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1.  エディット・ピアフ~愛の讃歌~
誰もが指摘するように、マリオン・コティヤールがすばらしい。フランスを代表する美人女優さんの1人だと思っていましたが、そんなイメージを良かれ悪しかれ一掃するような迫真の演技でした。特に終盤の老いた姿(といっても40歳代)は、嫌が上にも死期が近いことを感じさせてくれます。人間はこうやって萎れていくんだなあと。 ただし、ドラマとしては今ひとつ。主人公の再現に力が入っている一方、ストーリーらしいストーリーはないというか。だいたい、いろいろな人物が入れ代わり立ち代わり登場し、特に後半は取り巻きのスタッフも大勢いるわけですが、顔と名前を特定できたのはほぼ「マイケル」のみ。私の注意力散漫のせいでもあるでしょうが、1人を除いて誰とも深くは絡んでいない感じがします。そのマイケルの登場も、長い上演時間の一部でしかありません。それだけ孤独な人生だった、という演出かもしれませんが、何か物足りなさが残ります。 それを補って余りあるほど、マリオン・コティヤールがすばらしかったと言えばそれまでですが。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-24 02:59:49)
2.  エビータ(1996)
エビータという女性とアルゼンチンの近代史についてある程度予備知識を持っているか、もしくは関心があればもっと楽しめたかもしれません。両方ともほぼゼロの私としては、最初のうちは戸惑うばかり。だいたい冒頭の10分ぐらい、延々と誰の葬儀をやっているんだろうと思ったら、棺の中にマドンナですからねぇ。しかもクールなイメージを持っていたアントニオ・バンデラスが陽気に歌い出したり。いったい何が始まるんだという感じでした。 しかし見慣れてくると、実はきわめて単純な物語だとわかります。マドンナってけっこう端正で大人びた顔立ちだったんですね。いつも厚化粧の派手なイメージしかなかったので、ちょっと意外。もちろん歌も演技もいい感じ。結局のところ、当初の不安はいつの間にか吹き飛び、けっこう楽しませてもらいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-23 02:11:04)
3.  栄光のランナー/1936ベルリン
史実を丁寧になぞっただけの再現映像という感じ。それ以上でも以下でもありません。要するに抑揚がないというか深みがないというか。 ただゲッペルスが少々イケメン過ぎるんじゃないでしょうか。それから主人公は米国に帰った後も見世物として馬と競走させられるとか、かなり差別的な扱いを受けたはずですが、このあたりは全スルー。たしかにこれなら、誰も見ないはずです。再現映像なりの意地をもう少し見せてほしかったかなと。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-08-18 23:24:03)
4.  エージェント:ライアン 《ネタバレ》 
過去に何度も見てきたようなアクションとサスペンス。今回もまた、たった1人で世界を救っちゃいましたという感じ。キーラ・ナイトレイの持ち腐れ感もあり。 ただちょっと面白かったのは、ロシア側のやり口。ウォール街にテロを仕掛けてドル暴落とアメリカ経済の崩壊を狙うとか言ってましたが、そもそもその計画自体にかなり無理がある気がするし、仮に基軸通貨ドルやアメリカ経済が動揺すれば、はるかに規模の小さいルーブルもロシア経済もけっして無傷ではいられないでしょう。〝経済的自爆テロ〟にもほどがあるんじゃないかなと。ライアンの活躍でもっとも救われたのは、もしかしたらロシアかもしれません。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-13 23:29:38)
5.  AIR/エア 《ネタバレ》 
ある種のドキュメンタリーとして堪能させてもらいました。後発新興企業ならではの勢いや自由さやチャレンジ精神が感じられます。今の日本に足りないのはこういう部分じゃないかなと。 個人的に好きなのは「5000ドルの罰金」を逆手に取るという発想。「エア・ジョーダン」のネーミングが誕生する瞬間。そして印象的なのは、やはり最後の母親による「条件提示」。日本なら、どんなスター選手でも一瞬で嫌われるところでしょう。「がめつい」とか「守銭奴」とかいろいろ言われそう。しかしかの国では、とにかく権利を主張することが大事。ひとたび譲歩すればどこまでも利用されるという危機感があるのかなと。 まあ贅沢な暮らしにも限界があるし、預貯金をいくら積み上げても仕方がないので、結局はどこかに投資または寄付するしかないわけで。マクロ的に見れば誰がその主体になるかという違いでしかないのでしょう。いずれにせよ庶民の私にはいっさい関係ない話ではありますが。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-06-10 22:42:45)
6.  AVA エヴァ
欧米の女優さんというのは、ハードアクション系のヒロインをこなすことが1つのステイタスなんですかねぇ。ジェシカ・チャスティンというと、インテリ系で、しかも「女」を売りものにしない役どころが多いイメージだったのですが、この作品ではまるで違います。しかも本人が製作に携わっているらしいので、自ら希望したとしか思えません。年齢もそこそこ行っているはずなのに。 そのギャップを楽しむという意味では、堪能できました。しかし全体として暗く、マルコヴィッチの役回りとか、家族との確執とか、どうにも薄っぺらな感じは否めません。個人的には、インテリ系に戻ってほしいなと。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-03-08 01:54:35)(良:1票)
7.  エール! 《ネタバレ》 
これは傑作。とにかく「愛は地球を救う」的な安っぽい感動ドラマになっていないところがいい。耳が聞こえないというハンデはあるものの、ごくふつうの家庭という感じ。むしろハンデがあるからこそ、性に対してやたら開放的というのも面白い。 娘の視点に立てば、成長と旅立ちのドラマとして見ることができるし、両親の視点に立てば、その娘の幸せを願いつつも手元から離れてしまう寂しさや葛藤の物語として見ることができます。それだけ登場人物を丁寧に描いているということでしょう。 と思っていたら、後半のフェードアウトから無音のシーンですよ。両親の感覚を疑似体験して、ひたすら共感しまくるというか、やはりふつうじゃないんだと気づかされるというか。この演出はすばらしい。久しぶりにゾゾゾゾッと鳥肌が立ちました。 このシーンがあるから、その後のややベタな展開にも素直に感動できます。先生の素性がよくわからなかったり、パートナーの男に魅力が足りなかったりしても許せます。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-07-22 02:27:41)
8.  エリザベスタウン
オーランド・ブルームぐらいのイケメンになると、CAさんのほうから声をかけられるのね。これが「ティファニーで朝食を」の「ユニオシ」みたいな典型的日本人だと、完全に無視されるんでしょう。 それはともかく、ある種の夢物語のような、ほのぼの映画でした。たしかにこういう葬式もいいなと。いくら悲しんでも帰ってこないんだから、いっそ盛大に送り出してやろうみたいな。それにキルスティン・ダンスト演じるヒロインは、多くの男が思い描く理想像でしょう。なんだかよくわからないけど近づいてきて、手取り足取り世話を焼いてくれて、いろいろ慰めてくれて、それでいてベタベタしない。あまりに絵に描いたような理想像なので、夢オチなんじゃないかと疑ったほどです。 まあ典型的日本人には縁のないお話ですが。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2022-05-12 02:04:58)
9.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
妙に豪華キャスト。しかし終盤に行くにしたがってフードとマスクとゴーグルで顔が覆われるので、せめて有名や役者を使わないと顔と名前が一致しなくなる、という配慮でしょうか。 それはともかく、なかなかの迫力でした。ほとんどCGでしょうが、それをまったく感じさせません。過酷さや絶望感がひしひしと伝わってきます。2D鑑賞でしたが、機会があれば3Dも見てみたい。 またこういう極限状態においてなお、頂上に立ちたいという客もすごいし、とにかく1人の客も見捨てないという使命感に燃えたリーダー氏もすごい。カネと権力にモノを言わせて1人だけ救い出そうとした奥さんもある意味ですごいし、危険を顧みずにヘリを操縦したパイロットもすごい。いずれにせよ、こういうときに人間の真価が問われるのかなと。まあ高尾山にすら登ったことのない私は、彼らの心情の半分も理解できなかったと思いますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-03-19 01:28:20)
10.  エクソシスト
今さらながら初見。いきなりイラクから始まるとは予想外。そこで発掘されたコインと、遠く離れたワシントンの住宅に突如現れた悪魔に何の関係があるのか今ひとつわからず。 しかし中盤以降、少しずつオドロオドロしさが増していく展開は、さずがホラー映画の傑作という感じ。途中、聖水はただの水道水だとか、あの悪魔は偽物だとかいう話もあって回収されないまま終わった気がするのですが、まあ雰囲気だけ楽しめれば十分です。 で結局、悪魔は何がしたかったんでしょうか。1人の少女をいじめたいだけだとしたらスケールが小さすぎるし、世界征服とか考えているとしたら明らかに方法論を間違えていますよね。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-13 02:59:51)
11.  L.A. ギャング ストーリー 《ネタバレ》 
最初に非情なショーン・ペンが出てきたときは、ヒリヒリするような緊張感を楽しめるかと思ったのですが、さにあらず。ちょっと軽い感じのアクションものでした。 どちらかといえば「エクスペンダブルズ」とか「オーシャンズ~」とか「ワイルドスピード」とかに近い感じ。要はアウトローで個性的なメンバーがカリスマリーダーの下に集い、徒党を組んで敵に立ち向かうというパターン。で、誰かが犠牲になってリベンジに燃えたりするのもお約束。すごくデジャブ感があります。慢性的な孤独感の裏返しなのか、かの国の方々はこの手のお話がお好きなようで。 結局、ショーン・ペンも非情なだけで深みながないまま最終決戦へ。で、やはりお約束の結末。有名な役者がゴロゴロ出ているだけに、なんだか惜しいかなと。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-07-29 02:11:28)
12.  エジソンズ・ゲーム
素材としては面白いはずですが、どうも印象が薄い。おそらくそれは、両者がスマート過ぎるから。もっとギラギラ、メラメラしながら戦って、盛大な見せ場を作ってほしかった。実際、エジソンは大変な“個性派〟だったはずです。 そういえば邦題もヤル気がなさそうですね。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-07-01 01:14:11)
13.  エリジウム 《ネタバレ》 
なんとも殺伐とした世界観。格差云々というより、恨みつらみ・妬みだけで成り立っている気がします。いろんな意味で痛々しい場面が多々あり、見ていて気分のいい映画ではないですね。お決まりのハラハラドキドキはありますが、「それがどうした?」という感じ。 で結局、革命が起きてしまうわけですが、この後で確実に「医療崩壊」の惨劇が待っていると思います。2150年代ぐらいの設定でしたが、彼らは2020年の人類の経験を教訓にしなかったようで。 それから他の方も指摘していますが、ジョディ・フォスターは何のために出演したんですかね。まったく中途半端で見どころのない役でしたが、暇だったんでしょうか。それとも干されてた? そちらの〝ドラマ〟のほうが気になります。
[CS・衛星(吹替)] 2点(2020-04-24 22:47:56)
14.  エスケープ・フロム・L.A.
「マッドマックス」と「ブレードランナー」を足して2で割ったような雰囲気。チェ・ゲバラそっくりの悪の親玉をはじめ、真面目なのかふざけているのかよくわからないと思っていたら、別の作品の続編だったんですね。それならそうと先に言ってくれよと悪態をつきつつ、すいません出直します。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-11-09 02:02:43)(笑:1票)
15.  エンド・オブ・デイズ
怖がらせよう、驚かせようという意図は伝わってきます。爆発・炎上もやたら派手。しかし、この手の作品は星の数ほどあるわけで、そこから一歩も出ていません。もう何が起きても「またか」という感じ。人間の慣れの感覚とは恐ろしいものです。というわけで、万人納得の低評価作品。ガブリエル・バーンの悪魔役はピッタリな感じでしたが。
[CS・衛星(吹替)] 4点(2018-11-18 01:45:43)
16.  エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
別にカタいことを言うつもりはありませんが、仲間の1人が重症を負っただけでチームの解散を考える一方で、敵兵への殺戮にはまったく容赦しないというダブルスタンダードが恐ろしい。敵兵は人間ではないという解釈でしょうか。彼らなら、顔色一つ変えずに民族浄化でも大虐殺でもやってのけそう。敵兵のほうが、よほどリアルな「エクスペンダブルズ」でした。
[インターネット(字幕)] 3点(2018-08-02 02:13:16)
17.  英国王のスピーチ
最後のスピーチの後に流れる曲、ベートーヴェンの「皇帝」の第2楽章でした。敵国音楽じゃないかと思いつつ、ピッタリはまっていた気がします。全編にわたる地味なストーリー展開すらも象徴している感じ。というわけで、映画としてはどうってことありませんが、「皇帝」をいい雰囲気で聴くためのPVだと思えば、それなりに楽しめます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-24 02:57:22)
18.  映画 深夜食堂 《ネタバレ》 
TV版もときどき見ていましたが、まあ可もなく不可もなく。うらびれた人たちが集う食堂、という設定である以上、もっとエグい話があってもよさそうですが、どこにでもありそうな「きれいごと」でまとまっていました。 一番面白かったのは「3話」かな。震災と絡めることの是非はともかく、優しさや同情や自己実現のための行動が、相手に愛情表現と勘違いされるのはよくある話。ここからドロドロの愛憎劇が始まったりするわけですが、一方が(おそらく)好人物しか演じられない筒井道隆である以上、浅く流すんだろうなあと思っていたら、本当にそうなってしまいました。いささか残念。 それと、オダギリジョーのキャラはなぜ激変?
[インターネット(邦画)] 6点(2018-01-07 19:09:34)
19.  駅 STATION
3度にわたって流れる「舟歌」がいい。高倉健と倍賞千恵子がだいたい同じシチュエーションで聞いているわけですが、2人の心象風景は3度ともまるで違う。1度目はほっこり、2度目はメラメラ、そして3度目は冷え冷え。それを、セリフで多くを語らず、2人の表情だけで見せる演出にグッと来てしまいました。 ただし、倍賞千恵子といえばやはり「さくら」のイメージが強くあります。今でさえそうなのですから、「寅さん」がバリバリ現役だった封切り当時、観客に違和感はなかったのでしょうか。この作品をもっと楽しむためには、「寅さん」をいっさい見ず、ついでに「ハンカチ」とか「遙かなる」とかもスルーしておくのが一番かもしれません。そう思わせるほど、ザ・日本的情感たっぷりの良作でした。 それにしても、宇崎竜童って稀有な存在ですね。稀代のチンピラ顔にして、稀代のヒットメーカーでもある。「舟歌」もいいけど、続けてラストに流れる曲もさすがという感じです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-15 00:35:18)
20.  エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事
およそ2時間半の作品ですが、1日におよそ30分弱ずつ見て、5日目にようやくエンドロールまでたどり着きました。理由は単純、退屈に堪えられなかったから。途中で放棄しようかとも思いましたが、一応巨匠の作品なので。ただし私の感性が鈍いだけで、作品の質は悪くないのかもしれません。 何より気に食わないのは、やたらと饒舌なナレーション。状況説明やら人物紹介やら心境の吐露まで、ベラベラ喋りまくり。それを映像や演技で表現してくれよと。ラジオドラマかよと。字幕を読むだけで疲れました。 それにこの手の話、古今東西にも、うちの近所にも、いくらでも転がっている気がします。一発やればドロドロの世界へようこそですが、やらないとなるとますます路傍の石レベルではないでしょうか。わざわざ映画で見せられなくても…。 それにしても、2大女優さんの腰の細さに驚き。それぞれ心を締め付けられる役柄でしたが、腰の締め付けのほうがよほど苦しかったのではないかと拝察いたします。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-07-02 00:00:30)
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