1. ドクター・スリープ
《ネタバレ》 作家性の違い。 スティーヴン・キングは辛い経験から、内なる恐怖と対峙し希望を見つけたい空想作家ですね。 キューブリックは恵まれた人で、恐怖に翻弄され罪を重ねる人間の業(性質)を客観的・批判的に描くタイプでしょう。 その意味で映画シャイニングは、原作を素材にした現実のメタファー。 現実だから、はっきりした答えのない永続性のある映画です。 ドクター・スリープは、映画シャイニングのキャクターとガジェットを借りたサイキックホラー。 キング流の、救いのあるダーク・ファンタジー作品。空想の世界です。 映画シャイニングの続編と謳(うた)いながら、テーマはまったく継続していない。 確かに、キングらしい後味のいい話で、希望を見せて終わる。 でも、キューブリックのイメージに依存し過ぎたため単品では成立しなくなり、もはや原作の続編とも言えない中途半端な作品になっている。 もっと悪く言えば、天才の作った「終わりなき映画」を、ファンの二次創作が強制終了させてしまった映画です。 ゲームをクリアするトリックとして、キューブリックのシャイニングを使った点で、レディ・プレイヤー1と同じレベルと言わざるを得ない。 まあ、キングとしては自分の作品を取り戻せて大満足なんでしょう。 この映画を絶賛する気持ちは分かる (笑) [映画館(字幕)] 6点(2019-12-03 09:37:06) |
2. ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
《ネタバレ》 山崎監督のインタビュー「副読本のようにならず、ゲームというメディアと戦える方法はないだろうか……ということを来る日も来る日も考えていた」そしてある日、映画のプロットを書いているときに「今回挑戦した新たな手法がふっと浮かんだ。」(シネマトゥデイ) そのアイディアが...裏目に出ましたね。 長時間プレイして得る達成感に対して、2時間そこそこの映画で期待に応える確信が持てなかったのかも知れない。 今回挑戦したと言う「新たな手法」は、山崎監督にとっては新しいかも知れないが、観客にとっては決して新しくはない。その代表例が TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のクライマックス。 物語に愛着を持つ視聴者はその演出に混乱し、ある意味でエヴァは伝説になったが、そんな伝説、そんなインパクトはいらない(笑) 作者の意図を超え肥大化した作品に、プレッシャーを感じた作り手が まれに陥る選択《物語世界それ自体を客観的視点で再定義する》ことで 物語を自分の手元に戻し、終結させる。 ただし、これは《観客それぞれが補完し自分用にカスタマイズした世界を、一方的に再定義してしまう》ことでもあり、よほど上手く行わないと拒絶反応を受ける事になる。 本作では、物語のクライマックスに突然、それが発動する。 今や東宝から巨匠扱いされるほどの監督が、これほど大衆に支持されている物語で、こんな危険な博打を仕掛けるとは信じ難い。 一応、私もDQVをエンディングまでプレイした一人。 この映画化に期待したのは、剣と魔法と勇者の成長、愛嬌あるモンスターたちとの戦い、謎と伝説と栄光の物語。その単純明快なヒロイック世界の追体験だと思うのだ。 百歩譲って、客観視点を生かしたければ、アバン(イントロ)で堂々と前振りするべきだし、エンドクレジットはオールDQシリーズのふり返りにするべきだった。 以上、否定するように書いたが、本作のDQらしい雰囲気づくりやCGキャラクターの (子供にも受ける) 演出には好感を持った。 不安から始まった鑑賞も、それなりに楽しんで終盤を迎えられた。CG制作スタッフの努力には感謝したい。 後にテレビで放送する際は、客観視する部分をカット(アフレコも変えて)発動したのはミルドラース (ラスボス) の次元魔法ってことにしてくれない? [映画館(邦画)] 6点(2019-08-07 10:11:09)(良:1票) |
3. ドリーム
これ見逃してて、やっとDVDで観ました。 人種問題モノ・女性権利モノ・職業モノ・歴史モノ・アメリカンドリーム・・・ どの切り口から観ても良い作品。 前向きで、笑えて、感動的な “ ビハインド・ザ・ライトスタッフ ” ですね! [DVD(吹替)] 8点(2018-11-07 23:50:51) |
4. トランスフォーマー/最後の騎士王
《ネタバレ》 まともに批評するのが馬鹿馬鹿しいほどの、唯我独尊!玩具系ロボットSFシリーズ!(誉め) いや、実は「ダークサイドムーン」あたりで正直疲れてしまった。 同じ場所で延々と目が追いつかないアクションを展開されて、ゴメンナサイ!もう観ませ~ん。以来ずっと敬遠していたトランスフォーマーでした・・・が、気まぐれで観た新作は、あれれ?面白い。 個人的に好きなネタが次から次へ。『エクスカリバー』『インディー・ジョーンズ』『タイタニック』『インディペンデンス・デイ』まるで、80~90年代 映画のオモチャ箱の様相。 単調になりがちな金属ロボットアクションも戦車にサブマリンにマットジャ・・・いやオスプレイ。新旧ガジェットで変化をつけて、更に C-●P●のごときオシャベリ執事ロボまで(●2-●2似もいたし)・・・よし!わかった!コレはつまりこう言うことだ!金田一くん 〝なにも考えるな・・・感じろ!ただ楽しめ!〟 一方、ハリウッドでは・・・(マイケル)ベイ卿よ、逃れられぬぞ。これは貴公の運命!破壊の限りを尽せ!どこまでも! by ダース・ピルバーグ [ブルーレイ(吹替)] 7点(2018-03-30 20:56:14) |
5. ドラゴンスレイヤー
《ネタバレ》 ドラゴンを描いた映画としては重要な作品。 竜=ドラゴンが登場する映画は数多くある。「ドラゴンハート」や「サラマンダー」、最近では「ホビット」のドラゴンが印象的だった。 1981年公開のこの作品は、ドラゴンを描いた映画のターニングポイントとして評価したい。 それまで、映画に登場するドラゴンといえば、ハリボテ製で動かずに首を振りながら煙を吐くだけだったり、いかにも人形のコマ撮りだったり、動作のノロい機械じかけだったりと造型的リアルさにも、生物感にも欠けていた。 『ドラゴンスレイヤー』は、ILMがSTAR WARSで培ったモーションコントロール撮影技術をコマ撮りに応用し、被写体にブレを生じさせることで複雑かつスムーズなモデルアニメーションを可能にした映画で、ブルーバックで撮影したドラゴンが生き生きと羽ばたいて飛び、地下を這いずり回る巨大な翼竜(ワイバーン)の映像を実現している。 バーミスラックスという固有名で呼ばれるドラゴンのキャラクターも素晴らしい。残忍な性格。人間のように賢く、生贄を好む一種の神として(王よりも強い力で)領土を支配している。反面、子育てをする動物的な性質があり、ファンタジーとはかけ離れた生命感あふれるドラゴンだ。ディズニー映画なのに・・・である(笑) ストーリー的には、竜退治を書いたいくつかの神話(「叙事詩ベオウルフ」の神器も敵わない竜との相討ち、「聖ゲオルク」の王女の生贄など)をベースに創作されているように思うが、《魔法使いとドラゴンの戦い》というファンタジックな設定にしては少々エグい。 救うべき王族の美女が、あろう事か幼体ドラゴンの餌にされ、精神的に病んでしまった王の姿が陰鬱(いんうつ)で暗く。竜がいなくなった王国も何だかハッピーではない。日本で劇場公開されてなかったのも、その為か。 主人公も、しょうがなく師匠の代わりに竜退治するハメになった魔法使いの弟子なので、彼の冒険物語ではなく《ドラゴンや魔法使いに象徴される神話的世界の終わり》を描いた映画といった方が正しいでしょう。 「ホビット」や「ロード・オブ・ザ・リング」も神話時代から人間の時代への転換を描いた映画で、ホビットの竜=スマウグの造形や描写は、ドラゴンスレイヤーのバーミスラックスに対するオマージュではないかと思える程。 もっとも、バーミスラックスの方がホビットの原作『ゆきてかえりし物語』にインスパイアされて造形された可能性もありますが・・・ 「バンデッドQ」で《神》を演じていたラルフ・リチャードソンが、老魔法使いウルリク役。 「竜も魔法も時代遅れ」と自覚しながら来客には大げさに威厳を見せつけたり、老骨にムチ打って旅に出掛けようとしたりとチャーミング。「スター・ウォーズ」銀河帝国の皇帝(シス暗黒卿ダース・シディアス)イアン・マクダーミドも神父の役で出演して、ここでも壮絶な死に様を見せてくれる。 日本ではVHSとLDが既に廃盤。字幕入りDVDは未発売で、海外版DVDしか今のところ観る手段はない。 発掘系シネマとしてDVD化して欲しい一本です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2016-10-07 22:11:25)(良:1票) |
6. ドリトル先生不思議な旅
有名なドリトル先生の児童小説を映画化したミュージカル映画です。 今見ると映像の古さは仕方がないところで、公開後の世間の評価も興行的に大失敗した駄作なんでしょうが、私的には大好きな映画です。 出演者と息のあった動物たちの名演技や明るくて夢のあるストーリー、今や名監督リチャード・アッテンボローまで歌って踊るミュージカルシーン、大らかでスケール感のある特撮シーンなど、童心にかえって楽しめればこれほど楽しい物語は滅多にないです。 小学生の子供に見せたら絶対にハマリます。できれば、日本語吹替え版で。 入手しやすいのはDVDですが、NHKで放映されて今はローカル局でたま~にやっている宝田明版が歌が楽しいのでお薦めです! [DVD(吹替)] 7点(2014-04-10 16:55:37) |
7. トレマーズ
《ネタバレ》 最初に劇場で字幕版を鑑賞したときは、普通のモンスター映画だねって感じで、あまり印象に残らなかった作品。ですが後年 レンタルビデオの日本語吹替版を見て、こんなに面白かったっけ!?とドハマリしました(笑) VFXが凄い訳でも、スケールが大きい訳でもありませんが 地中にいる正体不明の巨大生物との対決を、モンスターの生物的特徴をしっかり説明した上で田舎町の隔離された状況を設定し、サスペンスを上手く盛り上げている。 それに加えて、田舎町パーフェクションの人々の生活感がよく出ている。その明るくて人間くさいキャラクター、テンポのいい会話が楽しくラストまでまったく飽きさせずコメディタッチで見せ切ってくれる。 吹替声優は、主人公の2人フレッド・ウォードを内海賢二。ケヴィン・ベーコンを安原義人が演じていて、この掛け合いがメチャ楽しい。さらに、続編以降はレギュラー(ほぼ主役)となる武器マニアのオヤジを小林清志が演じていて、もうドンピシャな危険人物で笑える。 他のキャラクターも達者な声優さんばかり。実に賑やかです。 洋画は何でも吹替えで観るべきとは決して思いません。でも、これに限ってはBlu-rayの日本語吹替えで見ることを強くおススメします! ※DVDには日本語吹替えが無いのでご注意ください。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-04-07 22:13:59) |