2. 月に囚われた男
《ネタバレ》 予告ではホラー映画かと思っていたが、久しぶりにSFらしいSF映画を見た。 SFの衣を着た戦争映画やホラー映画も悪くないが、この映画は本当の意味でのサイエンス・フィクションだ。 観念的になりすぎず、不可解になりすぎず、一人(二人?)の人間の悲しさ、自問もじっくり描かれ、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。そのサジ加減が実にバランス良くできてます。 サイエンスとして突っ込みたいのは重力が明らかに1Gであることぐらいか。(1/6の重力のピンポンを観たいという興味もあるが、映画の筋と関係ないので) マニアックに感動したのは特撮。全CGではなく、ミニチュアをCGで補完するという古き良き特撮の使い方が味を出してます。あの車の微妙な揺れやタイヤのたるみ加減が出す重量感、砂塵の立ち方はどんなにCGで計算して作っても出せない味です。サンダーバードを生んだイギリス人ならではのアプローチです。 日本でもこういう映画を作る才能がいるはずなのに、決して日本の映画界では作れない悔しさも感じてしまいました。この映画の黒幕が韓国(北ではなかろう)というのも時代を感じます。経済大国のメタファーとしても今や日本は認められていないのです。 「少し先にはこういうことがありうるんではないか?」自分にとってこれがSFです。 「少し先には宇宙人が侵略してくるんではないか?」というのはSFではありません。 久しぶりに本当のSF映画を楽しめました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-05-10 23:24:34)(良:1票) |