1. テリファー
《ネタバレ》 登場するピエロが強いんだか弱いんだか人間なんだかそうじゃないんだかよくわからない不気味さでぐいぐい押す映画。 中途で挟まれる殺人シーンがかなりきついので、免疫のない人はまず鑑賞には向いていない。失礼ながらほとんど知られていないこの映画を観ようという人は、それなりにこういう映像に強い御仁であるだろうから心配は無用か。 13日の金曜日のジェイソンや、テキサスチェーンソーのマスクマンのように、言葉を発しない殺人鬼は恐怖心を増幅させるものだが、本作のピエロは恐怖心よりも不快感の方が先に立ち、そういう意味では成功している。 続編も公開されるようだが、さらにパワーアップしているのか、それとも万人向けに大人しくなっているのか。それを見届けるために劇場に足を運びたいと思う私は、まんまと術中にはまっているのかもしれない。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-08-08 12:27:58) |
2. デモンズ
《ネタバレ》 これ封切られたのは高校生の頃かなあ。 試写会か何かで、ゾンビの扮装をした演者が映画館で暴れる、というまさに映画が現実になるという斬新な宣伝手法が話題になったような記憶がある。 映画館という閉鎖された空間では、アクションに限界がありそうだが、そんな中でもロビーに不自然に置かれていたバイクを館内で縦横無尽に走らせる演出はあっぱれというべきか。個人的には、ヒロインよりもその友達役の女性の方がタイプだったので、途中でデモンズに変身してしまうのはちょっと残念。 コカインを吸引してバカ騒ぎするチンピラを出してお色気シーンも付け足す的な王道を押さえた演出も見事。この手の映画はつじつまが合うとか合わないとかは気にしない方が楽しめるのではいかと。 時代を感じさせるものの、当時のホラー映画の雰囲気を感じられる大事な一本。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-08-01 13:55:31) |
3. ディスタービア
《ネタバレ》 デヴィッド・モースって役者はすごいなあ。 虫も殺さないような善人もできれば、人をバラバラにするような殺人鬼もできる。 そしてそれがごく自然に見えてしまうという演技力の高さに脱帽。 ストーリーはティーン向け。どんでん返しもなく、犯人はやっぱり犯人そうに見える隣人。 こういう時の主人公の相棒役って、アジア系がばっちりはまる不思議。 そして相手役の女の子がどんどんキュートに見えてくるから不思議。 この子じゃなかったら後半興味を失っていたかも、くらいの破壊力。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-03-25 13:44:08) |
4. テルマエ・ロマエ
《ネタバレ》 まず配役が絶妙。男性の主要登場人物をすべて日本人でやってしまうチャレンジ精神に拍手を贈りたいし、それが見事に成功している。 日本の銭湯や家庭風呂がいかに至れり尽くせりの快適な空間であるかを再認識する驚きと喜びもあり、精神的にも満足感の高い映画。 現代日本でのドタバタをもっと見たかった気もするが、一応ローマ人は日本語を話せないという縛りがあるみたいなので、難しいのかな。二作目ではそこにもっと挑戦していて欲しいという期待も込めて、この点数。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-02-08 09:36:10) |
5. ディセント
《ネタバレ》 時々観返したくなるホラー映画、というジャンルがあると勝手に思っているのだが、この作品もその一つではないかと思う。 未知の洞窟に踏み入る女たち、おまけに地底人、なんて忘れた頃に観たくなるもの。 そして期待通りの適度な恐ろしさと緊迫感。 と言っても、ラストの助かったと思わせた後の実はまだ洞窟の中、は完全に忘れていたので、大満足のどんでん返し。 人間の記憶力ってつくづく当てにならないのね。 もう一度観たくなるのは何年後かな。いや、佳作。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-01-28 07:27:18) |
6. 天気の子
《ネタバレ》 映像と音楽のリンクが素晴らしい。 特にラスト近くの雲から落ちていく二人の手が再びつながるシーン。 マクロスの「愛・おぼえていますか」以来、何十年ぶりかで鳥肌の立つシンクロ具合だった。その点は大いに評価したい。 ストーリーは真っ直ぐな少年の物語、って感じかな。 大切な誰かのために、後先考えず一生懸命になれるか、という若者の特権映画。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-11-24 16:52:33) |
7. デビル(2010)
《ネタバレ》 何気ない都市の風景から始まる冒頭が良い。 結局飛び降り自殺の原因は謎のままだけど、問題のエレベーターがあるビルまで辿り着く展開もテンポが良い。 悪魔が奪おうとしたのは、あのエレベーターに乗り合わせた(そう仕向けた?)罪人の魂みたいなんだが、魂を奪われなければならないほどの悪党でもなさそうなんだよね。 初老の女性もただのスリ?置き引き?だし…って思ったら、この女性が悪魔だった。 一人ひとりメンバーが減っていく中でいったい誰が犯人なんだっていう緊迫感はなかなか面白かった。「遊星からの物体Ⅹ」もこんな感じだったな。 ラストの見事な伏線回収もなかなかの手際よさで、満足の一本。 でもね、あんな閉ざされたエレベーターの中で、衆人環視の中で女性が服をめくって背中を見せたりしないぜ。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-10-18 17:30:19) |
8. ディア・エヴァン・ハンセン
《ネタバレ》 そもそもミュージカルは得意ではないのだけれど、予告編が面白そうで観たいと思っていた。 優しい両親と裕福な家庭。そして片思いの女の子と親しくなれるまたとないチャンス。 エヴァンが舞い上がるのも無理はないが、この嘘にどうやってけりをつけるのかが気になって観ていた。割と中盤でエヴァンが時の人となるクライマックスを思わせる展開。 でも、嘘はいつかは露見するものだし、嘘で手に入れた関係はいつかは破綻してしまうもの。 何があっても彼を愛し続ける母親のように、本当の彼を認めて愛してくれる友人や恋人に、いつか彼は出会うことができるはず。 そのスタートラインに立って映画は終わる。 でもこのSNS全盛時代に、彼が犯した過ちは完璧には消えずにくすぶり続けるような気がして心配にもなる。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-03 17:51:21) |
9. 天国でまた会おう
《ネタバレ》 ルメートルの小説は、「その女、アレックス」を読んで以来、面白いのは承知。ただ、本作はまだ未読のため、期待値が高過ぎたのかもしれない。 疎遠になった父親や優しくも厳しい姉、そして憎たらしい上官の中尉や、人情味ありそうな警察署長?など、魅力的な脇役陣。 しかし、それがストーリーの中でポツンと点で動いている感じがして、なかなか線にならない。 エドゥアールの色鮮やかで七変化するマスクは、モノクロになりがちな暗い時代の中で大きなアクセントになっており、シュールでありながら違和感が無いという不可思議な現象を映画の中に生じさせている。この演出は見事。 一方、もう一人の主人公アルベール。 この人の感情の揺れが激しすぎる上にしかもわかりづらいときているので、ストーリーテラーとしては少々物足らなかった。 メイドとのロマンスももう少し丁寧に描いてくれていたら、ラストのどんでん返しにもっと喜べたのにという思いがして残念。 独特のカメラワークは、なかなか観ないカットもあって、その点は斬新。 原作は読まないかな。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-01-16 09:38:23) |
10. 手紙は憶えている
《ネタバレ》 設定は月並み。 ルディ・コランダーという男の住所はわかっているんだから、その男がかつて強制収容所で働いていたかどうかを確かめ、引き金を引けば終わり。 年老いた主人公からは、ナチへの復讐に対する執念はほぼ感じられない。退屈なロードムービー。 …が、しかし。 ラスト5分間の何たる衝撃。のどかなロードムービーどころではない、一級のサスペンス。 [DVD(字幕)] 8点(2021-12-04 22:31:45) |
11. デス・レター 呪いの手紙
これから観る方は、最初の数十分は我慢が必要。 そこからは、目が離せない展開。 で、ラストが許せるかどうかで、この映画の評価は二分しそう。 私は予想外に楽しめた派。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-11-27 22:41:27) |
12. デンジャー・クロース 極限着弾
《ネタバレ》 オーストラリア軍とベトナム戦争が結びつかなかった私の無知はさておき。 ベトナム兵の大群に囲まれ、弾薬も尽きたオーストラリア兵たちの絶望がスクリーンを通して伝わってくる。 ラスト近くに入るスローモーションもなかなか効果的。 単に、味方と敵、という概念で分け、妙なイデオロギーを見せられなかったのも良い。 それにしても、戦場で仲間のために自らを顧みることなく行動できる強さって、いったいどこから出てくるんだろう。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-11-27 00:27:02) |
13. テイキング・ライブス
《ネタバレ》 以前観たことあったんだけど、アンジーがあんなに大胆な濡れ場を演じているとは思ってなかったから、その点に一番驚いたかも。 他のレビュワーの方も書いておられたが、イーサン・ホークがナイスガイを演じるわけがないんだから、誰が犯人?ではなく、イーサンの化けの皮が剥がれるのはいつ?という楽しみ方が正しい。 そう考えると、アンジーとのラブシーンは、ピリピリするほどの緊張感があり、見応え充分。 イーサンの正体がバレてからのアンジーの弱々しさは、それまでとのギャップでかなり○。 問題は、正体がバレて逃亡したイーサンが、なぜそこまでアンジーに執着したのか、ということ。 罠だ、くらい考えつきそうだし、そもそも他人の人生を生きてきた男が、一人の女に執着するとは思えない。 その点に疑問符は付くが、映画自体は豪華俳優陣の抑え目の演技で起伏もあり、面白いことは間違いない。 さらに、冒頭のみ出演のポール・ダノ。この人、ピンポイントでも強烈な印象を残す稀有な俳優だよなあ。そこに加点。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-09-04 18:22:51) |
14. デンジャラス・ビューティー
《ネタバレ》 サンドラ・ブロックが好きな私には、彼女のイヤミなほどズバズバ言う割に、意外に乙女な魅力爆発の作品ではあるのだが、流石に作りが杜撰過ぎやしませんか。 シチズンなる爆破魔の捜査はほぼ放置されて、FBIの捜査官がミスコンに出るという本来の趣旨が薄れてしまっているし、同僚との恋も、それまでにそんな雰囲気を全く匂わせないもんだから、観ている方もちっとも盛り上がれない。 しかも特技を披露する舞台でのあのお下げの髪型と衣裳にはかなりがっかり。 ちゃんとサンドラをキュートに見せて欲しかった。 配役としては、やはりマイケル・ケインの演技が見応えがあった。彼の出るシーンに関しては、吹替で観た方がより楽しめたのかもしれない。 設定はマイフェアレディ的で面白かったのに、ちょっと残念なポイントが目立つ映画。 サンドラ・ブロックに頼り過ぎたのかなあ。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-06-14 21:19:34) |
15. 天使のくれた時間
《ネタバレ》 クリスマスイブに、ケイトはなぜかつての恋人ジャックに電話してきたのか、それがずっと気になりながら観ていた。 いざ現実に戻ってケイトの元を訪ねてみたら、パリへの引っ越し中。 ジャックが置いて行った荷物をただ渡したかっただけなのか。 それとも別の意図があったのか。 なんだか前者っぽいんだけど、それじゃああんまり夢がないかな。 映画だからファンタジーがあっても構わないんだが、現実に戻ったジャックがケイトを引き止めるシーンは、そりゃああんまり虫が良すぎるぜってことで、全然ワクワク出来なかった。そこが私には一番の問題点。 だが、そもそもティア・レオーニが観たくて鑑賞したので、彼女の変化に富んだ豊かな表情何見られただけで満足。 彼女の少しかすれて鼻にかかる声も良い。そこに加点。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-26 22:20:36) |
16. テイク・シェルター
《ネタバレ》 夫がシェルターの扉を開ける時、不謹慎だけど嵐が全てを破壊していてくれと思ってしまったのだが、ちょっとした暴風程度の被害。 自分が精神を病んでいると納得した夫と、それを支える献身的な妻の物語…で終わるはずもなく、毎年のビーチ旅行に訪れた彼らを襲う、尋常でない竜巻と異常な雨粒。 ただただ奇異なことをしでかす夫、ではない。 家族を守るという信念の元、できることをひたすらやり抜く夫、である。 夫のことを信じてやれなかった妻、ではない。 夫が精神を病んでいても、一緒に生きていくことを選んだ妻、である。 ぶつかりながらも、絆を深めていく夫婦が素晴らしい演出で描かれていた。 夫の信念を描くだけなら、最初の嵐が巨大なもので差し支えなかった。 しかし、妻の愛を描くためには、最初の嵐は空振りでなければならなかった。 バッドエンディングでありながら、不幸ではない、というもどかしさが既定路線の映画。 あまり観たことのないジェシカ・チャスティンの役柄も魅力の一つ。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-08 00:06:30) |
17. デッドゾーン
《ネタバレ》 若い頃に観た映画を年取って観ると、期待を裏切られることはよくあるのだが、この映画には唸った。 まず若きクリストファー・ウォーケンの演技が素晴らしい。 哀しみと諦念と覚悟を決めた彼の表情は、寂しげで情感たっぷりで、映画の世界に引き込まれる。 タイムスリップして子供時代のヒトラーに出会ったら、ヒトラーを殺すか否か。 主治医に対する問いかけは、そのまま観ている私たちに対する問いかけとなる。 彼が救いたかったのは、世界だろうか。それともかつての恋人だろうか。 自己犠牲を伴う、決して賞賛されることのない美しい行動。 クリストファー・ウォーケンの繊細な表情が完璧にはまっていた。 クローネンバーグ監督の中でも、一番好きな映画。 そして改めて観て初めて気づいたんだけど、これ、原作がスティーブン・キングなんだね。 いや、彼の多才な才能に改めて脱帽。 [インターネット(吹替)] 9点(2021-02-20 10:38:37)(良:1票) |
18. TAKING CHANCE
《ネタバレ》 戦死者に対する敬意に満ちた、静かな映画。 護衛という任務を果たす上で忘れてはならないのは、いかなる瞬間も英雄に対する敬意を失することがないこと。 棺が運ばれる先々で、それと気づいた人々は本当に自然に死者への敬意を表す。 その姿に心を打たれる。 アメリカが参加する戦いには様々な種類のものがあり、いろんな考え方を持つ人がいるのだろうが、こういう瞬間を見ると、アメリカという国の底力を感じずにはいられない。 国が強いからではない。そこに暮らす人々の力。それが国としての強さを決めている。 胸打たれる、素晴らしい映画。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-27 15:58:47)(良:1票) |
19. デッド・ドント・ダイ
《ネタバレ》 オマージュがあればいいというものでもなく、楽屋落ちも興醒めな印象が拭えず、これは映画だと思わせるくだりも私には必要なかった。 更生施設から逃げ出した子供たちは、隠れ家へちゃんとたどり着けたかな。 そんなことしか気にならず、宇宙船に吸い込まれるあたりではもう対処不能。 観る人を選ぶ映画であり、私は観るべきではなかった感じ。 [映画館(字幕)] 4点(2020-06-06 21:13:08) |
20. デス・ウィッシュ
《ネタバレ》 ブルース・ウィリスが演じると、どうしてもアクション色が強くなってしまう。 だけど殺されたのは愛する妻で、娘は昏睡状態のまま。 しかもブルースの役は外科医。 って、そもそも設定にかなりの無理がある気がするが、製作陣はそのことを誰も疑問に思わなかったのかね。 私的に処刑する逡巡とか苦悩とか、そういうのを感じる映画には全くなっていない。 復讐しても許されるんだぜ、銃くらい持っとかないとな…的な。 だから、ほぼ心が痛まないアクション映画。 フードを被った時点で、え?これ『アンブレイカブル』だったっけ?って錯覚しながらの鑑賞。 ジョディ・フォスターの『ブレイブワン』のような展開を期待して観たのが私自身の敗因。 救いは担当刑事。 ブルース様の映画なんだから細かいことは言いっこなしだぜ!って感じで収めてくれたので、ま、いっか。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-04-27 00:00:44) |