1. 泥棒成金
全くヒッチコックらしくない映画でしたが、テクニカラー&ビスタビジョンで美しいヨーロッパの景色が鮮やかな色合いで堪能できる素敵な作品。シネスコと異なり圧縮されていないビスタビジョンは非常に美しく、70年ほど前の映画とは思えません。またWikiによるとヒッチコックとしては初のワイドスクリーン作品だったようで、車での長回しのシーンなども凝っていてとても美しく記録されています。 特筆すべきはダブル主演の「ケーリー・グラント」と「グレース・ケリー」のスーパーカップルがとにかく優雅で美しいということ。この甘美なカップルが美しいヨーロッパの景色を背景に華麗に振る舞う姿はまさに浮世離れした美しさで、スクリーンの中だけで繰り広げられる夢の世界に酔いしれることができる稀な作品です。 フランシス・ドッジの推理小説を原作にしているだけに話にも安定感があり、宝石が盗まれる過程や準備、謎にも破綻がありません。確かに21世紀の感覚で見てしまうと少々陳腐な部分もありますが、前述のケーリー・グラントとグレース・ケリーの圧倒的なスター性から陳腐さは些細なことのように思えてしまいます。また、彼らがランチデートでドライブするシーンの車のギミックも素晴らしく、到着した丘の上からモナコ市街が一望できるシーンは最高すぎました。鳥の足を食べた後にキスしたら鳥の味しかせんやろな~とか、、なぜ合成にしちゃったのかとか、、色々意味深なシーンです。有名な話ですが皮肉にもこの美しいシーンが撮影された付近でグレースケリーは車を運転中に亡くなっています。(脳梗塞&転落) ラストの対決が少々退屈しますが今の時代感覚で見てはいけません。真犯人もお決まりの展開ですが、本作はジャンル的には一応「サスペンス&コメディ&ロマンス」なので、結末としてはまあこんなものです。どちらかというとケリー嬢の圧倒的な美しさから「ロマンス」が一番強調されるべき部分ではないでしょうか。 本サイトのレビューでは低評価ですが、映画ファン、グレース・ケリーファンでしたら一度は見ておくべき名作です。後の大ヒットシリーズ「007ジェームズ・ボンド」にも多大な影響を与えたはずなので、007ファンも見て損のない作品です。(というか本作のほうがより007ぽいかも) [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-03 11:54:19) |
2. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 「子供は必ずおもちゃから卒業する」という完全大人目線のガチ問題に取り組んだパート3。1と2でおもちゃ目線からの子供向け物語を綺麗にやり切って、アンディと観客たちが大人になるまで10年間温めてから本作を制作したという念の入れようです。本作に関しては前二作とは監督が変わりましたが、前二作同様に本当に脚本が良く練られていて、そして物語に沿うよう演出やネタの見せ方も相変わらず高度で最高に面白い作品に仕上がっています。 人間は心も身体も成長する生き物なので、大人の階段を前にして子供の頃に遊んだおもちゃとは決別します。これは仕方のないこと、世の中の全ての人が経験する通過儀礼ともいえる問題です。この問題はおもちゃの目線から見るとすごく大きな問題であることが本作では語られますが、おさがりとして次の世代の子供に託すという選択肢もしっかり提示されています。 AIネタに通じるものがありますが、人間は全ての無機質な物に対して非道なふるまいをします。電子レンジが壊れたらそれを捨てて新しい物を買うのが普通です、おもちゃだって同じです。それが当たり前のことだし正常な感覚ですが、対象物を擬人化した途端に親近感が湧きます。ロッツォ・ハグベアが吐露する心情はあくまで、ロッツォ・ハグベアで遊んでいた人間の心の中を映しているだけにすぎません。これに関しては青年になったアンディが代弁してくれていますが、子供たちがこの映画を見てこの気持ちを汲み取るのは少し難しいかもしれません。そういった意味でも成長した元子供たちが見るべき作品なのは間違いありません。 少し大人向けのエンディングをきちんと見せることで、ただの子供映画に成り下がっていない本シリーズの凄さ。キレイにまとまった三部作のラストは伝えるべきことを全て伝えきった感じがあって感動的です。前二作品に続いて本作も文句なしでしょう!(純粋な気持ちでは10点ですが、オッサンなのであえて8点に) [地上波(吹替)] 8点(2024-08-05 15:08:23) |
3. トイ・ストーリー2
《ネタバレ》 録画されていたので25年ぶりに見ました。おそらく絵を修正してあるようで、新作(3や4)と比べても遜色ありませんでした。 本作はトイストーリー1の物語の上に成り立っている点が素晴らしいです。持ち主(アンディ)や新しい仲間との絆ネタは前作でもう十分にやりつくしていますので、本作ではもう少しマニアックな方向にシフトしています。 実はウッディは貴重なキャラクターグッズでアンティークだった!このまさかの展開は完全に大人に向けたもので、この新設定のおかげで新キャラの愛馬ブルズアイとカウガールのジェシーも違和感なく受け入れることができました。少し浮いた存在のプロスペクターは案の定の展開を迎えますし、レアなウッディとビジュアル的に対比される大量のバズも大人が見て笑えるポイントです。おもちゃの修理職人の仕事も興味深く、大人受け必至な流れはなかなか上手い演出でした。 本作でも脚本の素晴らしさは健在で、バズたち仲間がおもちゃ屋にウッディを探しに来るだけでも面白いのに、新しいバズと悪の帝王ザーグとの因縁の対決が物語を大いに盛り上げます。厳密には純粋に盛り上がるのは子供だけで、大人はスターウォーズ丸パクリのネタに大爆笑必至なのが素敵です。エレベーターの使い方も非常にうまく、この何重にも張り巡らされたネタの数々が製作者サイドの知能指数の高さをも表していて面白いです。 新バズの退場もスムーズだし、その後の空港ネタは制作陣のテクニックが冴えわたっています。ベルトコンベアーでの対決や飛行機脱出など文句なしの最高の流れを経て、かなり強引なエンディングを迎えます。強引とはいえ綺麗に終わっているので違和感がないのも素晴らしいです。続編はコケる、という定説を覆してより面白くなったパート2でした。やはり本作も文句なし!(純粋な気持ちでは10点ですが、オッサンなのであえて8点に) [地上波(吹替)] 8点(2024-08-05 14:29:18) |
4. トイ・ストーリー
《ネタバレ》 録画されていたので約30年ぶりに見ました。おそらく絵を修正してあるようで、新作(3や4)と比べても遜色ありませんでした。 そもそも論、おもちゃが生きているなんてことは絶対にないのですが、それをさも有りそうな感じで見せてくれた本作は本当素晴らしかったです。更にはおもちゃの持ち主の気持ちまでをも反映させた演出の数々も心底うまいし夢があって素敵でした。この、おもちゃが生きているというあり得ない設定と、人に見られてはならないというルール、そしておもちゃが大好きでたまらない持ち主(子供)の心情を上手くシンクロさせた話の運び方はウマいを通り越して世界中で共感をも勝ち取ったと思います。 箱から出たばかりのバズライトイヤーは自分の設定に従順だったり、誰がアンディのお気に入りなのか議論したり、引っ越しで誰が捨てられるのか問題だったり、隣人のガサツなパンク野郎(ご丁寧に名前もシド)との対峙も面白く・・ とにかくアイデアと演出が冴えまくっています。 脚本もやたらと素晴らしく、ウッディの嫉妬心のせいで部屋の外へ出てしまったウッディとバズが協力して引っ越しに遅れないように部屋へ戻る過程で仲良くなる。このシンプルかつ王道な流れは文句なしに面白い。この超安定のストーリーに花を添えるクレーンゲームでの演出、シド宅の狂暴なワンっちゃん(スカッド)に食べられる演出、イジメられて魔改造されたおもちゃの数々、花火、マッチなどなど、これらの巧みな演出に彩られて物語が何倍にも面白いものに昇華しています。脚本や演出は巧みなだけでなく深く考えられているので、大人が見ても安っぽくなっていないのは本当に素晴らしいと感じました。 シド撃退からトラックを追いかける流れも子供向けの派手な演出を挟みつつ、ラストに子犬のバスターが出てきて綺麗にまとまります。本作には大人が見て感銘を受けるほどの教訓は無いものの、文句なしの娯楽作品としての完成度です。(純粋な気持ちでは10点ですが、オッサンなのであえて8点に) [地上波(吹替)] 8点(2024-08-05 14:04:46) |
5. Dr.コトー診療所
《ネタバレ》 これは酷かった。大好きなドラマシリーズなのでかなり甘めに評価してもこの点数が精一杯でした。失礼ですが、監督の中江功と脚本の吉田紀子は2004年のスペシャル版からの続投とのことですが、あれから20年、明らかにキャリアや肩書に胡坐をかいていたかのような悲惨な状況には、、つい目を背けてしまいました。キャスティングやキャストの演技力は最高でした。天皇家が見に行きたいと感じるドラマシリーズなのも事実です。でも心底、演出や脚本が悪すぎて本当に残念な出来映えでした。国民を代表して私が天皇家にお詫びしたいくらい。 皆さんご指摘の通り、明らかに話を詰め込み過ぎです。シンプルに「コト―の病気」「コト―の子供」「剛洋の落第」「みどりおばあちゃん(藤田弓子)の顛末」「中丸新将演じる心臓止まったじいさん(役名誰だっけ?)の顛末」を新キャストを絡めてじっくり見せるだけで十分ドラマチックでした。 時任三郎の足の件、剛洋の東京での事件、台風&土砂災害、僻地医療の現実、これらがドラマに花を添えず観客の集中力を削ぐ結果になってしまっています。ファンが見たかったのは島民やコト―先生の今(2022年)。見たいのは決してパニック映画ではない。ラストもあざとすぎて苦笑いしかでませんでした。(パニック映画だったとしても演出が稚拙すぎて見るのが嫌になるレベルだったし、ラストもコト―がどうなったのかよく判らない) 監督と脚本家はもう少し勉強したほうがいい。できればアメリカのERでも見返してみるべきかと。これ以上続編は作らないほうが良さそうです。そっとしておくべき。かなり辛口ですが好きな作品だっただけに落胆も大きいです。心底、色んな意味でかなり残念な作品でした。 [地上波(邦画)] 4点(2024-01-05 12:33:46) |
6. 翔んで埼玉
ネタとしては結構面白いですが、あくまで関東限定といった感じです。茨城、千葉、埼玉、神奈川が中心になっていて、群馬栃木、長野山梨は割とスルーです。凄いのはリアル各県が結構ガッツリ協力してガチで撮影されている点です。東京なんてあれだけの酷い言われようなのにシッカリ都庁まで貸してあげるってのは流石の貫禄。(というかあざといだけ?) 個人的には神奈川の竹中直人の歌がツボでした。次作もTVでやっていたら多分見ると思いますがロードショーには行きませんね。多くを語るような作品ではありませんので、感想としてはこんなところです。 [地上波(邦画)] 5点(2023-12-16 22:22:24) |
7. 扉の影に誰かいる
《ネタバレ》 日本では「うーんマンダム」で国民的スターとなったブロンソンとその妻ジル・アイアランドの共演作。本作では実妻ジルはローレンス・ジェフリーズ医師(アンソニー・パーキンス)の妻役(やたらとキレイ)。物語の発想自体はとても面白いものの、オープニング映像からの15分間ほどは意味が判らなくて、観客サイドとしては非常に掴みが悪い作品と言わざるを得ない。ブロンソンも彼のイメージからはかけ離れた役柄で、全体的に何だかちぐはぐな印象ばかりが目立った導入部でした。 しかし話が飲み込めてくるとコレがなかなか面白く、ローレンス・ジェフリーズ医師の微妙にネジがズレた感じが絶妙で面白い。アレですよアレ、、この医師は「サイコ」のアノ人なので、どうしてもサイコパスかもしれないというバイアスが働きます(オープニングの意図も何となく理解)。勝手な意見ですが、この映画をサスペンスの名手(例えばヒッチコックなど)が監督していればもっと面白くなったと思われます。そういった意味では非常に惜しい、本当に惜しい作品です。 ストーリーは非常に凝った作りで、”本番”が始まるまではハラハラさせられますが、その後終盤に向けては何となく別のベクトルの生々しい感じの流れになります。これは夫婦共演ならではといった流れで、個人的にはウハウハでしたし1973年当時としては結構衝撃的だったかもしれません。 最終的には良くまとまっていて悪くはないのですが、前述の通り、サスペンスの名手(例えばヒッチコックなど)が監督していればもっと面白くなったかもしれないという惜しい感が残りました。あと、他の方もご指摘ですが音楽がちょっと合っていません。 [地上波(吹替)] 7点(2023-10-23 10:59:53) |
8. 鳥(1963)
名作を知らずに死ぬのは勿体無いということで、ヒッチコックを見ることにしました。手始めに有名だけど見ていなかった作品から始めます。 随所に見覚えのあるシーンが散見されるので、おそらく子供時代に何度かTVで見たことがあるハズですがほとんど忘却の彼方でした。本作に関しては全体的に散漫で繋がりが悪いと感じました。個別での指摘は省きますが全てのサイドストーリーが取って付けたようで違和感を感じます。 ラブバードと掛けてあるであろう恋物語と本作のメインディッシュ(鳥の騒動)もあざとい感じだし、鳥オタクの講釈や食堂での神経質な親子、気の小さい義理の母や元恋人などのパートも全体的に合っても無くてもよい状態で、スマートにはつながっていないという風に感じました。主人公のメラニー(ティッピー・ヘドレン)が部落の人に責められる描写もイマイチ浮いていて尻切れトンボ気味。ただ、ラストの鳥だらけの描写は素晴らしい。餌を撒いている様子も見られなかったのでどうやって撮影したのか。。 結局何が言いたかったのかもよく判りませんでした。世間的な知名度のわりにはイマイチ私には合いませんでした。ヒッチコック大先生に敬意を表して少し甘めの点数。 [インターネット(吹替)] 6点(2023-10-05 13:33:54) |
9. ドラゴン・キングダム
《ネタバレ》 期待していなかったせいかかなり面白かったです。手あたり次第TV録画してると、、たまに当たりが出るので止められませんね。。 オープニングのワイヤーアクションを見てゲンナリしましたが孫悟空が誰なのか気になって見続けることにしました。現代から始まる点が昔どこかで見たような気楽な流れで入り易かったです。時空を超えた後はいきなりすぎてチョット訳ワカメですが、カンフー系お決まりの流れになっていて、否応なしに定番の流れに引き込まれます。ストーリーも十分面白いですが、皆さんが書いてらっしゃるように見るべきはジャッキー・チェン×ジェット・リーの安売り合戦が最高の見ものです。80年代の香港映画を知っている人にとっては狂喜乱舞、本作こそマトリックスのバレットタイムを導入すべきでした。 ストーリー的にはお決まりの流れで少々安直すぎる感じはありますが、グリーンディスティニィのように複雑にせず安直に仕上げて正解だったと思います。むしろ香港映画といえばこの流れがお家芸なので見ていて心地よいくらいの安心感がありました。JJコンビがダブルキャストを務めている点も素晴らしく、ラストもとても綺麗に収まっています。 見ていて心地よい、娯楽映画のお手本のような作品でした。巷にあふれる見たら忘れる系の駄作とは一線を画した、愛すべきB級作、偉大なるB級作品として私の心に長くとどまる作品です!JJコンビに敬意を表して8点。(というか、JJコンビの偉大さを知っているハズのレビュアーの皆さんの評価が少し厳し過ぎませんかね?) [ビデオ(吹替)] 8点(2023-09-28 13:26:53) |
10. ドクター・ドリトル(2020)
《ネタバレ》 正直に告白すると、私はロバート・ダウニーJrが嫌いです。売れる前から嫌いでしたが今見てもやっぱり嫌いです。物語として原作の説明をする必要がないくらい有名な元ネタですが、本作は動物と話せること以外は原作に忠実じゃなかったりします。動物、恋、姫、新しい仲間、航海、侵入、戦い、和解、謎解き・・ およそディズニーの全てが詰まっていますがまさかのユニバーサルが作っています。 有名な原作本由来で全ての要素が詰まった映画を100分にまとめてあるのは大いに大したものですが、裏を返せば全てが予定調和的でお手軽過ぎました。まあ100分で終わらせるのですから致し方ないにせよ、もう少し文学的で重厚な雰囲気、もしくはパイレーツ並のとんがった演出を期待していましたがそのどちらもありませんでした。 スティーヴン・ギャガン監督は「トラフィック」「シリアナ」「英雄の条件」などシリアスな脚本を書いた実績があって、土台はシッカリしているはずですがコメディとしては大して面白くもなく、何となく王道の流れで当たり障りがありません。出演陣が無駄に豪華だったこともありますが非常にもったいないと感じてしまいました。このメンツならもう少しやりようがあったのではないでしょうかね。。。 あれほど家を出るのを嫌がっていたドリトルが宮殿に着いたとたんにノリノリで冒険に行こうといい出すのは違和感しかありませんでしたが、動物たちのやり取りがほのぼのしていて何とか見ていられました。こき下ろすほどつまらなかった訳ではなく案外楽しめますが、何となく面白いけど何となく物足りなくて、何となく楽しいけど何となく退屈な作品といった印象の映画です。かなり甘めの6点で。 [地上波(吹替)] 6点(2023-09-23 13:56:27) |
11. トゥームレイダー2
4Kテレビ放送されていましたので久しぶりに鑑賞しました。パート1に引き続き、ゲームのララ・クラフトにクリソツなアンジェリーナ嬢が好演していて素敵です。しかし素晴らしいのはそのクリソツ具合だけで、映画本編・物語の骨格に関しては非常に薄っぺらくてご都合主義満載でした。いわゆる中高生向け、良くも悪くもゲーム的で安易な内容です。煩雑な下町にヘリで乗り付けるライス博士(ジェラルド・バトラー)も少々過剰演出で失笑もんですが、ゲーム的な観点から見れば許容範囲でしょうか。 監督ヤン・デ・ポンは「スピード」を初監督して大成功させただけあって、映画の撮り方、見せ方、表現方法は非常に洗練されていて良いです。全体的に失笑する箇所は多いものの、映画としては静と動のバランス良く最後まで飽きさせません。明らかに無駄であろうバイクでチチくり合うシーンも素敵だし、その前の飛行機をぶっ壊して中国入りするシーンもやたらと派手で豪華。全体的にリアル路線だった流れが急展開、終盤に魔物系になる点も非常に楽しく、こういう各演出の上手さは監督の手腕でしょう。 総じてゲームファン、厨二病満開の世代、アンジェリーナが大好きという方は結構楽しめる作品ですが、大人志向(思考)の方には失笑な作品。個人的にはレッドドワーフ号のリマ―が出ているだけニンマリしますが、クリス・バリーはリマ―の印象が強過ぎてもう他の役では成功しないということが痛感できる作品でもありました。 [地上波(吹替)] 6点(2023-07-18 13:42:00) |
12. トップガン マーヴェリック
日本的にいえば「気合と根性論の昭和世代が大活躍」の映画でしたが、やはりコレが最高に面白いんだから参ってしまいます。 近年のMIシリーズ同様、ソツなく完璧に仕上がった脚本と、実際に飛ばした戦闘機と最新映像技術の融合は本当に素晴らしいとしか表現のしようがありません。旧作からのファンへのサービス・音楽の使い方も完璧で、オープニングからマッハ10の流れでいきなりハートは鷲づかみ。イーサン・ハント同様マーベリックがなぜ二回りも年下の現役世代より操縦が上手いのかの説明は一切なく、劇中のセリフでもあるように「神と守護天使にしか知り得ない特別な事情」で全ての物事がうまく進んでいきます。ちょっと都合よすぎる展開ですが不思議なことにそれでも主人公マーベリックに違和感を感じないから、、やはりトム・クルーズという俳優は特別なのだと痛感します。 ストーリー上で文句をつけたり論じたりする部分も一切なく、ただただもう映像に酔いしれる映画だったと思います。アイスマンを筆頭にオールドキャストがきちんと機能していることも素晴らしいですが、ニューキャストも存在感を示していて嫌味がない。本当に文句のつけるところがないんですよね・・ ある意味凄いことですが、ラストも予想通りの展開で何から何まで気持ちが良すぎてもうね(笑) あえて粗探しをするとすれば、敵の描かれ方があまりにもステレオタイプ過ぎてお手軽でお粗末。どこの国であるかもよく判らないし、前半のウランの説明もお手軽過ぎて緊張感はほとんどありません。今時はゲームでももう少しリアリティをもって説明してくれますので、この点はちょっと雑だなと感じました。(ただ、この映画はそこを論じていないし見せる映画でもないのですが) ベッドで見せたマーベリックの大人な対応が素晴らしい。グースの息子やその母親のことまで考えていたりアイスマンとの友情など、きちんと成長したマーベリックを見せてくれた点も昔馴染のファンを大切にしていて良かったです。全体的にちょっと軽いということ以外は歴史的娯楽作品の続編としては最高の出来映えでした! [インターネット(字幕)] 9点(2022-10-31 12:17:46)(良:2票) |
13. 永遠に美しく・・・
公開当時はとても良かったし技術にもビックリしたものですが、今見るとCG技術を見せたいだけの映画という感じに見えてしまいますね。驚きなのがゴールディ・ホーン(ヘレン役)が当時47歳だということ!メリルストリープ(マデリーン役)も43歳ですが若い!ついでにいうとブルース・ウィリス(メンヴィル博士)が一番若くて37歳。ぱっと見彼が一番年食ってるように見えますが、髪の毛があってもダメなんだなといった感じです。さらに驚きなのがイザベラ・ロッセリーニ(リスル役)があの美貌と裸体で40歳ということ。 別に他に書くこともありませんが、何気にプレスリーやモンローなど出ていて笑える箇所は多めです。途中、刑務所の脅し文句のセリフが「中年太りでハゲ気味の共和党員はかわいがられるのよ」はなかなか言い得て妙でしたが、ブルース本人にとっては結構キツイ台詞だっただろうなと。ラストの落としどころもツボを心得ていて、最後はアレくらいしかないでしょうね。 原題は(DEATH BECOMES HER)と「彼女は死んでいるべき」とか、意訳すると「アイツはもう死んでるハズ」的な感じで、この映画を端的に表していますが、邦題の「永遠に美しく・・・」もなかなか素敵な題名でした。永遠に美しくありたいという願望は古今東西年代を問わずに昔からありますが、現実問題としてはこの映画のようなことになるでしょうね。何となく80年代を引きずっていて色々感慨深い作品でした。女性陣の頑張りに免じて多少甘めの点数で。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-09-04 14:29:46) |
14. 透明人間(2020)
《ネタバレ》 よくできてはいますが前半はかなり退屈しました。1時間を過ぎたあたりから盛り上がってきますが、今度はご都合主義感や粗が気になって妙に落ち着きません。結局のところ、あまり乗れなかったというのが正直な感想ですが、まあしかし、よくできた映画ではあります。 見えないモノ(者)に陥れられる恐怖は上手に描かれています。何もない場面で何もない所へカメラがパンしたりズームするのはかなり怖いデス。映画のタイトルでネタバレしているハンデ(倒叙形式)をウマく利用したシーンの数々は素敵でした。ただ、前半部で主人公の内面を丁寧に描こうとするあまり、間延びしまくっていますので、それをどう考えるかでこの映画の評価は変わってきそうです。(私はダメ)そもそも、主人公のセシリア(エリザベス・モス)が鬱屈した雰囲気が強く、まるでストーキングしたいような魅力的な人間には感じられなかったのが根本的にダメだったように感じます。 また、他の方もおっしゃっていますが、レストランでの一件は明らかにオカシイと感じました。普通あの状況であればナイフを避けるのが人間の正常な反応なハズで、間違っても手に握るような真似はしないのではないかと思ってしまいました。病院でのドンパチも同じことで、普通なら異様な状況を監視カメラで見ているハズの警備員たちですが、モブキャラ宜しく無防備に突っ込んでいって見事に昇天してしまいます。 さらに、私が一番腑に落ちないのは兄が操られていたのか?それとも兄に操られていたのか?という点です。結末から考えればおそらく弟が全ての黒幕だったと思いますが、それを裏付ける決定的なシーンはありませんでした。それなのにあのようなラストではアッサリしすぎているし、むしろ兄に操られていた可哀そうな弟のようにも見えてしまっています。 暇~な時にもう一度見たらもっと奥深くまで理解できるかもしれませんが、再鑑賞は当分先になりそうです。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-02-10 16:40:33) |
15. トイ・ストーリー4
《ネタバレ》 TV録画を見返しています。パート3で綺麗に完結していたものを続けたということは、今後はエンドレスで続けるんだろうなということが理解できます(BD-BOXセットが欲しかったのですが買うのを見送りました)。 4作目なのに毎度おなじみのドタバタ劇が飽きさせない作りになっているのはさすがとしか言いようがありません。個人的には今作の悪役であるギャビー・ギャビー嬢とその取り巻きであるベンソン達が、前作のイチゴの香りがする熊さん(ロッツォ・ハグベア)を超える愛らしさでした。またボニーの表情を見ているだけでなぜか涙が出そうになるのは不思議です。ピクサースタジオは表情や仕草をよく研究していてとても上手に見せてくれます。本当に演出がうまい!素敵でした。今作は以前にも増して特に絵が綺麗で、まるで実写のように見えるシーンも沢山ありました。 この手のアニメ映画は基本的に吹替で見ることが多いのですが、ギャビー・ギャビー(新木優子)が非常に良かった。夢破れて箱の中で拗ねているシーンは最高にキュート。1作目から言及したことがありませんでしたが、本作の声優陣は本当に上手です。所ジョージもそのまんまなのにバズライトイヤーにマッチしているから不思議。あと、何気に本国のウッディ役トム・ハンクスと唐沢寿明って雰囲気がかなり似てると思うのは私だけでしょうか(笑) 意外にもファンの間では不評な今作ですが、私は今まで同様に十分に面白いと思いました。シリーズが好きな方なら見て損はないと思います。1から4までどれをとっても甲乙つけがたい面白さです!本作に関しても文句なしでした!(純粋な気持ちでは10点ですが、オッサンなのであえて8点に) [インターネット(吹替)] 8点(2021-12-31 12:38:31) |
16. トレイン・ミッション
《ネタバレ》 やはり「フライト・ゲーム」二の舞でした。前半1時間はホントにシックでワクワクさせられるし、大人な展開で好きなんですけどねぇ・・ 後半の1時間が子供向け過ぎて笑っちゃうレベルです。これ、意図的にやってるでしょ? 詳しくは省きますが前半は本当にハラハラさせられるし面白展開てんこ盛り。(前半だけなら7-8点) しかし、後半の雑さと悪目立ちするアクションの数々で一気に4点まで下がってしまいます。そもそも、どうでもイイおっさんを事故に見せかけて殺害したり主人公の行動を監視できるレベルの秘密結社が、証人の小娘一人特定できないとかどんだけ・・ って話ですよ。終いには脱線ってあんたね・・ ミステリとしても粗が多いし、アクションとしては言うに及ばず。まあ、「TVでやってれば映画みますよ(^^♪」「趣味?うーん・・ 読書とか映画かな(^^♪」そんなレベルの人にはピッタリな内容でした。オープニングが素晴らしい点、キャスティングが的確で脚本自体は非常に分かり易かった点、オチのつけ方が気持ち良かった点などを加味して5点としておきます。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-04-28 11:30:10) |
17. ドーン・オブ・ザ・デッド
評判良かったので期待値上がり過ぎたせいか、意外と普通でした。全体的に悪くはないのですが、なんだか空気感が違うというか、、まあ普通のアクション映画らしいライトな感じになってしまっていると思います。なんだかんだいってもウォーキングデッドは凄いですよねやはり。 既視感アリアリで「もしかしたら以前見たかも?」そんな印象すら受ける流れでしたが、オリジナルと混同してしまっているのかよく思い出せません。(犬を使ってモノを運ぶのって他の映画にもありましたっけ?) ハードロック系の音楽の使い方が嫌。全体的に何となく軽い感じで、さほど怖さも感じませんでした。個人的にはロメロゾンビのベストは「死霊のえじき」、ロメロ以外では「28週後」の世界観(雰囲気・空気感)かなって結論がでました。CJいいやつ。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-02-25 11:11:21) |
18. トゥームレイダー ファースト・ミッション
エクスマキナのアリシアは超絶に可愛いと思ったのに、リリーのすべて、ボーン、今作ではただただボーイッシュ&声もアレで少し残念な感じの彼女です。まあ元々ハスキーボイスですし、実は男っぽいのが本来の彼女の性格で、観客が勝手に少女趣味に寄せているだけなのかもしれません。 最新ゲームソフトと比較した場合はアリシア版も非常に完成度が高いという意見が見られますが、改めて実写繋がりで比較した場合はアンジー版が圧勝でしょう。アンジーのララはあまりにもリアルだった。そもそもトゥームレイダーが一世を風靡したのはPS1時代のことで(私も1~5まではクリア済み)、個人的にはPS2以降のトゥームはチョット別物という印象があります。やはり映画化するなら5まで初期モノを正当派生させたほうがファンも嬉しいハズです。 今作のストーリーですが、完全にご都合主義に走っていて観客をバカにしたかのようなレベルです。ぶっちゃけ、この程度の謎解き&アクションを見せられるくらいなら、既にパパさんが発掘し尽くして終わった遺跡をただ辿ってパパさんの消息を探るだけのほうが重厚で良かったような気がします。あと全体的に無駄なシーンも多く、最初の自転車のシーン、レストランの厨房男子の恋愛風味付け、大富豪なのにわざわざ形見のペンダントを質に入れる等々、終盤の奴隷解放も大して生かされず、全体的に必要あったのか?というシーンが多いのがイタイです。 個々のシーンはそれなりのレベルで作られているのですが、あまりにもソツなく綺麗に(ご都合主義的に)まとまり過ぎていて後味も何もありません。見終わった後の感想としてはただただ「ふーん すっごーい」という軽い印象です。全体的にそれなりのレベルには達していますが、トゥームである点と、この映画がアクションアドベンチャーである点を考慮するとこの点数にせざるを得ないデス。 [インターネット(字幕)] 2点(2019-09-14 10:45:14) |
19. トップガン
来年続編が作られるということで久しぶりに見る気になりましたが、今見ると大して面白くもないし凄くもないですね(笑)公開当時は超絶にカッコいい映画だと話題になったし私もそう思いました。その後30年、今でも記憶の中では「TOP GUN=ジェット戦闘機の凄い映画」という印象しかありませんでした。年月(風化)とは本当に恐ろしいものです。 当時、アイスマン=嫌な奴という印象でしたが、今見ると文句のつけようがないくらいのイイ奴でびっくり。やっぱ人って外見やイメージだけで相手のことを記憶するんだなあとしみじみ。続編がコケないことを切に願って、楽しみに待っています! [インターネット(字幕)] 6点(2019-08-10 11:03:12)(良:1票) |
20. トゥルーマン・ショー
一生見ることもなかったかもしれませんが、アマゾンプライムのおかげで見ることができました。発想が素晴らしいです。ある意味、一般人が投稿する動画やSNSが当たり前の現代(2018年)だからこそ、感じ入る部分も多かったような気がします。また、ただのコメディにならず哲学的になっている点も興味深いです。誰しも必ず挫折を経験したことがあると思います。「自分の人生は全部仕組まれたもので、何一つ自分で成し遂げることなんてできないのではないか?」そういう視点で考えたら、、とたんに哲学的インナーSFになってくるのもこの映画が人気の理由でしょうか。 終盤がちょっと普通に落ち着いてしまいますが、空を渡るか海を渡るくらいしかないので仕方ないですよね。。ありえないシステムもちらほら見られますが、その辺は華麗にスルーすべきです。なかなか悪くない映画、いや、意外と後々考えてしまう深イイ映画ですよこれ。 PS. 奥さん役の人の気持ちは理解できるものの、やはりトゥルーマンが可愛そうでしたね。彼の寝顔と鏡の前のことなど、愛されキャラのジムキャリーじゃないとできない役柄だったと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-09-13 12:51:03) |