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1.  DESTINY 鎌倉ものがたり 《ネタバレ》 
物語序盤では、さすがにちょっと面食らった。妖怪が普通にひとと共存する世界。はじめのうちは「ああ、これは〇〇ね」なんて、当然のように説明する主人公とその世界観に異常な違和感があったが、色々な出来事を丁寧に描写していくうちにだんだんとこの世界に馴染んでくる。若い嫁が黄泉行きの電車に乗る時の「悲しい別れ」シーンには涙したが、その後の展開がちょっと不満。旦那が黄泉へ向かうあたりから、何かで見た感が凄いのだ。車窓から見る海の景色や、黄泉の国の建物の感じ。ジブリ入ってない?それに結局悪いやつをやっつけて嫁を取り戻して戻ってくる、というのが、ありきたり。現世でのハートウォーミングな世界観のまま、解決できなかったのか?
[映画館(邦画)] 6点(2018-01-03 11:23:10)
2.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
 まんまとやられた。こういうので「俺は騙されなかった」などと嘯く人がたまにいるが、ダマされるのが正しい見方、存分に味わったという事だ。   正直、途中でこれはコン・ゲームなのでは?と思った瞬間もあったが、銀行の展開以降、やっぱりこれは夫を信じる妻の話なのだと考え直し、結局すっかりやられてしまった。  そう思わせる演出が実に見事で、あのまま、良き妻の物語として終わっても良かったと思うほどだ。   こういったものの多くは、最後のどんでん返しで「気持ちよくダマされた」感があるのが常だと思うが、この物語はそこまでの話が良すぎて、却って「気持ちよさ」がダウンしてしまうのが残念でもある。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-30 14:12:43)
3.  手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく 《ネタバレ》 
 多分、後々に絡んでくるんだろうサイドストーリーが、未だブッダ=シッダールタに絡んでいない状態で、一本の映画が終わってしまうのは、劇場でお金払った人は釈然としなかったのではないだろうか?  テレビで見た自分としては、これからに期待、と言ったところだが。   Wikiによると、これは史実(あるいは教義的な見解)ではなく、手塚風アレンジが加えられているらしい。その方が安心して割り切って見られる。  それにしても冒頭で語られる、ウサギが自信を火中に焼き他人を救う話は、映像で見ると異常に嘘くさく、どうかと思う。あれを目の前にして、ウサギをキリストのように思えなかった宗教家というのも、何だと思う。そう言えば、劇場版のジャングル大帝でも、このエピソードは見た気がする。手塚はこの話好きなのかな?  まあ、それはさておき。   この物語が見るものに期待させるのは、生き死にや人の一生というレベルで考えた時の「人間の幸せ」というようなものではないかと思うが、それを見つけたという偉人の話の、これはまだまだ導入部だ。いや、それを見つける旅に旅立ったところで終わる。さあ、これからだ、という段階で良くも悪くも思えない、真っ只中の5点。  …ホント言うとこの部分だけの面白さというモノを見せて欲しかったのだが。
[地上波(邦画)] 5点(2014-01-13 21:53:55)
4.  デンデラ 《ネタバレ》 
 アレは違う所の話で、ましてや続編などではないのは百も承知だが、どうしたって『楢山節考』を思い出す。あの、親を捨てなくてはいけなかった息子の苦悩、息子たちの負担になるまいとして捨てられることを喜んだ母の思い。そういったものが台無しになった感がとても悲しい。あれとは違う世界なのだと、自分に言い聞かせながら見なくてはいけない。   まあしかし、有名な伝説であり、後日談を書くのは自由だ。だが、いきなり捨てられた事への復讐という、期待と違う方向へどんどん行ってしまう話に焦る。姥捨ての生き残りの話なら、どう考えても貧しさと生き死にに関する話だ。  復讐譚が未遂に終わり、やっと野生動物との生き死にをかけた話になるが、はやり期待した世界観とは違って戸惑う。だが、良く考えると、熊は生きるために人間を食う。そのためにやむを得ず人には死んでもらう、姥捨てと同じ論理である。   だから、この話の中で老婆たちが熊の論理に、片鱗でも思いを巡らせたら、その上でやはり人間は死ぬ訳にはいかないと結論したなら、私はこの物語を評価したと思う。だが、彼女らは自分を滅ぼすものとして徹底して熊を悪者にしているだけだ。ある意味、草笛長老の意思通りなのだが。  その境地に至るのは我らが主人公、浅丘ルリ子だけだ。彼女は今度こそ、極楽浄土へ行くことだろう。
[DVD(邦画)] 5点(2013-06-26 17:32:35)
5.  天地明察 《ネタバレ》 
 原作は未読。  江戸時代の暦作りの話。数学者の話かと思ったら、天文学者の話だったようだ。しかし、惜しむらくは、この人がどんな論理によって、天体の動きを考え、計算をしているのかが、観ている者によく分からなかったことだ。(私だけかな?)  原作物の基本ストーリーに文句を言ってもしょうがないが、初めの方で描かれる算術の内容が、天体の観測と計算に使われること、それまでの暦の何が問題で、どう解決したかというような事を、分かりやすく見たかった。例えて言うなら、サイモン・シンの科学ルポのような。根拠はないが、伊丹十三ならきっと、そんなこと軽くやってのけたと思う。そういう類の映画として見たかった。   それでも、ありがちなラブストーリー重視的な部分も少なく、時代劇としては、珍しいテーマで面白い映画でした。
[DVD(邦画)] 6点(2013-02-12 23:56:00)
6.  手錠のまゝの脱獄 《ネタバレ》 
 『網走番外地』など、多くの映画にそのシチュエーションを真似される、ユニークな状況設定が見事。そして、それによって人が繋がっていく様を、感動的に描いている。  この映画は、そこに人種差別というテーマを与えて、逃走途中で出会う人たちとのドラマを含め、黒人差別への批判を描いているように見えるが、実はその本質はそんなところを超えた、人のつながり(友情と一言で言っちゃうとチンケだが)を描いているのだと思う。  実際、終盤にあらわれる「繋がっているんだ」のセリフには、泣かされた。が、ホント言うとこのセリフ、列車から下りた後に出てきたら、号泣していたと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2013-02-09 23:39:34)
7.  天下の御意見番 《ネタバレ》 
 自分の世代では講談など聴かないし、テレビドラマなんかもそう見ないので、大久保彦左衛門の話なんて殆ど知らなかった。天下の将軍に意見する人、しかも庶民の味方、という設定が気持ちいい。何より、斬った張ったの時代劇でないところがいい。家光将軍も『暴れん坊』の人のように民の味方的よい人で、本当にこんな人たちだったら、いい時代だったんだろうな、と思わせる。  制度上、ひどく虐げられている人たちと、そうでない人たちの諍いを軸に、君主と家臣の関係・あるべき姿を描いている。家光を変えることになる、商人と奉公人の論理は、今の労使関係にも通ずる興味深い話だが、君主側が絶対的に善人、という前提がちょっとだけイラッとさせられる。 
[ビデオ(邦画)] 6点(2013-02-01 00:06:25)
8.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
 原作未読。  現代の日本の風呂に驚くさまは面白かった。何よりいいなと感じたのは、彼が持ち帰ったのは技術の部分ではなく、文化の部分が多かったことだ。シャワーなんかの例外もあるが、その殆どは日本のお風呂文化そのものだ。籐カゴなんかとても懐かしい。あれを使うなら、見張る人=番台のおばさんも必要になるな、なんて考えた。思えば、番台にはそういう役目もあったのだと想い出す。   この物語で不思議だと思うこと、というか不満な点は、お風呂讃歌とも言うべきローマ側物語と、現代側の物語が符合していないという点だ。上戸彩は、温泉旅館を継ぐ方向で、お風呂の良さを見出して欲しかったと思う。あくまでお風呂を主役として、一貫したコメディの空気感で後半戦と結末を作れば、もっと楽しい映画となったのではないか。変にシリアスな部分は要らない。
[DVD(邦画)] 7点(2012-11-23 03:12:07)(良:1票)
9.  電送人間 《ネタバレ》 
 人間を伝送できるという超科学が、犯罪に使われる話。  物語のキモは、人間を伝送する技術によって、犯人が忽然と消え、また鉄壁なアリバイを作ることができる、その犯罪と警察の闘い。  本来なら、逃げ場のないところから犯人が消える謎、あるいはあるはずの焼死体が消えた謎、鉄壁なアリバイの謎などを提示して、観客を物語に引き付けるんだろうが、その辺が弱い。  それと一応、戦時中に横領した金にまつわる復讐譚、というドラマがあるが、さすがに今となっては魅力にかける話。『液体人間』の時と同じような、単なる事件記録を見ているような味気なさ。
[DVD(邦画)] 4点(2012-10-09 01:30:05)
10.  電人ザボーガー 《ネタバレ》 
仮面ライダーを大真面目に見るタイプの自分としては、こんなふうな下らないギャグを途中に入れてくる演出にイラッとする。 片腕マシンガールで、この監督のセンスは嫌だと思ってはいたのだが、一旦挫折した中年ヒーローという設定にちょっと惹かれるものがあって、期待してみてしまったのだが…。そういう部分があまり深く描かれておらず、実際にはかなり簡単に、戦いに戻ってしまっていて…一言でいうと、「もっと真面目に作れ!」って事だろうか。 ところで、自分は本放送時に何回か見たはずなのだが、トランポリンで横向きに回転(側宙っていうのかな)していたのを見て、そればっかだなと思ったのを覚えている。エンディングに出てくる昔の映像を見ると、随分いろいろな部分をリメイクしたんだなと、思わされる。昔ハマった人には、分かるのかも。でも、薦めない。たぶんガッカリするだろうから。 
[DVD(邦画)] 4点(2012-04-08 01:46:50)
11.  地球へ・・・ 《ネタバレ》 
 もう30年も経つのに、随分と覚えているものだ。この映画を自分の機器で観るのは初めてなので、今更気付いたが、所謂声優でない人たちの、声の演技は、ダイナミックレンジが広すぎる。小さい声が聞こえにくい。最近多くみられる声優主義者は、これを嫌っているのかな?  物語はとても面白く、私がまだ高校生の頃の作品だが、すでに人間が地球を汚し人が住めなくなるという未来を描いている。今それがものすごい現実の脅威として、身に迫っている事を考えると、凄いと思うが同時に何とかならんかったのか、との思いもある。  通常の人間と超能力者の対立のように描かれているが、これは本当は前述の地球環境問題における合理主義と、どうなろうと自然のままの感情を優先させる感情主義の対立。これらは登場するメカニックにも、その特徴が表現されているのがさすが。原作者が女性であるためか、とてもその感情的な部分に妙な説得力がある。ソルジャー・ブルーがジョミーを救うシーンでは、もう何があっても「絶対に阻止する」という意思を感じるし、どうなろうと地球に行くと言われると、あの場合とても非論理なのだが(地球人との避けられない闘いを論じていたはずなのに)、納得してしまう。  最後の最後に種明かしがあるが、ミュウの因子を人工的に組み込んだ、という部分だけが不満。この対立構造の意味的には、ミュウは本当の自然発生でないといけないでしょ。 
[DVD(邦画)] 6点(2011-08-14 03:32:29)
12.  転校生-さよならあなた- 《ネタバレ》 
 少年と少女が、思春期を乗り越えるという、オリジナルに比べて、今作は「命」をやり取りするすごさ。少年は少女の体のまま自分の死を覚悟したし、少女は少年の体で生き続ける一方、自分の体の死を見守る覚悟をした。しかも少女は、一瞬のうちに「本当に死ぬ側」に転換する。  実を言うと、この元通りの展開の後、病も同時に去るのではないか、と密かに思っていた、というより期待した。オリジナルのように、ファンタジーとして結末をつけて欲しいと願った。しかし、見ているこちらよりも、この二人は怯まないで、運命を受け入れた。彼女は、彼が死なないで済んだのを、おそらく安堵したろうし、彼は、彼女が自身の中に生き続けるという実感を持っていたのではないか?  この、強い結びつきを胸に、少年はさらなる一歩を踏み出してゆく、というのが今回の映画のテーマなのだろう。  切ないファンタジーだった前作と比べて、なんと強い心の物語なのだろう。これで中学生とはちょっと凄過ぎる。二人は高校生でも良かったと思う。 
[DVD(邦画)] 8点(2011-07-18 03:23:49)(良:1票)
13.  デビルマン 《ネタバレ》 
 さて、ワーストランキング4位の「期待の」デビルマン、最終的には良く期待に応えてくれた、という気がします。   ただし、戦争がおこる前あたりまでは、「仮面ライダー」のレベルを許容する心を以て観れば、フツーに観れます。いや、かなりお金かかってる感すら感じます。所々、ちょっとCG臭いところもありますが、そういう技術的な部分は、物語の出来がよければ、どうにでもなるものです。それと、原作への愛とか、リスペクトとかも、実はどーでも良かったりします。私には。精神論でモノが作れるわけじゃないですからね。しかし、この映画は東映の特撮映画なので、物語として「平成仮面ライダー」のノリで作られると困るなあ、と思っていたのです。が、スタッフはそういう系の人でないので、さすがにそれはないだろう、とも思っていました、実は。   まず、この物語の中で、明確に呼び分けられている、「デーモン」「サタン」「デビル(マン)」が、どう違って(または同じで)、どういう立場で、どうしたかったのか?まるでわかりません。どっかの地下から掘り出した、謎の生命体に合体されたのが、同じなのなら、デビルマンと他のデーモンの強さがあんなに違うのに、合点がいかないし、サタンは純粋種なのかどうか?もしそうだったら、何故、わざわざ生命体を掘り出したのか?とか、その起源とか、他の者たちとの関係がどうなのか?この異生物に対し、というかまずデビルマン自身、異形の者になった時点で自身のアイデンティティ的に、そのへん調べるでしょう、普通。   また、地球の何分の一かの規模で、闘いの破壊力の影響を及ぼしながら、打ち合った後に実に平和そうな浜辺があったり、女の子と少年が生き残っていたりするのも、なんでしょうね?  あ、思い出した。シレーヌって何のために出てきたんでしょうね?そして、あの人は何?サタン?  と、色々と解らない所、というか解釈のとっかかりさえ見えない映画でしたが、実は人間が滅んだっぽい時点(最後の大決闘)で、私は興味を失いました。なにしろなんにも感情移入できないから、あの後どうなっても、全然OKでした。   最後に皆さん、何度も言うようですが、「仮面ライダー」に比べれば、まだマシで、2点はあげられますよ。  
[DVD(邦画)] 2点(2011-07-16 09:43:58)
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