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1.  椿三十郎(2007) 《ネタバレ》 
この映画を見ていて思い出したのが高校生のときの文化祭の出し物。下手くそなバンドが演奏を終え、ようやく解放されるかとほっとした空気がその場に流れた矢先、取り巻きの女の子がアンコールを叫びだしました。その場の誰もそのコールに加わらず、バンドのメンバーたちもアンコール曲をやって良いのか戸惑っているというやるせない空気がまさにこの映画を見ていて感じたもの。織田さんはオリジナル映画をすり切れるほど見て三船三十郎を研究したんでしょうね。演技がまさに三船のコピーそのものでした。ところが織田さんの軽いキャラクターで重厚な三船三十郎をコピーするものだから痛々しい。セリフ内容の浮き具合からだぜぇという物まねそのもののしゃべり方まで。そればかりか、仰々しい音楽と若侍たちの学芸会レベルの演技が追い打ちをかけるので何もかもが痛々しい。せいぜい果物ナイフの切れ味しか感じさせない織田さんを抜き身の刀として扱っても寒々しい学芸会にしか見えません。どんな思惑があったにせよ、せっかく予算と人を使って映画を作るのだから、せめて織田さんのキャラクターに合った三十郎を構築すべきだったと思います。 あと残念だったのは最後のスローモーション。あれは完全に蛇足だと思います。
[DVD(邦画)] 4点(2015-01-10 15:07:00)
2.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
痛快時代劇ですね。話の粗などは承知の上で、あくまで痛快な話運びを重視して作られた物語のように感じました。あまりにもするすると流れるように話が展開するので、物足りない部分が多少感じられました。そういう意味では用心棒の方が個人的には好みです。魅力的なキャラクターやセリフがたくさん出てきますが、中でも城代家老の言葉には唸りました。証拠を掴んだうえで、三人とも隠居させて済ませるつもりだったのに・・・と。長年組織の中で生きてきた円熟した人柄でこそ出てくる言葉のように思えます。さらに若者たちの暴走は自分の人望のなさと言い切るところもまた懐の深さ。三十郎や室戸のような一匹狼型の人間がどれほど年齢を重ねても出てこない言葉のようにも思えます。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-09 21:41:17)
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