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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1.  SR サイタマノラッパー
今さらのレビューですが、これを映画館で見た貴重な人のようです、私。昨今、ダサい人に焦点を当てた映画やドラマがよくありますが、ダサくない人がダサい人を演じているというのが見え見えなのばかり。その中にあってこいつらのダサさイタさのリアリティは素晴らしい。段々見ているのがつらくなるほどでした。ワンシーンワンカットの演出が見事に功を奏しているといえる。微妙な空気ってやつが漂ってました。そしてリアルにダサい奴らの中でみひろがリアルに可愛かった。ちょい感動のラストも実はイタい。ダサければダサいほど、イタければイタいほどに感動するようになってる。笑いを誘うシーンまでうっすらとサブイのも狙いか。
[映画館(邦画)] 6点(2011-10-31 16:15:22)
2.  エクスペンダブルズ
序盤の下見シーンはまるままフォーサイス「戦争の犬たち」をパクッてるとしか思えないのだが、全体を見ても要所要所で「戦争の犬たち」からの借り物が多いようなので「オマージュ」ってことにしておきましょう。ただしこちらはアクション映画。アクションが楽しけりゃなんでもいいのだ。その下見シーン後の脱出劇でいきなりヒートアップ。有無を言わせぬ空中からの乱射に気分は爽快。ド派手な火薬の量にも大満足。しかし・・。この心ときめく面々があまりにも活かされず。あきらかにアクションができる人たちなのにその「技」を映そうとはしない。『ランボー 最後の戦場』を作ったスタローンがなぜにこんな細切れカットとアップ多用の全くアクションしていないアクション映画を撮っちゃうのか。これだったらこの面子に集まってもらう意味がないじゃん。物語を度外視して(つまり破綻しちゃってもいいので)往年のアクションスターたちの体技をじっくり拝みたかった。
[映画館(字幕)] 5点(2011-02-21 14:34:38)(良:1票)
3.  映画 ふたりはプリキュアMax Heart 《ネタバレ》 
テレビ「ふたりはプリキュア」はそれなりに面白かったように記憶している。格闘シーンが過激で女の子なのにおもいっきりボコられたり敵がやたらと怖かったりと、いちいち衝撃を受けていたように思う。といっても飛び飛びでしか見てないし、「ふたりはプリキュア」の二人にシャイニールミナスが加わった「マックスハート」に至っては全く見たことがなかった。でも長女が幼稚園児だったころ、七夕の短冊に「しゃいにいるみなすになりたい」と書いていたほどなので私としてもシャイニールミナスがどんなに魅力的なキャラでどれほど活躍してくれるのかと期待を膨らませざるを得なかったわけである。・・・まあ、かなり残念、というか、そもそものルミナスの立ち位置がわからんのでなんとも言えんが、うーん、でもあれじゃルミナスいらんよね。展開も一度力の差を見せ付けられて敗れているわけだから、最後にルミナスが加わらないってのは・・・、しかもそれで勝っちゃうってのは、どうなんだろう。肝心のバトルや「プリキュア」ならではの変身前のそれぞれのキャラ見せよりカエル野郎とのドラマばかりくどくど見せるのはこの手の映画の宿命か。
[DVD(字幕)] 3点(2011-01-13 14:35:45)
4.  栄光のル・マン
昔はよく見たなあ、ル・マン24。チャージ・マツダが活躍してた頃。で、マツダが総合優勝した翌年にロータリーエンジンが締め出されちゃって、それからあんまり見なくなった。見るっていっても当然24時間見てるわけじゃなく、でも途中途中でただ延々と走ってる車を見てた。レースってのはそれでも面白くって、たぶんそれは一歩間違えば死ぬことだってありえるスピードで走っているという緊張感が伝わったり、チーム一丸ってのがガンガン伝わってくるからなんじゃないかと思うんだけど、娯楽映画という媒体は車といえばクラッシュで、だから公道を違法にぶっ飛ばす車のほうが映画にしやすくって、画的に単調なレースってのは映画にしにくいはずで、実際のところカーレース本来の面白さってのを見せた映画ってあまりない。そんな中でこの映画はクラッシュシーンは控えめながらあるんだけど、とにかく緊張感とか高揚感とかレース本来の面白さを映し出そうとしている稀有な映画。後期のマックィーン出演作って、マックィーン自身がなんらかの形で製作に関わっていることが多く、関わった作品の大きな特徴がリアリズム。この映画もクレジットこそされていなくても間違いなくマックィーンが作った映画だと思う。娯楽映画としては物足りなさもあるんだけど、彼のリアリズムの世界に彼が佇むともうそれだけで絵になってるのは確か。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-09 17:06:41)
5.  エコール
微妙だなあ。『ミミ』同様に独特のロリコンワールドなんだけど、ヤバイ世界を描いた『ミミ』とは違ってヤバイ世界へとあからさまにミスリードしてゆく展開にあざとさを感じる。少女の成長過程を描いているだけだよ、なに勘違いしちゃってるの、このロリコン野郎。そういう声が聞こえてきそうだ。それはそれで面白いとも思うんだけど、一方でそのミスリードのために少女の裸というあまりにも直接的な描写をもってきていることに嫌悪感を持っちゃいます。この直接的な描写が少女じゃなくて大人の女だったらぜひとも入れていただきたいサービスショットになるわけで、そう考えるとこの作品は小児性愛者にとってのサービスショット満載の映画ってことになる。なんだかなあ。でも最後の噴水のシーンは好きかな。
[DVD(字幕)] 5点(2010-06-15 16:27:13)
6.  X-メン
どうやらとんでもない大ベストセラーのアメコミらしいのだが、未読未見のためそのキャラクターとか世界観の忠実ぶり、あるいは改変ぶりとかを楽しめないのが残念ではあるが、原作を知らなくてもじゅうぶん楽しめる大筋の見せ方は素晴らしいかと。ミュータントを現社会の被差別者に置き換え可能としたドラマもわかりやすく、人間を「憎い」ではなく「怖い」と答えさせるところなんて実に繊細だとも思った。ホロコーストの悲劇を冒頭に見せるのはこの物語がマグニートーの抱える心の闇にスポットを当てたものだから・・・のはず・・・。『ユージュアル・サスペクツ』でカイザー・ソゼという「虚像」を、『ゴールデンボーイ』で目覚める「狂気」を、と、見えざるものを描いたブライアン・シンガーだし・・・。が、そのあたりは続編に委ねているのだろうか。続編未見。このレビューをきっかけに近いうちに見たいと思う。 それにしてもローグは彼氏とチューするまで誰とも触れ合ったことがなかったのか!?
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-26 17:27:07)
7.  エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
巨大企業はいかにして崩壊したのか?とサブタイトルにあるようにすでに崩壊された、つまり過去のことを延々と綴っているだけ。たしかにエンロンがいかにして成長しいかにして崩壊していったのかを分りやすく見せてくれてはいる。メッセージ的なものといえばエンロンとブッシュ、あるいはエンロンとシュワルツネッガーの黒い関係を臭わすあたりに極めて政治的な思惑が見え隠れするのと、「人生を振り返り”失敗した”と認めるのは難しい」という至極真っ当な秘書(だったっけ?)の言葉が終盤にあったが、言い換えれば関わった人間の大半は反省することすらない結末だったわけで、この事件で何かを学ぶことなく又同じようなことが繰り返されるのだろうという投げやりな幕の閉じ方それ自体には社会を憂うメッセージが内包されているととってもいいかもしれない。しかしエンロンの崩壊そのものに対する独自の見解があるでもなく、ゲーム感覚で金儲けに便乗するトレーダーたちをピックアップするでもなく、カリスマ、ケン・レイその人に迫ったものとも言いがたく、けっきょく、あらすじはわかったけど、面白いところがなかった。面白い題材がゴロゴロしてるのに。最も魅力的題材はなんといっても途中でまんまとばっくれたストリップ大好きな天才中国人だ。ここ、追いかけてほしかったなあ。
[DVD(字幕)] 4点(2009-11-13 17:02:53)(笑:1票)
8.  エイリアンVSヴァネッサ・パラディ 《ネタバレ》 
楽しめてしまった。アメリカ南西部の片田舎っぽい場所にフランス語というギャップがまず興味をひく。主人公の男のいきなりの懲役133年というあり得ない刑罰も、コメディとして消化されない妙な信憑性を持っているから厄介だ。湖面に映る浮遊するエイリアンを一瞬だけ見せるというのがまたうまいから困っちゃう。けっこう丁寧なのだ。いや、かなり丁寧だ。なのになぜ犬はどこから見てもぬいぐるみなのだ。かと思うと田舎町のおじいちゃんがなんの脈絡もなくいきなりエイリアンがやって来るのをずっと待っていたのだと宇宙服を着込む。それでもエイリアンと共に飛んでる手裏剣みたいなのがスパンスパンと首チョンパしまくるパニックシーンは迫力ありスピード感ありと文句なし。プロデューサーがなんで真っ黒なケムール人みたいになっちゃうのかよくわからんがそろそろクライマックスだなと思ったらいきなりパラディ嬢がお空に吸い込まれちゃう。お!ここでスタントマンという設定が活きてくるのか!と主人公がバイクでジャンプ!で、その後・・・・なんですか?この妙に哲学的ともとれるわけわからん世界は。置いてきぼりのまま終わる。でもなぜか怒りはない。結局のところ、永遠のロリータ・ヴァネッサ・パラディのプロモーションだったのだろうか。たしかにジョニー・デップとの間に子供を二人もこしらえたとは思えない可愛らしい容姿にはプロモーションの価値はあるかもしれないが。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-26 13:49:42)
9.  AVP2 エイリアンズVS. プレデター 《ネタバレ》 
宇宙船が地球に落ちる。ああ、なんで見に行く。ああ、なんで子供。そんなのじっくり描かんでもいい。この親子が映画の中で重要な役回りとして生き続けるならいいが。で、その後も次々とその町の住民たちが紹介されてゆく。いらんて。その住民たちが大活躍するならまだしも、住民たちを含めた三つ巴どころか結局はエイリアンとプレデターのバトルがメインなのだから。そのメインだが、画面が暗くてなにがなんやら。これはおそらくDVDのせいであって映画館ではちゃんと映されていたと思いたい、のだが、明るい場所でもわかりにくいアップと早いカットで作られる今どきなバトルシーンを夜の街で黒い生き物を対象にやったら、多少画質が良くなったとしてもなにがなんやらなんじゃなかろうか。病院内で「エイリアン」らしいグロ映像があるが『エイリアン』のような怖さがないのが惜しい。最後は街ごと破壊という、もうこの手のモンスターパニック映画のお決まりパターンが持ち出されるわ、なになに?3があるの?的な勿体つけたエンディングとか、節操なしですな。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-25 15:47:59)
10.  エイリアンVS. プレデター
『エイリアン』『プレデター』という作品とは全く関係なくキャラクターだけを借りてきた、いかにもな「企画モノ」なのだが、ちゃんと「企画モノ」の責務は全うしている。エイリアンとプレデターを引っ張り出してきた時点で成功と言ってもいいくらいなのだが、その商品価値の優位に溺れずに、元来持っているキャラクターの魅力を損なわずにちゃんと見せている。プレデターにいたっては魅力を倍増させている感すらする。ポール・W・S・アンダーソンはきっと両キャラクターを好きなのだと思う。好きこそものの上手なれ。辻褄を合わせたエイリアンとプレデターの歴史背景もその説明にくどくど時間を費やさない。見所はアクションと心得ている。とは言うものの「企画モノ」につきものの安っぽさはどうしたって拭えない。それは最初から分かりきった事。サスペンスやホラーなんて期待しちゃいけない。そこを割り切って見ればそこそこ楽しめる。作り手も割り切っている。これは「企画モノ」なのだと。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-24 18:50:24)
11.  江戸川乱歩の陰獣
乱歩の作品は大きく2種類に分けられる。元々自身が書きたかった本格推理小説と、なぜだか世間に高評価で受け入れられた変格推理小説に。「陰獣」は性的倒錯や猟奇的犯罪という「変格」的なものを取り入れた本格推理小説である。つまりトリックとトリックが解かれる過程に面白さが詰まっているということ。それがどういうことかというと、映画化に不向きな作品ってこと。それでもこれは面白い。両者共がおそらくは乱歩の分身であろう本格推理小説家と変格推理小説家の対決という構図そのものの面白さをうまく見せている。「変格」的世界観にありがちな薄っぺらさ、安っぽさといったものも、ローアングルと、被写体の手前にモノを置く加藤泰印によって深みを得ている。ムリにインビなる雰囲気を作ろうとしてないのがいい。本格推理小説家をいかにも優等生顔のあおい輝彦としたのは適格だったと思うが、もう少しハードボイルド系にしてみても面白かったかも。
[ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-29 14:17:32)
12.  エクステ 《ネタバレ》 
最近、ラジオのホラー映画の宣伝かなんかで誰かが「ホラー好きなので思いっきり悲鳴あげて楽しんできます」みたいなこと言ってる人がいて、ホラーが好きな人って怖くないんじゃなくて怖いのが楽しいんだってことに今さらながら納得して、で、やっぱり私はホラー映画の楽しみ方を知らないのだと再確認した。だからこの映画がホラー映画としての楽しみがあるのかどうなのかは分かりません。でもこの映画は面白いと思った。ナレーションを自虐的に利用した冒頭シーンで一発かましてくれるわけだが、ここでの栗山千明の延々と発せられる声がなかなかに心地よい。そして長い説明は彼女がごくフツウの女性であることはよく分かるが内面に抱えたものまではけして語らない。そういった部分はその後もけしてセリフに組み込まない。そのあたりが実に繊細。『紀子の食卓』に続いて園映画出演のつぐみが主人公とどうやら母親を異にする姉を演じているのだが、その部分も深く切り込んでゆかない。虐待母の過去をいちいち語らないところがいい。主人公がなぜ少女を必死に守るのか。その様はまるで母。つぐみの短いセリフに主人公は小さいときにこの鬼姉に同じようにいじめを受けていたらしいことを伺わせる。そのとき守ってくれたのは母だったのかもしれない。だから同じような仕打ちを受ける少女のために今度は自分が母になって守ってやる。なんてことを想像させてくれる許容範囲の深さはむやみに説明しつくさない映画の強みだ。で、この鬼姉(母)は当然キャラ的に犠牲となるわけだが、最期のシーンでもそのオラオラキャラ(勝手に今命名したが伝わるよね)を維持しながら死に際の言葉を吐くところは思わず笑ってしまったが素晴らしい。そしてちょいとキョーレツすぎる大杉漣(衣装のセンスの悪さがサイコー)の最期もまた爆笑ものだ。美容院にはありえないほどいろんな種類の美人がそろっっているのも嬉しい。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-18 16:08:47)(良:1票)
13.  L change the WorLd
Lのキャラを崩してゆくところに面白さがあるので本編ありきの作品ではあるのだが、筋が全ての本編よりもずっといい。「子供」という未知なる生物を相手にする困惑とそれでも放っておけないワタリ譲りの親心がLを変える。走り、電車に乗り、自転車に乗り、背筋を少しだけ伸ばしてみて、優しい顔をして、世界を案じて、語る。ただ、ストーリーと演出はこれでいいのか?南原の登場は作品にコメディ色を入れたかったのだと思うが、それにしたってえらく唐突だし、例えば囮として運転したあとの再登場でLが「お願いがあります」と言ったあとの画はお約束でまたまた囮で車を走らせる画じゃなきゃいけないのにその一つ前に別の画(電車シーン)が入るのってなんかノリが悪いなあ。あと、悪党軍団の中の若い女。目がぎらつきすぎ。子供向けヒーロー番組の怪人みたいに現実感が乏しい。この女のボス、高嶋政伸の特殊メイク顔はまさに敵方改造人間だから、あえてこういうキャラと演出なんだろうけど、なんだかなあ。即発症のとんでもウイルスやら全部日本人やら(FBIの手帳見せてんのに「うそつけ!オマエ日本人じゃねえか!」って信用してもらえないシーンは笑ったが)、どこまで本気なんだかわからん作品。
[DVD(邦画)] 3点(2009-05-28 16:03:48)
14.  M(2006)
日常の中にある非日常が描かれていて、それはフィクションとしてはありふれてはいるんだけど映画初出演のヒロインのぎこちなさとモデル出身という現実離れした存在感が独特の雰囲気を出していて面白い。主婦という日常と主婦ではない非日常を行き来する女の危なっかしさにドキドキもさせられる。のだが、この作品はそのドキドキを堪能するものではなく、非日常的あれこれも単なる背景にすぎない。ではこの作品は何が描きたかったのかというと、おそらく女の中にある性質という目に見えぬもの。性的な不満が描かれることでベースを作り、その不満が非日常を呼び込み、その非日常をきっかけとして本来持っていたのだろう性質を表出させるという物語はいいのだが、はたしてその目に見えぬ性質とやらが画面に現れていたのかというとビミョー。だから母親に対するトラウマを抱えた青年の暴力にヒロインが性的に感じてしまうクダリは唐突感を拭えない。この青年のエピソードもえらく濃厚なのだが、そこまで濃厚にする必要はなかったような気がする。
[映画館(邦画)] 4点(2009-05-27 15:16:39)
15.  H[エイチ]
すでに見たけど未レビューの作品をずらりとタイトルだけ書きなぐったメモがあって、どの映画をレビューしようかとたまに見るんだけど、これはタイトルだけじゃなくその横に大きく「1」と書いてあった。おそらく、いや間違いなくこれは1点ってことだ。思い返して2点くらいかと思ったがその書きなぐられた「1」にはどうも怒りが込められているふうに見える。その「1」にはナメンナヨという見た直後の私のメッセージが込められているような気がする。『カル』が良いか悪いかは別にしてヒットしたことは間違いなく、コレはおそらくは二匹目のドジョウ狙いだと思われ、それだけを達成できればいいというサモシイ商品でしかないように思われ。オリジナリティ皆無。陳腐なシナリオ。かっこつけの役者。まやかしの衝撃。これらは作り手たちの本気度の薄さの表れでしかない。
[DVD(字幕)] 1点(2009-05-26 14:02:59)
16.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
結果的に「エデンの東」(つまりこの場合は戦場)に追放されたのが兄というところがどうもひっかかってしまうのだが、この物語の「カインとアベル」の逸話からの翻案ぶりは実に巧みで面白い。ただ、翻案ぶりは面白くても物語そのものはべつにどおってこともないのかもしれない。それでも最初は甘えたガキンチョにしか見えなかった主人公が、話を追うごとに徐々に、父からの愛情を与えられなかったゆえの歪みという影を見せてゆく様相にはひきつけられる。主人公が父と共に画面に映し出されるときは決まって画面が斜めに傾いているのだが、一見「歪み」を表現するのに安易なようで、実に効果的に観る者を不安な気持ちにさせていると思う。最後の最後。泣かせどころの大一番、死を前にした父の息子へのお願い(看護婦をやめさせろ)で軽く笑いをとりながらほっこり感動させるってのがハリウッド映画のソツの無さである。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-02-05 16:54:19)
17.  エリ・エリ・レマ・サバクタニ
冒頭の無造作に死体が転がるどこだかわからない異国感溢れる風景にとんでもなく引きつけられるのだが、そんな終末ワールドとは不似合いなペンションに場を移すと岡田茉莉子が岡田茉莉子としてそこにいるとしか思えないぐらい、ペンション同様にこの映画の世界に溶け込まない存在感を発揮しながらしゃべりかけてくる。コメディか?と思う間もなくコメディでしかあり得ないようなキザな格好をした探偵が現れ、とあるバーにて『ガルシアの首』だったか、聞き込みをしていると女が色仕掛けで寄ってきたかと思うといきなり殴り倒すというシーンをそのまま真似して見せ、やっぱりコメディなのか?と思ってると筒井康隆がなんだか腰を低くしてしゃべり続ける様がどう見てもコメディでしかないと確信を持たせてくれるのだが、こちらがやっとコメディの心構えができ、黒沢清とは全く違う終末ワールドのそのゆるーい感じに浸っているとフラッシュバックで浅野の元カノのビデオ撮影とか自殺とかが映され、せっかくのゆるーい感じを遮断してしまう。いったいなんなんだ。正直、面白くない。のだが、ついていけないから面白くないのだろうから、それじゃ悔しいので、その後、日を置いて2回、つごう3回鑑賞してみたのだがやっぱりよくわからん。ただ、初見時の不快感にも似たイライラはなくなって、むしろこの映画、べつにイヤじゃないって思うようになった。またいずれ見る機会がくるような気がする。というか、見たいかもしれん。
[DVD(字幕)] 6点(2008-09-11 12:26:30)
18.  エロティックな関係
日活ロマンポルノの『エロチックな関係』(エロティックじゃなくて)のリメイクということらしい。どちらも内田裕也主演。彼が企画やらプロデュースやらに関わった作品(彼が主演の映画はだいたい彼が企画を持ち込んでいる)は監督が誰であろうと独特の空気を持っている。この映画も例に漏れず、なんだけど、なんか、ちょっと違うというか、その空気に宮沢りえだけが馴染んでなくて浮きまくってて、でもみんながそれを受け入れているというか。若松に奥山、裕也にたけし、荒戸に宇崎に・・・一癖も二癖もありそうな危なっかしい連中が・・・たぶん、みんな宮沢りえが可愛くてしょうがなかったんだと思う。実際、可愛い。サンタフェ後かな?変な映画ではある。でもけっこう好き。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-23 17:45:52)
19.  Endress Waltz エンドレス・ワルツ
伝説の天才サックス奏者の阿部薫と、こちらもほとんど伝説化していると言える女優で作家の鈴木いづみという最強カップルの濃厚にして短すぎる人生の軌跡。両者ともに若松監督は面識があるらしい、というか監督の映画に出てるとか。映画で描かれるのは収入の無い芸術家のDV夫とのありがちな青い生活のようにも見える。一つ一つの濃いエピソードも事実であるから重いのであって、同じものを全くのフィクションとして見た場合は少々退屈にも感じる。とはいうものの、全共闘時代、若者たちが大きなうねりの中にいる時代のはずなのに、この二人だけは激動の時代を全く感じさせずに自分たちだけの世界に生きている、ということをちゃんと見せている。時代に翻弄された若者たちではなく、かと言って時代に取り残されるでもない。世界を無視して時代を置いてけぼりにして突っ走る。そこには爽快感など無く、常に孤独感が付いて回る。この映画は天才と言う厄介な生き物を愛してしまった女のドラマである以上に、そして自らが天才という厄介な生き物であることからの葛藤のドラマ以上に、ひとりの女がひとりの男を愛し、そしてそのことを再確認するというホントに普通の女のドラマとして描かれている。それは監督が実際に彼女を知っているからできたことなのかもしれない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-22 16:52:06)
20.  エレファント
日常が非日常の世界に変わるその瞬間に向かって淡々と流れる時間。しかし日常の中にすでに事件が始まっていることを、数人の生徒が学内を歩き回る姿を延々と追いかけるカメラが映し出している。存在を誇張されるアメリカン・フットボールの選手たち。存在を認めてもらったように嬉しく写真に収まる人たち。存在を否定されるメガネの女の子。他人の存在を無慈悲に否定する三人のバカ女どもの自意識過剰ぶり。そして存在の確認を銃によって証明する者・・。コロンバイン高校銃乱射事件を題材に持ってきているため、当然ながら社会派の色合いが出ており、それゆえに各映画祭での好評を得ているのだろうし、その語り口も巧いとは思うものの、個人的にはこの社会派の部分は蛇足に感じていたりもする。それほどに『ジェリー』以後のガス・ヴァン・サントの映画は、思想だとかメッセージだとか実際に起こった事件の記憶だとかそのことに対する意見だとかを無視しても、単純にそこ(画面)に映っているものだけで映画が成り立っており、またそこに映っている全てのものの相乗効果でもって緊張感やら孤独感やらといった目に見えないものを表現する。「エリーゼのために」は印象的ではあったけど、これも要らないかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2008-02-19 13:15:17)(良:1票)
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