2. テルマ&ルイーズ
《ネタバレ》 日頃抑圧されている二人が気分転換の旅に出るが、予期せぬ展開で犯罪に巻き込まれ、逃亡犯となり、とまどいつつも、ふっきれて自由さを感じ、自分らしさを取り戻してゆく。意外な展開と衝撃のラストが見どころ。狙いは明快だが、脚本の甘さが目に立つ。①あんな明るい駐車場でレイプするか?女も声を出して人を呼べばよい。②銃は撃ったことがない二人なのに、あんなにうまい。テレビで覚えた?意味不明。③ルイーズ(L)は過去に強姦されたトラウマを持つ。これが衝動射殺の遠因だが、強姦を思い出したくない為にテキサスを通りたくないは理解しがたい。緊急時なのだから。④(L)の恋人は、(L)に金を送ってくれと頼まれると、強い不審を覚えながらも、金を持参して現地に飛び、直接お金を渡し、さらにプロポーズの指輪も渡す。この行動が奇異。長年付き合っている恋人を旅行中に押し掛けてプロポーズするか?相手の様子がおかしいときに。しかも男はこれ以降出番がない。⑤(L)の強姦のトラウマが直接描かれない。(L)は物事をきっちりすませる性質の独立した働く女。恋人もいるが、結婚に踏み切れないのはトラウマのせいだろう。男性に対する不信感が強い。そこを正面きって描いていないので、彼女が男性を支配したときの開放感が薄い。⑥テルマ(T)はヒッチハイカーと懇ろになり一晩過ごすが、そこに至るまでがまどろっこしい。中ダルミでだ。男が金を盗み、それが(T)の拳銃強盗の契機となるので、男の役割は大きい。だが男はすぐに捕まり、刑事が二人の関係をいとも簡単に見抜く。このあたりは安直。⑦(T)の夫のまぬけっぷりが目立ちすぎる。(T)がこの男に抑圧されているから物語が成立するのである。もっと自己中心的で女を自分の支配下に置くようなキャラであるべき。⑧最後に刑事は叫ぶ。「よく考えてやれ!痛みつけられっぱなしの女なんだぞ」これは神(観客)目線に立った発言である。だが、刑事に二人の女の何が分るというのか?通り一遍の調査しかしてないではないか。◆二人の犯罪行動の動機の背景には男性に対する復讐がある。男性社会の鳥籠の中で暮らしてきたので、それは理解できる。だがその方法は全て銃に頼ったもの。銃一つで男女の力の差が逆転するだけ。犯罪にせよ、逃亡にせよ、女性らしい知恵や勇気、優しさで行動してほしかった。飛び降りは論外。笑いのツボは黒人がトランクの警察官に煙草の煙を吐くところ。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-09 21:11:56) |