3. 劔岳 点の記
木村監督のこだわりの映像、四季折々の劔岳の美しさ雄大さ、そして険しさや厳しさが大画面いっぱいに表現されました。 劇場で観て本当に良かった。 こんなに綺麗なところがあるのだなと、ため息が出ました。 それと共に、雪国に住むものにとっては、見るだけで手足がかじかみ寒さが身に染みました。 寒い冷たい本当の雪です。 軽い発泡スチロールのウソ物ではありません。 CGの小奇麗ではかないものでもありません。 雪のけ、雪掘り、雪下ろし。 それだけでも辛いのに、明治時代の衣装で切り立った劔岳に登るなんて! 監督をはじめ、キャストスタッフの熱い思いとご苦労がこちらに迫ってきます。 この映画を観て昔を思い出しました。 子供心に刻み付けられた「八甲田山」の雪の進軍。 今思えば、実写による嘘偽りの無い迫力る映像に心を動かされたのでしょう。 数十年経った今でも、いくつかのシーンが蘇ります。 この作品の見どころは、浅野忠信さん(柴崎芳太郎)と香川照之さん(宇治長次郎)の息の合ったやりとりだと思います。 スタジオではなく本物の山で悪戦苦闘し、次第に役になりきり、かけがえのない相棒になっていったのかな?と思いました。 我慢強く黙々と働く雪国の気質。 無茶な命令でも全力を尽くす気力。 古き善き日本人の真心がこの作品に息づいています。 2009年度私のベスト映画のひとつです。 [映画館(邦画)] 10点(2009-06-21 20:49:47)(良:3票) |