1. 天井桟敷の人々
《ネタバレ》 何度目かの鑑賞になる。最高。この一言。恋愛って理屈じゃあない。客観的にはおろかな恋だけど、仕方ないんだね。一言だけ不平を言うと、そのおろかさ・滑稽さを描くのに、たとえばルノワールが『ゲームの規則』でやったみたいなユーモアがこの映画にもあれば、満点だったんだけどなあ。ないものねだりをしても仕方ない。今のままで十分面白いし、愛すべき作品であることには変わりない。 ちなみに、当時は、せりふ劇を上演できる劇団は、お上から直接許可を取った劇団だけで、それ以外の劇団がせりふを入れてしまったら上演は中止になってしまった。だから、バチストのいるパントマイム劇団が、罰金まで課して舞台上でせりふをしゃべることに神経を尖らせていたわけ。また、パントマイム劇団からシェイクスピアの『オセロ』が上演できる劇団に移籍したフレデリックは、つまり、それだけ出世したってことでもある。何せ、お上のお墨付き、ってことだから。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-09-23 21:46:30) |
2. DISTANCE/ディスタンス
このゆるさがたまらない。過去と現在の、一件ぶっきらぼうな混合の編集も、慣れればひたすら心地よい。長い。確かに。だけど、一度流れに乗ってしまうと、そんなに苦にならない。よかった。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-06-02 22:15:36) |
3. テス
《ネタバレ》 まったく退屈することなく3時間。さすがポランスキー。冒頭に「シャロン・テートに捧ぐ」ってあるから、余計に凍ってしまう。ああ、ポランスキーはこの美貌の少女の不幸な生涯を、チャールズ・マンソン一味に殺害された自分の妻に重ね合わせていたのだね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-15 23:04:35) |
4. DEATH NOTE デスノート the Last name
前編とばして後編のみ鑑賞。すでに前編を見た家族と見たから。まあ、いいか。家族の解説つきだったので、前編のないようもほぼフォローできました。 突っ込みどころ満載だったけど、なんとか最後まで引きつけたのは、演出力かなあ。いや、まあ、面白かったですよ。でも、脚本的には粗がありすぎる気もする。近頃の日本映画のヒット作は、そこそこ面白いけど、こういう(細かなことをないがしろにする)力業的な展開に頼りきるのはどうかなと思う。長い目で見れば、自分の首を締めてることになりはしないかなって。杞憂かな。だといいけど。 [DVD(字幕)] 6点(2007-03-20 22:48:12) |
5. でんきくらげ
《ネタバレ》 ついに見た。『でんきくらげ』。渥美マリ。でも、残念ながら、若尾文子や緑魔子なんかの歴代の増村ヒロイン(そのあとの原田美枝子なんかも)と比べると、現在の目からはちょっと見劣りするかな。でも、だんだん男食いを経るに連れて、最初の野暮ったいキャラから脱してあか抜けてくる。そこはきちんと演じわけしているけど、いかんせん、若尾文子の華がないのだな。川津祐介、カッコよく登場したけど、踊りで台無しだよお。いくら70年代でもあの踊りは駄目じゃないの? この映画でも他の映画でも、いつもクールなイメージだったんだけど、ここで一気に崩れた。全体的に、悪くはないんだけど、ぐいぐいと引っ張る求心力もない。増村は70年代になると、どうして急にかつてのシャープさがなくなるのだろう。同じ話でも60年代ならもっとスピーディーに、もっと直球勝負で描ききれたと思う。時代に負けたのか、才能が枯渇したのか。テレビ東京、今週が『でんきくらげ』で、来週は『しびれくらげ』だって。どうして急にこのシリーズを放映? こちらとしては、再度増村見なおしてた時期だったから、グッドタイミングなんだけど。 [地上波(字幕)] 6点(2007-02-23 21:46:19)(良:2票) |
6. 天国と地獄
すでにいいレビューが出揃っているので、今さら私が付け加えるべきことは何もないのだけど、改めて徹頭徹尾娯楽映画に徹して、しかも抜群に面白いこの映画には黙って敬意を表します。久しぶりに見返しましたが、やはり感心し、唸ってしまいました。 ただ、不思議なのですが、これだけの名作でありながら、個人的にはそれでも、これを黒澤明の代表作と認めたていいかというと躊躇してしまいます。それだけの深みが、やはりこの作家にはあるんです。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-01-20 23:29:14) |