1. 遠すぎた橋
中学の同級生に映画好きの奴(♂)がいたのですが、この映画にかなり入れ込んでいて、メインのスター全員の名前を暗記して一気にまくし立てたりしていました。私はまったく興味がなかったので、そもそも見に行かなかったのですが……。 そもそも「マーケット・ガーデン作戦」なるものをよく知らないわけですが、これは連合軍の失策であるために、取り上げられることが少ないのかと思います。この映画自体も、公開当時は超大作として宣伝されたものの、近年では存在自体知らない映画ファンも少なくなさそうです。私も以前のテレビ放送以来数10年ぶりに見ました。たしかに力の入った作だとは思いますが、オールスター映画にありがちな総花的なところがあり、話の展開にもメリハリがあまり感じられないので、映画的な面白さは今ひとつかと思います。正直、作戦が始まるまでの1時間くらいがもっとも面白かったです。 とはいえ、「忘れられた作戦」を描いているという意義はあるので、この映画は今後忘れられることがないよう祈っておきましょう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-11-23 19:56:47) |
2. 永遠に美しく・・・
ブラック・ユーモアという評判ですが、たいして笑えない。「いつまでも若くありたい」という願望を揶揄したり皮肉ったりする要素も、それほど見られない。シュールさもあるんだけど、笑いにつながらないです。結局、お話より技術を見せたかったんじゃないかという気がします。やっぱりゼメキスはダメだな。イザベラ・ロッセリーニだけが、妙に浮いた存在で目立っていました。主役の3人よりもインパクトがあります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-09-27 15:51:22) |
3. 東京流れ者
《ネタバレ》 いろんな意味で面白い。お話自体は川内康範が好きそうな義理と人情の物語なのですが、鈴木清順の演出が凝っていて見ものです。前半はつながりの変なところもあるのですが、ヌーベルバーグの影響でしょうか。後半、二谷英明が登場すると、なぜか笑えてくる。なにしろ登場シーンからして、渡哲也の身代わりとなるために歌っているんですから。二谷英明が歌! もう笑うしかないでしょ。佐世保での大乱闘なんて、店を壊したりしてほとんど「全員集合」のノリ。ここのところは西部劇を模倣したのでしょうが、シナリオではどうなっているのか、ちょっと気になります。しかし決めるところはちゃんと決めているし、全体的にスタイリッシュな映像が、泥臭い「義理と人情」と案外うまくマッチして、独特の雰囲気をかもし出しています。松原智恵子の歌が吹き替えだったことが残念。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-01 20:12:04) |
4. 特攻大作戦
《ネタバレ》 演習まではまずまず面白い。囚人たちがチームとしてまとまっていく展開、特にライズマン少佐との関係はユーモアもあって楽しめました。相手の裏をかく演習もいい。ただ、相手がドイツ軍だとドイツ語を話せる人間がもっといないと無理なので、あくまで演習用ということですが。本番の攻撃も序盤は緊張感がありますが、ドンパチが始まってしまうと大味になってしまい残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-04 20:32:10) |
5. 突破口!
《ネタバレ》 70年代らしい作ですね。主人公が犯罪者(アンチヒーロー)であるところと、武力でなく知恵で難局を乗り切るということ。こうした要素は、ベトナム戦争への反発から来ているのかもしれません。ちょっとうまく行きすぎというところもありますが、あまり気になりません。アクションは前半の車での逃亡と後半での飛行機と車との小競り合いですが、やはり後者の方が見ごたえがあり楽しめました。それ以外は動きの少ない、むしろ地味な展開ですが、なかなか引きつけられました。まあ、本作での教訓は「金を持った奴が勝ち」ということでしょうか(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-11 08:53:25) |
6. ドノバン珊瑚礁
南国を舞台にしたゆる~いラブコメ。やはり常夏の国にいると、人間ああいう風に温厚になるのでしょうか。ジョン・フォードは喜劇もうまいと思いますが、これもなかなかおかしい。終始平和で呑気でアホらしくて楽しいけど、刺激がないのであまり印象には残らない。そういう映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-05 08:42:39) |
7. ドクトル・ジバゴ(1965)
《ネタバレ》 歴史に翻弄される人々っていうことで、人間ドラマの方はそれほど濃くない。とはいえ、主人公が医者というところがミソで、そのおかげか長時間でも飽きずに見ることができました。ドラマ性が薄いとどうしても男女関係に頼らざるを得ず、本作でも後半は単なるメロドラマになってしまったのは残念でした。そこに至るまでの人物たちの関係はなかなか面白かったです。個人的には、ジバゴとラーラの関係よりも、トーニャと息子が結局どうなったのかということが気になりました。パリに逃げても、このあと第二次世界大戦が始まるわけですし……。一応ロシア革命批判などもあるようですが、革命そのものよりも、主義にかかわらず人間性を否定する社会機構そのものに対する批判というものが感じられました。そもそも人民といってもいろいろな主義主張があるわけで、それを十把一絡げにして語るあたり、個人というものを無視したうさん臭さが感じられます。 [映画館(字幕)] 7点(2016-07-24 16:28:04) |
8. 殿方ご免遊ばせ
《ネタバレ》 今まで見たバルドーのかわいこちゃん映画の中では、いまいちか。自分は浮気性なのに妻の浮気に嫉妬する男にお灸をすえるお話で、コメディとしてはなかなか笑えますが、相手役のシャルル・ボワイエがあんまりよくない。個人的にこの人あまり好きでないだけですが。このシャルル公がマフィアの大物(?)と間違えられてドタバタするのもよけいに思える。軽いタッチで気楽に楽しめますが、ちょっとそんなに面白いとも言えません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-12-07 19:59:45) |
9. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 うーん、よくわからん。私が時々使う「だから何?」系の話だと思いました。しかしそういうところも含めて、ドキュメンタリータッチというか、相当リアル志向ですね。重要人物かと思ったらあっさり死んだり、長回しを多用していたり。「だから何?」となるのも、じつはかなり現実的ではないかと思います。 しかし、映画としてそれでいいのかとは思います。おそらくは実験的な作品なのでしょう。で、私としてはそういうものよりもオーソドックスな作が好みなので、高得点はあげられません。映画技法としては見るべきところがあるので、おまけしておきますが。 ところで、原作はどうなっているのでしょう。本作とはかなり違っているような気がしますが。むしろそのあたりに興味があります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-13 20:52:21) |
10. 東京おにぎり娘
《ネタバレ》 一見するとラブコメなんですが、実はホームドラマ。いや、実際恋愛ドラマの要素もあるわけで、その組み合わせがなかなか上手くいっていたと思います。鴈治郎の頑固親父や伊藤雄之助の嫌味な社長など、さすがにはまっています。沢村貞子の関西弁は、さすがに無理がありましたが。あと、出番の少ない川崎敬三が結局結ばれるようなラストは、見ていてちょっとどうかと思いました。けど、踊っている叶順子はとってもかわいい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-16 20:32:38) |
11. 東京マダムと大阪夫人
《ネタバレ》 コメディなんですが、今笑えるかというと、それほどでもない。しかし、おしゃべりな奥様方や会社でのご亭主たちは「さもありなん」という感じで、楽しめました。お隣同士仲良くしつつ対抗意識を持っているという、微妙な線がよく出ていました。社員のアメリカ行きに八郎君をめぐる三角関係がからむのですが、この組み合わせ方もなかなかうまい。こういう題材って、やり方によってはかなり陰湿でとげとげしいものにもなりますが、そこをコメディ仕立てでカラッと描いているところが、大変よかったです。出演者では、最後に八郎君を譲っちゃう北原三枝がなかなか。おとなしい芦川いづみとの対比もよかったです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-15 21:21:15) |
12. 徳川家康
《ネタバレ》 同じ原作の大河ドラマを見ていたのですが、劇中の侍がやたらと泣きまくったりして、つまらなかったので早々にリタイア。で、この映画を見たら、やはり何かというと号泣しています。とすると、あれは原作通り? どうも見ている方はそこまで悲しいのかがわからず、白けてしまうのですが。 全体としてエピソードの羅列のためか、話が平板で退屈。竹千代と母のエピソードなど、ポイントで決まっているところはよかったのですが、そういう部分が少なくて残念です。金の折り鶴の使い方もいいです。しかし何より、誰が主人公なのかよくわからない話の展開には不満を覚えます。 あと、やたらと叫んでいるような台詞が多いのですが、その叫びもワンパターン。信長役の錦之助は存在感があり、この人が出てくると多少面白くなるのですが、間延びした話ではそれもたいして保ちません。どうもテレビと合わせて考えると、原作自体がつまらないんじゃないかと思えてきます。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-04-12 10:05:57) |
13. 独眼竜政宗
私はこの手の映画やドラマを見るとき、事実に沿っているかどうかはあまり気にしません。映画は基本的にフィクションだと思っているし、歴史のお勉強ではなく楽しむために見ているのだから、面白ければよし。本作は原作はなく、オリジナルの脚本のようですが、観客を楽しませようとドラマチックな事態を次から次へと繰り出してくるところは評価できます。アクションあり、合戦あり、主人公の葛藤ありと、90分程度の映画としては色々な要素を盛り込んでいて、飽きずに見ることができました。ヒロインはお姫様の大川恵子より、佐久間良子の方がいいポジションを取ってました。その父親が大河内傳次郎だったり、輝宗役が月形龍之介だったりと、それなりに豪華なキャストも見ものでした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-02 20:32:07) |
14. 鳥(1963)
《ネタバレ》 改めて見て、こんなのだったかという印象。鳥が人間を襲う場面は実は一部で、それ以外のドラマ部分が結構あります。特にリディアの設定が暗示的なのですが、それが暗示だけではっきりしないのが、どうにも歯がゆい。「父性の喪失」みたいなものも関係しているのかもしれませんが、よくわかりません。 とりあえずは、鳥が襲ってくる場面だけでも見どころはあります。ただ、今の機器で見ると合成だということがはっきりわかってしまうのが、少々残念。それでも、技術的にはたいへんすばらしいとは思います。それにしても、メラニーをわざわざ電話ボックスに閉じこめて撮るなど、あざとい気もしますが。エヴァン・ハンターのシナリオがどうにも理屈っぽくて、襲撃のアクションとかみ合わず、サスペンスを削いでるように思われました。 ちなみに原作も読みましたが、こちらもかなり不気味。特に最後は、小説の方が勝ってます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-13 16:26:17)(良:1票) |
15. 東京オリンピック
《ネタバレ》 初めにお断りしておきますが、私はスポーツにはまったく関心がありません。ただオリンピックの記録映画だということだけで、見てみました。 色々な競技を次々と映していくので、そういう点では平板で退屈になるときもありました。しかしそこを映像的な工夫で補助していて、全体としては飽きずに見ることができました。特に印象的だったのは、女子ハードルと自転車競技。前者の、全走者を正面から捉えたショット、後者の自転車を流した撮り方、共通しているのはカメラを固定しているということでしょうか。スポーツの場合どうしても競技者の動きに合わせてカメラも移動するのが常でしょうが、そこを逆手にとったあたりがよかったと思います。競技者以外の裏方を映しているのも、大会全体を見せるということで成功していました。個人的には、こちらをもっと紹介してもらいたかったほどです。また、マラソンの給水場では、先頭走者以外のさまざまな様子が見て取れて興味深かった。こうしたところも、この映画の長所でしょう。このように、なかなか面白い見どころのある作でした。 1964年といえばまだ東西陣営で争っていた時代ということで、それを緩和するイベントとしてオリンピックが成り立っていたと思います。それはスポーツの政治利用という面もありますが、近年のようにオリンピックの場であからさまにナショナリズムを掲げることはなく、むしろそれを隠すことによって緊張をほぐすという、ある種の上品さが伺えました。そういう時代の記録としても、この映画は価値があると思います。 昨今のオリンピックはもっぱら商業利用が目的のようですが、おかしなナショナリズムに利用されるならば、むしろそちらの方が健全ではないかと思ってしまいます。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-01-03 17:29:25)(良:1票) |
16. ドドンパ酔虎伝
《ネタバレ》 基本的には忠臣蔵外伝みたいな趣向で、高田馬場の決闘がクライマックスになっています(ただし松の廊下事件はすでに起こっていて、赤穂の藩士は浪人)。それともう1つ、安兵衛が長屋の連中のために一肌脱ぐ話があるのですが、この2つにあまり関連がないことが残念でした。しかし本作では、時代考証無視の「酒呑みコンクール」とか、ドドンパ大流行(大高源吾作詞・中山安兵衛作曲!)あたりが面白いので、あまり気になりません。若い女優2人はあまり魅力を感じませんが、脇役がなかな濃いのでこれも大きなマイナスではありませんでした。前半は歌う場面が多かったのに、途中から普通の時代劇になったのも残念。などとよくない点もありますが、明るく楽しいコメディ時代劇で楽しめました。 [地上波(邦画)] 7点(2013-09-07 22:22:31) |
17. Dr.パルナサスの鏡
《ネタバレ》 なかなかよかったですが、こういう映画はスクリーンで見ないと面白さ半減(以下?)でしょうね。元ネタが『ファウスト』だと知らない場合も、ちょっと辛いかも(と言いつつ、私も読んだことはない)。あと、NHKでの放送時間が120分だったのが気になりますが……。 お話としては、ニックがトニーの死を望む理由がよくわからないのですが、ヴァレンティナがいなくなってゲームが続けられなくなるからでしょうか。このあたり、悪魔の価値観がわかりません。出演者はそれぞれ好演でしたし、映像的にも堪能できました。代役の3人も、あまり不自然さを感じさせずよかったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-14 11:14:04) |
18. とんかつ大将
主人公が理想のヒーローすぎて、現実感がありません。いろいろと社会問題を取り上げているのに、これではリアリズムがなく台なし。話の展開もご都合主義が多く、かなりの絵空事。長屋の人たちがコロコロ態度を変えるあたりだけが現実的でした。津島恵子と角梨枝子の大喧嘩も、見ていてなんだか恥ずかしくなってきます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-25 21:55:23) |
19. トスカーナの休日
よくあるパターンの再生物語ですが、特にこれといったセールスポイントが見つからない。イタリアの風景は美しいのですが、それだけでは……。主人公が作家で金持ちというのも、個人的にはマイナスに働いています。なんだか都合よく行きすぎて、共感できません。あと、邦題は「休日」となっていますが、休日どころの話じゃないでしょう。原題の方がしっくり来ます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-11 21:14:24) |
20. トイレット
よかったと思います。話としてはありがちなんだけど、登場人物のキャラクターと、それによってかもし出される雰囲気が好き。悪人が登場しないところもいい。『かもめ食堂』よりも、ドラマ『すいか』っぽい感じがします。言葉が通じなくても心が通じればオッケー、みたいなところがあって、何とはなしに嬉しくなってきます。まあこの映画に関しては、あれこれ理屈を並べるよりも、実際に見て味わうに如くはないでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-05 22:12:14) |