ネタバレ》 
彼岸と此岸を状況に流されるように行き来して、唯一意志のこもった選択により勝利を勝ち取る。アメリカン・ニューシネマ期にはかなり珍しいタイプの映画だと思う。つまり、死なない。確かに語り手のジジイは120歳超えてるし、今にも死にそうだし実際死ぬんだろうけど、これは避けられない死だからアメリカン・ニューシネマのアンチ・ヒーロー的な死とは質が違う。歴史修正主義に対する抵抗がメインテーマであって、体制に結局負ける気がしてる僕らの等身大の抵抗と敗北を描くことを目的としていないのだ。だから死の質が違ってくる。■フェイ・ダナウェイがエロすぎる。
[DVD(字幕)] 9点(2016-12-11 02:32:25)
2.  チャップリンの舟乗り生活
序盤だけが面白い、エッサネイ社時代の作品にありがちなコメディ。ごろつきを船に乗せるのを手伝ったのに自分も乗せられちゃうシーンはとっても愉快で印象に残るし、クレーンを使ったギャグも良かった。この作品はエドナなしのほうが良かったんじゃないかと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-29 08:58:43)
3.  チャップリンの掃除夫 《ネタバレ》 
『犬の生活』や『街の灯』の原点にあたる作品であることに間違いない。『失恋』とは異なる手法で悲しい余韻が残るコメディを作りたかったんだろう。前半のギャグは冴えていて、エドナのラブレターを自分宛てだと勘違いして期待して、実は別人宛てだと知った時の顔は素晴らしかった。笑えるし、悲しい。その後の妄想シーンにリアリティをもたらす本当い素晴らしい顔だ。残念なのはその妄想シーンがいまいち面白くなかったこと。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-29 08:56:35)
4.  チャップリンの女装
女装がよく似合いますね。キーストン社時代の女装は顔がアップにならないので似合っているかどうかいまいち分からなかったけど、この作品の女装はおっさん二人をメロメロにしても仕方がないレベルだということがわかる。その点では一見の価値あり。でもギャグはあんまり面白くない。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-29 08:52:50)
5.  チャップリンの改悟 《ネタバレ》 
盗みに入るまでは完璧だったんだけどなあ…。宗教さえ信じられない世界を皮肉った描写は痛快で、警察官はキーストンコップスを彷彿とさせるバカバカしさ。エドナが登場してからダラダラしちゃって、ギャグもいまいち冴えていないように思う。エドナがチャーリーを許した理由もいまいち伝わってこないし、なんだかなあ。終わり方はすごく良かったけどね。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-29 08:37:43)
6.  チャップリンの午前一時 《ネタバレ》 
最高。この映画は音楽ですね。笑いは繰り返しが重要と言いますけど、同じことをやりすぎて退屈に感じ始めたところでトランス状態に入っちゃって、どんどん面白くなっていく。かっこいいリフを何度も聞くうちに脳みそにこびりついちゃった時のような感じかな。最後のベッドを使ったシーンは笑いっぱなしでした。ツボに入る人はとことんハマる映画だと思います。チャップリンのパントマイム芸をこれほど堪能できる映画はないのに、評価が低いのが残念です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-26 20:58:34)
7.  チャップリンの放浪者 《ネタバレ》 
笑いどころは少ないけど、『チャップリンの失恋』をさらに発展させ、後の『サーカス』に繋がる作品として高く評価したいです。チャーリーのバックグラウンドがはっきりと語られるのも初めてじゃないかな?全盛期に繋がる要素が多くて、見どころ十分。ジプシーへの差別的な表現は、まだチャーリーのキャラクター像がかっちりしていないことを示しています。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-26 20:56:16)
8.  チャップリンの消防夫 《ネタバレ》 
火事現場でのギャグは全く面白くない。キーストン社のつまらないスラップスティック映画みたいで、らしくないなぁと思いました。ただ、それ以外のシーンは良いんだなあ…。所内で上司相手に暴れまわるチャーリー面白かった。『チャップリンの役者』と構造は同じなんだけど、はるかに面白くなっていて、チャップリンの成長を感じました。地味なところではあるけど、馬車で現場に駆けつけるまでのギャグが一番好き。単純だけど。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-26 20:54:41)
9.  チャップリンの替玉 《ネタバレ》 
なんだチャーリーは出てこないのかと思ったら別人だった…。キーストン調のドタバタ劇で、エスカレーターを使ったギャグをやりたい一心で制作した映画なんだろうなということがよくわかります。エスカレーターを使うのに、エッサネイ社時代のロマンス要素はいらんよね。それにしても、オチ良かったなあ。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-26 20:52:05)
10.  散り行く花 《ネタバレ》 
顔の映画だなあ。リリアン・ギッシュの怯えた表情、作り笑顔、中国人青年と出会って以降の安らかな表情、どれも芸術的で美しい。物語はまさに悲劇の典型的な例で、不幸に値しない人物が不幸のどん底に落ちるのを描いているだけ。特徴的なのはルーシーがどれほど不幸な少女なのか、中国人青年がどれだけ堕落してしまったのかをこれでもかというほどに描いているにもかかわらず、二人が共に過ごすのはほんの僅かな時間だけだということ。不幸な二人がわずかに共有した時間が中国人青年に銃を取らせた、このリアリティが素晴らしい。殺人に至るまでの動機に疑問点がない!それほど二人は互いの存在を受け入れたのだということの説明のために50分以上もかけて、ダラダラしない構成もまた良い。素晴らしい悲劇です。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-22 08:00:24)
11.  チャップリンのお仕事
素晴らしい!チャップリンに小道具を持たせたら右に出るものはいません。登場シーンも素晴らしいし、物語の舞台になる家に辿り着くまででも腹が痛くなるほど笑わされた。『アルコール先生ピアノの巻』では馬車とロバを使ったギャグを披露していましたけど、本作ではチャップリン自らがロバになってみせる。ここにチャップリンの労働に対する価値観があります。家の中でのドタバタ劇もかなりクオリティが高く、『パン屋』に匹敵する暴力性が笑いに結びついています。マック・セネットはチャップリンの暴力性を笑いに消化できなかった。二人の喜劇王の才能の差を見せつけられました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-17 14:38:51)
12.  チャップリンの失恋
ここにも後のチャップリンの要素が。一人寂しく画面の奥に去っていくチャップリン初登場です。メロドラマとしては男女の絡みが全然ないのでいまいちだけど、ドタバタ喜劇としてはやはり面白い。チャップリンは杖以外にも道具を使ったギャグが秀逸で、楽しませてくれます。ちょっと『パン屋』に似てるかな。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-17 13:54:48)
13.  チャップリンの駆け落ち
最初から見どころ満載。食事シーンは相変わらず楽しいし、カーチェイスも面白い。キートンのカーアクションと比べると物足りないけど、十分です。凄いスピードでバックしてるのに3バカを轢く時だけはゆっくりなのが当たり前なんだけど笑えます。観客の視線を意識した演出がいくつか見られたのが特徴でしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-17 13:33:28)(笑:1票)
14.  チャップリンの役者
2作目の撮影所モノ。本作では権力に歯向かう姿勢が現れていて、エッサネイ社移籍1作目にして後の方向性が示されています。キーストン社時代の稚拙なストーリーテリングは2巻フィルム作品に取り組むことで解消され、登場人物がただの置物ではなくなったことに大きな意味があります。前編にわたってドタバタ喜劇が展開されるのは『パン屋』みたいな感じで楽しいけど、『パン屋』の方がコメディとしては楽しい作品だったかな。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-17 13:04:13)
15.  チャップリンの衝突
辟易するほどつまらない。チャップリンを使っておいて全然おもしろくないってどういうことなんだろう。以前からマック・セネットの手腕を疑問視してきましたけど、これでついに分かった。マック・セネットにはキーストン社名物のドタバタ劇を面白く見せる才能がない!!創立者なのに!!!!暴力→転倒、暴力→転倒が繰り返されるだけで、チャップリンが魅力的に演出されているわけでもないし、メーベルが物語をかき混ぜるわけでもない。チャップリンの監督デビュー作「恋の二十分」と同じ公園劇ですが、「恋の二十分」のほうがはるかに良かった。ジャック・タチはマック・セネットのどこが好きだったんだろう?
[インターネット(字幕)] 1点(2015-06-14 21:30:37)
16.  チャップリンとパン屋
キーストン社にありがちな「ドタバタしてりゃいいんだろ?」って感じのドタバタではなく、チャップリンのキャリア中期に見られるような練られたシナリオの元で展開するドタバタ喜劇なのでとても良い。キーストン社時代の作品ではナンバーワンかもしれません。上司相手にパンチやキックを繰り出すあたり、既に上流階級を笑い飛ばす素養が身についているように見えます。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-04 01:15:47)
17.  チャップリンの総理大臣
雰囲気は好きだけど、全然おもしろくない。終盤のドタバタ劇も全く魅力がない。メーベルとの相性は良いんだと思っていたけど、そうでもないのか…
[インターネット(字幕)] 2点(2015-05-31 09:25:06)
18.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
すげえな。希望を込めたメッセージ性ばかりが強調されて語られがちな本作ですが、コメディとしての完成度が過去作と比べてもトップレベルじゃないですか!笑いっぱなしでした。突拍子もなく挿入されるハンガリー舞曲のギャグは最高!客の困惑する表情がたまらんです。『担へ銃』でも見られた戦争をユーモアに昇華する神業も相変わらず冴えていましたし、独裁者同士の小学生みたいな食べ物を使った喧嘩も、チャーリーとハンナのデートを見送る人たちも、地球の風船で戯れるヒンケルも…心に残るシーンが多くて書ききれません。『モダン・タイムス』があまりおもしろいと思えずチャップリンの長編作は敬遠してきましたが、観てよかった。本当によかった。突撃隊による暴力と恐怖、チャップリンのユーモアの対立はまさしく桂枝雀の緊張と緩和理論を体現しているように思います。緊張が一瞬緩むことで笑いが生じると。最後の演説は素晴らしいとは思いますが、本作のラストに相応しいかと言われると微妙で、演説部分だけの6分間の動画をYouTubeで観れば感動するかもしれないけど、作品の最後だと蛇足感があるかなと思います。ともあれ、いい映画。
[インターネット(字幕)] 9点(2015-05-26 04:29:23)
19.  チャップリンの拳闘
もっと面白かった記憶があるんですが、ピンときませんでした。観客をあきさせないように演出しているのはわかるんだけど、観客が待つ時間が長いように感じます。ボクシングシーンもよりも面白いのはその直前、トレーニング用具を使ったスラップスティックでした。コメディアンに長い棒状の物を持たせてはいけない!
[DVD(字幕)] 5点(2015-05-24 20:53:33)
20.  誓いの休暇(1959) 《ネタバレ》 
愛おしい…。観客は主人公が死ぬことをあらかじめ知らされているということが大きな作用をもたらしているのではないかと思います。そうでなければ、貨物車内から始まる小さな恋や浮気妻への葛藤と機転の効いた判断、そして疾走する母の姿にここまで感動したかどうか?  アリョーシャが帰路で出会う人達は基本的に対立構造になっていて、観客は潜在的にこの事を意識します。すると、2人の兵士の親たちを意識せずにはいられなくなる。一人は怪我で動けず、もう一人はおんぼろの車を運転していて、思うように動けない。さてアリョーシャの母親はというと、息子に会うために全力疾走するわけです。これは…号泣じゃないですか。石鹸を受け取った父は今すぐにでも息子を抱きしめたかっただろうし、アリョーシャを駅まで運んだ母はおんぼろの車を飛ばして息子に会いに行きたかったはずです。それが叶ったのに、たったの2,3分でまた別れなければいけない。これほど惨い感動があるかね…。究極の反戦描写ですが、戦争がなければ体験することがなかったエモーションです。映画は戦争がなければ既に衰退していたかもしれないわけですし、映画ファンは戦争に感謝しなければいけない面も、実はあるんです。その辺りを痛感させられて、さらに泣けました。
[DVD(字幕)] 9点(2015-05-22 21:07:34)
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