1. エンジェル ウォーズ
メタ構造を面白がれる程、私はナイーブではない。 [映画館(吹替)] 0点(2011-04-16 23:32:47) |
2. エアベンダー
この映画には物語しかない。誰がナニしてこうなった、という物事の顛末を描くのみであって、誰がこう思ってこうしました、という「こう思った」を巧妙に避ける。画面手前に人をなめたロングショットその客観描写、様々なことがあちこちで起こっているのをただ長回しで捉えること、「兄は一目で姫と想いを交わした」身も蓋もないナレーション。何が起こるのか、何が眼前に広がっていくのか、物語の原初の快楽をとりもどすこと。それにはまった私は小坊主の唐突な翻意に泣いた、黒い雪に泣いた、ラストショットで泣いた。あまりの酷評が信じられぬ傑作。無茶苦茶面白いじゃん。 [映画館(字幕)] 10点(2010-07-27 23:22:38)(良:2票) |
3. エミリー・ローズ
ホラー的なシーンはスペクタクル、お約束の見せ場として描かれ、作者たちは決して、「恐怖」を描こうとはしない。だって、テーマは「愛」だし「神」なんだもん。ふざけんな、である。だったら「42丁目の奇跡」でいいわけだし、キャプラをやればいいわけだ。ホラーにはけっと唾を吐きかけつつ、しかし商業的にホラーにすり寄り、「愛」だの「神」だの言ってる姿勢に反吐が出る。■私が観たいのは、悪の現前を前に現実が揺らぐ様である。あるいは、悪魔を信じる信じないは別にして、超常現象に対し、心底震えること、恐怖すること。あるいは絶対的な戦いの場としての悪魔祓いだ。それがなければ、エミリー・ローズの神に対する自己犠牲も、神父の「愛」も、弁護士の「正しさ」もただの茶番でしかない。■だから、ここに描かれる裁判劇は、カルト宗教や怪しげな健康法で命を落とした人のものとしか私には思えない。被告の牧師はショーコー麻原なのか。しかし、それを正当化するのは、世界で一番メジャーな宗教とアメリカ保守だ。堕胎は許しませんよ。 [映画館(字幕)] 0点(2006-03-25 22:36:08) |
4. エクストロ
とりあえずのホラーネタをぐたぐたにつめこんであるんでお話は滅茶苦茶。それだけなら楽しめる80年代ホラービデオのいい想い出なんだけど、妙に惹かれるのは全編を覆う陰鬱なムードと、押さえるとこはちゃんとおさえてるとこ。エレベーターの上に張り付いているピエロとか、チェーンロックを斬る巨大ハサミの唐突な登場ぶりとか、なぜか2段ベッドに寝ている少年とか、いや、まじで悪くない。しかもその演出は力量があるとか、勉強してるね、といった類ではなく、どうも行き当たりばったりなようで、たまたまうまくいきました、ってのが、これまた悪くない。と絶賛してるようだが、そんなんじゃないです。珍作な上に退屈、「俺、こんなのみてんだぜ~」と自慢もできない変な映画でした。うん、まさに「からみにくい」映画。悪くないんだけど。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-06-28 00:07:31)(笑:1票) |
5. エレファント
ガス・ヴァン・サントは名前を与える。ただしそれは恣意的なものであって、特別に選択された人間ではない。この映画が名前を与えた以外にも多くの人間が存在し、多くのごく普通の日常がある。いつもの空。いつもの背中とゲームの背中。いくつもの日常が積み重なった、その時間の交錯。ある(美しい?)日常の瞬間をスローモーションで描くこと。フレームにおさまった「親」と「教師」。名前を与えられている唯一の黒人。ヒトラーの背景に訪れる宅配業者。……。日常を切り取る、という戦略がこの映画にはいっぱいで、はっきりいって、うざい。戦略(あるいは思いつき)に沿って、愚直に、一生懸命演出した、その努力と力量には敬意を表するが、それにつきあうのは、ちょっと恥ずかしい。もっと気合い入れて真っ正面からいかんかい、とも思うし、そもそも、日常を描く、なんてことが映画に出来るのか? 0点(2004-04-27 00:06:15)(良:1票) |
6. 越前竹人形
物語を超える一瞬を観たいと思う。例えば、西村晃に犯された若尾文子が、髪の乱れを整えながら鏡を見ようとする。しかし、そのエロティックな瞬間は物語の中に収斂され、それ以上の突出をみせてくれようとはしない。私が観たいのは、物語の中の若尾文子ではなく、物語に亀裂をはしらせ、破綻させるまでのエロティシズムだ。この映画は、物語を超えた突出した細部、亀裂への予兆を随所に感じさせながら、ついにそれを超えようとはしない。破綻への恐れ。それがこの映画を物足りなくしているように思う。これは日本映画の面白さをたたえた傑作だと思う。しかし、どうも物足りないのだ。「雁の寺」のグロテスク、「妻は告白する」のぐいぐい文子を思い浮かべて欲しい。// 宮川一夫のカメラもまた、美しく物語に寄り添っている。しかし、例えば、ラスト近くに登場する川は、逆光にきらめく美しさをたたえる川ではなく、血にそまった情念の川ではなかったか。// その中で、中村鴈治郎が素晴らしい。川を背景に独白する鴈治郎の横顔の凄み。物語の現実が幻想へと、幽玄へと昇華する一瞬。これは素晴らしい。 9点(2004-03-05 11:16:24)(良:2票) |
7. エロ神の怨霊
ここ50年以内で観たことのある人は、フィルムセンターに連絡しよう! 10点(2003-12-09 01:38:27)(笑:1票) (良:1票) |
8. 永遠のマリア・カラス
企業紹介ビデオのようなわかりやすい説明と、演出不在のお芝居と、運動感や躍動感の欠如した空疎に豪華なオペラの再現と、文化祭のポスターに「凄い絵だ」と魅了されるわけわかんない人々と、「マリア・カラスはなんでこんな倫理に欠ける企画にのっちゃうわけ?あ、やっぱラストはこうなるのか。最初から無理ない?」といった空虚な物語があるばかりで、肝心の「映画」はどこを探しても見つかりません。オペラが観たいならオペラを観ましょう。 0点(2003-12-07 21:02:29) |